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【第9部】無人島サバイバル編 ~悪役令嬢、無人島に漂着す。大自然が相手なら、島ごと「整地」させていただきますわ~
第078話 探索:古代遺跡は「家電量販店」でした。伝説の聖杖よりも、冷蔵庫を担いで帰ります
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――漂着、3日目。
前日の「暴食(人間発電所ごっこ)」のエネルギーを消費するため、わたし達は食後の腹ごなしに島の深部を探索していた。
ミリアもアリスも、昨日の肉効果か、肌艶がよくなり足取りも軽い。
露出度の高いサバイバル衣装が、健康的な肢体を際立たせている。特にミリアの胸元は、歩くたびに物理法則を無視した揺れを見せており、アリスが時折羨望と嫉妬の入り混じった視線を送っていた。
ジャングルの奥地、蔦に覆われた崖の陰に、不自然に整えられた石造りの入り口を発見した。
入り口には、風化した古代語で何やら文字が刻まれている。
「……アリス、これなんて書いてあるの? あなた、古代語の単位も取っていたわよね?」
わたしが尋ねると、アリスは伊達眼鏡の位置を直す仕草をして石版を読み解いた。
「えっと……『試練を越えし者に、叡智と力を授けん』……だって」
「ふうん」
わたしは腕組みをして、石造りの重厚な扉を見上げた。
試練。叡智。力。
つまり――。
「あ、わかったわ。『ご自由にお持ちください』って意味ね」
「違うよ!? 超訳しすぎだよ!? 泥棒の思考回路だよそれ!」
アリスが全力で否定する。
「だって、試練を越えればいいんでしょう? 入って、取って、出る。何も間違っていないわ」
わたしは手頃な大岩を持ち上げ、扉の蝶番めがけて豪快に投げつけた。
ドゴォォン!!
経年劣化していた扉は呆気なく崩れ落ち、暗い通路が口を開けた。
「あら……?」
早速中に入ると遺跡内部の壁画や素材自体から微弱な魔力反応があった。
どうやらこの遺跡は古代魔法文明の研究所跡であり、島全体を覆う「魔力嵐」の原因もここの防衛システムが暴走しているようだ。
「ふむ。元栓を閉めれば、魔力も復活するし、お宝も手に入る。一石二鳥ね」
「まあ、レヴィーネ様にかかれば『試練』も『アトラクション』ですからね!」
ミリアがフライパンを構えて続く。
「え~……そんなカンタンな話かなぁ~……」
不安げなアリスを最後尾にして、わたしたちは、暗闇の中へと足を踏み入れた。
――漂着、3日目:午後。
ダンジョン内は、侵入者を拒む罠のオンパレードだった。
だが、今のわたし(満腹状態・筋肉全開)の前では、ただのアスレチックに過ぎない。
ヒュンヒュンヒュン!
通路の壁から、無数の毒矢が射出される。
「薪にちょうどいいわね」
わたしは飛来する矢を素手で掴み取り、あるいは払い落とし、束にしてミリアのリュックへと放り込んだ。乾燥していてよく燃えそうだ。
ゴゴゴゴ……!
坂道の上から、巨大な鉄球が転がってくる。インディなジョーンズも真っ青の定番トラップだ。
「邪魔よ」
わたしは真正面から鉄球を受け止め、身体のバネを使ってボウリングのように投げ返した。
ドガァァン! 奥にあった発射装置ごと壁が砕け散る。ストライク。
そして、広間に出た瞬間。
ズシン、ズシンと重い音を立てて、ミスリル製の防衛ゴーレムが現れた。
『侵入者、排除シマス』
「いい素材ね。あとで焼いて叩いてのばして鍋にしましょう」
わたしは一瞬で懐に潜り込み、関節技を極めた。
バキボキバキボキバキキボキキィッ!!
ゴーレムの腕をもぎ取り、脚をへし折る。
バラバラに解体されたゴーレムの残骸を、ミリアが目を輝かせて回収する。
「これなら、熱伝導率のいいお鍋が作れます! ありがとうございます!」
アリスが引きつった顔で呟く。
「ここ、本来なら推奨レベル99の死にダンジョンだよね……? なんでピクニック気分なの……?」
さらに進むと、迷路のような複雑な通路に行き当たった。
「面倒ね……」
わたしは壁をコンコンと叩いた。
音の響きで、向こう側に空間があることを確認する。
「どうやら、この壁の向こうが正解らしいわ」
「えーと、一応ここまでマッピングしてきたけど、回り込む道あるかなぁ……?」
「道なら作ればいいじゃない」
ドゴォォォォンッ!!!
