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【第14部】天空の箱舟・物理ハッキング編 ~古代兵器(野菜)は「ちゃんこ」の具材、セキュリティは「パイプ椅子」でこじ開けます~
第148話 聖女の説得と天空ちゃんこ:「いただきます」は、命を繋ぐ魔法の言葉です
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野菜モンスターの群れを「収穫」し終え、静寂を取り戻した天蓋都市。
わたしは、積み上げた大根の山に腰を下ろした瞬間、ふわりと世界が回るような感覚に襲われた。
「……ふぅ」
無意識に額に手を当てる。
指先が冷たい。全身の血流がドクドクと警鐘を鳴らしているのが分かる。
「レヴィーネ様!?」
「レヴィちゃん!?」
異変を察知したミリアとアリスが、慌てて駆け寄ってくる。
わたしはドレスの裾を強く握りしめ、努めて優雅に微笑んでみせた。
「……平気よ。ただ、ちょっと燃費が悪かったみたいね」
原因は明白だ。
ここに来る直前、あの規格外の機械龍相手に、渾身の『漆黒の玉座』をぶちかましたからだ。
あれは、わたしの魔力貯蔵量の半分を一撃で持っていく大技。その後の野菜たちとの連戦で、さすがに底が見え始めていた。
魔力欠乏。
このままでは、次の「大仕事(ハッキング)」に支障が出る。
『……分析。対象の生体エネルギー残存量、低下。……やはり人間は脆弱ですね』
空中に浮かぶデメテルのホログラムが、ここぞとばかりに勝ち誇った声を上げる。
彼女の目には、哀れみと侮蔑が混ざっていた。
『肉体という不便な器を持つがゆえの限界です。このまま消耗すれば、貴女たちは飢えと寒さで自滅するでしょう。さあ、大人しく撤退を……』
グゥゥゥゥゥ…………。
デメテルの警告を遮るように、盛大な腹の虫が鳴り響いた。
静寂の天蓋都市に、あまりにも場違いな、けれど生命力に満ちた音が木霊する。
「……あ」
アリスとミリアが顔を見合わせる。
音の主は、間違いなくわたしだ。
わたしは真っ赤になるどころか、逆に真剣な顔で腹をさすった。
空腹。それは生命が「生きたい」と叫ぶ音だ。恥じることなど何もない。
「……デメテル。貴女、いいことを言いましたわね」
『は?』
「『飢え』は敵ですわ。……ですから、戦う前に『補給』させていただきます!」
わたしはバッと立ち上がり、鉄扇でミリアを指差した。
「総員、野営準備! ミリア、四次元リュックから調理器具一式を! アリス、水魔法の準備を! ……ここで『天空ちゃんこ』を作りますわよ!」
「はぁいっ! 待ってましたぁ!」
「了解です! ……まさかこんなところで、ちゃんこを作るとはさすがレヴィーネ様……!」
◆◆◆
数分後。
天蓋都市の中央広場――人類の遺産が眠る聖域のど真ん中に、場違いな、しかし極上の香りが漂い始めた。
ミリアがリュックから取り出したのは、野営用の魔導コンロと、何十人前だよと言いたくなるような巨大な寸胴鍋。
まずはスープ作りだ。
「アリス! お水をお願い!」
「まかせて! ……聖水生成!」
アリスが杖を振ると、キラキラと輝く清浄な水が鍋を満たす。
ただの水ではない。聖女アリスの純粋な魔力が込められた、ポーション並みの回復効果を持つ特級聖水だ。
これだけで、そこらの高級エリクサーよりも価値がある。
「そこへ……先ほど収穫した『人食いトマト』を投入!」
わたしは、真っ赤に熟れた巨大トマトを手で握りつぶし、皮ごと豪快に鍋へ放り込んだ。
グツグツと煮立つ聖水の中でトマトが崩れ、スープが鮮やかなルビー色に染まっていく。
立ち上る湯気には、太陽の恵みを凝縮したような甘酸っぱい香りが含まれている。
「さらに隠し味! トヨノクニの海で獲れた雑魚を乾燥粉末にした『特製魚粉パウダー』!」
