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16話「続、教会の刺客」
しおりを挟む「これはこれは、うちの者が世話になりましたね」
男は、高身長に銀髪肌は黒い、
もう片方は、フードをしていて顔が見えない。
「おい!早く助けてくれ!」
「ふん、たかが二人に捕まるとは情けない。そのような者は、協会に必要ない」
「っな...!」
見捨てられた男は、うつむきぶつぶつ小声で喋っていた。
ミーチェが小声で、ささやきかけてきた。
「ニケ、片方の武器は『一突き』の物だ気をつけろ」
「『一突き』?」
『一突き』――レイピアや、長剣のようにリーチの長い武器の事だ。とミーチェは小声で言ってきた。
目の前にいる、銀髪の男はサーベルのような不気味な剣を構えている。
となると、奥のフードの男が一突きの武器もち...
対峙していると、男が叫び始めた。
「約束と違うじゃないかッ!」
「約束?なんのことだ」
銀髪の男は両手を上げ、嘲笑ったよな顔で男を見た。
男は、更に叫び声を上げた。
「妹を...妹を助けてくれるって話は...!?」
「あぁ。あの出来損ないか。あれは、既に死んでいる」
「な...なぜ...」
「まだ、わからないのか?お前と喋っていたのは、幻覚だったということに!」
「そ...そんな...うそだ、うそだぁぁぁぁぁッッッ!!!!」
男は泣きながら、地面に頭を叩きつけ始めた。
話がだいぶ見えてきた。
「なぁ。あんたは妹を助けるために、協会ってのに入ったのか?」
「そうだ...あいつらが、妹を助けると言って...協会に入れば助けてやると」
「そうか、それで妹は死んでいたってことか」
ニケは、同情の色を隠せなかった。
ミーチェは、やれやれといいながら銀髪の男に話しかけた。
「お主達のことだ、死霊術の媒体にでもしたのだろう?」
すると、銀髪の男は高らかに笑いながら言い放った。
「ご名答!そうだ、あいつは死霊術の媒体となって死んだ!あれは傑作だった!最後まで、兄さん兄さん言っていたのだからな!」
その言葉に、男は涙を隠せなくなった。
「っう...ああああああああああああッッッ!!!」
誰かを、失う気持ちはわかる。
ニケは、先ほどまでの自分を見ていたようだ。
右手を構えだすニケに、ミーチェは声をかけた。
「おい、何をする気だ!」
「何って、こいつの傷を治すんだよ」
「相手は敵だぞ!」
「利用されてただけだろ!」
「それはそうだが...」
「師匠も協会絡みで何かあっただろうけど、こいつは妹を助けるためにしがみ付いていた。だから、ここで死んでいい命じゃないと思うんだ」
「俺を、助けるのか...?」
「あんた、悪い奴だけどさ仇ぐらい取りたいだろ?」
「できるものならな...だが貴様のせいでもう身体がずたずただ」
ニケとの戦闘で、負傷している男は銀髪の男をにらみながら言った。
すると、銀髪の男は面白くなさそうにこちらを見ていた。
「その男を助ける?無駄だ、その傷では、もう使い物にならないだろう!」
「うるせぇ...少し黙っててくれないか?」
ニケは、銀髪の男を睨みつけた。
「おー。怖い怖い」
銀髪の男は、武器を仕舞い。
その場に座り込んだ。
「まー。何をするかわからないけど、やるなら早めにね」
銀髪の男は悠長に鼻をほじくり始めた。
ニケは左手を構え、人差し指と中指を立てた。
「綴る!″我、水の癒しを求めるもの。汝、我が願いを聞き届け、彼に癒しを与えよ”ミストヒーリング!」
魔法名が違うことに、気がついたミーチェ。
だが、魔法は発動した。
通常の大きさより、大きい魔方陣が展開されていた。
