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【第10部】東の島国・トヨノクニ開国(物理)編 ~悪役令嬢、黒船になる。鎖国? ならば「開国(物理)」して、美味しいお米と温泉をいただきます
第097話 対テロ・プロレス:自爆する暇があったらおにぎりを食え! 関節技(サブミッション)は「生」の痛みです
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ジャァァァンジャァァァンジャァァァン!!
カァンッッ!!
戦場に、ゴング代わりの銅鑼の音が響き渡った。
同時に、ミリアがフライパンをオタマで叩く音も響く。わたしにはこちらの方が馴染みがいい。
「さあ、極めっこの時間よ! 総員、かかりなさい!」
わたしの号令と共に、武装解除した黒鉄隊の面々が、素手で暴徒たちに突撃した。
「ぐわぁぁぁ! 死なせてくれぇ! 極楽へ行くんだぁ!」
信者たちが叫びながら、胸の魔石を光らせて自爆しようとする。
だが、黒鉄隊は怯まない。
彼らは日々の開墾作業で培った強靭な足腰で信者たちの懐に潜り込むと、その体をガシッと抱え込んだ。ついでとばかりに手足の関節を有り得ない方向に曲げて動きを封じる。
黒鉄流組み打ち術――その技術はまだ拙いが、死にたがりを制圧するには十分過ぎるほどだ。
「死なせるかよ! 生きて畑を耕すんだ!」
「極楽? ……こっちの地獄の方がマシだぜ!」
タックル。胴タックル。片足タックル。
暴れる信者を地面に押し倒し、手足を押さえ込んで極める。
そこへ、わたしとノブナガが乱入した。
「そこだ! 甘いぞ!」
ノブナガが、自爆しようとしている大柄な僧兵の背後に回り込む。
そして、その太い首に腕を巻き付けた。
「落ちよ! ――『裸絞め』ッ!!」
「ぐ、ぐぐぐ……!?」
僧兵が白目を剥いて泡を吹く。意識が落ちれば、自爆の詠唱も止まる。
殺しはしない。ただ、強制的に「シャットダウン」させるのみ。
一方、わたしは。
「痛くないですって? ……なら、思い出させてあげるわ!」
わたしは「死こそ救い」と叫ぶ男の腕を取り、関節の可動域ギリギリまでねじり上げた。
「――『脇固め』ッ!!」
グリッギチチィッッ!!
骨がきしむ音。神経を直接やすりで削られるような、生物として耐え難い激痛。
「ぎゃあああああああああッッ!!??」
男の口から、経文や聖歌ではなく、獣のような絶叫がほとばしった。
涙が、鼻水が、涎が溢れ出す。
痛い。痛い。痛い。
その強烈な「生体信号」が、脳内を支配していた「死への甘い誘惑」を、物理的に上書きしていく。
「どう!? 痛いでしょう!? 苦しいでしょう!?」
わたしは冷酷に、けれど諭すように彼を見下ろした。
「それが『生きている』ってことよ! ……死んだら痛みも感じない! 悔しさも、空腹も感じない! そんな虚無のどこが楽しいのよッ!!」
魔石の光が明滅する。
「死にたい」という意志が、「痛い(=死にたくない)」という本能に負け始めている。
「仕上げよ、ミリア!」
「はいッ! 特製『タカニシキ』塩むすび、投入します!」
ミリア率いる「給食部隊」が、黒鉄隊によって拘束され関節を極められ、激痛で口をあんぐりと開けた信者たちの元へ走る。
そして、問答無用でその口に、握り飯をねじ込んだ。
「むぐっ!? ……ん、んぐ……!?」
強制的な咀嚼。
口いっぱいに広がる、米の甘み。強めの塩気。そして、作り手の温もり。
