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【第9部】無人島サバイバル編 ~悪役令嬢、無人島に漂着す。大自然が相手なら、島ごと「整地」させていただきますわ~
第077話 孤島のグルメ:カニと醤油と、時々、人間発電所。……この島は私の「冷蔵庫」です
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――漂着、2日目:朝。
拠点はできた。次は食料だ。
ミリアのリュックには、奇跡的に無事だった調味料(ミソ・ショーユ・スパイス)と、緊急用の乾燥米が入っていたが、メインとなる食材がない。
「腹が減っては戦はできないわね。……行ってくるわ」
わたしは空腹を訴える胃袋をさすりながら、単身ジャングルへと足を踏み入れた。
魔力強化が使えなくとも、わたしの五感は野生の獣並みに研ぎ澄まされている。
ガサガサ……。
茂みが揺れる。
現れたのは、犬ほどの大きさがある巨大なヤシガニだった。強靭なハサミを振り上げ、生意気にもこちらを威嚇してくる。
「……ふん、雑魚ね」
わたしはあくびを噛み殺しながら近づき、振り下ろされたハサミを素手で受け止めた。
そして、そのままデコピン一閃。
バチンッ!!
硬い甲羅が粉砕され、ヤシガニは沈黙した。
その後も、川辺に行けばサワガニ(の魔獣)が群れをなして襲ってきたので「数で来るとは小賢しい」と一網打尽にし、海辺に戻れば浅瀬にいたタカアシガニ(深海魔獣)を発見して「あら大物」と引っこ抜いた。
拠点に戻り、並べられた大量のカニ、カニ、カニ。
わたしは腕組みをして、積み上がった甲殻類の山を見下ろした。
(……いけない。空腹のあまり、手当たり次第に狩りすぎてしまったわ)
わたしは額に手を当て、ハードボイルドに思考した。
それでも命を奪った以上、当然美味しくいただくのが私の流儀だ。
慌てるんじゃない。わたしはただ腹が減っている、それだけなのだ。
(ヤシガニは刺身で、サワガニはミリアの調味料で唐揚げに、タカアシガニは磯に穴を開けて海水と焼いた石を放り込めば塩茹でにできるわね。それにしても――)
「……しまったわ。カニがかぶってしまったわね」
アリスが「市場の競り場か!」とツッコミを入れるのを他所に、わたしは無言でヤシガニの硬い殻を素手でバキィッ! とへし折り、身を貪った。
「(……んんっ。この、野性味あふれる濃い味。……いいじゃないか、いいじゃないか)」
――漂着、2日目:昼。
カニだけでは喉が渇く。
わたしは海へダイブし、魔力なしの肺活量と筋力だけで素潜り漁を敢行した。
貫手で魚を突き刺して捕獲し、浜辺の焚き火で串焼きにする。
皮がパリッと焼け、脂が滴るその身に、ミリアが恭しく差し出した「秘伝の黒い雫(ショーユ)」を一振り。
ジュワッ……。
焦げたショーユの香ばしい匂いが、鼻腔をくすぐり、脳髄を直撃する。
わたしは焼きたての魚にかぶりつき、天を仰いだ。
「……~~~ッッ!!」
言葉にならない。
ただ、身体中の細胞が歓喜しているのがわかる。
「……こういうのがいいのよ。こういうのが」
変に凝ったソースも、魔力で飾った宮廷料理もいらない。
塩と炎と、ショーユ。これだけで、世界は完成するのだ。
――漂着、2日目:夕方。
魚とカニだけでは物足りない。やはり、力が出るのは肉だ。
そう思っていた矢先、ドシン、ドシンと地響きが近づいてきた。
島の奥地から現れたのは、全長10メートルはあろうかという、ティラノサウルス級の巨大肉食魔獣だった。
「ギャオオオオオッ!!」
咆哮と共に襲いかかってくる巨獣。
だが、わたしの目には恐怖など映らない。映っているのは、極上の「赤身肉」だ。
「……いいサシが入ってそうね。合格よ」
わたしはリアネイキッドチョークで絞め落とし、手刀と貫手で即座に解体した。
熱した平らな岩の上で、分厚いステーキ肉を焼く。ミリア特製「激辛スパイス」と「ニンニクミソ」をたっぷりと塗りたくる。
ジューッ!!