パラパラと黄金色の粉を振りかける。
トマトの酸味ある香りに、魚介の芳醇な旨味と潮の香りが重なり、複雑なハーモニーを奏で始める。
イタリアンと和の融合。
『……な、何をしているのですか? 神聖な保存区画で、煮炊きなど……』
デメテルが狼狽しているが、無視だ。
わたしはミリアからとある容器を受け取った。
「そして味の決め手はこれ! V&C商会謹製、熟成期間を倍にした『トヨノクニ極み味噌』!」
ドボン。
赤褐色の味噌を溶かし入れると、その香りは爆発的に広がった。
トマトのグルタミン酸と、味噌の旨味成分。そして魚粉のイノシン酸。
これぞ、旨味の相乗効果だ。
香ばしく、どこか懐かしく、けれど強烈に食欲をそそる匂いが、無機質な都市空間を侵食していく。
「具材はどうしますか!?」
「こうしますわ!」
わたしはミリアからピーラーを受け取ると、さっき倒した巨大大根に向き合った。
シュッシュッシュッ!
目にも留まらぬ速さで、大根をリボンのように薄く、長く削いでいく。
「この『歩く大根』、筋肉質だから普通に切ると固いのよ。でも、こうして薄く削げば……スープを吸って最高の麺になりますわ!」
鍋に投入。
薄い大根は瞬時に熱が通り、スープの旨味を吸ってトロトロの半透明に変わる。
「レヴィーネ様! 大根の皮も持ち帰ってよろしいですか? あとできんぴらにします!」
ミリアが剥いた大量の皮を集めながら目を輝かせる。
「ええ、もちろんよ。……おや? アリス、あんたは何をしているの?」
見れば、アリスは大根の葉っぱを丁寧に切り落とし、水洗いして大事そうに抱えていた。
「へへへ。この葉っぱ、あとで細かく刻んで人参と一緒に醤油炒めにするんだ! 胡麻油を垂らして……絶対に美味しいのができるよ! ご飯泥棒だよ!」
「……ふふ。いい心がけね」
アリスが語る「ご飯泥棒」という言葉の響きに、彼女の前世――あるいはかつての生活の記憶が垣間見える。
わたしは微笑み、次なる具材を手にした。
先ほど襲ってきた「ボム・ガーリック」だ。強烈な催涙ガスを放つ厄介な敵だったが、加熱してしまえばこっちのものだ。
「臭気攻撃をしてきたこのニンニクも、すりおろして投入!」
「あ、刃物みたいに鋭かった『ブレード・スピナッチ(ほうれん草)』も、ざく切りにして入れちゃいますね! 火を通せばクタッとして甘くなりますから!」
ミリアが手際よく葉野菜を放り込む。
そして。
「あっ! レヴィちゃん、これこれ! せっかくのコーンを忘れちゃダメだよ!」
アリスが、山盛りの黄色い粒を差し出した。
ドリル状に回転して襲ってきた「ドリル・コーン」の実だ。
「戦闘中にミリアちゃんが魔法で綺麗に外してくれたんだよ!」
「ええ。芯の部分も素晴らしい出汁が出そうです」
「芯はお米とバターと一緒に炊き込めば、最高のもろこしご飯になるね! 絶対持って帰ろう!」
キャッキャと食材談義に花を咲かせながら、コーンを鍋にザラザラと投入する。
鮮やかな黄色が、赤いスープに彩りを添える。
「それにしても、この食材のポテンシャル……。このトマトベースの鍋、商会の新メニューに加えましょう。原価計算……雑魚の乾燥粉末を使えばコストを抑えつつ旨味を……一杯あたり銀貨3枚で……利益率は……」
ミリアがブツブツと呟きながら、手帳に猛スピードで計算式を書き込んでいる。頼もしい限りだ。
「さらに! この保存庫にあった『古代豚』の試供品!」
デメテルが「あっ、それは貴重な!」と叫ぶのを無視して、霜降りのバラ肉を投入。
ジュワ……という音と共に、脂が溶け出し、スープにコクを与える。
「仕上げですわ! ……『アリス乳業の特濃バター』をひとかけら……!」
ジュワァァァ……。
バターが溶け、黄金色の油膜となってスープを覆う。