薬物による幻覚よりも強烈な、「現実」の味が脳髄を直撃する。
「……う、まい……」
「なんだこれ……あったかい……」
「母ちゃんの……味がする……」
信者たちの目から、ボロボロと涙がこぼれ落ちる。
胸の魔石の光が、急速に弱まり、やがて消滅した。
「死にたい」という虚ろな願望が、「もっと食べたい」「生きたい」という本能に敗北した瞬間だった。
「ば、馬鹿な……!? 私の脚本が……完璧な悲劇が……!」
ピエロが指揮棒を取り落とし、震える。
彼の目の前で繰り広げられているのは、悲壮な集団自決ではない。
泥まみれのおっさんたちが取っ組み合い、泣きながらおにぎりを食うという、暑苦しくも泥臭い「生」の宴だ。
「貴様の演出など、退屈すぎて欠伸が出るわ!」
わたしはピエロを見上げ、鉄扇を開いた。
「ここはもう、わたしたちのリングよ。……さあ、アンタも降りてきなさい。たっぷり『教育』してあげるから」
「ひ、ひぃぃッ! 覚えていろ! この国は必ず滅びるのだぁぁ!」
ピエロは懐から煙玉を取り出し、地面に叩きつけた。
ボンッ! と紫色の煙が舞い上がり、彼の姿を隠す。
逃走用の煙幕だ。
「……逃がすとでも?」
わたしは一歩も動かず、鉄扇を一振りした。
バォンッ!!
強烈な風圧が巻き起こり、紫色の煙を一瞬で吹き飛ばした。
煙が晴れた先には、抜き足差し足でコソコソと逃げようとしていたピエロの、間抜けな背中があった。
「あ」
ピエロが動きを止める。
その目の前には、いつの間にか回り込んでいたノブナガが、仁王立ちで待ち構えていた。
「どこへ行くつもりじゃ、道化師殿。……祭りはこれからだと言うのに」
「ひ、ひいいいッ!?」
ピエロが悲鳴を上げて後ずさる。
その背後には、わたしが立っていた。
退路はない。
「た、助けてくれぇぇ! こ、殺さないでくれぇぇ! 死にたくない、死にたくないよぉぉ!」
先ほどまで「死こそ救い」と高説を垂れていた男が、地面に頭を擦り付け、鼻水を垂らして命乞いをしている。
その無様な姿に、正気を取り戻した信者たちも冷ややかな目を向けている。
「あ、あら。死ぬのが幸せじゃなかったの?」
わたしは冷ややかに見下ろした。
「い、生きたい! 私はまだ生きたいんだ! 金も欲しいし、美味しいものも食べたい! だから助けてぇぇ!」
ピエロが本音を叫ぶ。
わたしはニヤリと笑い、彼を見下ろしたまま右手を掲げた。
「……よく言ったわ。それが『生への執着』よ。殺しはしないわ」
「へ……? じゃ、じゃあ……」
ピエロが安堵の表情を浮かべた、その瞬間。
カッ!
わたしの手の中に、魔力で構成された『贋作のパイプ椅子』が顕現した。
「ただし!」
ガシャァンッ!!!
「ぐえっ!?!?」
わたしは問答無用で、ピエロの脳天に椅子を振り下ろした。
「そのどうしようもない思想を矯正してからね……!」
座面が吹っ飛びが骨組みがすっぽりとハマり、ピエロの首に「趣味の悪い首飾り」のように装着される。
「――『恐怖の首飾り』。……お似合いよ、道化師さん」
わたしはすかさず、もう一脚の椅子を生成し、バットのように構えた。
目の前には、椅子を首から下げてフラフラしているピエロ。絶好のティーバッティングだ。
わたしは全身のバネを使い、腰を捻った。
狙うは、首飾りのど真ん中。
行き先は――遥か彼方の開拓村だ。
「死ぬ気で働きなさいッ!! ――『断罪のフルスイング』ッッ!!!」
ズガシャドォォォォォォンッ!!!
