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第一章
第二十一話 決着
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ゼッペルが魔剣ティルヴィングに意識をインプットした後、マヤノが合流してきた。トウカイ騎士団長が負傷しているので、戦闘に参加できる人数は変わらないが、戦力的には大きく変化している。
マヤノが駆け付けてくれたお陰で、こちらの方が有利だな。彼女の魔力を持ってすれば、ゼッペルなんか直ぐに倒してしまうだろう。
「フリードちゃん、マヤノと奴隷契約を結んで代わりに戦ってよ」
「はい?」
突然予想できなかったことをマヤノが口走ったせいで、思わず間抜けな声が口から出てしまった。
「おい、今は冗談を言っている場合じゃないぞ!」
「冗談じゃないもん! マヤノは本気だもん!」
ふざけてはいないと言い、真剣な眼差しで俺のことを見てくる。
彼女の顔を見る限り、頭がおかしくなっている訳ではなさそうだ。でも、どうして俺がマヤノと奴隷契約を結ぶ必要があるんだ?
「さっきは勢い余ってマヤノが魔法でぶっ飛ばすって言ったけれど、良く考えたらマヤノの魔力で魔法を使ったら、ゼッペルごとこの部屋を吹き飛ばすかもしれない。万が一のことを考えて、フリードちゃんが変わりに戦って欲しいの」
どうして俺に戦わせたいのか、その理由を語ってくれたお陰で戦闘に参加したくない意思は伝わった。けれど、まだ奴隷契約をする理由が分からない。
「俺が1人で闘う理由は分かった。けれど、どうしてマヤノと奴隷契約を結ばないと行けない?」
『この俺を無視して、2人で会話をしているんじゃない!』
マヤノと話していると、ゼッペルが剣の十字鍔であるキヨンから触手を放ってきた。
敵の攻撃を受ける訳にはいかないので、大臣が使っていた剣で触手を切り倒す。
「フリードちゃんはマヤノと契約を結んでこう言えば良いの『マヤノの記憶と知識を共有しろ』そうすれば、フリードちゃんはマヤノの知識を使って魔法を発動することができる」
敵の攻撃を防ぎ続けている中、マヤノが奴隷契約を結ぶ理由を語ってきた。
確かにそれなら、この部屋を吹き飛ばすことなく魔剣と化したゼッペルを倒すことができるかもしれない。
彼女の言う策が、一番リスクが低いかもしれない。けれど、まだ人と奴隷契約を結ぶには抵抗がある。
大臣のときは、奴隷堕ちして当然と言える素行だった。だから奴隷化させた。けれど、マヤノはとても良い子だ。そんな子を、一時的とは言っても奴隷にさせるなんて。
「フリードちゃん。マヤノが前に言ったことを覚えている? フリードちゃんの能力は、あなたの力の象徴なのよ。自分の力に怯えてはいけない。自分の力に自信を持って!」
中々スレーブコントラクトを発動しない俺に業を煮やしたのか、マヤノが説得してくる。
そうだったな。確かに俺は、この力に怯えていたところがある。この力はどちらかと言うと人を不幸にする。だから極力使いたくはなかった。でも、この力でも、使い方によっては人を助けることだってできる。
「分かった。でも、後で必ず契約を解除するからな! スレーブコントラクト!」
マヤノに向かって奴隷化の契約を結ぶ。すると、彼女の額に奴隷の紋様が浮かび上がった。
本当に上手く行くのか定かではない。だけど、俺はマヤノを信じる!
「我が契約に基づき、命令に従え! マヤノの記憶と知識を共有しろ!」
仲間の女の子に命令を下し、力を行使する。その瞬間、頭の中に何かが流れ込んで来た。
「ぐああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」
激しい頭痛に見舞われ、握っていた剣を落とすと両手を頭の上に置く。
すると、脳内にとある映像が浮かび上がった。
これは……もしかしてマヤノの記憶?
