ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
4 / 171
第一章

第四話 新しい職場と初任務

しおりを挟む
「あ、リュシアンさん! 私たちのギルドがある町が見えてきましたよ!」

 馬車を運転しながら、ユリヤは前方に指を差す。

 俺にも見えてきた。あの町がこれからお世話になるギルドがある町か。

 馬車が町の中に入ると、俺は町の風景を眺める。

 結構のどかだな。町の人々ものびのびとしている。

 町の中を馬車の助手席から見ていると、ギルドと思われる建物が見えてきた。

 お、あれがギルドだな。建物事態は俺が前にいたギルドに似ているな。

 ギルドの前に到着すると馬車は止まり、ユリヤは俺を見た。

「ギルドに到着しました。エレーヌさんが降りましたら、馬車を馬屋に連れて行きますので降りてもらっていいですか?」

「分かった」

 俺は助手席から降りると、馬車の扉が開かれてこの町のギルドマスターであるエレーヌさんが姿を見せる。

「ようやく到着したわね。それでは、正式に手続きをしましょうか」

 エレーヌさんは俺の手を握ると、ギルドの扉を開けて俺を中に連れて行く。

「あ、ギルマス。お帰りなさい。あら? そちらの方は?」

 ギルド内に入った瞬間、受付嬢がエレーヌさんに気付き、声をかけてくる。

「この子はリュシアン。今日からこのハンターギルドの専属ハンターになってもらうから、その手続きをお願いできるかしら?」

「分かりました。えーと、リュシアンさんでしたね。こちらに来てもらってもよろしいでしょうか?」

「あ、はい」

 俺は受付に向かうと用紙を渡される。

「では、この書類に必要事項を記入してください」

「分かりました」

 羽ペンを握り、俺は用紙に書かれてある項目を全て記入する。

「できました」

「ありがとうございます。では、これでリュシアンさんはこのハンターギルドの一員となります」

 これで俺はこのギルドの一員になった。またハンターとして活動できる。これで、あの人との約束を破らずに済んだ。

「あら、リュシアン君の契約は済んだかしら?」

「はい。たった今終わりましたよ。ギルマス」

 契約が終わると、エレーヌさんが俺のところにやって来る。

「明日からよろしくね。今夜はリュシアン君の加入を祝してパーッとやりましょう」

 エレーヌさん、俺のお祝いをしてくれるんだ。前のギルドではこんなことなかったから凄く嬉しい。

「さぁ、そうと決まればお店の予約をしないと。どこが良いかしら?」

 エレーヌさんが頬に手を置いて首を傾げたその時、ギルドの扉が勢い良く開かれた。

「ギ、ギルドマスターはいるかい?」

 五十代くらいのおっさんがギルドに入ってきたな。血相をかいて顔を青ざめさせている。何かあったみたいだ。

「あら、どうしました?」

 エレーヌさんが男性に近づき要件を訊く。

「ギルドマスター! 緊急で依頼を頼みたいんだ!」

「い、依頼ですか?」

 男性が依頼を頼みたいと行った途端にエレーヌさんは困った顔をしたな。

 どうしたのだろう? なんだか困っているみたいだ。

「あのう、どうかしたのですか?」

 気になった俺は二人に近づくとエレーヌさんに訊ねる。

「リュシアン君。それがね、この方が依頼を頼みたいらしいのだけど、今いるギルドのハンターは全員別の依頼で出払っているのよ。ユリヤも私をギルドに送り届けた後、すぐに別の依頼を受けに向かったから、今手の空いているハンターがいなくて」

 それでエレーヌさんは困っていたのか。でも、それなら話が早いじゃないか。

「なら、その依頼は俺が受けますよ」

「ほ、本当かい!」

 俺が依頼を受けると言うと、おっさんは顔を綻ばせた。

「本当にいいの? リュシアン君は契約上、明日から仕事をしてもらうことになっているのよ」

「困っている人がいたら助ける。それがハンターの仕事です。たとえ時間外労働であったとしても、依頼主の笑顔を守るために働くのがハンターです」

「あ、ありがとう。本当に助かるよ。実は、この町に戻る最中に、モンスターに襲われたんだ。俺は命からがら逃げてきたのだけど、その最中にカバンを落としたんだ。その中には命の次に大切な宝物が入っている」

