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第八章
第十五話 予想外の結末
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ホッコータルマエが1着でゴールする目前、シャアに騎乗した騎手がアビリティを発動した。その瞬間、強風が吹き、向かい風を受けてハルウララの走る速度が減速した。
少しでもホッコータルマエがゴールするまでの時間を稼ごうとしているのだろう。
そう思っていると、ホッコータルマエに騎乗している騎手、観光大使の勝負服の中から1枚の布切れが飛んで行く。
「ああ! お母様からいただいた手作りのホッコータルマエハンカチが! あれを失くす訳には行かない! アイキャンフライ!」
どうやらあの布切れはハンカチらしく、それも相当大事なものらしい。
彼は空中に舞うハンカチを取ろうと手を伸ばした。
まさか、あのハンカチを取ろうとしているのか! あの体制のままでは転落してしまうぞ。
そう思った瞬間、彼は空中に舞うハンカチを掴み取ることに成功した。だが、そのようなことをすれば、当然バランスを保つことはできない。
観光大使の体は、重力に抗うことができずにそのまま転倒してしまった。
『ホッコータルマエ! 疑惑の判定ですが、先頭でゴール板を駆け抜ける! 1着(仮)となりました! 騎手の転倒よりも先にゴール板に届いているのか!』
『えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! どうして差しきれなかったの! ここは普通、私が可憐な走りで差し切り勝ちをして、みんなを驚かせるところでしょう!』
起きた出来事に動揺しているのか、ハルウララはまるで1着ゴールすることが当たり前であるかのようなことを言い出す。
いや、今までは運が良すぎただけだ。ずっと走り続けていれば、強敵とぶつかって負けることもある。
ホッコータルマエが1着(仮)となってしまったが、失格となった場合は2着が繰り上がって1着となる。
ここはなんとしても負ける訳にはいかない。
『ハルウララ、エスポワールシチーがほぼ並んでいる! だが、ここで来たのはシャアだ! シャアが追い上げて来た!』
アビリティ【逆風】を使って速度が遅くなった俺たちの後を走って風除けにしていたシャアが、後方から追い上げて来やがった。
『勝利の栄光を騎手である君に』
『さっきから大佐の名台詞のアレンジばっかり言いやがって! なら、私だって! やるしかないのでしょう帝王! ハルウララ、いっきまーす!』
なんの対抗心なのか、ハルウララは宇宙世紀のロボットの主人公パイロットのアレンジセリフを言い出す。
まぁ、この土壇場でやる気が戻ってくれたのなら良い。俺が持っているアビリティは全て使ってしまって、もう使うことができない。
俺がしてあげられることは、鞭を打ってハルウララに気合いを入れさせることくらいだろう。
『エスポワールシチー、ハルウララ、ここでシャアが並んだ! 3頭並んでいる! エスポワールシチーがやや前に出た!』
このままでは負けてしまう。一か八か、鞭を打ってハルウララに頑張ってもらうしかない。
少しでも前に出てもらおうと、俺はハルウララに鞭を打つ。
『打ったね!』
「いや、鞭を打たないとこのまま負けるだろう?」
鞭を打つと、ハルウララは前に出てくれた。これなら、もう一回叩けばもう少し前に出てくれるはず。
もう一度彼女に鞭を打つ。
『二度も打った! 親父にも打たれたことがないのに!』
いや、お前の父親のニッポーテイオーが、どうやって鞭を打つんだよ。そりゃ、打たれたこともないだろうよ。
そんなことを思いつつも、ハルウララは前に出てくれた。
これ以上は鞭を打ったところであまり意味はないだろう。後は彼女の力を信じるしかない。
『エスポワールシチー、ハルウララ、シャアの3頭が並んでゴールイン! しかし僅かにハルウララが前に出ました。さぁ、判定の結果はどっちになるのか、ホッコータルマエか、それともハルウララか』