二つの椅子が激突する金属音と、ピエロの悲鳴が重なる。
衝撃は首飾りごとピエロの体を捉え、物理法則を無視した速度で弾き飛ばした。
「あ、ア~~~レ~~~~ッ!!?」
ピエロはきりもみ回転しながら高く高く舞い上がり、遥か彼方の空へと星になって消えていった。
キラッ☆
彼が落ちた先には、人手不足に悩む黒鉄隊の開墾部隊が待ち構えているはずだ。これからは鍬を持って、死ぬ気で働いてもらうとしよう。
戦場には、死体は一つもなかった。
あるのは、満腹で眠る人々と、空になった大量のおひつだけ。
「勝負あり、じゃな」
ノブナガが汗を拭いながら笑う。
こうして、わたしたちは「死の誘惑」に「食欲」と「物理」で打ち勝った。
これで後顧の憂いは断たれた。
次はいよいよ、この国の中心――京の都へ。
◆◆◆ 幕間:脚本家の憤怒 ~季節感という情緒はないのか~
エド城、天守閣の最上階。
将軍ムネノリの身体を乗っ取った「脚本家」は、水晶玉に映し出された国境の様子を見て、激しく動揺していた。
「な、なぜだ……? なぜ死なない!?」
彼は爪を噛んだ。
完璧だったはずだ。飢餓と絶望の果てに、救いを求めて自ら命を絶つ。その集団死こそが、この国を覆う「悲劇の結界」を完成させる最後のピースだったはずなのに。
「痛いから? 飯が美味いから? ……そんな、そんな動物的な理由で、私の崇高な脚本をキャンセルしたというのか!?」
彼は理解できなかった。
物語の美しさよりも、一杯の飯を優先する「生への執着」という泥臭いエネルギーを。
さらに、西の空を見れば、黄金色の光の柱が立ち上り、大地が急速に緑に覆われていく様子が見える。
アリスによる、龍脈の活性化だ。
「ば、馬鹿な……!? なんだあの光は!?」
脚本家は髪を掻きむしり、用意していた「疫病の壺」や「冷害の巻物」を床に叩きつけた。
「せめて!! 普通に米が実るまでのシーズンくらい待てないのかね君たちは!!」
彼は絶叫した。
「これじゃあ、疫病も! 悪天候も! 大地震も!! 何ひとつ間に合わんじゃないかァァァッ!! 種を撒いて5分で収穫!? 『過程』を楽しむという情緒はないのか貴様らには!!」
彼の悲鳴は、豊作を祝う民衆の歓声にかき消され、虚しくエド城内に響き渡った。
カァンッッ!!
戦場に、ゴング代わりの銅鑼の音が響き渡った。
同時に、ミリアがフライパンをオタマで叩く音も響く。わたしにはこちらの方が馴染みがいい。
「さあ、極めっこの時間よ! 総員、かかりなさい!」
わたしの号令と共に、武装解除した黒鉄隊の面々が、素手で暴徒たちに突撃した。
「ぐわぁぁぁ! 死なせてくれぇ! 極楽へ行くんだぁ!」
信者たちが叫びながら、胸の魔石を光らせて自爆しようとする。
だが、黒鉄隊は怯まない。
彼らは日々の開墾作業で培った強靭な足腰で信者たちの懐に潜り込むと、その体をガシッと抱え込んだ。ついでとばかりに手足の関節を有り得ない方向に曲げて動きを封じる。
黒鉄流組み打ち術――その技術はまだ拙いが、死にたがりを制圧するには十分過ぎるほどだ。
「死なせるかよ! 生きて畑を耕すんだ!」
「極楽? ……こっちの地獄の方がマシだぜ!」
タックル。胴タックル。片足タックル。
暴れる信者を地面に押し倒し、手足を押さえ込んで極める。
そこへ、わたしとノブナガが乱入した。
「そこだ! 甘いぞ!」
ノブナガが、自爆しようとしている大柄な僧兵の背後に回り込む。
そして、その太い首に腕を巻き付けた。
「落ちよ! ――『裸絞め』ッ!!」
「ぐ、ぐぐぐ……!?」
僧兵が白目を剥いて泡を吹く。意識が落ちれば、自爆の詠唱も止まる。
殺しはしない。ただ、強制的に「シャットダウン」させるのみ。
一方、わたしは。
「痛くないですって? ……なら、思い出させてあげるわ!」
わたしは「死こそ救い」と叫ぶ男の腕を取り、関節の可動域ギリギリまでねじり上げた。
「――『脇固め』ッ!!」
グリッギチチィッッ!!
