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14 最愛と再会(2)
しおりを挟む「......そうだ。.....俺の夢では、モモネリアとこの湖畔で桃を食べたあと、数年後の俺たちを見ることもあった。その中で.......モモネリアは、義理の家族に虐げられていて、自ら命を絶ったんだ」
苦しげに眉根をよせて、今にも泣き出しそうにリードネストが告げた。
「......そ、そんな」
モモネリアは、口元を両手で覆い、信じられないみたいにゆるゆると首を振る。
そして、リードネストが語る夢の内容にさらに顔をこわばらせていった。
前世のモモネリアたちは、云い伝えを耳にして、ここで“約束の桃“を二人でたべた。
しかし、しばらくして両親を亡くしたモモネリアは遠縁の親戚に引き取られ。
当然、住んでいた町を離れることになって、二人は離れ離れになった。
大人になったら必ず迎えに行くと、約束して。
「......毎日、手紙を書いた。会いたくてたまらない日も、この湖で食べた桃と君の笑顔を思い出して、必死に勉強した。立派になって、必ず君を迎え行くと誓って」
「...........」
「......だが、叶わなかった。......数年後、君は命を絶って俺の前から儚く消えた.....。君から届く手紙の返事には、苦しい胸の内が全く語られていなかった。きっと、優しい君は俺に心配をかけまいと耐えていたんだろう。......俺は、激しく後悔して、泣いて、暴れて、怒り狂った」
「......っ」
番を失って、どれほど絶望しただろう。
謝っても謝りきれない。
モモネリアは、後悔や悲しみで溢れてくる涙を止められない。
「........私、あなたに.....前世のあなたに、なんて謝ればいいのか.......本当に、ごめんなさ、い」
「.......いいんだ、モモネリア。謝らないで。俺こそ、君を守れなかった。謝っても許されない。すまなかった、モモネリア」
モモネリアは、泣きながら首を振った。
********
そして、なんとなく察した。
リードネストが自分を攫ってきた理由。
あの日は自分が家族にとってただの他人で、都合のいい召使いであったことを知り、絶望していた。
あのままりんごを買って帰っても、弱い私は自分の居場所など見出せずに、命を絶つ選択をしなかったとは言い切れない。
「......なぁ、モモネリア。おまえとまた出会えてよかった。.....出会えた時、まだ俺は前世の記憶を思い出していなかったけれど.....今世では君を救えた.....同じ後悔を繰り返さずに済んだ......。そう思ってもいいか?」
「......えぇ、もちろんよ.....!あなたのおかげで、今世の私は、生きているわ。......愛するあなたのそばで.....とても幸せよ、リード。.....ありがとう」
どちらからともなく抱き合って、愛を囁き合う。
「モモネリアとまた出会えて、恋人になれて、俺はこの上なく幸せだ」
リードネストが、モモネリアの後頭部に手を回し、お互いの額をコツンと合わせる。
視線が交わる。
今、この場所に二人で戻ってこられたことに感謝して、微笑み合った。
「.......私も。すっごく幸せ」
「.......モモネリア」
リードネストの指が、モモネリアの頤にかかり、上を向かせる。
リードネストの綺麗な形の唇がふわりと近づき、優しい優しいキスが幾度となく降ってきた。
いつの間にか、満月は空高くのぼり湖にはっきりとその姿を映し、二人を見守っている。
その時、月あかりに照らされた湖が、キラキラと発光し始め.......。
「.......!?」
「.....はは、驚いた?」
リードネストは、イタズラが成功した子供のようにニタリと嬉しげな笑みを浮かべる。
モモネリアは、目をいっぱいに見開き、口を手で覆った。
「........桃色?......とても綺麗な.....穏やかな色」
「......美しいな」
そこには、淡い黄色い月を映しているはずの湖が、全く異なる......淡く穏やかな色合いの桃色に輝く姿があった。
それは、天使が舞い降りる場所のように神秘的で.......心を癒すーーー。
時折、波打つ水面。
光を反射して金や銀に似た月光が優しい桃色と混じり合う。
涙が溢れそうになるほど、眩い光景。
思わず立ち上がり、湖に小走りで近づいた。
リードネストが、そっと隣に寄り添って彼女の腰を抱く。
うっとりと湖を見つめ、動かないでいると、おもむろにリードネストがモモネリアの前に跪く。
彼女の細く華奢な手をとり自身の額にあて目を閉じた。何かを、懇願するみたいにーーー。
ゆっくり、ゆっくり、顔をあげたリードネストが、驚いて固まるモモネリアに優しく笑いかける。
そして、笑みを作っていた唇が、柔らかく甘い声音で囁いた。
「.......結婚しよう、モモネリア。俺の全てをかけて、お前を幸せにしたい。だから......俺の生涯の宝物になってくれないか?」
「..........っ」
モモネリアは、ぷるぷると小さく震えた。
それから、顔をくしゃくしゃにして、泣き笑いを浮かべる。
「.....はい!私こそ....あなたの隣で、幸せになりたいわ。もちろん、二人でね」
「......モモネリア!あぁ.....二人で。.....二人で、幸せになろうな」
リードネストがモモネリアを抱きしめた。
強く、強く、苦しいくらいに。
モモネリアは、少し息がしづらくても、これが現実なんだと実感して、さらに嬉しくなったーーー。
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