ゴール板を駆け抜け終え、俺は直ぐに転倒した観光大使のもとに駆け寄る。
「観光大使、大丈夫か?」
「ええ、お母様手作りのホッコータルマエの刺繍入りハンカチは無事です」
「いや、ハンカチではなくって、お前の体調のほうを聞いているのだが」
「それなら大丈夫です。腕の骨を1本折ったくらいです」
観光大使が言葉を呟きながら苦痛の表情を見せる。
「全然大丈夫じゃないじゃないか!」
思わず声を上げる。いくら強がるにしても、度が過ぎているじゃないか。
「良いから今直ぐに病院に行け!」
「いや、しかし、1着を取った以上、勝利者インテビューで苫小牧の宣伝をしなければ」
「いや、落馬している以上、分からないじゃないか。良いから病院に今から行け」
「お断りします。せめて、結果を見届けてからにしないと」
こいつ、どこまで宣伝に執着しているんだよ。
「良いから、今直ぐ病院に行け、もしお前が1着だったとしても、俺が代わりに宣伝しておいてやるから」
「そうですか。では、お言葉に甘えて病院へといかせていただきます」
俺が代わりに宣伝すると言うことで、どうにか病院へと行ってもらうことができた。
ふぅ、どうにか病院に行ってもらったな。
あいつは落馬して失格となった。それは確実だ。その根拠として、ゴール板に届いた後に転落していた場合、実況者は締めに入る。だが、中山は実況を続けたままだ。
つまり、勝負はまだ続いていたと言うことだ。
全ての馬がゴール板を駆け抜け、順位がほぼ確立したところで、ターフビジョンに観光大使の転倒したシーンが映り出す。
『えーゴール前の写真判定の結果、ホッコータルマエに騎乗していた騎手がゴール前で落馬していたことが判明しました。そのため、順位を一つ繰上げ、ハルウララが1着となります。払い戻しの際はお気をつけください』
まさかこんな結末になるとは、俺も予想できなかった。まさか、3枠の馬は勝てないと言うジンクスを、こんな形で突破してしまうなんて。
まぁ、俺とハルウララのコンビらしいと言えばらしい結末なのかもしれないが。
掲示板の結果
1着2番
>ハナ
2着17番
>アタマ
3着18番
>2
4着7番
>1 1/2
5着3番
少しでもホッコータルマエがゴールするまでの時間を稼ごうとしているのだろう。
そう思っていると、ホッコータルマエに騎乗している騎手、観光大使の勝負服の中から1枚の布切れが飛んで行く。
「ああ! お母様からいただいた手作りのホッコータルマエハンカチが! あれを失くす訳には行かない! アイキャンフライ!」
どうやらあの布切れはハンカチらしく、それも相当大事なものらしい。
彼は空中に舞うハンカチを取ろうと手を伸ばした。
まさか、あのハンカチを取ろうとしているのか! あの体制のままでは転落してしまうぞ。
そう思った瞬間、彼は空中に舞うハンカチを掴み取ることに成功した。だが、そのようなことをすれば、当然バランスを保つことはできない。
観光大使の体は、重力に抗うことができずにそのまま転倒してしまった。
『ホッコータルマエ! 疑惑の判定ですが、先頭でゴール板を駆け抜ける! 1着(仮)となりました! 騎手の転倒よりも先にゴール板に届いているのか!』
『えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! どうして差しきれなかったの! ここは普通、私が可憐な走りで差し切り勝ちをして、みんなを驚かせるところでしょう!』
起きた出来事に動揺しているのか、ハルウララはまるで1着ゴールすることが当たり前であるかのようなことを言い出す。
いや、今までは運が良すぎただけだ。ずっと走り続けていれば、強敵とぶつかって負けることもある。
ホッコータルマエが1着(仮)となってしまったが、失格となった場合は2着が繰り上がって1着となる。
ここはなんとしても負ける訳にはいかない。
『ハルウララ、エスポワールシチーがほぼ並んでいる! だが、ここで来たのはシャアだ! シャアが追い上げて来た!』