わたしの正拳突きが、遺跡の壁を粉砕した。
埃の向こうに、最深部へのショートカットが開通する。
「……正規ルートを無視した『物理攻略』だ……」
アリスが遠い目で呟いた。
――漂着、3日目:夕方。
壁をぶち抜いて到達した最深部の宝物庫。
そこには、古代文明の叡智の結晶たる数々の遺物が、静かに眠っていた。
アリスがふらふらと引き寄せられたのは、部屋の中央に浮遊する神々しい杖だ。
まるで博物館の展示品のように古代語でキャプションがついている。
『星光の聖杖』。
アリスが触れると、杖が光り輝き、彼女の魔力と共鳴した。
「す、すごい……! 魔力が無限に湧いてくるみたい! これなら……もう魔力枯渇で倒れなくて済む!」
杖を持って歓喜するアリスと杖の魔力の流れを見てみると、所有者の魔力消費を肩代わりしつつ大気中のマナを取り込んで還元しているようだ。
つまり永久機関内蔵のとんでもない装備。
生命力にダイレクトに影響を与える光魔法は魔力の消費が激しい。この杖がアリスの燃費問題を解決してくれるだろう。
一方、ミリアは部屋の隅にある棚のような場所で、震える手で何かを拾い上げていた。
それは、片眼鏡(モノクル)のような形状をした、不思議なレンズだった。
「……こ、これは……」
ミリアが恐る恐るそのレンズを目に当てた、その瞬間。
「ひゃぁあああっ!?」
ミリアが素っ頓狂な悲鳴を上げた。
「どうしたのミリア!?」
「呪いのアイテム!?」
わたしとアリスが駆け寄ると、ミリアはレンズを押さえたまま、ガクガタと震えながら叫んだ。
「す、すごいです! この眼鏡、すごいですレヴィーネ様!!」
ミリアは興奮気味に、レンズ越しにわたしを見た――いや、わたしの着ているボロボロのドレスや、持っている鉄扇を見ているようだ。
「見えます! 全部見えます! 素材の名称、品質ランク、市場での適正価格……それどころか、『煮込めば食えるか』『美味しく食べるための下処理方法』まで表示されます!」
「……は?」
「ああっ!! そ、そんな……!?」
さらにミリアは、自分の腕やお腹を見て、絶叫した。
「今の自分の健康状態から、不足している栄養素、そして……『昨日の摂取カロリーと消費カロリーの収支』まで表示されています! 『脂質の摂りすぎです。明日は運動しましょう』ですって!? ……か、神の道具です!」
ミリアが拾ったのは、古代の賢者――健康と食を司る『賢者アスケン』が遺したとされる伝説の鑑定アーティファクト、『賢者アスケンの眼鏡』だった。
「すごい! 超古代文明の主婦の皆さんすごいです! 栄養計算までしてくれるなんて……これさえあれば、レヴィーネ様の筋肉管理も完璧です!」
ミリアは感動のあまり、眼鏡を頬ずりしている。
……まあ、本人が喜んでいるならそれでいいわ。便利な鑑定役ができたと思えば。
さらにミリアは、その横にあった調理器具セットも発見した。
『焦げ付かぬ鍋』と『永久の包丁』。
「こ、こっちも……! ドラゴンの鱗すら三枚におろせる切れ味と、絶対に焦げ付かない熱伝導率! 国宝級です!」
どうやらここは、古代の研究所というよりは、古代の「キッチンスタジオ」だったのかもしれない。
そして、わたしが見つけたのは――。
部屋の隅に鎮座する、巨大な箱型の魔導機器。
「……これは」
わたしはそれを愛おしそうに撫で、軽々と担ぎ上げた。
「『超大型魔導冷蔵庫』!! これで鮮魚の保存やワインを冷やすことができるわ! 文明開化ね!」
「レヴィちゃん、武器は!? 伝説の剣みたいなのあるよ!?」
アリスが祭壇にある仰々しい剣や盾を指差すが、わたしは首を横に振った。
「いらないわ。わたしには『玉座』があるもの。それより、冷えたワインと新鮮なお魚の方が重要よ。「暗闇の間」では鮮度までは維持できないもの」
わたしは魔導冷蔵庫を、動力源らしい魔導炉ごと引っこ抜いて背負い、満足げに笑った。
魔力嵐を止めるための制御装置も、ついでに物理的に破壊完了。ここには役立ちそうなものが他にも色々ありそうだが、ひとまずは魔力も魔法も戻ったことでよしとしよう。
