推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします〜俺の推し活は彼女を生かすための活動です〜

仁徳

文字の大きさ
7 / 41
第一章

第七話 こんなイベント、サブストーリーにはなかったじゃないか

しおりを挟む
「ハハハ、俺はついているぜ。まさか神の駒を二人同時に葬ることができるのだからな」

 この声は!

 ゲーム内で聞き覚えのある声が聞こえ、そちらに顔を向ける。そこには赤い髪をツーブロックにしている男が立っていた。

 筋肉隆々であることが分かるインナーを着ており、口調からして誰が俺たちを攻撃したのかが一目瞭然だった。

 だけど、そんなことなどどうでもいい。大事なのは誰が攻撃してきたのではなく、どうしてここにいるかだ。

「タイガ・ケンモチ、どうしてお前がここにいる?」

「どうして俺の名を知っているのか分からないが、自己紹介をする手間が省けたな。どうしても何も、この洞窟を俺のねぐらにしているからだ。たまに冒険者たちが出入りするからな。神の駒が紛れこむのを待っていたのだ」

 なるほど、どうしてこいつがこの場にいるのかは理解した。まさかサブストーリーにまで、本編キャラが介入してくるとは思わなかったな。アップデートで変わったのか?

「カレン、悪いけど一旦下ろす。こいつと話がしたい」

「話がしたいってバカなの。私の時とは状況が違うのよ」

「大丈夫だ。もし、戦闘になったときはちゃんと戦うさ」

 腕に抱えていた推しを地面に立たせると男に近付く。

「タイガ、俺たちはできることならお前とは戦いたくない。大人しく道を譲ってくれないか?」

 この男とはできることなら戦いたくない。だってこいつ、見た目はヤンキーなのにめちゃくちゃ良いやつだもん。

 タイガが優勝したときに叶えたい願いってのが、過去に戻って事故死した両親の死をなかったことにすることなんだぜ。不良になったのも、親戚の間をたらい回しにされて、自分の居場所がなくなったことで、心がすさんでしまったのが原因なんだもん。

 こいつ本当は良いやつで、男キャラの中でもわりと好きな方なんだぞ。そんなやつと戦えるかよ。

「お前バカだろう。何が話し合いだ。聖神戦争は最後まで生き残ったやつの願いが叶うシステム。自分以外は敵なんだぞ。今は手を取り合っていたとしても、いずれは敵同士なんだ。馴れ合うことなんかできるか」

「いやー、お前本当に良いやつだな。男のツンデレは俺的にはナシだけど、絆ができた後のことを心配してくれているんだよな」

「は、はぁ? だ、誰が心配しているかよ! 俺はただ単に敵とは馴れ合わないって言っているだけじゃないか。勘違いするなよ! しかも俺はツンデレじゃないし」

 いや、言動自体がツンデレになっているじゃないか。自分では気付いていないのかもしれないけど、俺の中ではツンデレキャラ認定しているからな。

「いや、ムリして一匹狼を気取らなくって良いって。俺たち、良い関係を築けると思うんだよね」

「ムリなんかしてねーし! もう起こった! 俺をバカにした罪は重いぞ! 二人纏めてリタイアさせてやる! 【武器の祭典ウエポンカーニバル】」

 タイガが声を上げると、彼の上空に剣や槍、斧といった武器が数多く展開される。

「ユウリ、交渉決裂になった以上、あいつを倒すしかないわ」

 カレンが俺の横に立ち、魔法を放つことができる銃を構える。

「二対一だからって勝てるとは思うなよ。俺の攻撃は広範囲を狙える。二人同時に狙うことも可能だ」

 やっぱり良いやつじゃないか。自分から手の内を晒してくれるなんて。まぁ、ゲームで効果を知っているから、わざわざ教えてもらう必要はないのだけどな。

「俺様をバカにしたことを後悔させてやる! 放て! 【武器の矢ウエポンアロー】オーラオラオラ!」

 タイガが左右の腕を前に突き出す。彼の腕の動きに合わせて、上空に展開させた武器が矢のように降り注いだ。

 まだ【俊足スピードスター】の効果は持続している。【肉体強化エンハンスドボディー】で動体視力を強化すれば避けられるはず。

「【肉体強化エンハンスドボディー】! カレン、しばらくの間また我慢して」

 カレンに謝り、彼女をお姫様抱っこする。そして顔を上げ、降り注ぐ武器を見た。

 動体視力が強化されたお陰で武器の起動が見える。これなら躱すことが容易だ。

 雨のように襲い掛かる得物の数々を、小さな動きで避ける。

「何だと! 俺の攻撃が躱された!」

「悪いな。単純な攻撃なら、肉体さえ強化すれば避けることは容易い」

「くそう! くそう! くそう! 当たりやがれ!」

 諦め悪く、タイガは俺たちに向けて武器を放つ。

 ムダ撃ちにしかならないことが分からないのかな?

