夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

文字の大きさ
86 / 93

85話「再会と報告と入学の話と」

しおりを挟む

 城壁の門の前で待つこと半時。
 日が昇るにつれ、人の行き来が激しくなってきた。
 門の隣にあった扉が開き、先ほどの彼とミーチェが出てきた。
 久しぶりに見るミーチェは、少し元気がない様子。

「ニケ! やっと戻ってきたか、心配してたのだぞ」

「師匠、ただいま。
ごめんね、心配かけさせて」

「ほんとだ、今までどこにいたのだ」

「デオドラにさらわれてイーディスに……」

「なるほどな、それでデオドラは?」

「新しい死霊術がどうとかで――」

 ニケはイーディスであった事を話した。
 競売所のこと、黒髪の3人組が助けてくれたこと、デオドラが協会の人間だったこと。
 少し考え込むミーチェ。
 
「とりあえず、話はあとだ。
まずは中に入るがいい」

「通してもいいのですか?」

「こやつは私の弟子だ。
入れても構わないだろう?」

「そ、そうなんですかッ!?
西の魔女様の弟子様とは知らず、とんだご無礼を」

 門番が深く頭を下げる横を、ニケとミーチェは通り抜けていった。
 城門の中に入ると、中は広大な草原のようだった。
 手入れの行き届いた植木。
 城へと続く道の間には噴水があり、そこから4方向へと道が分かれていた。
 左は兵舎だおるか、大きな木造の建物があり、右側には立派な建物がそびえ立っている。
 噴水まで進み、右へと歩き出す。 
 見える建物は大きく、幾つも窓があるところ部屋も多いのだろう。
 
「師匠、あれが王宮?」

「そうだ。だが、王もここで寝泊りしておる。
あまり失礼がないようにな」

「あ、あぁ。気をつけるよ」

 扉の前に執事のような人が見える。
 ニケにとっては初めて目にする服装だ。
 彼は一礼すると、扉を開けた。
 内装は豪華すぎて言葉もでない。
 シャングリラに、白い床。
 素材はなんだろうか、つやがかっており光を反射して眩しい。
 赤い上質な踏み心地の敷物。
 何人かのメイドがすれ違い、お辞儀をしてくる。
 そのまま案内された部屋へと入る。
 部屋の内装も豪華だ。
 いかにも高そうなベット。
 敷物と同じだろうか、綺麗な造りだ。
 
「ニ、ニケさんッ!?」

「アシュリー久しぶり」

「もう、すごい心配したんですからね!」

「ごめんごめんって」

 椅子に腰掛けると、メイドがお茶を運んでくる。
 お茶を啜り、事情を話した。
 流石のアシュリーでも新種の死霊術という言葉に引っかかったようだ。
 
「ニケ、その死霊術とは一体どういうものだったんだ?」

「そうだな。アシュリーみたいな感じで、アンデットになって人格があったんだ。
身体能力が異常で、気がついたら人格を失ってたんだ。
あの拳を全て避ける自信ないよ……」

「それほどまでに……」

「私も、協会の死霊術のせいでアンデットに……?」

「可能性としては低くないだろう。
私達が森に入っている時に、協会の連中は橋を渡った」

「確かにな、それだとその死霊術でアンデットになったアシュリーって……」

「うむ。あやつらにとっての成功例と言うことだ」

 アシュリーが成功例と言うことは、いずれ協会がアシュリーをさらいに来る可能性が生まれる。
 一同は互いの顔を見合い、ため息をついた。
 ミーチェが王都にいる時点で事態の収拾は着くだろう。
 それに、ガメリの話が確かなら東西南北の魔女が集う。
 そのときこそ、協会に一泡吹かせれるだろう。

「悩んでいても時間の無駄だろう」

「そうだな。そん時考えればいいんだよ」

「そう……ですね……」

「あまり考え込むでない。
とりあえず、王へ報告へ行く。
ニケ、付いてくるがよい」

「わかった」

 立ち上がり、ミーチェと共に部屋を後にした―――



 ―――ニケはミーチェと共に、謁見の間へ来ていた。
 ニケは端で待っているように言われ、ミーチェと王様話を聞いていた。
 新たな死霊術の話を大臣達と話し合う王様。
 しばらくして、ミーチェがニケを手招きした。

「王、こやつの紹介をしておこう」

「ふむ。そちらの黒髪の少年は、お主とどういう関係なのだ?」

「こやつは、私の弟子だ」

「なんと! 西の魔女にやっと弟子が」

「こやつといると飽きなくてな。
魔法を覚えたてでロッククラブやゴブリン、レッドキャップとたたかってきた。
それに、コルック防衛のときにキメラと対等に渡りあったのだ」

「それほどの実力があるとはな……」

 王様は、しばらく考え込むように肘をついていた。

「お主、魔法を学ぶ気はないか?」

「それはどういうことだ?」

「ニケ、流石に王にその口の聞き方は……」

「はっははは。我輩にそのような口を聞くとはな。
気に入ったぞ少年」

「なんか気に入られたぞ師匠」

「呆れてなんも言えないのだが……」

「少年。お主に命を与える。
魔法学校に入学し、力をつけるがいい」

 突然の入学の話。
 ミーチェは焦った様子で、王様の話を聞いていた。

「もうすぐ入学の時期だ。
途中で辞めても構わん。どうだ? 入学してみぬか?」

「そうだな、師匠もこれから忙しくなるみたいだし。
いいぜ? その学校に入学しても」

「はっははは。いきのいい少年だ。
後日、また知らせよう」

「では、王。私達はこれにて」

「うむ。報告ご苦労」

 ニケとミーチェは謁見の間を後にして、屋敷へと戻るのだった……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

異世界異話 天使降臨

yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。 落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。 それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。

【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-

いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、 見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。 そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。 泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。 やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。 臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。 ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。 彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。 けれど正人は誓う。 ――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。 ――ここは、家族の居場所だ。 癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、 命を守り、日々を紡ぎ、 “人と魔物が共に生きる未来”を探していく。 ◇ 🐉 癒やしと涙と、もふもふと。 ――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。 ――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

処理中です...