薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳

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第十二章

第十五話 裏切る仲間たち

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 なんとかシェアハウスに辿り着くことができた。だが、時既に遅く、ルーナの弟が乗り込んでいた。だが、逆に考えれば自分から囚われに来てきるようなもの。ここで決着をつける。

「本当だ! シャカールトレーナーが2人!」

「あらあら、この目で見るまでは信じられませんでしたが、ママもビックリです」

「まるでシャカールちゃんのドッペルゲンガーみたいだね」

「対策を取らないと、本当にゼロナ兄を見分けるのは大変そうだね」

 俺の登場にアイリン、クリープ、マーヤ、ナナミが驚きの声を上げる。ナナミが驚いているのは、カレンニサキホコルが表に出ている時に眠っていたからなのだろう。

「ルーナの弟よ、観念しろよ」

『観念? それはこっちのセリフだ。捕まるのはお前の方だ』

 俺の口調を真似、まるで自身が俺であるかのようにルーナの弟は言葉を連ねる。

「そうかよ。なら、捕まえてみろ」

 やつに背を向け、一目散に玄関へと向かっていく。

 このままこの建物で争う訳にはいかないからな。俺が外に出れば、広い場所で戦うことができる。

「バインウイップ!」

「何!」

 玄関へと向かって走っていると、突如足に何かが絡み、その場で転倒してしまう。

 くそう。いったい何なんだ?

 足元を見ると、蔓が足に絡まっている。このせいで転倒したのだろう。

「やりましたよ! シャカールトレーナー! 偽者を捕らえました」

「アイリン、ふざけやがって! 何が偽者だ! アイスニードル」

 氷の針を魔法で出現させ、絡まった蔓を切断する。

 炎の魔法では建物を燃やして火事に発展するかもしれない。なので、被害の少ない氷魔法で蔓を切った。

 アイリンのあの反応、完全に俺のことを偽者だと思っているな。

 一度見極めることができたタマモが何も言わないところを見るに、どうやら細かいところに気をつけて俺に成りきったようだな。

 とにかく今は、外に出るのが先決だ。

 起き上がると一目散に駆け出し、玄関から外に飛び出す。

 当然、みんなが俺のことを追いかけてくる。

『外に出たのに逃げないとは、どうやら諦めたようだな』

「いや、俺は諦めてはいないぞ。外に出たのは誘導するためだ」

 シェアハウスのメンバー全員が俺のことを敵だと認識している以上、彼女たちからの援護は期待できない。寧ろ俺が攻撃を受けてしまう。

 彼女たちを魔法で拘束させれば済むが、拘束魔法のリストレイントはランダムだ。ハズレを引いた場合、あられもない姿で拘束されてしまうリスクがある。

 ハズレを引いた場合は、俺の気が散ることになるだろう。

 そうなると、彼女たちが攻撃したくともできない状況へと陥られせば良い。

「来いよ! ルーナの弟、それとも、女の子の近くに居ないと怖くて近付けないのか?」

『誰がそんな挑発に乗るか……と言いたいところではあるが、敢えてお前の挑発に乗ってやる。お前の作戦は既に破られているのだからな』

 ルーナの弟が地を蹴って駆け、俺との距離を縮めてきた。

『エンハンスドボティ』

 やつは肉体強化の魔法を発動し、拳を放つ。

 肉弾戦でインファイトをしてきたのは、なるべく肉体を傷付けないためだろうか?

 やつの目的は俺を倒して魔術回路を奪い返し、その後ルーナを連れ去ることのはず。

 下手な魔法で肉体に損傷を与え、肉体内部にある魔術回路を破壊するようなことになれば目も当てられないからな。

「スピードスター」

 俊足の魔法を発動してやつの拳を躱し、時には反撃としてこちらも拳を放つ。

 そして前後左右に動き、時には円を描くように移動をする。

 互いに激しい攻防を行えば、タマモたちはどっちが俺で、どっちがルーナの弟なのか見失うはずだ。

 判別ができなくさせれば、彼女たちは下手に攻撃をすることはできない。

「ロックアモォウ」

 ルーナの弟に集中していると、後方からクリープの声が聞こえ、背後を見る。

 彼女の前に複数の石が出現し、つぶてのように放たれてくる。

 嘘だろう。

 横に跳躍してクリープの攻撃を避ける。俺が飛び退いたことで、その攻撃は対面にいるルーナの弟に向かってくるが、彼も横に跳躍して回避する。

『クリープ! お前な』

「シャカール君ごめんなさい。まさか敵が避けるとは思っていませんでした。ですが、ケガの巧妙です。距離が離れたことで、正確に偽者を攻撃することができます」

 敵だと認識している俺を狙った。つまり、彼女は凄まじい動体視力を持っていると言うことなのか?

 いや、そんなはずはない。俺は俊足の魔法を唱えた。あの動きは強化されていない肉眼では追えない。彼女は動体視力を強化する魔法を使用していない以上、あり得ないことだ。

 つまり、別の方法を用いて、俺とやつを見極めたことになる。

 くそう。どんな手品を使いやがったんだ。ルーナの弟は。

 思考を巡らせる。だが、多人数対個人の戦いである以上、そんな余裕は与えてはくれなかった。

「ファイヤーボール」

「ロック」

「アクアショット」

「ウインドカッター」

「サンダースネーク」

 炎、岩、水、風、雷、様々な属性の魔法が一斉に俺に向けて襲い掛かってくる。

 どうしてタマモたちは正確に俺のことだけを狙っている? 普通であるなら、見極めることは困難だ。

 きっと何かしらの絡繰からくりは存在しているはず。まずはそれを見つけないと、現状を変えることはできないだろう。

 攻撃を避けつつも、俺は思考を巡らせ、状況の打開策を思案した。
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