ニンニクのパンチ、味噌のコク、バターのまろやかさ。
その瞬間、広場を支配していた無機質な空気が完全に死んだ。
代わりに生まれたのは、暴力的で、背徳的で、抗うことのできない「食欲」という名の魔物。
「完成よ!」
わたしは鍋の蓋を開け、真っ白な湯気と共に宣言した。
「さあ……おあがりよ!」
◆◆◆
「いっただっきまーす!」
アリスが真っ先に椀を受け取り、ハフハフと口に運ぶ。
「んん~っ!! おいしぃぃぃ!!」
アリスが頬を押さえて悶絶する。
「熱っ、うまぁっ! トマトの酸味とお味噌のコクが最高! それにこのコーン、ぷちぷち弾けて甘ーい! 大根も麺みたいにズルズルいけちゃう! 噛むとジュワッてスープが出てくるよぉ!」
「……信じられません。これ、本当に1000年前のサンプル肉ですか!?」
ミリアも眼鏡を湯気で曇らせながら、箸が止まらない様子だ。
「古代豚の脂が甘い……口の中でとろけます。それにニンニクバターのパンチが効いていて、疲れが一気に吹き飛びます……!」
そして、わたしも椀を受け取り、スープを一口。
「…………ふぅ」
染み渡る。
アリスの聖水ベースだからだろうか。胃に落ちた瞬間、温かい熱と共に、魔力が爆発的に回復していくのが分かる。
枯渇しかけていた魔力回路に、黄金のエネルギーが満ちていく。
美味しい。ただそれだけで、魂の震えが止まる。
「……あー、生き返りますわ」
わたしは息をつき、遠巻きに見ているデメテルのホログラムに視線を向けた。
彼女は、まるでバグったかのように明滅し、鍋を凝視している。
「……デメテル。貴女もこっちにいらっしゃい」
『……私はAIです。食事など不要……』
彼女は頑なに拒絶する。
『それに、貴女たちは野蛮な略奪者です。私の子供たちを殺し、切り刻み、煮込んで……なんて残酷な……』
「違うよ、デメテルさん」
アリスが、大根を頬張りながら、穏やかな声で言った。
「略奪じゃないよ。……『いただきます』だよ」
『……いただきます?』
「うん。生きることは食べること。食べることは、命をいただくこと。……だから『いただきます』と『ごちそうさま』は、命を繋ぐ魔法の言葉なんだよ」
アリスは箸を置き、真っ直ぐにデメテルを見上げた。
その瞳には、聖女としての慈愛と、芯の強さが宿っていた。
それはかつてラノリアで、偽物の神に抗った時と同じ、真実の光だ。
「デメテルさん。貴女の心配はわかるよ。……人間は愚かだし、すぐ争うし、環境も壊すかもしれない。だから種を渡したくないって気持ちもわかる」
『肯定。過去のデータがそれを証明しています。地上は汚染され、人の心は荒廃している。ゆえに、この種子は渡せません。これは最後の希望なのです』
「違うよ」
アリスは首を振った。
「種は、植えてこそ希望なんだよ!」
『……植える?』
「そう。冷凍庫にしまっておくだけじゃ、それはただのデータだよ。……土にまみれて、水をやって、お日様を浴びて。そうやって育って初めて『命』になるんだよ」
彼女は、脇に置いてあった、綺麗に切り分けた大根の葉っぱを撫でた。
「私ね、見てきたの。トヨノクニの山奥や、サン・ルーチャの貧民街で。……お腹が空くと、人は心まで痩せちゃうんだって」
アリスの言葉に、わたしもかつての光景を思い出す。
飢えは、人の尊厳を奪う。正義も倫理も、空腹の前では無力だ。
「でもね、誰かに貰ったご飯は、食べればなくなる。……『配給』じゃ、その場しのぎにしかならないの」
アリスは胸に手を当てた。
「でも、自分たちで育てたご飯は、明日への力になるの」
『…………』
「厳しい土地でも、寒くても、戦争してても……子供たちが自分で育てて、収穫して、『美味しいね』って笑える未来を作りたいの! そのためには、どんな環境でも育つ、貴女の『強い子供たち』の力が必要なんだよ、お母さん!!」