「まさか、魔方陣と魔方陣を組み合わせてより大きな魔方陣に...!?」
「魔線の数で、魔法名も変わるみたい。さっき気がついたんだ。魔法名に違和感があるなって」
「さっき気がついて、今試したのか...!?」
「あぁ。」
ニケは、返事をすると同時に魔方陣に魔力を込めた。
魔方陣が展開し、魔法が発動した。
通常のミストヒールよりも、長く魔方陣が維持されていた。
「新しい魔法...」
ミーチェは、目の前で起きている新しい魔法に眼が釘つげのようだった。
すると、銀髪の男は立ち上がり再度武器を構えた。
「なぁ、あんた。縄解いとくから。回復したらこっちに合流しろよ」
ニケは刀で縄を解いた。
「おいニケ。いいのか?こいつは敵だぞ?」
「いや、もう協会のやつじゃない。彼はただの復讐者だ。シロ、ここで待ってて」
そういうとニケは、小太刀、刀を再度握りなおし銀髪の男に向かって歩き出した。
その後姿を、ミーチェとシロは見送った。
「師匠。何かあったら援護よろしく」
「なんかって、お主は...はぁ、わかった。気をつけてな」
ミーチェは、ため息をつきながら世話の焼ける弟子だっと言い放った。
すると、霧に包まれた男はミーチェに声をかけた。
「これは...治癒魔法なのか?」
「あぁ。私の弟子がお主にかけたのだ。感謝するんだな」
「あいつは、男だろ?なぜ魔法が...」
「さぁな、あいつは魔法も錬金術も使える。異能のなかの異能であり、私の自慢の弟子だ」
男は、再びうつむいてしまった。
傷は...だいぶ癒えたようだ。
もうちょっとで、傷はふさがるだろう。
第一位階回復系統魔法で、ここまで回復させるとは...
――ニケは、銀髪の男の前で止まった。
「なぁ。協会って、そんなにすごいのか?」
「突然、何を聞くかと思えば。協会について何も知らないのか?」
「あぁ。だが、悪い奴らの集まりってのはわかったぜ?」
「お前たち、魔法使いから見たらそうだろうな」
「どういうことだ?」
銀髪の男は武器を下げ、話始めた。
「魔法使いは、戦争の火種だ。っと先代は言った。俺も、それは同感だ。騎士が、一人二人と敵を倒す間に魔法使いはそれ以上の人の命を奪う。その力を人殺しの為に使う連中を処すのが、我々協会なのだ」
「そのためなら、村を襲うと?」
「襲うとは人聞きが悪い、これは神の導きに背いた者たちへの天罰だ」
「なにが天罰だ...何が神だ...!人の命を奪ってる事には変わりないだろッ!」
言い放つと同時にニケは、切り込んだ。
だが、ニケの一撃は銀髪の男のサーベルによって受け止められた。
「いきなり切り込むとは...往生際が悪いなぁッ!」
銀髪の男はサーベルを振り上げた。
サーベルと一緒に、ニケの刀も振り上げられた。
「そこだぁぁぁぁッッッ!!!!」
振り上げたサーベルを胸元に構えなおし、喉元にめがけて突きを放つ男。
ニケは、左手の小太刀でそれを受け流した。
間一髪、ニケの首の右側をサーベルが通る。
サーベルを弾き、距離を置くニケ
「ほほう?今のを受け流すとは」
関心しながらも、銀髪の男は攻撃を仕掛けてくる。
「そいつは...っく。どうもッ!」
喋りながら、剣を受け流すのは流石に厳しいな。
考えていると、すぐそこまでサーベルが来ていた。
ニケは、両刀をクロスしてサーベルを受け止めた。
銀髪の男は、舌をだして不気味に笑い始めた...
ここからどうすれば...。
そのとき、後ろから雄たけびが走った。
「うおおおおおおおおおああッッッ!!!!!!!!!!!」
ニケは、振り返った。
そこに立っていたのは...!
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