骨がきしむ音。神経を直接やすりで削られるような、生物として耐え難い激痛。
「ぎゃあああああああああッッ!!??」
男の口から、経文や聖歌ではなく、獣のような絶叫がほとばしった。
涙が、鼻水が、涎が溢れ出す。
痛い。痛い。痛い。
その強烈な「生体信号」が、脳内を支配していた「死への甘い誘惑」を、物理的に上書きしていく。
「どう!? 痛いでしょう!? 苦しいでしょう!?」
わたしは冷酷に、けれど諭すように彼を見下ろした。
「それが『生きている』ってことよ! ……死んだら痛みも感じない! 悔しさも、空腹も感じない! そんな虚無のどこが楽しいのよッ!!」
魔石の光が明滅する。
「死にたい」という意志が、「痛い(=死にたくない)」という本能に負け始めている。
「仕上げよ、ミリア!」
「はいッ! 特製『タカニシキ』塩むすび、投入します!」
ミリア率いる「給食部隊」が、黒鉄隊によって拘束され関節を極められ、激痛で口をあんぐりと開けた信者たちの元へ走る。
そして、問答無用でその口に、握り飯をねじ込んだ。
「むぐっ!? ……ん、んぐ……!?」
強制的な咀嚼。
口いっぱいに広がる、米の甘み。強めの塩気。そして、作り手の温もり。
薬物による幻覚よりも強烈な、「現実」の味が脳髄を直撃する。
「……う、まい……」
「なんだこれ……あったかい……」
「母ちゃんの……味がする……」
信者たちの目から、ボロボロと涙がこぼれ落ちる。
胸の魔石の光が、急速に弱まり、やがて消滅した。
「死にたい」という虚ろな願望が、「もっと食べたい」「生きたい」という本能に敗北した瞬間だった。
「ば、馬鹿な……!? 私の脚本が……完璧な悲劇が……!」
ピエロが指揮棒を取り落とし、震える。
彼の目の前で繰り広げられているのは、悲壮な集団自決ではない。
泥まみれのおっさんたちが取っ組み合い、泣きながらおにぎりを食うという、暑苦しくも泥臭い「生」の宴だ。
「貴様の演出など、退屈すぎて欠伸が出るわ!」
わたしはピエロを見上げ、鉄扇を開いた。
「ここはもう、わたしたちのリングよ。……さあ、アンタも降りてきなさい。たっぷり『教育』してあげるから」
「ひ、ひぃぃッ! 覚えていろ! この国は必ず滅びるのだぁぁ!」
ピエロは懐から煙玉を取り出し、地面に叩きつけた。
ボンッ! と紫色の煙が舞い上がり、彼の姿を隠す。
逃走用の煙幕だ。
「……逃がすとでも?」
わたしは一歩も動かず、鉄扇を一振りした。
バォンッ!!
強烈な風圧が巻き起こり、紫色の煙を一瞬で吹き飛ばした。
煙が晴れた先には、抜き足差し足でコソコソと逃げようとしていたピエロの、間抜けな背中があった。
「あ」
ピエロが動きを止める。
その目の前には、いつの間にか回り込んでいたノブナガが、仁王立ちで待ち構えていた。
「どこへ行くつもりじゃ、道化師殿。……祭りはこれからだと言うのに」
「ひ、ひいいいッ!?」
ピエロが悲鳴を上げて後ずさる。
その背後には、わたしが立っていた。
退路はない。
「た、助けてくれぇぇ! こ、殺さないでくれぇぇ! 死にたくない、死にたくないよぉぉ!」
先ほどまで「死こそ救い」と高説を垂れていた男が、地面に頭を擦り付け、鼻水を垂らして命乞いをしている。
その無様な姿に、正気を取り戻した信者たちも冷ややかな目を向けている。
「あ、あら。死ぬのが幸せじゃなかったの?」
わたしは冷ややかに見下ろした。
「い、生きたい! 私はまだ生きたいんだ! 金も欲しいし、美味しいものも食べたい! だから助けてぇぇ!」
ピエロが本音を叫ぶ。
わたしはニヤリと笑い、彼を見下ろしたまま右手を掲げた。
「……よく言ったわ。それが『生への執着』よ。殺しはしないわ」
「へ……? じゃ、じゃあ……」
ピエロが安堵の表情を浮かべた、その瞬間。
カッ!