お母さん。
その言葉に、デメテルの表情が大きく揺らいだ。
プログラムされた役割ではない。母親としての本能が、アリスの言葉に共鳴しているのだ。
「……さあ、食べてみて。貴女が守ってきた子供たちが、どう『化けた』か。皮も芯も無駄にせず愛された、その姿を確かめてごらんなさい」
わたしは小皿に取り分け、差し出した。
湯気の中には、野菜たちの命と、アリスたちの愛情が溶け込んでいる。
デメテルは迷った末、恐る恐る近づき、スープの湯気を解析し――そして、スプーンに触れるふり(データ同期)をした。
一瞬の静寂。
次の瞬間。
『――――ッ!?』
デメテルの瞳が、カッ! と見開かれた。
『警告、警告。……味覚センサー、オーバーフロー。……計測不能な「旨味数値」を検出。……これは、何ですか?』
彼女の声が震えている。
ホログラムの頬に、朱色が差したように見えた。
『酸味、塩味、甘味、脂質……すべてのバランスが黄金比で構成されています。トマトの酸味が脂を中和し、味噌のコクが野菜の甘みを引き立てている……』
ポロリ、と。
デメテルの目から、光の粒がこぼれた。
『それに……温かい。これが、「食事」……? ただの栄養補給ではない、精神を満たす情報の塊……』
「ええ。それが『美味しい』ということですわ」
わたしは空になった椀を置き、立ち上がった。
全身から力がみなぎる。
血管を流れる魔力が、まるで奔流のように唸りを上げている。全盛期――いや、それ以上に高まっている。
「ごちそうさまでした。……さて」
わたしは口元をナプキンで拭い、ギラリと目を光らせた。
「お腹もいっぱいになりましたし、魔力も満タンですわ。……デメテル、貴女もその味に納得したでしょう?」
『……否定できません。この味を知ってしまった以上……私の子供たちを「ただ保存するだけ」では、あまりにも勿体ないという計算結果が出ました』
デメテルは悔しそうに、けれどどこか嬉しそうに微笑んだ。
彼女はアリスの方を向き、深く一礼した。
『貴女の言う通りです、小さな聖女様。……種は、植えてこそ希望。ぜひ地上で育んでいただきたいです……』
「うん! 任せて!」
アリスとデメテルが笑い合う。
和解は成立した。だが、まだ問題は残っている。
『ですが……システム上の権限は絶対です。私の感情回路が納得しても、中枢システムのロックを解除するには、この「天蓋の揺り籠」を造った正統なる王族の生体認証と、王権を示す「黄金の王笏」が必要です』
デメテルは困ったように、背後の管理タワーを見上げた。
『王笏なき命令は無効化されます。……残念ですが、私の独断では扉を開くことは……』
「王権? 王笏? 鍵?」
わたしは「漆黒の玉座」を取り出し、ブンッと風を切って振り回した。
バターとニンニクの香りを纏いながらも、そこにあるのは絶対的な王者の気配。
「そんなもの、今のわたくしには不要ですわ」
特製ちゃんこでフルチャージされた魔力が、紫色のオーラとなって全身から噴き出し、空間を歪ませる。
わたしは不敵に笑い、管理タワーの扉を見据えた。
「この溢れんばかりのエネルギーで……システムごと『説得』して差し上げますわ! ……王がいないなら、私が座ればいいだけの話ですもの!」
食欲と慈愛。二つの力でAIの心を解き放った悪役令嬢は止まらない。
次なるデザートは、この天空都市の「支配権」だ。
わたしは、積み上げた大根の山に腰を下ろした瞬間、ふわりと世界が回るような感覚に襲われた。
「……ふぅ」
無意識に額に手を当てる。
指先が冷たい。全身の血流がドクドクと警鐘を鳴らしているのが分かる。
「レヴィーネ様!?」
「レヴィちゃん!?」
異変を察知したミリアとアリスが、慌てて駆け寄ってくる。
わたしはドレスの裾を強く握りしめ、努めて優雅に微笑んでみせた。