「パパ! マヤノにモンスターに適した魔法を教えてよ!」
女の子が父親だと思われる男性に魔法のことを訊ねている。
この子はマヤノか? 今よりも小さいが、髪型は一緒だ。
「そうだな。では、今日は物質系のモンスターを効率良く倒す方法を教えようか」
「わーい! やった!」
「物質系のモンスターは、大体ゴーレムやミミックなどのモンスターが多い。こいつらは、物質に魂が宿ったモンスターだ」
「100年経った物には魂が宿るって言うやつだね」
「少し違うがまぁ、今はそんな理解でいいだろう。そしてそいつらには音が弱点だ」
「音?」
幼いマヤノが小首を傾げる。あどけない顔の彼女は可愛いらしさがあった。
「ああ、物質の固有振動数と同じ周波数の音を浴びせることにより、対象を破壊することが可能だ。物質系のモンスターが動いた際に生じる振動に合わせ、同じ周波数の音を出して振動を加え続けることで、疲労破壊を起こすことができる」
父親の説明を聞き、マヤノはポカンとしている。俺と同じで、言っている意味を理解していないのだろう。
「まぁ、原理を理解しようとしないでいい『化学』なんてものは、こっちの世界ではあまり知られていないからな」
化学? こっちの世界? マヤノの父親はいったい?
「まぁ、今はそれよりも、肝心の魔法を教えないといけないな。物質系に有効となるその魔法名、共鳴する振動と言われる魔法は――」
「ゼイレゾナンス・バイブレーション!」
右手を前に出し、魔法名を口走る。
『アハハハハ! どうやら自滅に終わったようだな! 何か策があったみたいだが、頭を痛めただけじゃないか! それ! 俺の触手で肉体を貫いてやる!』
どうやら魔法名を言ったことを聞かれていなかったようだ。ゼッペルは笑い声を上げる。だが、やつの刀身にヒビが入っているのを見て思わず口角を上げる。
『俺の肉体で貫いてやる! 死ね!』
魔剣が空中に浮くと、俺に向けて突っ込んできた。
「フリード!」
「フリードちゃん!」
トウカイ騎士団長とマヤノが声を上げるが、俺は避けるつもりはない。だって、もう勝負はついているのだから。
剣先が俺に触れようとした瞬間、やつの肉体とも言える刀身全体にヒビが入り砕け散る。
『そんな……バカな……いったい何が……起きて』
バラバラに砕け散る中、ゼッペルが死ぬ間際に言った言葉が耳に入る。
いきなり自分の肉体がバラバラになったら、それは驚くよな。俺も実際に目の前で起こって正直驚いている。
「これで延長した依頼も終わったな」
マヤノが駆け付けてくれたお陰で、こちらの方が有利だな。彼女の魔力を持ってすれば、ゼッペルなんか直ぐに倒してしまうだろう。
「フリードちゃん、マヤノと奴隷契約を結んで代わりに戦ってよ」
「はい?」
突然予想できなかったことをマヤノが口走ったせいで、思わず間抜けな声が口から出てしまった。
「おい、今は冗談を言っている場合じゃないぞ!」
「冗談じゃないもん! マヤノは本気だもん!」
ふざけてはいないと言い、真剣な眼差しで俺のことを見てくる。
彼女の顔を見る限り、頭がおかしくなっている訳ではなさそうだ。でも、どうして俺がマヤノと奴隷契約を結ぶ必要があるんだ?