 命の次に大切な宝物か。それは絶対に戻ってきて欲しいよな。

「分かりました。では、そのカバンの特徴を教えてもらってもいいですか?」

「ああ、全体的にはクリーム色をしている。大きさは君の肩幅くらいだ」

「クリーム色で肩幅くらいのカバンですね。因みに落とした場所はどのあたりですか?」

「深緑の森だ。多分八番エリア辺りだったと思う」

 深緑の森か。あの森は前のギルドでも行ったことがあるな。八番エリアとなると結構奥になる。

「分かりました。では今から行ってきます」

「あ、待ってください! リュシアン君!」

 後方から俺を呼び止めるエレーヌさんの声が耳は入る。しかしそのままギルドを飛び出すと、深緑の森に向かった。

 この世界はそれぞれエリアごとに番号が振り分けられている。深緑の森は全部で十ヶ所のエリアに分けられ、場所によって縄張りにしているモンスターが違っている。

 深緑の森はこの町からだと走って三十分の場所だ。そして八番のエリアにたどり着くための最短距離は、エリアの一から始まり、三を経由して崖を登ることだ。崖を登り切れば八番のエリアにたどり着くことができる。

 しばらくの間走り、深緑の森にたどり着く。

「さて、まずは三番のエリアを目指すことが先だな」

 この一番のエリアから三番のエリアに行くには、足場の悪い獣道を進んでいかないといけない。

 草木も生い茂っており、雑草が腰の高さまで伸びている。地面も小石などが転がっており、気をつけて歩かないと石を踏んで転んでしまうことにもなり得る。

 急がないといけないけど、ここは慎重に歩いていかないといけないな。

 幸いにも周辺にはモンスターの気配がしない。このまま俺のほうも気配を消しつつ、三番のエリアに向かう。

 獣道を歩き終えると、三番のエリアに辿り着いた。目の前には断崖絶壁の崖があり、ここを登っていかないといけない。

 この崖は本当にしんどいけど、前に何回も登ったことがある。だから問題はないはずだ。

 だけど油断はできない。万が一足を踏み抜いてしまえば、そのまま崖下に落下して命を落とすことにもなりかねないからな。

 手を置くポイントを確認しながらロッククライミングを始めた。

 崖を登ること体感で三十分、ようやく崖を登り切り、頂上に辿り着く。

「さて、崖を登って八番のエリアに来たけど、依頼主のカバンはどこに落ちているのだろう?」

 首を左右に振って探すも、周辺にはカバンが落ちていなかった。

 八番のエリアは崖の上だからそんなに広くはない。あのおっさんが間違えていなければ、ここに間違いなくあるはずだ。

 もう少し奥の方を歩いていると、モンスターの巣が視界に入った。そして木の枝で作られた巣の中に、クリーム色のカバンがあることに気付く。

 あった。あれが依頼主の落としたカバンだな。でも、どうしてモンスターの巣の中にあるんだ?

 疑問に思いつつも、俺は巣に近づく。

 近づいてみると結構大きいな。俺ごと入ることができるし、卵も大きい。これは巨大なモンスターの巣とみて間違いないだろう。早くカバンを取ってここから離れないと、親のモンスターが現れたら面倒臭いことになる。

『グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!』

 カバンを手に取った瞬間、上空からモンスターの鳴き声が聞こえ、顔を上げる。

 上空には巨大な翼竜がおり、爪を剥き出しにしながら俺に向けて急降下してきた。









最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!

など思っていただけましたら、【感想】や【お気に入り登録】をしていただけると、作者のモチベが上がり、更新が早くなります。

【感想】は一言コメントでも大丈夫です。

何卒よろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...