夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

文字の大きさ
40 / 93

39話「意識のある者」

しおりを挟む

 アンデットを薙ぎ払うニケを見ながら、ミーチェはガリィの傍を走り抜けた。

「ニケ!伏せろ!」

 その声を聞くと、ニケは即座に伏せた。
 ニケの頭上を、大鎌が風を切りながら通り抜ける。

「師匠!危ないだろ!?」

 立ち上がりながら、ニケは叫んだ。
 アンデットたちは薙ぎ払われ、地に転がり動かなくなった。

「あと少しだな」

 残ったアンデットは、3体。
 ニケと、ミーチェは駆け出す。
 左側の狩人風のアンデットは弓を構えた。

「師匠ッ!」

 ミーチェの前に、ニケが入り込む。狩人風のアンデットは、矢を放った。
 迫り来る矢をニケは、太刀で弾く。

「すまないな、ニケ」

 そう言いながらも、ミーチェは走る足を止めなかった。
 狩人風のアンデットに目掛けて鎌を振りあがる。
 大鎌は、腹部に刺さると深く食い込んだ。
 それを横目に、ニケは中央にいる魔法使い風のアンデットに切りかかる。
 魔法使い風のアンデットは、持っていた杖で剣を受け止めるがニケの腕力に耐えれず、杖は粉砕した。
 そのまま押し切るニケ、刀身が脳天から喉にかけて入った。
 魔法使い風のアンデットは、膝をついて地に突っ伏した。
 ニケは、太刀を構えると最後のアンデットに切りかかった。

「っきゃ……」

「きゃ?」

 アンデットに刃が触れる寸前に、ニケは太刀を止めた。

「どうかしたのか?」

 ミーチェが、ニケのもとへ歩いてきた。

「なんか。今、しゃべった気がしたんだ」

 目の前にいる、自分の身を守るかのように身構えるアンデットを指差すニケ。

「ん?お主、意識があるのか?」

 小さく頷くアンデット。
 アンデットは、身長が低く服装はフードを被っていて下には、灰色の布の服を着ていた。

「アンデットって意識あるのか?」

 ミーチェの一言に、ニケは問いかけた。

「極まれに、死ぬ前の気を記憶と人格を残してる者がおると、本に書いてあったのだ」

 まさか実際に出会うとはっとミーチェは、アンデットを見ながら呟いた。
 ニケは、ミーチェが言うことが半信半疑のようだ。

「あんた、人間では……ないんだよな?」

「あ、はい。私は、すでに死んでしまったようですね」

 アンデットは、構えを解くと下を向きながら答えた。

「ふむ。普通にしゃべれるのか」

「そうみたいだな」

「あ、あの……私は……殺さないんですか?」

 アンデットは、服の端を握り閉めながら問いかける。

「んー。攻撃してこないし、たたかう理由ないんじゃない?」

「そ、そういう問題なんですかっ」

 少し、叫ぶようにアンデットは言った。
 ニケは、頭を掻きながらミーチェを見た。

「確かに。攻撃する意思があるなら、襲い掛かってきているはずだからな」

 問題ないだろ、っとミーチェは呟きながら橋へと歩いていった。
 それを見ながら、ニケはアンデットに問いかけた。

「あんたも来るか?」

「え、え?私、アンデットですよ?」

「でも、喋れるしたたかう気ないんだろ?」

「は、はい……」

 そう答えると、アンデットは再度うつむいてしまった。

「いいから、きなよ」

 ニケは、アンデットの手をとると歩き出した。

「ま、待ってください……」

 その声は、ニケの耳には届かなかった。
 朝日が昇り始め、あたりに薄く霧がかかり始めた。
 ニケ、ミーチェ、シロ、ガリィ、アンデットと世にも不思議な面子が焚き火を囲っていた。

「ニケよ。このアンデットを、連れて行く気なのか?」

「一緒にいても、問題ないだろ?」

「あ、あの……わ、私は、どうすれば……」

 そう答えるアンデットを、ミーチェは興味深そうに見つめた。

「お主は、ついてくる気はあるのか?」

「い、行くあてもないですし……そ、それもいいなら。つ、ついていってもいいですか?」

 アンデットはおどおどしながら、答えた。
 アンデットと、ミーチェのやり取りを見ながらニケは大きくあくびをするのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

異世界異話 天使降臨

yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。 落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。 それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。

【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-

いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、 見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。 そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。 泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。 やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。 臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。 ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。 彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。 けれど正人は誓う。 ――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。 ――ここは、家族の居場所だ。 癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、 命を守り、日々を紡ぎ、 “人と魔物が共に生きる未来”を探していく。 ◇ 🐉 癒やしと涙と、もふもふと。 ――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。 ――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

処理中です...