「さあ、帰りましょう。ヴィータヴェン城(仮)の冷蔵庫設置記念パーティーよ!」
前日の「暴食(人間発電所ごっこ)」のエネルギーを消費するため、わたし達は食後の腹ごなしに島の深部を探索していた。
ミリアもアリスも、昨日の肉効果か、肌艶がよくなり足取りも軽い。
露出度の高いサバイバル衣装が、健康的な肢体を際立たせている。特にミリアの胸元は、歩くたびに物理法則を無視した揺れを見せており、アリスが時折羨望と嫉妬の入り混じった視線を送っていた。
ジャングルの奥地、蔦に覆われた崖の陰に、不自然に整えられた石造りの入り口を発見した。
入り口には、風化した古代語で何やら文字が刻まれている。
「……アリス、これなんて書いてあるの? あなた、古代語の単位も取っていたわよね?」
わたしが尋ねると、アリスは伊達眼鏡の位置を直す仕草をして石版を読み解いた。
「えっと……『試練を越えし者に、叡智と力を授けん』……だって」
「ふうん」
わたしは腕組みをして、石造りの重厚な扉を見上げた。
試練。叡智。力。
つまり――。
「あ、わかったわ。『ご自由にお持ちください』って意味ね」
「違うよ!? 超訳しすぎだよ!? 泥棒の思考回路だよそれ!」
アリスが全力で否定する。
「だって、試練を越えればいいんでしょう? 入って、取って、出る。何も間違っていないわ」
わたしは手頃な大岩を持ち上げ、扉の蝶番めがけて豪快に投げつけた。
ドゴォォン!!
経年劣化していた扉は呆気なく崩れ落ち、暗い通路が口を開けた。
「あら……?」
早速中に入ると遺跡内部の壁画や素材自体から微弱な魔力反応があった。
どうやらこの遺跡は古代魔法文明の研究所跡であり、島全体を覆う「魔力嵐」の原因もここの防衛システムが暴走しているようだ。
「ふむ。元栓を閉めれば、魔力も復活するし、お宝も手に入る。一石二鳥ね」
「まあ、レヴィーネ様にかかれば『試練』も『アトラクション』ですからね!」
ミリアがフライパンを構えて続く。
「え~……そんなカンタンな話かなぁ~……」
不安げなアリスを最後尾にして、わたしたちは、暗闇の中へと足を踏み入れた。
――漂着、3日目:午後。
ダンジョン内は、侵入者を拒む罠のオンパレードだった。
だが、今のわたし(満腹状態・筋肉全開)の前では、ただのアスレチックに過ぎない。
ヒュンヒュンヒュン!
通路の壁から、無数の毒矢が射出される。
「薪にちょうどいいわね」
わたしは飛来する矢を素手で掴み取り、あるいは払い落とし、束にしてミリアのリュックへと放り込んだ。乾燥していてよく燃えそうだ。
ゴゴゴゴ……!
坂道の上から、巨大な鉄球が転がってくる。インディなジョーンズも真っ青の定番トラップだ。
「邪魔よ」
わたしは真正面から鉄球を受け止め、身体のバネを使ってボウリングのように投げ返した。
ドガァァン! 奥にあった発射装置ごと壁が砕け散る。ストライク。
そして、広間に出た瞬間。
ズシン、ズシンと重い音を立てて、ミスリル製の防衛ゴーレムが現れた。
『侵入者、排除シマス』
「いい素材ね。あとで焼いて叩いてのばして鍋にしましょう」
わたしは一瞬で懐に潜り込み、関節技を極めた。
バキボキバキボキバキキボキキィッ!!
ゴーレムの腕をもぎ取り、脚をへし折る。
バラバラに解体されたゴーレムの残骸を、ミリアが目を輝かせて回収する。
「これなら、熱伝導率のいいお鍋が作れます! ありがとうございます!」
アリスが引きつった顔で呟く。
「ここ、本来なら推奨レベル99の死にダンジョンだよね……? なんでピクニック気分なの……?」
さらに進むと、迷路のような複雑な通路に行き当たった。
「面倒ね……」
わたしは壁をコンコンと叩いた。
音の響きで、向こう側に空間があることを確認する。
「どうやら、この壁の向こうが正解らしいわ」
「えーと、一応ここまでマッピングしてきたけど、回り込む道あるかなぁ……?」
「道なら作ればいいじゃない」
ドゴォォォォンッ!!!
