薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳

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第一章

第四話 魔走学園の生徒になる

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「こちらが、今日から皆さんと共に学ぶ仲間となるシャカール君です。シャカール君、自己紹介をお願いします」

 担任の女性に挨拶をするように促され、俺は心の中で溜め息を吐く。

 昨日、ルーナとの勝負に敗れた俺は、この学園の学生の1人となった。

 俺はあの時、確実に勝ったと思った。だが、あの時覚醒魔法を使用した時、俺の足は既に魔法禁止エリアに踏み入れてしまっていた。

 なので、魔法を使った時点で、俺の反則負けとなる。

 本心では心の底から嫌だったのだが、男に二言はない。反則とは言え、負けてしまった以上は約束を果たす必要がある。

「あのう、シャカール君? 自己紹介をお願いしますか?」

 昨日のレースのことが頭から離れることができずに、そちらに思考を割いていたからか、担任が自己紹介を始めるように促してきた。

 本当に学園生活とか面倒だ。それにレースにも興味がない。適当に挨拶をして、この場を乗り切るか。

 クラスメイトたちが俺に視線を向ける。どうやらこのクラスには、人間は俺しかいないようだな。

 クラスメイトたちには人間に近い顔付きをしている者もいるが、頭に耳や尻尾が付いている者、肌の色が違う者など様々いる。

 彼らは亜人やケモノ族、獣人や魔族と呼ばれる人たちだ。

 人間は俺一人か。面倒なことになりそうだ。

 一度軽く深呼吸をした後、クラスメイトたちに視線を向ける。

「俺の名はシャカールだ。この学園の学園長の頼みで、ここの生徒になることになったが、正直レースだのGIの三冠などに興味はない。とにかく卒業までに何事もなく平凡に過ごすつもりなので、お前たちも余計なトラブルを持ち込んで、俺を巻き込まないでくれ。以上だ」

 自己紹介を終えた瞬間、クラスメイトたちは隣と会話を始める。

「何? あの人族、学園長に見込まれてこの学園に入ったんじゃないの? それなのにレースに興味がないってあり得なくない? マジバカじゃないの?」

「本当に人間と言うのはバカだな。学園長が連れて来たとか先生が言うから、俺たちと肩を並べるやつが出てきたのかと期待していたのに、中身は臆病者のクソ雑魚じゃないか」

「これだから弱小の人間は、まぁ、これでクラスのカースト最下位はあいつになる。せいぜいこき使ってやろうぜ」

 会話の内容が耳に入ってくる。殆どが俺に対する悪態だが、このような反応は想定していたからなんとも思わない。寧ろ予想通りの展開になって、面白さすら感じてくる。

「皆さん静粛にお願いします。先生の言うことを聞かないと、次のレース出場を取り消させてもらいますからね」

 レースを取り消す。その言葉を先生が放った途端、クラスメイトたちは俺への陰口をやめ、口を閉じた。

「シャカール君もシャカール君です。そんなことを言ったら、みんなと仲良くできないじゃないですか」

「そもそも、俺はこいつらと仲良くなる気なんか更々さらさらない。だから俺のことを知ってもらおうと、本音を言ったにすぎない」

「とにかく、喧嘩はダメですからね。クラスメイトは仲良くあるべきです。絶対に喧嘩を吹っかけて、問題事を起こさないように」

「それは俺ではなく、あいつらに言ってくれ。俺よりもあいつらの心配をした方が良い」

「とにかく、喧嘩はダメです! 皆さんもシャカール君とは仲良くするように、良いですね! シャカール君は奥の窓際の席が空いていますので、そちらに座ってください」

 着席するように促され、指定された机へと向かって行く。

 机と机の間を歩く中、クラスメイトたちは小声で俺を罵倒してきた。まぁ、こうなることは最初から分かりきっていたことだ。

 席に座ると同時に、ホームルーム終了のチャイムが鳴った。

「では、今から5分間の休憩をします。トイレ休憩などは直ぐに済ませておくように」

 担任の先生が部屋から出て行くと同時に、1人のクラスメイトが席から立ち、こちらにやって来た。

 獣人族? いや魔族だろうか? 体はゴリラのようだが、顔がブダだ。差し詰めブタゴリラと呼ぶことにしよう。

「何か用か?」

「貴様、先ほどは舐めた口を利いてくれたな。何がレースに興味はないだ! どうしてこの学園に入った」

 ブタゴリラが睨みを効かせながら言葉を吐く。

「最初言ったじゃないか? もしかして難聴なのか? それは大変だな。仕方がないからもう一度話してやろうか? ブタゴリラ」

「ブタ……ゴリラ……だと!」

 とりあえずの呼称を口に出してみると、やつの顔がどんどん赤くなっていく。

「貴様! 俺の嫌いな愛称を呼びやがって! 俺はピッグコングのピック様だ!」

「そうか。分かった。今度からはそう呼ぶように努力をするよ。ブタゴリラ」

「またしてもその名で呼びやがったな! もう許さん! 人間風情が調子に乗りやがって! お前なんか俺の拳でぺちゃんこに叩き潰してくれる!」

 ピックと名乗ったブタゴリラが、拳を振り上げた。

 まぁ、ここで殴られれば、こいつはこの学園から追い出されることになるだろうが、大人しく殴られるつもりはない。ここは避けさせてもらう。

 ブタゴリラの放った拳は俺の顔面へと向かってくる。だが、それよりも速く椅子から立ち上がると。彼の背後に回る。

「嘘! ピックの一撃を避けたと言うの!」

「まさか魔法を! いや、魔力を練り上げている感じがしなかった。つまり、素で避けたことになる」

「いったい何者なんだ? あの人間は!」

 魔族の攻撃を避けたことで、クラスメイトたちが騒めく。

 俺のユニークスキルを発動すれば、こんなことは簡単だ。

 俺のユニークスキル『メディカルピックル』は多くの薬を服用することで、その効果を何倍にも引き出す能力。これまで投与された肉体を強化する薬を大量に投与されたことで、薬の効果を自由に引き出すことができる。

 そのお陰で、俺は肉体強化の魔法を発動しなくとも、それに近い状態へと肉体を動かすことができる。

 まぁ、これもルーナが俺の魔力回路のズレを直してくれなければ、できなかったことだ。

「おのれ! 人間風情が俺様の攻撃を避けるとか、生意気にも程があるぞ! 今度は油断しねぇ、こいつを食らわせて自分の立場と言うものを理解させてやる!」

 再びブタゴリラが声を上げ、俺に向けて拳を振り上げる。

「ピック、もうやめなさい。先生が来てしまうわ。これ以上騒ぎを起こすと、あなたは退学になるわよ」

 クラスメイトたちが俺の行動を見て驚く中、1人だけ彼に注意を促す。

「委員長」

 声を上げたのは、キツネの耳と尻尾を持つケモノ族の女の子だった。彼女の言葉を聞いた瞬間、ブタゴリラは振り上げた拳を下ろし、自分の席へと戻って行く。

「ごめんなさいね。彼は短気だけど、悪いやつじゃないから」

 キツネのケモノ族の女の子は、俺に手を差し伸べる。

「あたしの名はタマモ・スカーレット。このクラスの学級委員長よ。よろしくね」
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