推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします〜俺の推し活は彼女を生かすための活動です〜

仁徳

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第二章

第六話 目が覚めると、そこには豊満なおっぱいが目の前にあった

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~ユウリ視点~



 これは、俺がアリサと廊下ですれ違った後の話。

「あー、気持ちいい! ゲームでは一枚絵しかなかったけど、本当に温泉は気持ちいいなぁ」

 タイミングが良かったのか、温泉は俺以外おらず、貸し切り状態だ。だから温泉に浸かりながら腕を伸ばして声を上げても、誰も迷惑にはならない。

「さて、アリサの話しだと、好きな人を頭の中に思い描きながら、温泉に二時間浸かると恋が実って話しだったな。だけど、そんな情報初耳なんだけどな」

 アリサからその話を聞いた時は、つい舞い上がってしまった。だけど、冷静になって考えてみると、聖神戦争においての宿屋のイベントでは、そのようなものはなかった。

 アップデートで追加されたのか? いや、それはないな。新しくアップデートされた後、俺は聖神戦争を隅々までやりまくった。二週間不眠でプレイしていたので、確認漏れはないはずだ。

 そうだとすると、アリサが嘘を吐いたと考えられる。だけど、俺を温泉に縛り付けておく理由が分からない。

 まぁ、単なる嫌がらせかもしれないな。俺に長風呂をさせて、のぼせたところで揶揄からかおうとしているのかもしれない。

「なら、あんまり長風呂する理由はないよな。いや、待てよ」

 そろそろ上ろうかとしたところで、脳裏にある可能性が過ぎる。

「このまま長風呂してのぼせば、優しいカレンのことだ。俺に膝枕をしておうぎで煽ってくれるかもしれない」

 それはそれでとてもおいしいシチュエーションだ。敢えてアリサの策に嵌ってやるのもいいかもしれないな。

 アリサの策を回避するか、それとも敢えて乗るのか、脳内の天秤がゆらゆらと左右に揺らぐ。そんな中、意識が朦朧としてきた。

 あれ? これってもしかしてのぼせたか? まぁ、いい。目を覚ましたらカレンの膝の上だ。





「おや? どうやら目が覚めたようですね。カーマちゃんが経営するスキルショップへ、ようこそ!」

 カーマの声が聞こえ、閉じていた目を開ける。すると目の前には、バスタオルに包まれた双丘が見え、その上からチラリと愛の神の顔が見えた。

 まさか!

「おや? どうやら状況に気付いたようですね。ざんね~ん! カレンではなく、カーマちゃんの膝枕でした!」

「ど、どうしてお前が膝枕をしている!」

「そんなこと分かっているでしょう? ワタシがあなたをこの空間に呼び寄せたからよ。膝枕をしてあげているのは、あなたの願望を叶えてあげたから。これはサ・ア・ビ・ス! やったね! 女神の膝枕なんて、そう簡単には味わえないのだから」

 双丘の隙間からチラリと見えるカーマが、片目を瞑ってウインクをする。

「ねぇ、どんな気持ち? どんな気持ち? 女神の太腿を味わっている今、どんな気持ちなのかなぁ?」

「最悪に決まっているだろう! なんでよりにもよってカーマに膝枕されなければならない」

「なら、起き上がればいいじゃない? もしかして起き上がることもできないのでちゅか? カーマママが、おっきさせてあげまちゅよ」

 双丘からチラリと見えるカーマがニヤついた笑みを浮かべる。

 こいつ、今の俺の状況が分かって楽しんでいやがる。

 今の俺は、なぜか両手と両足を縛られてあった。なので、起き上がろうとするには上体を起こさないといけない。しかし、そうなると必然的にカーマの豊満な胸に顔を当てることになる。

「さて、ユウリはどうするのかな? そのまま上体を起こして、ワタシのおっぱいに顔を当てるのか、それとも大人しく膝枕され続けるのか」

 こいつ、俺が困っているのを見て楽しんでいやがる。なんて卑劣な神なんだ。

 こうなっては仕方がない。不本意ではあるが、このままカーマの膝枕の刑を甘んじるしかない。

「分かった。分かった。このままでいてやる。だから話せ、どうしてこんなに早く呼び寄せた? カレンへの愛が溜まった訳ではないだろう?」

「ええ、あなたのカレンへの愛は、完全になくなっている状態よ。呼び寄せたのは、ワタシが個人的に会いたかっただけ」

 カーマの言葉に顔を引き攣る。

 この女、俺が抵抗できないことが分かって好き放題言いやがる。

「あ、因みにどうしてバスタオル一枚の姿なのかと言うと、現実世界のあなたが温泉に入っているから、それに合わせているの。まったく、ワタシが呼び出そうとしたタイミングで温泉に入るだなんて、ラッキースケベすぎるぞ!」

