薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳

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第十一章

第十六話 競走馬の子作り金額

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 中等部へと逃げ込んだ俺だったが、中等部の生徒まで発情状態となってしまい、年下の女の子たちからも襲われるようになってしまった。そんな時に助けてくれたのがナナミだった。

 彼女の提案で秘密基地に案内されたのだが、それはナナミの真似をしたカレンニサキホコルの策略であり、俺は空き教室に閉じこ込められる。

 逃げ場を失った俺の前で、カレンニサキホコルは服を脱ぎ始め、下着姿となった。

『どうじゃ、お前が大事にしている妹の下着姿は? 興奮するであろう?』

「義理とは言え、妹に発情する訳がないじゃないか」

『可笑しいな? 18禁の本には、義理であろうが、血縁関係があろうが、妹に欲情してまぐわうのだがな』

「それは空想の世界での話だ!」

 小首を傾げて不思議に思っているカレンニサキホコルに対して、言葉を放つ。

『まぁ、良い。下ネタ番号は完全に詰んでいるのだし、ここには邪魔者は入って来ない。時間をかけてでも、お主の子種を頂くとするか』

 一歩、また一歩とカレンニサキホコルが前進する度に、俺は一歩ずつ後退する。

 だが、後ろを確認しないで下がったことにより、俺の足は何かを踏んでしまい、その場に転倒して背中をぶつけた。

『無駄な抵抗はよせ、先ほども言ったが、お主は詰んでおる。今は妾が表に出ているが、この肉体はナナミのものだ。妹を傷付けることはできない。いや、妾が襲うことで、傷物にされてしまうがな』

 妖艶な笑みを浮かべながら、カレンニサキホコルは俺を逃がさないように馬乗りとなった。

『怖がるではない。妾に身を委ねるのじゃ。この人間の肉体では初めてであるが、経験豊富じゃ。競走馬だった頃は何頭もの牡馬と交わり、子を産んでおる。そうじゃなぁ、種付け料300万でどうじゃ?』

「金がかかるのかよ!」

 300万と言うぼったくり価格を聞かされ、思わず声を上げた。

 レースの優勝賞金があるからそれくらいなら支払えるが、あまりにも高すぎる。一般的な娼婦を相手にすれば、何十回、何百回と楽しむことができる。

『300万では不服か。さすが三冠王となった男じゃ。では、500万にしてやろう』

「上がっているじゃないか!」

 値段が釣り上がっていることに驚き、再びツッコミ紛いに声を上げてしまう。

『何を言っておる? 支払うのは妾じゃ』

「はぁ?」

『繁殖牝馬が交配するには、相手の種牡馬に種付け料を支払うのじゃ。より良い遺伝子を持った子孫を生み出すためにな。実績があまりない牡馬なら100万から150万くらいでできるが、実績があり、歴史に名を残すような馬には、種付け料として1000万以上かかる。しかし受胎する確率は70パーセント、もし受胎しなければ返金されないため金をドブに捨てることになる。ここでも、ギャンブル性が出てしまうのぉ』

 繁殖牝馬が種牡馬に金を払う。人間では考えられないが、気持ち良い思いをして更に金がもらえるなんてヤバすぎるだろう。それで子どもができなければ金だけが手に入る。

『今回はナナミの肉体で行うので、少しばかり時間がかかるかもしれないが、5分以内には終わらせよう。繁殖牝馬と種牡馬の交配時間はたったの30秒から1分30秒なのでな』

 そんな時間で射精してしまうのかよ! 馬って早漏だな!

『しかも何か問題があった時に直ぐに動けるように、数人の飼育員が近くで見張っており、馬主席が設けられている場所では、馬主にも見られながら交配を行う』

 みんなに見られながら交配するのかよ! エグいじゃないか! もしかして、交配時間が短いのって、みんなに見られて興奮してしまっているのか! もし、俺の想像通りだった場合、競走馬ってある意味変態なのか?

 繁殖のための交配の事実を聞かされ、心の中でのツッコミが止まなくなっている。

『そして子どもがおった場合は、交配中は離されてしまうが、見守りスタッフと一緒に居るので、子どもに丸見えの状態で行われる』

 子どもにも見られながらの交配、人間で考えるとゾッとしてしまう後継だ。寝ている子どもが起きてしまい、『お父さんとお母さん、裸で何やっているの?』の質問に対して、『お父さんとお母さんは今、プロレスごっこをしていたんだ』と言い訳を言う、そんなやり取りを頭の中で想像してしまった。

 繁殖牝馬と種牡馬の交配、深く考えれば考えるほど、なんとも言えない気持ちになってしまう。

『さぁ、妾と交配しようではないか。お主は気持ちの良い思いをして金が貰える。メリットばかりしかないであろう』

 確かにメリットしかない。もし、彼女が正気であった場合は受け入れてしまうかもしれない。だけど、この場の空気に呑まれて欲望のままハッスルする訳にはいかない。

 あの肉体はナナミのだ。彼女の意思に反して交わることなどできない。

 早くこの場から逃げる方法を考えないと。

 思考を巡らし、部屋中を見渡す。すると、床に落ちてあるタオルが視界に入った。

 これだ!

「分かった。やろう。だけど女にリードされては男が廃る。だから俺に任せてくれないか?」

『ほう、やっとやる気になってくれよったか。良いじゃろう。お主のムスコが妾の中に入って子種が貰えるのであれば、そっちの方が良い』

 カレンニサキホコルが俺から退く。すると俺はゆっくりと立ち上がって床に落ちているタオルを拾った。

「実は、目隠しプレイと言うのをやってみたいんだ」

 そう言って、拾ったタオルをカレンニサキホコルの目に当て、目隠しをすると結んだ。

『こ、これは! 視界が塞がれている分、感覚が鋭くなっていそうじゃ。いつ触られるか分からないから、余計に興奮してしまうのぉ』

 よし、これでカレンニサキホコルの視界を塞ぐことができた。後は、気付かれないようにこの場から去るだけだ。

 逃げる準備を整え、なるべく足音を出さないように忍足で地窓に近付く。そして這いつくばるような体勢を取ると、匍匐前進で廊下に出た。

 脱出成功だ!

 廊下にある壁時計を見る。時刻は夜の23時になっていた。

 薬の効果が切れるまで、残り7時間。
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