「……平気よ。ただ、ちょっと燃費が悪かったみたいね」
原因は明白だ。
ここに来る直前、あの規格外の機械龍相手に、渾身の『漆黒の玉座』をぶちかましたからだ。
あれは、わたしの魔力貯蔵量の半分を一撃で持っていく大技。その後の野菜たちとの連戦で、さすがに底が見え始めていた。
魔力欠乏。
このままでは、次の「大仕事(ハッキング)」に支障が出る。
『……分析。対象の生体エネルギー残存量、低下。……やはり人間は脆弱ですね』
空中に浮かぶデメテルのホログラムが、ここぞとばかりに勝ち誇った声を上げる。
彼女の目には、哀れみと侮蔑が混ざっていた。
『肉体という不便な器を持つがゆえの限界です。このまま消耗すれば、貴女たちは飢えと寒さで自滅するでしょう。さあ、大人しく撤退を……』
グゥゥゥゥゥ…………。
デメテルの警告を遮るように、盛大な腹の虫が鳴り響いた。
静寂の天蓋都市に、あまりにも場違いな、けれど生命力に満ちた音が木霊する。
「……あ」
アリスとミリアが顔を見合わせる。
音の主は、間違いなくわたしだ。
わたしは真っ赤になるどころか、逆に真剣な顔で腹をさすった。
空腹。それは生命が「生きたい」と叫ぶ音だ。恥じることなど何もない。
「……デメテル。貴女、いいことを言いましたわね」
『は?』
「『飢え』は敵ですわ。……ですから、戦う前に『補給』させていただきます!」
わたしはバッと立ち上がり、鉄扇でミリアを指差した。
「総員、野営準備! ミリア、四次元リュックから調理器具一式を! アリス、水魔法の準備を! ……ここで『天空ちゃんこ』を作りますわよ!」
「はぁいっ! 待ってましたぁ!」
「了解です! ……まさかこんなところで、ちゃんこを作るとはさすがレヴィーネ様……!」
◆◆◆
数分後。
天蓋都市の中央広場――人類の遺産が眠る聖域のど真ん中に、場違いな、しかし極上の香りが漂い始めた。
ミリアがリュックから取り出したのは、野営用の魔導コンロと、何十人前だよと言いたくなるような巨大な寸胴鍋。
まずはスープ作りだ。
「アリス! お水をお願い!」
「まかせて! ……聖水生成!」
アリスが杖を振ると、キラキラと輝く清浄な水が鍋を満たす。
ただの水ではない。聖女アリスの純粋な魔力が込められた、ポーション並みの回復効果を持つ特級聖水だ。
これだけで、そこらの高級エリクサーよりも価値がある。
「そこへ……先ほど収穫した『人食いトマト』を投入!」
わたしは、真っ赤に熟れた巨大トマトを手で握りつぶし、皮ごと豪快に鍋へ放り込んだ。
グツグツと煮立つ聖水の中でトマトが崩れ、スープが鮮やかなルビー色に染まっていく。
立ち上る湯気には、太陽の恵みを凝縮したような甘酸っぱい香りが含まれている。
「さらに隠し味! トヨノクニの海で獲れた雑魚を乾燥粉末にした『特製魚粉パウダー』!」
パラパラと黄金色の粉を振りかける。
トマトの酸味ある香りに、魚介の芳醇な旨味と潮の香りが重なり、複雑なハーモニーを奏で始める。
イタリアンと和の融合。
『……な、何をしているのですか? 神聖な保存区画で、煮炊きなど……』
デメテルが狼狽しているが、無視だ。
わたしはミリアからとある容器を受け取った。
「そして味の決め手はこれ! V&C商会謹製、熟成期間を倍にした『トヨノクニ極み味噌』!」
ドボン。
赤褐色の味噌を溶かし入れると、その香りは爆発的に広がった。
トマトのグルタミン酸と、味噌の旨味成分。そして魚粉のイノシン酸。
これぞ、旨味の相乗効果だ。
香ばしく、どこか懐かしく、けれど強烈に食欲をそそる匂いが、無機質な都市空間を侵食していく。
「具材はどうしますか!?」
「こうしますわ!」
わたしはミリアからピーラーを受け取ると、さっき倒した巨大大根に向き合った。
シュッシュッシュッ!
目にも留まらぬ速さで、大根をリボンのように薄く、長く削いでいく。
「この『歩く大根』、筋肉質だから普通に切ると固いのよ。でも、こうして薄く削げば……スープを吸って最高の麺になりますわ!」
鍋に投入。
薄い大根は瞬時に熱が通り、スープの旨味を吸ってトロトロの半透明に変わる。
「レヴィーネ様! 大根の皮も持ち帰ってよろしいですか? あとできんぴらにします!」
ミリアが剥いた大量の皮を集めながら目を輝かせる。
「ええ、もちろんよ。……おや? アリス、あんたは何をしているの?」
見れば、アリスは大根の葉っぱを丁寧に切り落とし、水洗いして大事そうに抱えていた。
「へへへ。この葉っぱ、あとで細かく刻んで人参と一緒に醤油炒めにするんだ! 胡麻油を垂らして……絶対に美味しいのができるよ! ご飯泥棒だよ!」
「……ふふ。いい心がけね」
アリスが語る「ご飯泥棒」という言葉の響きに、彼女の前世――あるいはかつての生活の記憶が垣間見える。
わたしは微笑み、次なる具材を手にした。
先ほど襲ってきた「ボム・ガーリック」だ。強烈な催涙ガスを放つ厄介な敵だったが、加熱してしまえばこっちのものだ。
「臭気攻撃をしてきたこのニンニクも、すりおろして投入!」
「あ、刃物みたいに鋭かった『ブレード・スピナッチ(ほうれん草)』も、ざく切りにして入れちゃいますね! 火を通せばクタッとして甘くなりますから!」
ミリアが手際よく葉野菜を放り込む。
そして。
「あっ! レヴィちゃん、これこれ! せっかくのコーンを忘れちゃダメだよ!」
アリスが、山盛りの黄色い粒を差し出した。
ドリル状に回転して襲ってきた「ドリル・コーン」の実だ。
「戦闘中にミリアちゃんが魔法で綺麗に外してくれたんだよ!」
「ええ。芯の部分も素晴らしい出汁が出そうです」
「芯はお米とバターと一緒に炊き込めば、最高のもろこしご飯になるね! 絶対持って帰ろう!」
キャッキャと食材談義に花を咲かせながら、コーンを鍋にザラザラと投入する。
鮮やかな黄色が、赤いスープに彩りを添える。
「それにしても、この食材のポテンシャル……。このトマトベースの鍋、商会の新メニューに加えましょう。原価計算……雑魚の乾燥粉末を使えばコストを抑えつつ旨味を……一杯あたり銀貨3枚で……利益率は……」
ミリアがブツブツと呟きながら、手帳に猛スピードで計算式を書き込んでいる。頼もしい限りだ。
「さらに! この保存庫にあった『古代豚』の試供品!」
デメテルが「あっ、それは貴重な!」と叫ぶのを無視して、霜降りのバラ肉を投入。
ジュワ……という音と共に、脂が溶け出し、スープにコクを与える。
「仕上げですわ! ……『アリス乳業の特濃バター』をひとかけら……!」
ジュワァァァ……。
バターが溶け、黄金色の油膜となってスープを覆う。
ニンニクのパンチ、味噌のコク、バターのまろやかさ。
その瞬間、広場を支配していた無機質な空気が完全に死んだ。
代わりに生まれたのは、暴力的で、背徳的で、抗うことのできない「食欲」という名の魔物。
「完成よ!」
わたしは鍋の蓋を開け、真っ白な湯気と共に宣言した。
「さあ……おあがりよ!」
◆◆◆
「いっただっきまーす!」
アリスが真っ先に椀を受け取り、ハフハフと口に運ぶ。
「んん~っ!! おいしぃぃぃ!!」
アリスが頬を押さえて悶絶する。
「熱っ、うまぁっ! トマトの酸味とお味噌のコクが最高! それにこのコーン、ぷちぷち弾けて甘ーい! 大根も麺みたいにズルズルいけちゃう! 噛むとジュワッてスープが出てくるよぉ!」
「……信じられません。これ、本当に1000年前のサンプル肉ですか!?」
ミリアも眼鏡を湯気で曇らせながら、箸が止まらない様子だ。
「古代豚の脂が甘い……口の中でとろけます。それにニンニクバターのパンチが効いていて、疲れが一気に吹き飛びます……!」
そして、わたしも椀を受け取り、スープを一口。
「…………ふぅ」
染み渡る。
アリスの聖水ベースだからだろうか。胃に落ちた瞬間、温かい熱と共に、魔力が爆発的に回復していくのが分かる。
枯渇しかけていた魔力回路に、黄金のエネルギーが満ちていく。
美味しい。ただそれだけで、魂の震えが止まる。
「……あー、生き返りますわ」
わたしは息をつき、遠巻きに見ているデメテルのホログラムに視線を向けた。
彼女は、まるでバグったかのように明滅し、鍋を凝視している。
「……デメテル。貴女もこっちにいらっしゃい」
『……私はAIです。食事など不要……』
彼女は頑なに拒絶する。
『それに、貴女たちは野蛮な略奪者です。私の子供たちを殺し、切り刻み、煮込んで……なんて残酷な……』
「違うよ、デメテルさん」
アリスが、大根を頬張りながら、穏やかな声で言った。
「略奪じゃないよ。……『いただきます』だよ」
『……いただきます?』
「うん。生きることは食べること。食べることは、命をいただくこと。……だから『いただきます』と『ごちそうさま』は、命を繋ぐ魔法の言葉なんだよ」
アリスは箸を置き、真っ直ぐにデメテルを見上げた。
その瞳には、聖女としての慈愛と、芯の強さが宿っていた。
それはかつてラノリアで、偽物の神に抗った時と同じ、真実の光だ。
「デメテルさん。貴女の心配はわかるよ。……人間は愚かだし、すぐ争うし、環境も壊すかもしれない。だから種を渡したくないって気持ちもわかる」
『肯定。過去のデータがそれを証明しています。地上は汚染され、人の心は荒廃している。ゆえに、この種子は渡せません。これは最後の希望なのです』
「違うよ」
アリスは首を振った。
「種は、植えてこそ希望なんだよ!」
『……植える?』
「そう。冷凍庫にしまっておくだけじゃ、それはただのデータだよ。……土にまみれて、水をやって、お日様を浴びて。そうやって育って初めて『命』になるんだよ」
彼女は、脇に置いてあった、綺麗に切り分けた大根の葉っぱを撫でた。
「私ね、見てきたの。トヨノクニの山奥や、サン・ルーチャの貧民街で。……お腹が空くと、人は心まで痩せちゃうんだって」
アリスの言葉に、わたしもかつての光景を思い出す。
飢えは、人の尊厳を奪う。正義も倫理も、空腹の前では無力だ。
「でもね、誰かに貰ったご飯は、食べればなくなる。……『配給』じゃ、その場しのぎにしかならないの」
アリスは胸に手を当てた。
「でも、自分たちで育てたご飯は、明日への力になるの」
『…………』
「厳しい土地でも、寒くても、戦争してても……子供たちが自分で育てて、収穫して、『美味しいね』って笑える未来を作りたいの! そのためには、どんな環境でも育つ、貴女の『強い子供たち』の力が必要なんだよ、お母さん!!」
お母さん。
その言葉に、デメテルの表情が大きく揺らいだ。