「カレン、タイガを足止めすることはできそうか?」

「やってみる」

 俺の腕に抱かれる中、カレンは銃をタイガの真上に向ける。

「発射!」

 彼女が打ち出した弾は天井に当たると崩れ、タイガに降り注ぐ。

「チッ、そんな攻撃当たるかよ! オーラオラオラ!」

 崩れた天井の岩に向けて数多くの武器が放たれる。剣や槍は岩を砕き、粉々になると地面に落ちた。

 脳筋であったとしても、戦闘に関しては頭がキレるか。

「ごめん。失敗した」

「謝ることはない。タイガの気を逸らしてもらえただけで十分だ」

 一瞬の隙を突き、俺はカレンを抱えたまま男の背後に回る。

 今なら【ロック】のスキルを使ってやつにダメージを与えることができる。

「ロ……」

「背後に回ったか。トラップ発動!」

「何!」

 地面から鎖が飛び出し、俺たちを捕らえようする。

 そういえば、こいつの攻撃パターンは武器を飛ばすだけではなかったな。

 このままではカレンまで捕まってしまう。

「カレン、このままでは二人とも捕まってしまう。痛くないと保証するから投げ飛ばすよ」

「え、えええ! きゃああああああぁぁぁぁぁぁ!」

 推しを投げ飛ばすなんて、ファンとして最低の行為だ。だけどこうするしか彼女が助かる道はない。

「【肉体強化エンハンスドボディー】」

 カレンに向けて肉体強化のスキルを発動させる。その後、彼女は地面に叩きつけられるも、何事もなかったかのように直ぐに起き上がった。

 良かった。これで彼女は傷付かない。

 ホッと安心したその瞬間、鎖は俺を逃さないように絡み付く。

「ハハハ! ざまぁねぇな! もうお前はサンドバック状態だ! 俺がツンデレではないところを証明するために、今からなぶり殺してやる!」

 高笑いをしながら、俺の顔面に向けてタイガが拳を放った。











最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!

など思っていただけましたら、【感想】や【お気に入り登録】をしていただけると、作者のモチベが上がり、更新が早くなります。

【感想】は一言コメントや誤字報告でも大丈夫です。気軽に書いていただけると嬉しいです。

何卒宜しくお願いします。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

マカロニ
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
――死亡フラグのあるモブに転生した。なぜか男主人公の姿で。 王国に孤児院の子供達を殺された少女ミュライトがラスボスのRPG『プリテスタファンタジー』。 物語後半でミュライトと主人公は互いに孤児院出身であることが分かり、彼女を倒した主人公がその死を悲しむ絶望的なエンディングからいわゆる「鬱ゲー」と呼ばれているゲームでもある。 そして、そんなゲームの物語開始前にミュライトと同じ孤児院に住んでいた子供に転生したが…その見た目はなぜか男主人公シュウだった。 原作との違いに疑問を抱くものの、このままストーリー通りに進めば、ミュライトと主人公が戦って悲惨なエンディングを迎えてしまう。 彼女が闇落ちしてラスボスになるのを防ぐため、彼女が姉のように慕っていたエリシルの命を救ったり、王国の陰謀から孤児達を守ろうと鍛えていると、やがて男主人公を選んだ場合は登場しないはずの女主人公マフィが現れる。 マフィとミュライトが仲良くなれば戦わずに済む、そう考えて二人と交流していくが― 「―あれ? 君たち、なんか原作と違くない?」 なぜか鉢合わせた二人は彼を取り合って修羅場に。 こうして、モブキャラであるはずのシュウは主人公やラスボス達、果ては原作死亡キャラも助けながらまだ見ぬハッピーエンドを目指していく。 ※他小説投稿サイトにも投稿中

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

処理中です...