わたしの手の中に、魔力で構成された『贋作のパイプ椅子』が顕現した。
「ただし!」
ガシャァンッ!!!
「ぐえっ!?!?」
わたしは問答無用で、ピエロの脳天に椅子を振り下ろした。
「そのどうしようもない思想を矯正してからね……!」
座面が吹っ飛びが骨組みがすっぽりとハマり、ピエロの首に「趣味の悪い首飾り」のように装着される。
「――『恐怖の首飾り』。……お似合いよ、道化師さん」
わたしはすかさず、もう一脚の椅子を生成し、バットのように構えた。
目の前には、椅子を首から下げてフラフラしているピエロ。絶好のティーバッティングだ。
わたしは全身のバネを使い、腰を捻った。
狙うは、首飾りのど真ん中。
行き先は――遥か彼方の開拓村だ。
「死ぬ気で働きなさいッ!! ――『断罪のフルスイング』ッッ!!!」
ズガシャドォォォォォォンッ!!!
二つの椅子が激突する金属音と、ピエロの悲鳴が重なる。
衝撃は首飾りごとピエロの体を捉え、物理法則を無視した速度で弾き飛ばした。
「あ、ア~~~レ~~~~ッ!!?」
ピエロはきりもみ回転しながら高く高く舞い上がり、遥か彼方の空へと星になって消えていった。
キラッ☆
彼が落ちた先には、人手不足に悩む黒鉄隊の開墾部隊が待ち構えているはずだ。これからは鍬を持って、死ぬ気で働いてもらうとしよう。
戦場には、死体は一つもなかった。
あるのは、満腹で眠る人々と、空になった大量のおひつだけ。
「勝負あり、じゃな」
ノブナガが汗を拭いながら笑う。
こうして、わたしたちは「死の誘惑」に「食欲」と「物理」で打ち勝った。
これで後顧の憂いは断たれた。
次はいよいよ、この国の中心――京の都へ。
◆◆◆ 幕間:脚本家の憤怒 ~季節感という情緒はないのか~
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「な、なぜだ……? なぜ死なない!?」
彼は爪を噛んだ。
完璧だったはずだ。飢餓と絶望の果てに、救いを求めて自ら命を絶つ。その集団死こそが、この国を覆う「悲劇の結界」を完成させる最後のピースだったはずなのに。
「痛いから? 飯が美味いから? ……そんな、そんな動物的な理由で、私の崇高な脚本をキャンセルしたというのか!?」
彼は理解できなかった。
物語の美しさよりも、一杯の飯を優先する「生への執着」という泥臭いエネルギーを。
さらに、西の空を見れば、黄金色の光の柱が立ち上り、大地が急速に緑に覆われていく様子が見える。
アリスによる、龍脈の活性化だ。
「ば、馬鹿な……!? なんだあの光は!?」
脚本家は髪を掻きむしり、用意していた「疫病の壺」や「冷害の巻物」を床に叩きつけた。
「せめて!! 普通に米が実るまでのシーズンくらい待てないのかね君たちは!!」
彼は絶叫した。
「これじゃあ、疫病も! 悪天候も! 大地震も!! 何ひとつ間に合わんじゃないかァァァッ!! 種を撒いて5分で収穫!? 『過程』を楽しむという情緒はないのか貴様らには!!」
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