43 / 76
6 次元迷宮
43 自暴自棄
しおりを挟む
「そんな……」
「乱暴になってしまいすまなかったな」
ファルは簡単にルネアの腕を振りほどき、自由の身となった。今までナイフを突きつけられていたにも関わらずルネアを気遣う余裕すらある。
「ふふ……私、何もかもうまくいかない。ならもう、いいか」
「気を付けてサザン! 彼女、自爆魔法を使おうとしてる!!」
「なんだって!?」
魔力感知に優れたメルが、ルネアが自爆魔法を使おうとしていることを伝える。しかしルカたち勇者パーティーは少し遠くに居るため、防壁魔法と耐性魔法を使うにも届かないうえに時間も無い。
「……なあルカ。私たちは自力でここまでたどり着いた。勇者の力が無くたって、ここまで共にやってこれた立派な勇者パーティだ。そうだろ?」
「……レイス?」
「そうだな。ルカが勇者じゃないって知った時は少し驚いたが、考えてみればそれでもここまでやってこれたんだからそりゃもう勇者パーティと言って良いだろうさ」
「バルドも……二人共急にどうしたんだ……?」
「だからさ、ルカ。お前は誇って良いんだ」
「ああ、お前は立派に勇者してたぜ」
レイスとバルドは全力で俺の方へとルカを突き飛ばした。
「サザン! ルカを頼んだ!」
「私たちの気持ち、しっかり守ってよ!」
ルカは俺の魔法の範囲内にまで突き飛ばされており、このままそこにいれば助かるだろう。だがルカはレイスとバルドの方へと向かおうとした。
「駄目だ! レイス! バルド!」
「すまない、許せ!」
ランは魔法の範囲内から出ようとしたルカのうなじに手刀を当てる。突き飛ばされた拍子に奇跡的に装備の一部が外れてうなじの辺りが無防備になっていたため、無事に気絶させることが出来た。
「ありがとう……ラン」
「ルカのことをよろしく頼んだ」
刹那の後、辺りは真っ白な光に包まれた。エルフの魔術師が全生命力を代償に放つ一撃は、レイスとバルドを一瞬で蒸発させる。この瞬間をルカが見ていないのが、せめてもの救いだろう。
光が収まった時、勇者パーティはルカしか残っていなかった。勇者パーティは壊滅したのだ。
とは言え危機はまだ終わっていないため、安堵するのはまだ早い。あれほどの威力の爆発が起こればダンジョンだってただでは済まないのだ。
俺たちはルカを抱えながら急いできた道を戻った。道中魔物が出てくることもあったが何故か動きを停止しており脅威にはならなかった。それでも崩れる速度の方がだんだん速くなっていき、とうとう通路が崩落して閉じ込められてしまった。
「道が!!」
「クソッ! こうなったら瓦礫を破壊して進むしか無い!」
魔法を駆使して通路を無理やり進む。しかしどんどん先の方まで崩落してしまっているためか、ある段階からどれだけ破壊しても通路が見えなくなってしまった。
このままでは生き埋めになるのは確実だった。
こうなったらある程度表層まで登ってきいることを願って、一か八か龍転身で無理やり地上を目指すか……?
その時、ルカのポケットに何かが無理やりねじ込まれているのに気付いた。確認すると、どうやらダンジョンから瞬時に抜け出せる道具のようだった。
「これがあれば……!」
恐らくレイスかバルドがルカを突き飛ばす直前にねじ込ませたのだろう。俺はあの二人の勇気ある行動に感謝をし、道具を起動する。
気が付くと、俺たちはダンジョンの入り口の前に立っていた。入口は崩れ落ちており、もう中に入ることは出来なさそうだった。
「おい聞いたか。勇者パーティが壊滅したんだってよ」
「ああ、ダンジョンの崩落に巻き込まれたんだろ?」
「流石の勇者でも事故には勝てなかったんだな」
ギルド内ではダンジョンでのことが噂になっている。しかしその噂は全てが真実というわけでは無い。ルカは絶対に生きている。俺がこの手で連れ帰ったのだから。
しかし当人のルカは朝には既にいなくなっており、代わりにルカを寝かせていたベッドには書置きが置いてあった。そこには自分がダンジョンで死んだことにする噂を流したという事と、さらなる強さを求めて修行の旅に出るという二つが書かれていた。
彼は本物の勇者になるための修行の旅に出たのだ。
「それにしてもあのルカという青年、どこかで見覚えがあるような気がするのだが……」
「ダンジョンにいた時に一度戦ったんだろ? その時の記憶じゃないか?」
「いや、その時には顔全体を覆う装備を付けていて見えていなかったはずなのだ」
「そうなのか? まあ世界には似た顔の人が3人はいると言うし、そこまで気にする必要は無いんじゃないか?」
「そうだな」
俺たちは次元迷宮から持ち帰った道具を確認しながらそんな雑談をするのだった。
なお次元迷宮から持ち出されたものは一度ギルドに通す必要があり、兵器として危険すぎるものに関してはギルドが管理することとなった。そのため残念ながら持ち帰ったものの半分は没収されてしまった。とは言えその分の報酬金はもらえるため、決して悪くはない実入りだ。
さて、次はどの次元迷宮に潜ろうか。……次は今回ほどの大冒険は控えたいものだけどね。
次元迷宮 完
「乱暴になってしまいすまなかったな」
