夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

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30話「身支度」

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 久しぶりに、自分の部屋に帰ってきた感じがするニケ。
 異世界に来てまだ4日目、この部屋が過ごしたのは初日の夜だけだ。
 そんななか、持っていくものを探していたときだ。
 机の引き出しから、赤い指輪が出てきた。

「これなんだろう?」

 ベットでごろごろするシロに見せるも、興味なさそうにあくびをしていた。

「もう少し興味持ってよ……」

 そういいながらニケは、持っていくものを机の上に集めていた。
 今来ている白いワンピースは、もう1着ほどタンスにあった。

「着替えがあるに、越したことはないかな」

 ほかにも、指輪や腕輪、アクセサリーやピアスのようなものもある
 少しだけ魔力を感じ取れるが、まだ未熟なニケにはどのような効果があるかわからなかった。
 机の上に装飾品類をまとめていると、ミーチェが扉を叩いて中に入ってきた。

「これは私のお古だ。お主にやろう」

 そういいながら緑色の鞄を渡してきた。

「これは?」

「先ほど話ししていた、魔編みの鞄だ」

「そこまで大きくないんだな」

 ミーチェから受け取った、魔編みの鞄を持ち上げるニケ。
 肩がけの鞄にしては少し小さめだが、本などは納まりそうだ。

「この鞄は、そこそこ物を収納できるぞ」

「え、これ異次元につながってるの?」

「異次元ではないが、古代魔術が編みこまれていてな。中に入れたものは、その場で小さくなるのだ」

「小さくして収納するってことか」

「うむ。入れたものにしか取り出せず、魔法で鞄の底に吸い付くのでどこかに落とす心配もない。それに中に水が入っても濡れないのだ」

 ミーチェはうきうきと話をしていた。
 そうなのかっと、つぶやくと荷物を入れ始めるニケ。

「そうだ。師匠、ここにあるアクセサリーとかってもらっていいの?」

「ん?別に構わん、むしろ使ってくれたほうがありがたい」

 どこか遠い目をしながら、ミーチェは部屋を出て行った。

「持ってくのは腕輪だけでいっか」

 そう言いニケは、緑の宝石の埋め込まれた腕輪を右手にはめた。
 鞄に服を入れ、机の上にあった魔道書を入れる。

「魔道書って、持ってていいのかな」

 ニケは、扉を開け廊下に出た。

「確か、師匠の部屋二階だったな」

 廊下を抜け、リビングに出る。
 奥は玄関と書庫がある。
 すぐ左に階段があり、そこから二階にいけるようだ。
 階段を上ると扉があった。
 扉を2、3回叩く。
 だが、返事がなかった。

「師匠!」

 呼びかけても返事はなかった。

「書庫かな?」

 階段を下り、左手に向かう。
 玄関は開いていなかった。
 ニケは、書庫へと向かった。
 直線で続く階段を下り、書庫に出る。
 相変わらず広々とした空間だ。

「師匠!」

「ん?どうした」

 ニケが、呼びかけるとミーチェから反応があった。

「魔道書、持って行きたいんだけど大丈夫?」

「あぁ。別に構わぬ、だが村や街でも買えるぞ?」

「途中で買うって、言ってもお金ないよ?」

「行く先々で依頼をこなせばいいのだ。掲示板などで依頼を受けれるぞ?」

 村や街には、冒険者ギルド以外にも掲示板があるようだ。

「内容はいろいろとあるが、お主でもできるものもあるだろう」

「それって、冒険者っぽくて楽しそうだな!」

 ニケは、嬉しそうにはしゃいだ。

「あ、そうだ。持っていけるなら、得意属性の本だけでいいかな」

「それと、召喚術の本、錬金術の本も忘れるでないぞ」

「わかった」

 返事をしたニケは、本棚を探し始めた。
 召喚術のプレートを見つけ、本を探す。
 どれも図鑑のようなものばかりだ。
 その中で、ニケの興味を惹く本があった。
 『魔物との主従契約』という題名だった。

「これ、面白そう!」

 まず一冊目は確保できた。

「あとは、錬金術かな」

 錬金術のプレートを探し、本棚と本棚の間に入る。
 錬金術の本は、基本的に講義や原理のような本ばかりだ。
 ニケは、すでに自己流の錬金術を習得している。
 内容を読む限り、自分の錬金術が違うものだと理解したニケ。

「錬金術の本は……いいか」

 そう言いながら、錬金術の本棚をあとにする。
 続いて属性魔法別の本棚を探した。
 その中で『聖属性』の本棚を見つけた。
 『聖属性』――光属性とまた違う回復系統、対アンデット系の魔法が多い。
 回復魔法は聖属性が一番効果があり、水属性の回復系統より魔力消費が少ないっと記されていた。

「一応、これも持っていくかな」

 ニケは、そういいながら本を鞄へと入れた。

「他は……火属性と、風属性と、土属性があれば大丈夫かな」

 各本棚を回り、それぞれの属性の書を鞄に詰め込んだ。
 精霊術の本棚がふと気になった。

「精霊術って、どんな感じなんだろ」

 手にとって本を読むニケ。
 『精霊術』――精霊の力を借り、地形の変化やそれぞれの属性を持つ精霊の力を使う。

「なんか、難しそう……俺には無理だな、精霊と仲良くならないといけないのはきついな……」

 そっと本を本棚に戻した。

「さてと支度完了!」

 ニケは、書庫の階段を上り始めた。
 扉を開け、リビングに出るとミーチェがお茶を飲んでいた。

「やっときたか。私は支度を終えたぞ?」

「俺も、今終わったところ」

「では、村に戻って昼食を取ってから出るとしようか」

 そう言って、ミーチェは食器を洗い玄関へと向かった。
 ニケは、自室で昼寝していたシロを呼びにいった。

「シロ、いくぞ」

 シロは、目を開けるとゆっくりとベットから降り背伸びをしてからついてきた。
 玄関を出て、ミーチェがなにやら地面に書いているのを目にした。

「師匠、なにしてるの?」

「ん?結界を2重に掛けているところだ」

 地面には魔方陣のようなものが書かれていた。
 ミーチェは、魔方陣を書き終えると両手を地面につけ魔力を流し込んだ。
 魔方陣が展開され、魔法が発動する。
 緑色の膜のようなものが、結界の境目まで伸びて見えなくなった。

「さて、参るか」

 そういいながら、ミーチェは歩き出した。
 ニケと、シロもあとに続いた。
 これから旅に出ることを楽しそうに語るニケ、それを聞きながら軽く笑うミーチェ。
 この時間が続けばいいなっと、笑いながら話すニケ。
 一同は、川辺を歩いて村へと向かうのであった……。
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