【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい

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⑦溺愛は加速して(1)

❼溺愛は加速して


 モモネリアは、またまた困っていた。


 確かに、モモネリアはリードネストに自分の気持ちを伝えた。


 リードネストの愛にこたえ、自分も好きだと告げた。
 つまり、両想いだ。


 世の中、想いを通じ合わせた恋人同士が、それはそれは甘い時間を過ごすことは知っている。


 お互い相手により近づきたくなることも。


 さらには、自分たちへの理解を深め、繋がりや絆を強固なものにしていくことも。


 が、これはいくらなんでもやりすぎではなかろうか.......。


 モモネリアは恋愛初心者で、たった数日前に自身の気持ちに気づいた、初心者オブ初心者。


 いうなれば、超超超!初心者である。


 そんな人に対して、これはいきなり攻めすぎだと思う。



 もう少し時間をじっくりかけて。
 お互いの理解を深めて。
 ジワジワ距離が近づけばいいと思っていたのにーーーーー。




****



「モモネリア、これもうまいぞ。口を開けてみろ。あーん」


「....むぐ。........コクン。おいしい、わ」



「そうか!お前が気に入ったなら、毎日用意させよう。ほら、もっと食べろ。......あぁ、今日も愛らしい。俺の天使、モモネリア。俺の手からぶどうを食べるモモネリア、一生見ていられる!!」



 アイスが溶けるみたいにデロデロに表情を崩すリードネスト。


 もうツッコミどころが多すぎて、何からツッコめばいいのやら。



 リードネストは、あれからモモネリアへの溺愛をドがつくほど加速させて、モモネリアは一日中真っ赤になりっぱなしだ。



 今日は、朝食を庭のガゼボで食べよう、ということになった。



 朝からいい天気で、空は雲ひとつなく晴れ渡り、暑くもなく寒くもなく、時折心地よい風が吹いている。



 庭の花々は、花びらの朝露が瑞々しく太陽を反射してキラキラ輝く。

 花の甘い蜜を吸いにきた鮮やかな色彩の蝶は軽やかに飛び、景色には非常に癒される.......のだが。



 モモネリアは横抱きでリードネストの膝の上に乗せられ、何故か食べさせてもらっている状況である。

 リードネスト曰く、求愛行動中...らしい。



 何度自分で食べるとお願いしても離してもらえず、諦めて素直に口を開けるが......恥ずかしいものは恥ずかしい。



 だって......ここは私たちだけでなく数人の使用人も側で控えているのだ。
 あぁ......使用人たちの生温かい視線が痛い.......。



 邸の者たちは、私たちの雰囲気を察知しているようで、両想いになったことは伝わっている気がする。



 それとなく誰か助けてくれないかと、ぐるりと見回してみても、誰もがニコニコ......いや、ニマニマ、笑顔を向けるだけである。



 最後の頼みの綱であるカーヴィンを見遣れば、カーヴィンはにっこりと、それはもう優しげな笑みを浮かべる。



 ......こちらも助ける気はない、のね。



 そう思って苦笑いで返すと、何故かリードネストがムッとする。



「.....なぜ、カーヴィンをそんなに見つめる?」



「えぇっ?そんな見つめたかしら.....?気のせいよ」



 助け舟を求めていたとは言いづらく、モモネリアは誤魔化そうした。



 けれど、リードネストは納得していない。



「いいや、今絶対!カーヴィンに熱い視線を送っていた!.....ちっ、カーヴィンもやはり男か....。モモネリアの瞳に映らないように、時間を入れ違いにするべきだったな.....」



 何やら、怖い顔でボソボソと呟くリードネスト。
 最後の方は、ほとんど聞こえなかったが、時間を入れ違いにするとか何とか聞こえたような......?



「......え?時間をってどういう意味?」


 モモネリアは、疑問を投げかけた。



「........いや、何でもない」



 明らかに、しまった、とでも言うように顔を強張らせ、顔を不自然に背けるリードネストをモモネリアは不審に思った。


 カーヴィンを見遣れば、冷たい視線をリードネストに送っている。



 .......うーん、これは何かあるな。



「....リード?......私に何か隠していることはある?」


 
 凄みをきかせて、問いかけてみる。


 沈黙が落ち、顔を背けたままのリードネストの反応はない。



「........リード」



 なるべく低めの声で、もう一度。



「うぅっ......」



 すると、リードネストは観念したようにおずおずと答えた。








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