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85話「再会と報告と入学の話と」
しおりを挟む城壁の門の前で待つこと半時。
日が昇るにつれ、人の行き来が激しくなってきた。
門の隣にあった扉が開き、先ほどの彼とミーチェが出てきた。
久しぶりに見るミーチェは、少し元気がない様子。
「ニケ! やっと戻ってきたか、心配してたのだぞ」
「師匠、ただいま。
ごめんね、心配かけさせて」
「ほんとだ、今までどこにいたのだ」
「デオドラにさらわれてイーディスに……」
「なるほどな、それでデオドラは?」
「新しい死霊術がどうとかで――」
ニケはイーディスであった事を話した。
競売所のこと、黒髪の3人組が助けてくれたこと、デオドラが協会の人間だったこと。
少し考え込むミーチェ。
「とりあえず、話はあとだ。
まずは中に入るがいい」
「通してもいいのですか?」
「こやつは私の弟子だ。
入れても構わないだろう?」
「そ、そうなんですかッ!?
西の魔女様の弟子様とは知らず、とんだご無礼を」
門番が深く頭を下げる横を、ニケとミーチェは通り抜けていった。
城門の中に入ると、中は広大な草原のようだった。
手入れの行き届いた植木。
城へと続く道の間には噴水があり、そこから4方向へと道が分かれていた。
左は兵舎だおるか、大きな木造の建物があり、右側には立派な建物がそびえ立っている。
噴水まで進み、右へと歩き出す。
見える建物は大きく、幾つも窓があるところ部屋も多いのだろう。
「師匠、あれが王宮?」
「そうだ。だが、王もここで寝泊りしておる。
あまり失礼がないようにな」
「あ、あぁ。気をつけるよ」
扉の前に執事のような人が見える。
ニケにとっては初めて目にする服装だ。
彼は一礼すると、扉を開けた。
内装は豪華すぎて言葉もでない。
シャングリラに、白い床。
素材はなんだろうか、つやがかっており光を反射して眩しい。
赤い上質な踏み心地の敷物。
何人かのメイドがすれ違い、お辞儀をしてくる。
そのまま案内された部屋へと入る。
部屋の内装も豪華だ。
いかにも高そうなベット。
敷物と同じだろうか、綺麗な造りだ。
「ニ、ニケさんッ!?」
「アシュリー久しぶり」
「もう、すごい心配したんですからね!」
「ごめんごめんって」
椅子に腰掛けると、メイドがお茶を運んでくる。
お茶を啜り、事情を話した。
流石のアシュリーでも新種の死霊術という言葉に引っかかったようだ。
「ニケ、その死霊術とは一体どういうものだったんだ?」
「そうだな。アシュリーみたいな感じで、アンデットになって人格があったんだ。
身体能力が異常で、気がついたら人格を失ってたんだ。
あの拳を全て避ける自信ないよ……」
「それほどまでに……」
「私も、協会の死霊術のせいでアンデットに……?」
「可能性としては低くないだろう。
私達が森に入っている時に、協会の連中は橋を渡った」
「確かにな、それだとその死霊術でアンデットになったアシュリーって……」
「うむ。あやつらにとっての成功例と言うことだ」
アシュリーが成功例と言うことは、いずれ協会がアシュリーをさらいに来る可能性が生まれる。
一同は互いの顔を見合い、ため息をついた。
ミーチェが王都にいる時点で事態の収拾は着くだろう。
それに、ガメリの話が確かなら東西南北の魔女が集う。
そのときこそ、協会に一泡吹かせれるだろう。
「悩んでいても時間の無駄だろう」
「そうだな。そん時考えればいいんだよ」
「そう……ですね……」
「あまり考え込むでない。
とりあえず、王へ報告へ行く。
ニケ、付いてくるがよい」
「わかった」
立ち上がり、ミーチェと共に部屋を後にした―――
―――ニケはミーチェと共に、謁見の間へ来ていた。
ニケは端で待っているように言われ、ミーチェと王様話を聞いていた。
新たな死霊術の話を大臣達と話し合う王様。
しばらくして、ミーチェがニケを手招きした。
「王、こやつの紹介をしておこう」
「ふむ。そちらの黒髪の少年は、お主とどういう関係なのだ?」
「こやつは、私の弟子だ」
「なんと! 西の魔女にやっと弟子が」
「こやつといると飽きなくてな。
魔法を覚えたてでロッククラブやゴブリン、レッドキャップとたたかってきた。
それに、コルック防衛のときにキメラと対等に渡りあったのだ」
「それほどの実力があるとはな……」
王様は、しばらく考え込むように肘をついていた。
「お主、魔法を学ぶ気はないか?」
「それはどういうことだ?」
「ニケ、流石に王にその口の聞き方は……」
「はっははは。我輩にそのような口を聞くとはな。
気に入ったぞ少年」
「なんか気に入られたぞ師匠」
「呆れてなんも言えないのだが……」
「少年。お主に命を与える。
魔法学校に入学し、力をつけるがいい」
突然の入学の話。
ミーチェは焦った様子で、王様の話を聞いていた。
「もうすぐ入学の時期だ。
途中で辞めても構わん。どうだ? 入学してみぬか?」
「そうだな、師匠もこれから忙しくなるみたいだし。
いいぜ? その学校に入学しても」
「はっははは。いきのいい少年だ。
後日、また知らせよう」
「では、王。私達はこれにて」
「うむ。報告ご苦労」
ニケとミーチェは謁見の間を後にして、屋敷へと戻るのだった……
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