暴力的なまでの肉の焼ける音と匂い。
わたしは焼けた肉をガブリといく。溢れる肉汁、スパイスの刺激。
そして、ミリアがリュックの底から取り出し、飯盒で炊き上げた白飯をかっこむ。
「(……肉! 米! ミソ! このコンボ攻撃、防げるはずがない!)」
箸代わりの木の枝が止まらない。
肉を食う、米を食う、肉を食う。
身体の奥底から、原始的なエネルギーがマグマのように湧き上がってくる。
わたしは心の中で咆哮した。
「……うおォオン! 今わたしは、人間発電所よ!!」
「出たー! そのネタ! もう隠す気ないでしょ!?」
アリスが頭を抱えて叫ぶ。
「レヴィちゃん、顔が……顔が『おっさん』みたいになってるよ!?」
そんなツッコミも、今のわたしには心地よいBGMだ。
わたしは満ち足りた気分で爪楊枝(魚の骨)をくわえ、夜空を見上げた。
「……ふぅ。いい『戦い』だったわ」
拠点はできた。次は食料だ。
ミリアのリュックには、奇跡的に無事だった調味料(ミソ・ショーユ・スパイス)と、緊急用の乾燥米が入っていたが、メインとなる食材がない。
「腹が減っては戦はできないわね。……行ってくるわ」
わたしは空腹を訴える胃袋をさすりながら、単身ジャングルへと足を踏み入れた。
魔力強化が使えなくとも、わたしの五感は野生の獣並みに研ぎ澄まされている。
ガサガサ……。
茂みが揺れる。
現れたのは、犬ほどの大きさがある巨大なヤシガニだった。強靭なハサミを振り上げ、生意気にもこちらを威嚇してくる。
「……ふん、雑魚ね」
わたしはあくびを噛み殺しながら近づき、振り下ろされたハサミを素手で受け止めた。
そして、そのままデコピン一閃。
バチンッ!!
硬い甲羅が粉砕され、ヤシガニは沈黙した。
その後も、川辺に行けばサワガニ(の魔獣)が群れをなして襲ってきたので「数で来るとは小賢しい」と一網打尽にし、海辺に戻れば浅瀬にいたタカアシガニ(深海魔獣)を発見して「あら大物」と引っこ抜いた。
拠点に戻り、並べられた大量のカニ、カニ、カニ。
わたしは腕組みをして、積み上がった甲殻類の山を見下ろした。
(……いけない。空腹のあまり、手当たり次第に狩りすぎてしまったわ)
わたしは額に手を当て、ハードボイルドに思考した。
それでも命を奪った以上、当然美味しくいただくのが私の流儀だ。
慌てるんじゃない。わたしはただ腹が減っている、それだけなのだ。
(ヤシガニは刺身で、サワガニはミリアの調味料で唐揚げに、タカアシガニは磯に穴を開けて海水と焼いた石を放り込めば塩茹でにできるわね。それにしても――)
「……しまったわ。カニがかぶってしまったわね」
アリスが「市場の競り場か!」とツッコミを入れるのを他所に、わたしは無言でヤシガニの硬い殻を素手でバキィッ! とへし折り、身を貪った。
「(……んんっ。この、野性味あふれる濃い味。……いいじゃないか、いいじゃないか)」
――漂着、2日目:昼。
カニだけでは喉が渇く。
わたしは海へダイブし、魔力なしの肺活量と筋力だけで素潜り漁を敢行した。
貫手で魚を突き刺して捕獲し、浜辺の焚き火で串焼きにする。
皮がパリッと焼け、脂が滴るその身に、ミリアが恭しく差し出した「秘伝の黒い雫(ショーユ)」を一振り。
ジュワッ……。
焦げたショーユの香ばしい匂いが、鼻腔をくすぐり、脳髄を直撃する。
わたしは焼きたての魚にかぶりつき、天を仰いだ。
「……~~~ッッ!!」
言葉にならない。
ただ、身体中の細胞が歓喜しているのがわかる。
「……こういうのがいいのよ。こういうのが」
変に凝ったソースも、魔力で飾った宮廷料理もいらない。
塩と炎と、ショーユ。これだけで、世界は完成するのだ。
――漂着、2日目:夕方。
魚とカニだけでは物足りない。やはり、力が出るのは肉だ。
そう思っていた矢先、ドシン、ドシンと地響きが近づいてきた。
島の奥地から現れたのは、全長10メートルはあろうかという、ティラノサウルス級の巨大肉食魔獣だった。
「ギャオオオオオッ!!」
咆哮と共に襲いかかってくる巨獣。
だが、わたしの目には恐怖など映らない。映っているのは、極上の「赤身肉」だ。
「……いいサシが入ってそうね。合格よ」
わたしはリアネイキッドチョークで絞め落とし、手刀と貫手で即座に解体した。
熱した平らな岩の上で、分厚いステーキ肉を焼く。ミリア特製「激辛スパイス」と「ニンニクミソ」をたっぷりと塗りたくる。
ジューッ!!
暴力的なまでの肉の焼ける音と匂い。
わたしは焼けた肉をガブリといく。溢れる肉汁、スパイスの刺激。
そして、ミリアがリュックの底から取り出し、飯盒で炊き上げた白飯をかっこむ。
「(……肉! 米! ミソ! このコンボ攻撃、防げるはずがない!)」
箸代わりの木の枝が止まらない。
肉を食う、米を食う、肉を食う。
身体の奥底から、原始的なエネルギーがマグマのように湧き上がってくる。
わたしは心の中で咆哮した。
「……うおォオン! 今わたしは、人間発電所よ!!」
「出たー! そのネタ! もう隠す気ないでしょ!?」
アリスが頭を抱えて叫ぶ。
「レヴィちゃん、顔が……顔が『おっさん』みたいになってるよ!?」
そんなツッコミも、今のわたしには心地よいBGMだ。
わたしは満ち足りた気分で爪楊枝(魚の骨)をくわえ、夜空を見上げた。
「……ふぅ。いい『戦い』だったわ」
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