薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳

文字の大きさ
254 / 269
最終章

第二話 狙われた学園

しおりを挟む
 魔王プリパラが魔王杯開催宣言をしたその後、俺たちは学園へと戻ってきた。

「ワタシは生徒たちの安否を確認してくる。お前たちはシェアハウスで今日は休んでおくように」

 シェアハウスで待機をしておくようにルーナが伝えると、彼女は血相を変えて校舎へと向かって行った。

 魔王プリパラは『我は他の場所でチームメンバーを集めておく』と言っていた。走者の育成を目的としたこの学園が狙われていないと言う保証はない。

 学園のみんなが無事であることを心の中で祈りつつ、シェアハウスの扉を開ける。

『シャカール! お前が帰って来るのを待っていたぞ! お前は無事だったんだな!』

 扉を開けると、仔犬が俺の胸に飛び込んできた。

「ルオ!」

 俺の胸に飛び込んできた仔犬の名を叫び、彼を抱きしめる。俺のことを毛嫌いしていたこいつがこんな反応を示すと言うことは、尋常ではない。

「え? 今ルオがしゃべていた?」

 やばい。タマモたちは、こいつがルーナの弟の魂を持っていることを知らない。

『ワン! ワン! ワン!』

「あれ? 普通に吠えているわね。どうやら疲れて幻聴を聞いてしまったみたいね」

「色々とありましたからね。とりあえずはルーナ学園長が言った通りに体を休めておきましょう。ママが紅茶の準備をして来ますね」

 直ぐにルオが起点を利かせて普通に吠えたことで、どうやらタマモたちは幻聴だと錯覚してくれたみたいだ。

 とりあえずは彼女たちから離れたところで何があったのかを聞いておくか。

「悪い、俺はトイレで篭ってくる」

 ルオを抱えたままトイレへと入り、扉を開ける。そして扉を開けられないように鍵もかけた。

「それで、俺たちが学園に居ない間に何が起きたんだ?」

 便座の蓋の上にルオを置き、何が起きたのかを訊ねる。

『おい、これは俺への嫌がらせか? 便座の蓋の上に起きやがって』

「俺に抱き抱えられたままだとお前も嫌だろうが。俺なりの配慮だ。それで、何が起きた?」

『実は――』

 何が起きたのかを訊ねると、彼は口を開いで語り始める。






 ~ルオ視点~





『今日も一日、このシェアハウスの平和を守ってやる! それがこの俺、自宅警備員であるルオの仕事だ……とは言っても、何も起きない日々で退屈だ。早くシャカールたちが戻って来てくれないだろうか?』

 ポツリと言葉を漏らしつつ、外に出ることにした。

 俺の肉体はマネットライムと呼ばれるスライムの肉体だ。だから色々な物に変身することができる。

 一度シャカールの姿に変身して扉を開けた。

 暇だし、散歩でもするか。姉さんの学園の平和を守るのも、俺の仕事だろう。

『うん? 何んだ? 鳥か? 飛行物体か?』

 最初はそのように思っていたが、目を凝らしてみると全く違った。

 膨大な魔力を持っている少女が学園の上空を飛行していた。

『魔王様?』

 この肉体がスライムであるからか、彼女の持つ魔力が魔王の物であることが分かった。

「ここがあのシャカールが通っていると言う学園か。ここで生活をしている魔族なら、きっと素晴らしい仲間を見つけることができるであろう。さぁ、魔族の走者たちよ! 我の元へと集うのだ!」

 魔王様が声を上げた瞬間、何か波動のようなものが出たのを感じた。

 肉体が魔物だから分かる。これは魔族同士が共鳴する波動だ。でも、この共鳴の波動は波長の合う者でなければ毒でしかない。

 きっと、この学園の魔族の生徒たちは篩にかけられているんだ。

『姉さんの生徒を守るのはこの俺だ! ウイング!』

 俺はシャカールの姿のまま魔王様へと突っ込む。

 俺の変身能力は、変身した者の能力をコピーした状態で変身することができる。つまり、あいつの使える魔法は、この姿である限り使いたい放題だ。

『姉さんの生徒に手を出すな!』

「お前はシャカール! いや、この感じは偽物か。どうして偽物がいるのかが分からないが、邪魔だ。ミニチュアファイヤーボール!」

 俺に向かって火球が飛んで来る。ミニチュアと言いつつ、その火球は通常のファイヤーボールよりも、一回り大きかった。

『ウォーターポンプ!』

 例え通常サイズの火球よりも大きくとも、所詮は炎だ。炎が水に勝つなんてことはない。

 火球と水圧の強い水が接触し、周辺に水蒸気が散らばっていく。

『くそう! なぜだ! シャカールの魔法が通用しないだと!』

「所詮は猿真似に過ぎないな。あいつと同じ姿だから少しだけ期待をしていたと言うのに、肩透かしではないか。我の邪魔をしないほうが身のためであるぞ。グラビティプラス」

『ガハッ!』

 体に普段以上の重力がのしかかり、空中に浮いていた俺の姿は地面へと叩き付けられる。

 肉体がスライムであるため痛みを感じはしない。だけど、指一本動かすことができない。

 重力に押さえつけられている影響なのか、それとも他の魔法の影響を受けたのか、意識が朦朧とし始める。

「ほう、良くぞここまで来てくれた。お主、名をなんと言う? そうか。ウイニングライブとシャワーライトと言うのか? うん? まだ奥に居るな?」

「ま、待ってください。俺も連れって行ってください。俺の名はピッグと言います。魔王様の椅子係を希望します。どうぞ私に腰を下ろし、お好きなようにお使いください」

「気持ち悪いな。ここまで来られたことに対して褒めてやるが、気持ち悪いからお前はいらない。では、ウイニングライブとシャワーライトよ。共に行くとしよう」

 その会話を最後に、俺の意識は途切れてしまった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...