ファルは簡単にルネアの腕を振りほどき、自由の身となった。今までナイフを突きつけられていたにも関わらずルネアを気遣う余裕すらある。
「ふふ……私、何もかもうまくいかない。ならもう、いいか」
「気を付けてサザン! 彼女、自爆魔法を使おうとしてる!!」
「なんだって!?」
魔力感知に優れたメルが、ルネアが自爆魔法を使おうとしていることを伝える。しかしルカたち勇者パーティーは少し遠くに居るため、防壁魔法と耐性魔法を使うにも届かないうえに時間も無い。
「……なあルカ。私たちは自力でここまでたどり着いた。勇者の力が無くたって、ここまで共にやってこれた立派な勇者パーティだ。そうだろ?」
「……レイス?」
「そうだな。ルカが勇者じゃないって知った時は少し驚いたが、考えてみればそれでもここまでやってこれたんだからそりゃもう勇者パーティと言って良いだろうさ」
「バルドも……二人共急にどうしたんだ……?」
「だからさ、ルカ。お前は誇って良いんだ」
「ああ、お前は立派に勇者してたぜ」
レイスとバルドは全力で俺の方へとルカを突き飛ばした。
「サザン! ルカを頼んだ!」
「私たちの気持ち、しっかり守ってよ!」
ルカは俺の魔法の範囲内にまで突き飛ばされており、このままそこにいれば助かるだろう。だがルカはレイスとバルドの方へと向かおうとした。
「駄目だ! レイス! バルド!」
「すまない、許せ!」
ランは魔法の範囲内から出ようとしたルカのうなじに手刀を当てる。突き飛ばされた拍子に奇跡的に装備の一部が外れてうなじの辺りが無防備になっていたため、無事に気絶させることが出来た。
「ありがとう……ラン」
「ルカのことをよろしく頼んだ」
刹那の後、辺りは真っ白な光に包まれた。エルフの魔術師が全生命力を代償に放つ一撃は、レイスとバルドを一瞬で蒸発させる。この瞬間をルカが見ていないのが、せめてもの救いだろう。
光が収まった時、勇者パーティはルカしか残っていなかった。勇者パーティは壊滅したのだ。
とは言え危機はまだ終わっていないため、安堵するのはまだ早い。あれほどの威力の爆発が起こればダンジョンだってただでは済まないのだ。
俺たちはルカを抱えながら急いできた道を戻った。道中魔物が出てくることもあったが何故か動きを停止しており脅威にはならなかった。それでも崩れる速度の方がだんだん速くなっていき、とうとう通路が崩落して閉じ込められてしまった。
「道が!!」
「クソッ! こうなったら瓦礫を破壊して進むしか無い!」
魔法を駆使して通路を無理やり進む。しかしどんどん先の方まで崩落してしまっているためか、ある段階からどれだけ破壊しても通路が見えなくなってしまった。
このままでは生き埋めになるのは確実だった。
こうなったらある程度表層まで登ってきいることを願って、一か八か龍転身で無理やり地上を目指すか……?
その時、ルカのポケットに何かが無理やりねじ込まれているのに気付いた。確認すると、どうやらダンジョンから瞬時に抜け出せる道具のようだった。
「これがあれば……!」
恐らくレイスかバルドがルカを突き飛ばす直前にねじ込ませたのだろう。俺はあの二人の勇気ある行動に感謝をし、道具を起動する。
気が付くと、俺たちはダンジョンの入り口の前に立っていた。入口は崩れ落ちており、もう中に入ることは出来なさそうだった。
「おい聞いたか。勇者パーティが壊滅したんだってよ」
「ああ、ダンジョンの崩落に巻き込まれたんだろ?」
「流石の勇者でも事故には勝てなかったんだな」
ギルド内ではダンジョンでのことが噂になっている。しかしその噂は全てが真実というわけでは無い。ルカは絶対に生きている。俺がこの手で連れ帰ったのだから。
しかし当人のルカは朝には既にいなくなっており、代わりにルカを寝かせていたベッドには書置きが置いてあった。そこには自分がダンジョンで死んだことにする噂を流したという事と、さらなる強さを求めて修行の旅に出るという二つが書かれていた。
彼は本物の勇者になるための修行の旅に出たのだ。
「それにしてもあのルカという青年、どこかで見覚えがあるような気がするのだが……」
「ダンジョンにいた時に一度戦ったんだろ? その時の記憶じゃないか?」
「いや、その時には顔全体を覆う装備を付けていて見えていなかったはずなのだ」
「そうなのか? まあ世界には似た顔の人が3人はいると言うし、そこまで気にする必要は無いんじゃないか?」
「そうだな」
俺たちは次元迷宮から持ち帰った道具を確認しながらそんな雑談をするのだった。
なお次元迷宮から持ち出されたものは一度ギルドに通す必要があり、兵器として危険すぎるものに関してはギルドが管理することとなった。そのため残念ながら持ち帰ったものの半分は没収されてしまった。とは言えその分の報酬金はもらえるため、決して悪くはない実入りだ。
さて、次はどの次元迷宮に潜ろうか。……次は今回ほどの大冒険は控えたいものだけどね。
次元迷宮 完
27
あなたにおすすめの小説
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる