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【第11部】トヨノクニ黄金狂時代(ジパング・ラプソディ) ~技術と筋肉の力技で、数百年分の文明開化を「強制執行」しますわ~
第124話 オダ家のさらなるODA(政府開発援助):侵略とは「支援」することと見つけたり。……隣国を「耕し」に行きますわ
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御前会議によって、大名たちの意識は「武士」から「経営者」へと切り替わった。
だが、意識が変わったからといって、すぐに実態が変わるわけではない。
彼らの領地は長年の戦乱で疲弊し、インフラはボロボロ、技術も資金もない状態だ。
そこで発動されたのが、ノブナガとミリアが考案した新政策。
名付けて『オダ家のさらなるODA(Oda's Development Aggression:オダ家によるさらなる開発侵略)』である。
表向きは「政府開発援助」。
実態は、オワリ領や畿内周辺を平らげた時と同じ理屈。つまりは「金と技術と物理で相手の首根っこを掴み、逃げられないようにする経済的併合」だ。
◆南の国・サツマ(シマズ領)◆
トヨノクニ最南端。火山と密林に覆われたこの地は、凶暴な魔獣が跋扈する修羅の国だ。
領主シマズ・ヨシヒサは、会議の後も渋っていた。
「……商売、商売と言うがな。サツマ隼人は戦ってこそじゃ。魔導計算機など弾いておれるか!」
彼は武闘派だ。戦うことが生き甲斐であり、平和な商売など性に合わない。
そんな彼の城の前の海から、腹に響くような重低音が轟いた。
『ヌゥォオオオォォォォォン…………!!』
「な、なんだ!? 海魔か!?」
シマズがテラスへ飛び出すと、沖合に見たこともない巨大な漆黒の船――魔導戦艦ヴィータヴェン号が停泊していた。
そして、その船腹から次々と小型のボートが吐き出され、白波を立てて浜へと殺到してくる。
「敵襲か!? いや、あれは……!」
ザザァッ!!
先頭のボートが砂浜に乗り上げる。
そこから飛び降りたのは、パイプ椅子を担いだレヴィーネと、魔導計算機を持ったミリアだ。
二人は悠然と城門の前まで歩み寄る。
「ごきげんよう、シマズさん。……『害獣駆除』のお手伝いに来ましたわ」
「レヴィーネ殿!?」
レヴィーネはニッコリと笑い、背後の密林を指差した。
「この森、魔獣が多いんでしょう? そのせいで開墾が進まないとか」
「う、うむ。だが、それがサツマの防壁でもあり……」
「邪魔よ。……全部『素材』に変えましょう」
レヴィーネが合図を送ると、後続の上陸用舟艇から、完全武装した黒鉄隊と、V&C商会の解体班が次々と浜に展開した。
その手際の良い動きは、農民や商人というよりは、手練れの海兵隊のようだ。
「突撃ィィィッ! 今日のノルマはギガントベア三頭だァッ!」
「皮を傷つけるなよ! 高く売れるんだからな!」
「解体班、コンテナ用意! 鮮度が落ちないうちに氷漬けにするぞ!」
凄まじい勢いで森へ雪崩れ込む黒鉄隊。
彼らはパワードスーツの怪力で魔獣をねじ伏せ、その場で解体し、次々とボートへ積み込んでいく。
戦闘があっという間に「収穫作業」へと変わっていく。
「な、なんという……! 我が精鋭でも苦戦する魔獣どもを、こうも簡単に!」
驚愕するシマズに、ミリアが契約書を突きつけた。
「シマズ様。貴領には『魔獣狩りギルド』の本部を置いていただきます。戦うことがお好きなのでしょう? でしたら、これからは『商品』としての魔獣を狩ってください。獲れた素材は全てV&C商会が買い取ります。その金で、タカニシキと最新鋭の武器を買えば、もっと強い魔獣と戦えますよ? もちろん初期投資として魔導外骨格や専用兵装は格安でお貸しいたしますわ」
戦って、稼いで、飯を食って、もっと強くなる。
そのシンプルなサイクル(戦闘民族の永久機関)を提示され、シマズの目が輝いた。
「……なるほど! 戦いが金になり、金が力になるか! 理に叶っておる!」
「ええ。侵略ではありません。……『業務提携』です」
こうして、サツマは世界有数の「魔獣素材供給地」として生まれ変わった。
◆東の山国・カイ(タケダ領)◆
一方、山岳地帯を治めるタケダ・シンゲンの悩みは「物流」だった。
山深く、鉱山はあるが道がない。掘ったものを運べないのだ。
「風林火山……動かざること山の如しと言うが、本当に動けんのは困るのう」
頭を抱えるシンゲンの元へ、轟音と共に一台の車両が突っ込んできた。
ドワーフ・ガンテツと、からくり・ギエモンが乗る「魔導トラック・試作重機仕様」だ。
「道がねえなら作ればいい! どきな、ヒゲ親父!」
ガンテツがレバーを倒すと、トラックの前面に取り付けられた巨大な魔導ドリルとブレードが回転を始めた。
ガガガガガガッ!!
岩盤が豆腐のように砕かれ、木々が薙ぎ倒されていく。
後ろからは、黒鉄組の舗装部隊が続き、あっという間に平らな「産業道路」が出来上がっていく。
「は、速きこと風の如し……!? いや、それ以上じゃ!」
シンゲンが腰を抜かす。
そこへ、ミリア(通信機越し)からの連絡が入る。
『タケダ様。トンネル開通工事費と道路整備費は、採掘される魔石の「30年分の独占採掘権」で相殺させていただきます。……サインをお願いしますね』
「30年!? ちと長くないか!?」
『あら、嫌なら工事を中止して、道を元に戻(埋め)しますが?』
「……サインする! すぐする!」
こうして、カイの山々はトンネルでぶち抜かれ、V&C商会のトラックが昼夜を問わず走り回る「鉱業都市」へと変貌した。
◆オワリ城・天守閣◆
各地からの報告を聞きながら、ノブナガは満足げに酒を煽っていた。
「カッカッカ! 見ろ、レヴィーネ。サツマが魔獣の牙を抜き、カイが山を開いた。かつての敵が、今や我らの手足となって働いておる!」
「人聞きの悪いことを言わないで、大社長」
わたしはタケダ領から届いたばかりの「松茸」を七輪で炙りながら、涼しい顔で答えた。
「大社長か! 気に入った! 響きがいいぞ!」
ノブナガが膝を打って喜ぶ。
「ええ、それぞれの領主が社長になったんだから、トヨノクニHDのトップのあなたは『大社長』、でしょ?」
「なるほど、道理じゃ。……ならば、お主も黒鉄組の社長……いや、『組長』か?」
「やめてちょうだい、ヤクザじゃないんだから。わたしはあくまでも『悪役令嬢』、よ」
「わっはっは! お主は変わらんな!」
ノブナガは愉快そうに笑い、焼けた松茸の香りを肴に酒を飲んだ。
わたしは焼きあがった松茸を裂き、塩とすだちを振って口に運んだ。
「国盗りの頃から変わらないオダ家のODAよ。……彼らは豊かになり、私たちは美味しい思いをする。誰も損をしていないじゃない?」
「然り然り! O・D・A! O・D・A! じゃな!」
武力による天下統一よりも、遥かに強固な支配。
それは「経済」と「胃袋」によるネットワークだ。
一度この味(利益とタカニシキ)を覚えたら、もう誰もトヨノクニHDから抜け出すことはできない。
こうして、国内の地盤は盤石となった。
次はいよいよ、溢れかえる富と技術を世界に見せつける番だ。
「……そろそろね」
わたしは焼けた松茸を頬張りながら、遠く西の空を見上げた。
「世界中の食通と金持ちに、招待状を送りつけましょうか。 ――『黄金の国を見に来なさい』ってね」
だが、意識が変わったからといって、すぐに実態が変わるわけではない。
彼らの領地は長年の戦乱で疲弊し、インフラはボロボロ、技術も資金もない状態だ。
そこで発動されたのが、ノブナガとミリアが考案した新政策。
名付けて『オダ家のさらなるODA(Oda's Development Aggression:オダ家によるさらなる開発侵略)』である。
表向きは「政府開発援助」。
実態は、オワリ領や畿内周辺を平らげた時と同じ理屈。つまりは「金と技術と物理で相手の首根っこを掴み、逃げられないようにする経済的併合」だ。
◆南の国・サツマ(シマズ領)◆
トヨノクニ最南端。火山と密林に覆われたこの地は、凶暴な魔獣が跋扈する修羅の国だ。
領主シマズ・ヨシヒサは、会議の後も渋っていた。
「……商売、商売と言うがな。サツマ隼人は戦ってこそじゃ。魔導計算機など弾いておれるか!」
彼は武闘派だ。戦うことが生き甲斐であり、平和な商売など性に合わない。
そんな彼の城の前の海から、腹に響くような重低音が轟いた。
『ヌゥォオオオォォォォォン…………!!』
「な、なんだ!? 海魔か!?」
シマズがテラスへ飛び出すと、沖合に見たこともない巨大な漆黒の船――魔導戦艦ヴィータヴェン号が停泊していた。
そして、その船腹から次々と小型のボートが吐き出され、白波を立てて浜へと殺到してくる。
「敵襲か!? いや、あれは……!」
ザザァッ!!
先頭のボートが砂浜に乗り上げる。
そこから飛び降りたのは、パイプ椅子を担いだレヴィーネと、魔導計算機を持ったミリアだ。
二人は悠然と城門の前まで歩み寄る。
「ごきげんよう、シマズさん。……『害獣駆除』のお手伝いに来ましたわ」
「レヴィーネ殿!?」
レヴィーネはニッコリと笑い、背後の密林を指差した。
「この森、魔獣が多いんでしょう? そのせいで開墾が進まないとか」
「う、うむ。だが、それがサツマの防壁でもあり……」
「邪魔よ。……全部『素材』に変えましょう」
レヴィーネが合図を送ると、後続の上陸用舟艇から、完全武装した黒鉄隊と、V&C商会の解体班が次々と浜に展開した。
その手際の良い動きは、農民や商人というよりは、手練れの海兵隊のようだ。
「突撃ィィィッ! 今日のノルマはギガントベア三頭だァッ!」
「皮を傷つけるなよ! 高く売れるんだからな!」
「解体班、コンテナ用意! 鮮度が落ちないうちに氷漬けにするぞ!」
凄まじい勢いで森へ雪崩れ込む黒鉄隊。
彼らはパワードスーツの怪力で魔獣をねじ伏せ、その場で解体し、次々とボートへ積み込んでいく。
戦闘があっという間に「収穫作業」へと変わっていく。
「な、なんという……! 我が精鋭でも苦戦する魔獣どもを、こうも簡単に!」
驚愕するシマズに、ミリアが契約書を突きつけた。
「シマズ様。貴領には『魔獣狩りギルド』の本部を置いていただきます。戦うことがお好きなのでしょう? でしたら、これからは『商品』としての魔獣を狩ってください。獲れた素材は全てV&C商会が買い取ります。その金で、タカニシキと最新鋭の武器を買えば、もっと強い魔獣と戦えますよ? もちろん初期投資として魔導外骨格や専用兵装は格安でお貸しいたしますわ」
戦って、稼いで、飯を食って、もっと強くなる。
そのシンプルなサイクル(戦闘民族の永久機関)を提示され、シマズの目が輝いた。
「……なるほど! 戦いが金になり、金が力になるか! 理に叶っておる!」
「ええ。侵略ではありません。……『業務提携』です」
こうして、サツマは世界有数の「魔獣素材供給地」として生まれ変わった。
◆東の山国・カイ(タケダ領)◆
一方、山岳地帯を治めるタケダ・シンゲンの悩みは「物流」だった。
山深く、鉱山はあるが道がない。掘ったものを運べないのだ。
「風林火山……動かざること山の如しと言うが、本当に動けんのは困るのう」
頭を抱えるシンゲンの元へ、轟音と共に一台の車両が突っ込んできた。
ドワーフ・ガンテツと、からくり・ギエモンが乗る「魔導トラック・試作重機仕様」だ。
「道がねえなら作ればいい! どきな、ヒゲ親父!」
ガンテツがレバーを倒すと、トラックの前面に取り付けられた巨大な魔導ドリルとブレードが回転を始めた。
ガガガガガガッ!!
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後ろからは、黒鉄組の舗装部隊が続き、あっという間に平らな「産業道路」が出来上がっていく。
「は、速きこと風の如し……!? いや、それ以上じゃ!」
シンゲンが腰を抜かす。
そこへ、ミリア(通信機越し)からの連絡が入る。
『タケダ様。トンネル開通工事費と道路整備費は、採掘される魔石の「30年分の独占採掘権」で相殺させていただきます。……サインをお願いしますね』
「30年!? ちと長くないか!?」
『あら、嫌なら工事を中止して、道を元に戻(埋め)しますが?』
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こうして、カイの山々はトンネルでぶち抜かれ、V&C商会のトラックが昼夜を問わず走り回る「鉱業都市」へと変貌した。
◆オワリ城・天守閣◆
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「なるほど、道理じゃ。……ならば、お主も黒鉄組の社長……いや、『組長』か?」
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わたしは焼きあがった松茸を裂き、塩とすだちを振って口に運んだ。
「国盗りの頃から変わらないオダ家のODAよ。……彼らは豊かになり、私たちは美味しい思いをする。誰も損をしていないじゃない?」
「然り然り! O・D・A! O・D・A! じゃな!」
武力による天下統一よりも、遥かに強固な支配。
それは「経済」と「胃袋」によるネットワークだ。
一度この味(利益とタカニシキ)を覚えたら、もう誰もトヨノクニHDから抜け出すことはできない。
こうして、国内の地盤は盤石となった。
次はいよいよ、溢れかえる富と技術を世界に見せつける番だ。
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