追放騎手の霊馬召喚〜トウカイテイオーを召喚できずに勘当された俺は、伝説の負け馬と共に霊馬競馬界で成り上がる!

仁徳

文字の大きさ
139 / 183
第八章

第十六話 嘘だろう!そんなバカな!

しおりを挟む
~新堀学園長視点~





 『ここで3番手だったホッコータルマエが一気に追い抜く! エスポワールシチーを躱し、先頭に躍り出た!』

「いっけー! ホッコータルマエ!」

 ワシは本日行われるかしわ記念のレースを見て、単勝がけをしていたホッコータルマエを全力で応援していた。

「いっけー、いけいけゴーゴー、タルマエ! おっせー、押せ押せ、押せ押せタルマエ!」

 まるで甲子園の応援の如く、いつもよりも声を上げる。

 このまま行けば、ホッコータルマエが1着を取って馬券が的中し、更に帝王が敗北してワシの経営する学園に転入する。まさに良いことずくしだ。

 ホッコータルマエとハルウララの差は2馬身、ハルウララ如きが0.4秒の差を縮めて勝ちに行くことは不可能だ。

 ホッコータルマエとは格が違うのだよ。生まれながらにして持った転生の才能がな。

 このまま行けば間違いなくホッコータルマエの勝利でゴール板を駆け抜ける。そう思っていた。

 だが、ゴール直前に、ホッコータルマエに騎乗している観光大使がいきなり落馬をしやがった。

「はぁ?」

 思わず声が漏れてしまう。衝撃の出来事に、開いた口が塞がらなかった。

 あいつ何をしている? どうしてゴール直前で落馬なんかした?

 ゴール板に鼻がとどいた段階で落馬したのなら、まだ許される。だが、ゴール板に届くまえに落馬したのであれば、失格となってしまう。

「くそう。こうなったら最悪の事態を考えた方が良い。馬券が外れたとしても、帝王を負けさせろ!」

 最悪の事態を考え、大きく息を吸い込む。そして息を吐くと同時に言葉を吐いた。

「いっけー、いけいけゴーゴー、シチー! おっせー、押せ押せ、押せ押せシャア!」

 ホッコータルマエが失格となった場合のことも考慮し、今度はエスポワールシチーとシャアを応援する。

「かしわ記念3勝の実力を見せろ! エスポワールシチー! 生前の無念を晴らす時だ! まだ勝負は決まっていないぞ! シャア!」

 ワシは2頭の馬を全力で応援した。

 だが、ワシの応援は彼らには届かなかった。

 画面越しにも分かる。僅かの差でハルウララが前に出ていた。

『エスポワールシチー、ハルウララ、シャアの3頭が並んでゴールイン! しかし僅かにハルウララが前に出ました。さぁ、判定の結果はどっちになるのか、ホッコータルマエか、それともハルウララか』

 実況者の言葉で確信した。ハルウララが2着(仮)となった。ホッコータルマエに騎乗している観光大使が、落馬していたタイミングでゴール板にとどいていなければ、失格となる。

 頼む、今回ばかりは普段信用していない神にも祈らせてもらう。ホッコータルマエが1着であってくれ!

『えーゴール前の写真判定の結果、ホッコータルマエに騎乗していた騎手がゴール前で落馬していたことが判明しました。そのため、順位を一つ繰上げ、ハルウララが1着となります。払い戻しの際はお気をつけください』

「くっそー!」

 ホッコータルマエが失格となったアナウンスを聞き、声を張り上げて頭を掻き毟る。

「観光大使! テメー! どうして落馬なんてものをしやがった! 落馬しなければ勝っていただろうが!」

 怒りの感情が爆発して思わず声を張り上げる。今回の敗北は納得できない。勝っていた勝負を自ら投げ出す様なものだ。

 直ぐにタブレットを操作して公式サイトにアクセスし、先程のレースを見返す。

 そしてホッコータルマエに騎乗している観光大使が落馬するタイミングで一時停止し、スロー再生で何が起きたのかを確認する。

 目を大きく見開き、些細なことも見逃さないようにした。すると、あることに気付く。

 こいつ、何か布切れの様なものを取ろうとしていないか? まさか、あの布切れを取ろうとして落馬しやがったのか?

「ふざけるな! たかが布切れ1枚のために、ワシの馬券を紙屑にした上で、帝王の転校の邪魔をしたと言うのか!」

 衝撃の事実に、再び声を荒げる。

「これは許されない行為だ。観光大使には、戻ってきたら、6日間の停学処分だな」

 本当は30日間の停学処分と行きたいが、それはさすがにやり過ぎだろう。他の関係者から苦情が来るかもしれない。

 あれが事故による落馬であれば仕方がないとワシも思う。だが、あれは故意による落馬だ。競馬界において、故意の落馬は八百長疑惑を発生させてしまう。

 変な噂が立ってワシが動き辛くなるのは避けたい。だからこそ、6日間の停学処分とし、騎乗停止させるしかない。

 これは仕方がないことだ。別に馬券を外し、帝王の転校を阻まれた腹いせにやっていることではないのだ。

 あくまでも世間的な問題に発展させないための処置にしか過ぎない。

「くそう。せっかく抽選を弄って帝王を勝率0パーセントの枠番にしたと言うのに、台無しではないか。だが、過ぎたことを悔やんでも仕方がない。次に切り替えるとしよう」

 次に帝王が出走するのは東京優駿日本ダービーか。だが、その前には優駿牝馬オークスがあるな。まずはそっちのレースを楽しみながら、いかにして帝王を叩きのめすのかを考えるとしよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...