推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします〜俺の推し活は彼女を生かすための活動です〜

仁徳

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第四章

第六話 不正が確認されました運営に通報します

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~カーマ視点~



 これはユウリがスライム化しているスカイと戦っていた頃にまで遡ります。

 ワタシことカーマは、いつものようにスキルの在庫チェックをしながら店番をしていました。

「またゼウスがユウリの前に現れるかもしれない。いざと言うときのことも考えて、彼が欲していそうなユニークスキルや通常スキルを用意しておかないといけませんね」

 ポツリと独り言を呟いていると、店内に光の粒子が集まり、人の形を形成していきます。

 うそ! どうしてこの空間に来客が現れるのです! この店は、ワタシが呼んだ者にしか入れないようにしてあるのに。

 招かれざる客の来店に鼓動が早鐘を打つ中、来店客の姿がはっきりとしました。

 紫の髪を肩まであるセミロングにしてあり、毛先にウエーブがかかっている女の子です。着ている服の袖は半透明で、綺麗な肌が服越しでも露出してありました。

「へぇー、水晶で見るよりも良い雰囲気じゃない。この空間、気に入ったわ」

 女の子は店内を見渡し、内装を褒める言葉を口にしました。ですが、ワタシは全然嬉しくありません。

「何をしに来たのですか? ここはワタシのプライベート空間ですよ。それにまだ営業時間前です。勝手な入店はお断りなのですが?」

 ワタシはなるべく平静を保つように意識しつつ、慎重に言葉を選んで口に出します。

「あら? つれないのね。別に良いじゃない。同じ神なのだから」

 女の子はクスクスと微笑しながら、細めた目からチラリと見える青い瞳でワタシのことを見てきます。

「あなたと同じにしないでくださらない? 化け物に成り下がった元神様でしょう?」

 牽制とばかりに事実を口にした瞬間、彼女の表情が一変しました。

 目はニッコリと笑みを浮かべていますが、彼女からは殺気が放たれています。

「オカマが今、何か言いました?」

「誰がオカマですか! ワタシは歴とした女です!」

 化け物呼ばわりをされたのが余程癇に障ってしまったようで、彼女もワタシが触れてほしくないことを言い出します。

 愛の神カーマは、元々は男の神。ですがこの世界ではカーマは女になっている。

 性転換をしている以上は、身も心も女の子となっているので、オカマ呼ばわりは絶対に許されないことです。

「どうやら営業妨害をしに来たみたいですね。愛の神から魔王になってあげましょう」

 ワタシの両腕に炎が纏わり、戦闘体制に入ります。

「あら、面白い。なら、私も戦闘体制に入らせてもらいましょうか」

 女の子の体が白い光に包まれると彼女の姿が変貌しました。

 紫の髪は無数の蛇に変わり、背中からは黄金の翼が生え、手は青銅になります。

 無数の蛇が、ワタシを威嚇するように口を開けて睨みつけて来ました。

「やっぱり、そっちの本当の姿の方がお似合いですね。エウリュアレ」

 目の前にいる女の子の名を言い、口角をあげます。

 彼女はゴルゴーン三姉妹の一人『遠くに飛ぶ女』『広く彷徨う女』を意味する元女神、エウリュアレ。

 海神ポセイドンに末っ子のメデューサが見そめられ、処女神アテナの神殿で交わってしまったために、二度とポセイドンから愛されないように怪物されてしまった。その処遇を納得できなかった彼女は、アテナに抗議した結果、呪いをかけられて化け物になってしまった哀れな女です。

 まぁ、それだけ妹のことを愛していたのでしょうが、自分までもが怪物にされたのでは溜まったものではないですね。

 ワタシたちは睨み合い、一歩も引かない状態に陥ります。

 魔王マーラになれば、臆して逃げ帰ってくれるかと思ったのですが、そうはいかないようですね。

 さて、どうしたものでしょうか?

 悩んでいると、突如エウリュアレの体が光り、彼女は美少女の姿へと戻ります。

「やっぱりあっちの姿でいたくないわ。全然美しくないもの。本気を出さなくても、取引はできるから」

「取引?」

 エウリュアレが呪いをかけられる前の姿に変装したので、ワタシも魔王マーラから、愛の神カーマちゃんへと姿を変えます。

「そう、取引よ。あなた、ゼウスに聖神戦争の申請を出さないで、勝手に神の駒を出しているでしょう?」

「な、何のことでしょうか? ワタシにはさっぱり分からないのですが?」

 図星を刺されてしまいましたが、ここはとぼける一択です。なるべく平静を装い、ワタシが嘘を吐いていることを悟られないようにします。

「惚けても無駄よ。私は『遠くに飛ぶ女』『広く彷徨う女』を意味する女神、エウリュアレ。意識を別の神の空間に飛ばすことなど容易なんだから」

 彼女が懐から一つの水晶を取り出すと、そこにはワタシがユウリをこの空間に呼び寄せたときの映像が映し出されました。

 証拠を提出され、ワタシは思わず顔を引き攣ってしまいます。

「それだけではないわ。他にはこんなものも」

 続いて映し出された映像には、ユウリが有利になるようにワタシがした不正の証拠が映し出されていました。

「みんな聖神戦争のルールを守っているのに、あなただけが不正をしていることを知ったらどう思うでしょうね。ゼウスはきっとあなたを処分するに決まっているわ」

 ここまで証拠を突き出されてしまえば、ワタシはどうすることもできません。どうやら両手を上げて降参するしか、なさそうですね。

「先ほど取引と言いましたよね。ワタシにいったい何をさせようとしているのですか?」

「話が早くて助かるわ。一応あなたも知っているでしょう? 私の境遇がどんなものか」

 彼女の言葉に無言で頷きます。

「私はゴルゴーン三姉妹を化け物にしたアテナを許さない。彼女の願いだけはなんとしても阻止する。だからアテナの送り出した神の駒を倒すのを協力してほしいのよ」

 エウリュアレの言葉に、ワタシはホッとしました。

 なんだ。その程度の取引でいいのですか。まぁ、その程度なら別にいいでしょう。

「分かりました。それではユウリをこちら側に呼び寄せます」

 両の瞼を閉じて彼に呼びかけると、光の粒子が集まってユウリがこの場に現れます。

「ようこそ、カーマが経営するスキルショップへ」

 ワタシの代わりにエウリュアレが彼に声をかけると、ユウリは呆然としていました。

「あら? もしかしてワタシの美貌に当てられて声が出ないのかしら?」

「いや、確かにあなたは美しいかもしれないが、カレンの魅力には劣る」

「何ですて!」











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