「さっきは勢い余ってマヤノが魔法でぶっ飛ばすって言ったけれど、良く考えたらマヤノの魔力で魔法を使ったら、ゼッペルごとこの部屋を吹き飛ばすかもしれない。万が一のことを考えて、フリードちゃんが変わりに戦って欲しいの」
どうして俺に戦わせたいのか、その理由を語ってくれたお陰で戦闘に参加したくない意思は伝わった。けれど、まだ奴隷契約をする理由が分からない。
「俺が1人で闘う理由は分かった。けれど、どうしてマヤノと奴隷契約を結ばないと行けない?」
『この俺を無視して、2人で会話をしているんじゃない!』
マヤノと話していると、ゼッペルが剣の十字鍔であるキヨンから触手を放ってきた。
敵の攻撃を受ける訳にはいかないので、大臣が使っていた剣で触手を切り倒す。
「フリードちゃんはマヤノと契約を結んでこう言えば良いの『マヤノの記憶と知識を共有しろ』そうすれば、フリードちゃんはマヤノの知識を使って魔法を発動することができる」
敵の攻撃を防ぎ続けている中、マヤノが奴隷契約を結ぶ理由を語ってきた。
確かにそれなら、この部屋を吹き飛ばすことなく魔剣と化したゼッペルを倒すことができるかもしれない。
彼女の言う策が、一番リスクが低いかもしれない。けれど、まだ人と奴隷契約を結ぶには抵抗がある。
大臣のときは、奴隷堕ちして当然と言える素行だった。だから奴隷化させた。けれど、マヤノはとても良い子だ。そんな子を、一時的とは言っても奴隷にさせるなんて。
「フリードちゃん。マヤノが前に言ったことを覚えている? フリードちゃんの能力は、あなたの力の象徴なのよ。自分の力に怯えてはいけない。自分の力に自信を持って!」
中々スレーブコントラクトを発動しない俺に業を煮やしたのか、マヤノが説得してくる。
そうだったな。確かに俺は、この力に怯えていたところがある。この力はどちらかと言うと人を不幸にする。だから極力使いたくはなかった。でも、この力でも、使い方によっては人を助けることだってできる。
「分かった。でも、後で必ず契約を解除するからな! スレーブコントラクト!」
マヤノに向かって奴隷化の契約を結ぶ。すると、彼女の額に奴隷の紋様が浮かび上がった。
本当に上手く行くのか定かではない。だけど、俺はマヤノを信じる!
「我が契約に基づき、命令に従え! マヤノの記憶と知識を共有しろ!」
仲間の女の子に命令を下し、力を行使する。その瞬間、頭の中に何かが流れ込んで来た。
「ぐああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」
激しい頭痛に見舞われ、握っていた剣を落とすと両手を頭の上に置く。
すると、脳内にとある映像が浮かび上がった。
これは……もしかしてマヤノの記憶?
「パパ! マヤノにモンスターに適した魔法を教えてよ!」
女の子が父親だと思われる男性に魔法のことを訊ねている。
この子はマヤノか? 今よりも小さいが、髪型は一緒だ。
「そうだな。では、今日は物質系のモンスターを効率良く倒す方法を教えようか」
「わーい! やった!」
「物質系のモンスターは、大体ゴーレムやミミックなどのモンスターが多い。こいつらは、物質に魂が宿ったモンスターだ」
「100年経った物には魂が宿るって言うやつだね」
「少し違うがまぁ、今はそんな理解でいいだろう。そしてそいつらには音が弱点だ」
「音?」
幼いマヤノが小首を傾げる。あどけない顔の彼女は可愛いらしさがあった。
「ああ、物質の固有振動数と同じ周波数の音を浴びせることにより、対象を破壊することが可能だ。物質系のモンスターが動いた際に生じる振動に合わせ、同じ周波数の音を出して振動を加え続けることで、疲労破壊を起こすことができる」
父親の説明を聞き、マヤノはポカンとしている。俺と同じで、言っている意味を理解していないのだろう。
「まぁ、原理を理解しようとしないでいい『化学』なんてものは、こっちの世界ではあまり知られていないからな」
化学? こっちの世界? マヤノの父親はいったい?
「まぁ、今はそれよりも、肝心の魔法を教えないといけないな。物質系に有効となるその魔法名、共鳴する振動と言われる魔法は――」
「ゼイレゾナンス・バイブレーション!」
右手を前に出し、魔法名を口走る。
『アハハハハ! どうやら自滅に終わったようだな! 何か策があったみたいだが、頭を痛めただけじゃないか! それ! 俺の触手で肉体を貫いてやる!』
どうやら魔法名を言ったことを聞かれていなかったようだ。ゼッペルは笑い声を上げる。だが、やつの刀身にヒビが入っているのを見て思わず口角を上げる。
『俺の肉体で貫いてやる! 死ね!』
魔剣が空中に浮くと、俺に向けて突っ込んできた。
「フリード!」
「フリードちゃん!」
トウカイ騎士団長とマヤノが声を上げるが、俺は避けるつもりはない。だって、もう勝負はついているのだから。
剣先が俺に触れようとした瞬間、やつの肉体とも言える刀身全体にヒビが入り砕け散る。
『そんな……バカな……いったい何が……起きて』
バラバラに砕け散る中、ゼッペルが死ぬ間際に言った言葉が耳に入る。
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