アビリティ【逆風】を使って速度が遅くなった俺たちの後を走って風除けにしていたシャアが、後方から追い上げて来やがった。
『勝利の栄光を騎手である君に』
『さっきから大佐の名台詞のアレンジばっかり言いやがって! なら、私だって! やるしかないのでしょう帝王! ハルウララ、いっきまーす!』
なんの対抗心なのか、ハルウララは宇宙世紀のロボットの主人公パイロットのアレンジセリフを言い出す。
まぁ、この土壇場でやる気が戻ってくれたのなら良い。俺が持っているアビリティは全て使ってしまって、もう使うことができない。
俺がしてあげられることは、鞭を打ってハルウララに気合いを入れさせることくらいだろう。
『エスポワールシチー、ハルウララ、ここでシャアが並んだ! 3頭並んでいる! エスポワールシチーがやや前に出た!』
このままでは負けてしまう。一か八か、鞭を打ってハルウララに頑張ってもらうしかない。
少しでも前に出てもらおうと、俺はハルウララに鞭を打つ。
『打ったね!』
「いや、鞭を打たないとこのまま負けるだろう?」
鞭を打つと、ハルウララは前に出てくれた。これなら、もう一回叩けばもう少し前に出てくれるはず。
もう一度彼女に鞭を打つ。
『二度も打った! 親父にも打たれたことがないのに!』
いや、お前の父親のニッポーテイオーが、どうやって鞭を打つんだよ。そりゃ、打たれたこともないだろうよ。
そんなことを思いつつも、ハルウララは前に出てくれた。
これ以上は鞭を打ったところであまり意味はないだろう。後は彼女の力を信じるしかない。
『エスポワールシチー、ハルウララ、シャアの3頭が並んでゴールイン! しかし僅かにハルウララが前に出ました。さぁ、判定の結果はどっちになるのか、ホッコータルマエか、それともハルウララか』
ゴール板を駆け抜け終え、俺は直ぐに転倒した観光大使のもとに駆け寄る。
「観光大使、大丈夫か?」
「ええ、お母様手作りのホッコータルマエの刺繍入りハンカチは無事です」
「いや、ハンカチではなくって、お前の体調のほうを聞いているのだが」
「それなら大丈夫です。腕の骨を1本折ったくらいです」
観光大使が言葉を呟きながら苦痛の表情を見せる。
「全然大丈夫じゃないじゃないか!」
思わず声を上げる。いくら強がるにしても、度が過ぎているじゃないか。
「良いから今直ぐに病院に行け!」
「いや、しかし、1着を取った以上、勝利者インテビューで苫小牧の宣伝をしなければ」
「いや、落馬している以上、分からないじゃないか。良いから病院に今から行け」
「お断りします。せめて、結果を見届けてからにしないと」
こいつ、どこまで宣伝に執着しているんだよ。
「良いから、今直ぐ病院に行け、もしお前が1着だったとしても、俺が代わりに宣伝しておいてやるから」
「そうですか。では、お言葉に甘えて病院へといかせていただきます」
俺が代わりに宣伝すると言うことで、どうにか病院へと行ってもらうことができた。
ふぅ、どうにか病院に行ってもらったな。
あいつは落馬して失格となった。それは確実だ。その根拠として、ゴール板に届いた後に転落していた場合、実況者は締めに入る。だが、中山は実況を続けたままだ。
つまり、勝負はまだ続いていたと言うことだ。
全ての馬がゴール板を駆け抜け、順位がほぼ確立したところで、ターフビジョンに観光大使の転倒したシーンが映り出す。
『えーゴール前の写真判定の結果、ホッコータルマエに騎乗していた騎手がゴール前で落馬していたことが判明しました。そのため、順位を一つ繰上げ、ハルウララが1着となります。払い戻しの際はお気をつけください』
まさかこんな結末になるとは、俺も予想できなかった。まさか、3枠の馬は勝てないと言うジンクスを、こんな形で突破してしまうなんて。
まぁ、俺とハルウララのコンビらしいと言えばらしい結末なのかもしれないが。
掲示板の結果
1着2番
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