プログラムされた役割ではない。母親としての本能が、アリスの言葉に共鳴しているのだ。
「……さあ、食べてみて。貴女が守ってきた子供たちが、どう『化けた』か。皮も芯も無駄にせず愛された、その姿を確かめてごらんなさい」
わたしは小皿に取り分け、差し出した。
湯気の中には、野菜たちの命と、アリスたちの愛情が溶け込んでいる。
デメテルは迷った末、恐る恐る近づき、スープの湯気を解析し――そして、スプーンに触れるふり(データ同期)をした。
一瞬の静寂。
次の瞬間。
『――――ッ!?』
デメテルの瞳が、カッ! と見開かれた。
『警告、警告。……味覚センサー、オーバーフロー。……計測不能な「旨味数値」を検出。……これは、何ですか?』
彼女の声が震えている。
ホログラムの頬に、朱色が差したように見えた。
『酸味、塩味、甘味、脂質……すべてのバランスが黄金比で構成されています。トマトの酸味が脂を中和し、味噌のコクが野菜の甘みを引き立てている……』
ポロリ、と。
デメテルの目から、光の粒がこぼれた。
『それに……温かい。これが、「食事」……? ただの栄養補給ではない、精神を満たす情報の塊……』
「ええ。それが『美味しい』ということですわ」
わたしは空になった椀を置き、立ち上がった。
全身から力がみなぎる。
血管を流れる魔力が、まるで奔流のように唸りを上げている。全盛期――いや、それ以上に高まっている。
「ごちそうさまでした。……さて」
わたしは口元をナプキンで拭い、ギラリと目を光らせた。
「お腹もいっぱいになりましたし、魔力も満タンですわ。……デメテル、貴女もその味に納得したでしょう?」
『……否定できません。この味を知ってしまった以上……私の子供たちを「ただ保存するだけ」では、あまりにも勿体ないという計算結果が出ました』
デメテルは悔しそうに、けれどどこか嬉しそうに微笑んだ。
彼女はアリスの方を向き、深く一礼した。
『貴女の言う通りです、小さな聖女様。……種は、植えてこそ希望。ぜひ地上で育んでいただきたいです……』
「うん! 任せて!」
アリスとデメテルが笑い合う。
和解は成立した。だが、まだ問題は残っている。
『ですが……システム上の権限は絶対です。私の感情回路が納得しても、中枢システムのロックを解除するには、この「天蓋の揺り籠」を造った正統なる王族の生体認証と、王権を示す「黄金の王笏」が必要です』
デメテルは困ったように、背後の管理タワーを見上げた。
『王笏なき命令は無効化されます。……残念ですが、私の独断では扉を開くことは……』
「王権? 王笏? 鍵?」
わたしは「漆黒の玉座」を取り出し、ブンッと風を切って振り回した。
バターとニンニクの香りを纏いながらも、そこにあるのは絶対的な王者の気配。
「そんなもの、今のわたくしには不要ですわ」
特製ちゃんこでフルチャージされた魔力が、紫色のオーラとなって全身から噴き出し、空間を歪ませる。
わたしは不敵に笑い、管理タワーの扉を見据えた。
「この溢れんばかりのエネルギーで……システムごと『説得』して差し上げますわ! ……王がいないなら、私が座ればいいだけの話ですもの!」
食欲と慈愛。二つの力でAIの心を解き放った悪役令嬢は止まらない。
次なるデザートは、この天空都市の「支配権」だ。
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