「完全に俺で遊ぶために呼んだだろうが! こっちはいい迷惑なんだぞ!」

 彼女への苛立ちが募り、思わず声を上げる。

「もう、あんまり怖い顔をしないでよ。大切な話があって呼び出したのは本当なんだから」

「なら、さっさと要件を言えよ」

 くそう。どうしてカーマ相手だと、こうも自分のペースを乱されてしまうのだろうか。

「はい、はい。では、本題に入りますね。カレンだけど、サク・アケチに攫われたわよ」

「何だって!」

 予想外の言葉を聞かされ、俺は反射的に上体を起こしてしまう。その瞬間、顔面をカーマの胸に当ててしまい、布越しに柔らかい感触が広がった。

「キャッ!」

 短い悲鳴をカーマが上げると、俺の体は彼女の膝から転げ落ちる。

 最初から横に転がれば良かった。

「おい、カーマ! それってどういうことだよ! 詳しいことを聞かせろ!」

 体に力を入れて起き上がり、声を上げて女神を睨み付ける。俺の迫力に押されてか、彼女もふざけている場合ではいと思ったようで、表情を引き締めた。

「あなたが現実世界で目を覚ましたと同時に、カレンは攫われてしまいました」

「なら、どうしてそんな大事なことを早く言わなかったんだ!」

「本当であれば、直ぐにでも言いたかったですよ。カレンを失ってしまえば、関節的にワタシも願いを叶えるチャンスを失うのですからね。ですが、あなたの魂をこちらに呼び寄せるには、一定の時間を開ける必要があります。クールタイムってやつですね。なので、すぐに呼び寄せることができませんでした」

「なら、直ぐに救助しないといけない。早く俺を現実の世界に戻してくれ」

 早く現実世界に魂を戻すように要求するも、カーマは何もしようとしない。

「まずは落ち着いてください。こちらの世界での時間は、現実の世界にはさほど影響がおきません。大人しく続きを聞いてくれると約束してくれるのなら、要件が終わり次第に意識を戻して差し上げます」

「分かった。約束する。だから要件を話してくれ」

 話の続きをするように促すと、カーマは口を開いて語り始める。

「カレンはとある建物の地下に閉じ込められています。ですが、あなたがそこに向かったところで彼女を救出することができません。まずはサクのいる場所に向かい、彼を倒して鍵を手に入れるのです」

 彼女の言葉に無言で頷く。

「よろしい。では、あなたの魂を現実の世界に戻して上げましょう……以上、女神ぽい口調でのカーマちゃんの助言でした。ご清聴ありがとうございます」

 カーマがウインクをした瞬間、俺の意思が遠退くのを感じる。





「ここは……温泉か」

 気が付くと、俺は温泉に浸かった状態だった。

 のんびり入浴している場合ではない。直ぐにサクの居場所を突き止めないと。

「【音波探知エコーロケーション】!」

 両手を前に突き出し、スキルを発動する。

 このスキルは知りたい人物の居場所を知ることができる。ゲームではキャラを選択し、近場であれば居場所がマップ上に表示されるというものであった。だが、この世界では、指先から何やら波動のようなものが出る感覚がある。

 スキル名から考えるに、体から音波を出して、その反射で居場所を特定するような感じだろう。コウモリの超音波のようなものだ。

 しばらくすると、反応が返ってきた。

 この反応、近くにアリサもいるのか? でも、どうしてサクと一緒にいる?

 考えられる可能性としては、彼女はサクの策略に嵌ってしまっているのが考えられる。

 アリサがリタイアしては、カレンが悲しむ。

 居場所を特定した俺は、直ぐに温泉から飛び出して脱衣所に戻り、スキルの【ウインド】を使って体を乾かし、服に着替える。そして頭の中で座標をイメージした。

「【瞬間移動テレポーテーション!】」

 スキルを発動すると、一瞬で視界に映る光景が変わる。脱衣所だったものが、薄暗い路地裏に変わり、目の前には短剣を構えたサクが突進してきた。

「そうはさせるか! 【氷柱アイシクル】」

 スキルを発動して氷柱を飛ばすが、サクは後方に下がって攻撃を躱す。

「アリサ、大丈夫か」

「ユ、ユウリ、どうしてここに?」

「そんなの、敵の策に嵌ってのこのこと付いて行くバカ女が見えたからだ。お前にはカレンに見えているかもしれないが、こいつは【認識阻害インピード・レゴグニッション】のユニークスキルの使い手、サク・アケチだ」

 まぁ、格好付けて言ってみたけど、前半部分は俺の予想で言った出まかせなんだけどね。

 顔を引き締め、サクに向けて指を差す。

「さぁ、カレンを返してもらおうか」











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