わたしの正拳突きが、遺跡の壁を粉砕した。
埃の向こうに、最深部へのショートカットが開通する。
「……正規ルートを無視した『物理攻略』だ……」
アリスが遠い目で呟いた。
――漂着、3日目:夕方。
壁をぶち抜いて到達した最深部の宝物庫。
そこには、古代文明の叡智の結晶たる数々の遺物が、静かに眠っていた。
アリスがふらふらと引き寄せられたのは、部屋の中央に浮遊する神々しい杖だ。
まるで博物館の展示品のように古代語でキャプションがついている。
『星光の聖杖』。
アリスが触れると、杖が光り輝き、彼女の魔力と共鳴した。
「す、すごい……! 魔力が無限に湧いてくるみたい! これなら……もう魔力枯渇で倒れなくて済む!」
杖を持って歓喜するアリスと杖の魔力の流れを見てみると、所有者の魔力消費を肩代わりしつつ大気中のマナを取り込んで還元しているようだ。
つまり永久機関内蔵のとんでもない装備。
生命力にダイレクトに影響を与える光魔法は魔力の消費が激しい。この杖がアリスの燃費問題を解決してくれるだろう。
一方、ミリアは部屋の隅にある棚のような場所で、震える手で何かを拾い上げていた。
それは、片眼鏡(モノクル)のような形状をした、不思議なレンズだった。
「……こ、これは……」
ミリアが恐る恐るそのレンズを目に当てた、その瞬間。
「ひゃぁあああっ!?」
ミリアが素っ頓狂な悲鳴を上げた。
「どうしたのミリア!?」
「呪いのアイテム!?」
わたしとアリスが駆け寄ると、ミリアはレンズを押さえたまま、ガクガタと震えながら叫んだ。
「す、すごいです! この眼鏡、すごいですレヴィーネ様!!」
ミリアは興奮気味に、レンズ越しにわたしを見た――いや、わたしの着ているボロボロのドレスや、持っている鉄扇を見ているようだ。
「見えます! 全部見えます! 素材の名称、品質ランク、市場での適正価格……それどころか、『煮込めば食えるか』『美味しく食べるための下処理方法』まで表示されます!」
「……は?」
「ああっ!! そ、そんな……!?」
さらにミリアは、自分の腕やお腹を見て、絶叫した。
「今の自分の健康状態から、不足している栄養素、そして……『昨日の摂取カロリーと消費カロリーの収支』まで表示されています! 『脂質の摂りすぎです。明日は運動しましょう』ですって!? ……か、神の道具です!」
ミリアが拾ったのは、古代の賢者――健康と食を司る『賢者アスケン』が遺したとされる伝説の鑑定アーティファクト、『賢者アスケンの眼鏡』だった。
「すごい! 超古代文明の主婦の皆さんすごいです! 栄養計算までしてくれるなんて……これさえあれば、レヴィーネ様の筋肉管理も完璧です!」
ミリアは感動のあまり、眼鏡を頬ずりしている。
……まあ、本人が喜んでいるならそれでいいわ。便利な鑑定役ができたと思えば。
さらにミリアは、その横にあった調理器具セットも発見した。
『焦げ付かぬ鍋』と『永久の包丁』。
「こ、こっちも……! ドラゴンの鱗すら三枚におろせる切れ味と、絶対に焦げ付かない熱伝導率! 国宝級です!」
どうやらここは、古代の研究所というよりは、古代の「キッチンスタジオ」だったのかもしれない。
そして、わたしが見つけたのは――。
部屋の隅に鎮座する、巨大な箱型の魔導機器。
「……これは」
わたしはそれを愛おしそうに撫で、軽々と担ぎ上げた。
「『超大型魔導冷蔵庫』!! これで鮮魚の保存やワインを冷やすことができるわ! 文明開化ね!」
「レヴィちゃん、武器は!? 伝説の剣みたいなのあるよ!?」
アリスが祭壇にある仰々しい剣や盾を指差すが、わたしは首を横に振った。
「いらないわ。わたしには『玉座』があるもの。それより、冷えたワインと新鮮なお魚の方が重要よ。「暗闇の間」では鮮度までは維持できないもの」
わたしは魔導冷蔵庫を、動力源らしい魔導炉ごと引っこ抜いて背負い、満足げに笑った。
魔力嵐を止めるための制御装置も、ついでに物理的に破壊完了。ここには役立ちそうなものが他にも色々ありそうだが、ひとまずは魔力も魔法も戻ったことでよしとしよう。
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