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【外伝】それぞれのそのとき・それから
【外伝】境界の守り人アリス -1-
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ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。
心地よいリズムと振動が、私の体を揺らしている。
車窓の外を流れるのは、かつては死の砂漠と呼ばれ、今は一面の麦畑と牧草地へと変わりつつある大陸中央の広大な大地だ。
私は、大陸横断鉄道の特等席(といっても、私はいつも食堂車に入り浸っているけれど)で、冷たいミルクティーを飲みながら、ほうっと息をついた。
「ん~、やっぱり列車の旅はいいよねぇ。景色が変わっていくのを見てるだけで、生きてるって感じがするもん」
私はアリス。
かつては異世界から転生した「聖女」と呼ばれ、今は人間を辞めて「境界の存在」――この星の緑と命を見守る、ちょっとだけ長生きな庭師をやっている。
私の仕事は、相棒だったレヴィちゃん――初代女帝レヴィーネ・ヴィータヴェンが物理(暴力)で切り拓き、ミリアちゃんが経済で繋いだこの世界を、緑で満たして維持すること。
鉄道網が伸びるたびに、私も西へ東へ、南へ北へと旅をして、種を蒔き、土を癒やして回っている。
「……さてと。次の予定は……」
私は手元のタブレット端末(イリス製の超高性能機)を操作して、スケジュールを確認した。
『トヨノクニ・豊穣慈愛講 定例総会(ゲスト:アリス大明神)』
『ラノリア王国・聖騎士団との合同植樹祭』
『帝国・ヴィータヴェン領 農業視察』
『エルフの里・大世界樹のメンテナンス(※お土産に「ずんだ」必須)』
「うーん、大忙し。……引退したはずなのになぁ」
私は苦笑いした。
そう、私は数十年前に、自分が立ち上げた「アリス乳業」の社長の座を、愛弟子のスズちゃんたちの世代に譲ったのだ。
不老の私がいつまでもトップに居座っていたら、新しい芽が育たないし、社会の代謝にも良くないからね。
かつて「呪われ子」と泣いていたスズちゃんは、今やトヨノクニの農業を支える立派な「大巫女」となり、私よりも厳しく、そして優しく会社と組織を回してくれている。
「アリス様は象徴として座っていてください!」なんて言われて、たまに本社に行くと、社員みんなに拝まれてしまう。
「生き神様」扱いも、悪い気はしないけど、ちょっと背中が痒い。
でも、寂しくはないよ。
帝国に行けば、ヴィータヴェン本家の人たちが「おかえり」と迎えてくれる。
ラノリアに行けば、ミリアちゃんとギルベルト陛下の子孫たちが、国を挙げて歓迎してくれる。
トヨノクニでは、ノブナガさんの子孫たちが「飲もうぜ!」と宴会を開いてくれるし。
どこに行っても、レヴィちゃんたちが残した「縁」が、私を温かく迎えてくれる。
それに、私にはもう一つの家族もいる。
エルフの里に行けば、師匠であるエルウィン様や、共に緑化の旅をしてくれるエルフの仲間たちがいる。そして何より、私が眷属となった「大世界樹」のお母さんが、いつも魂の奥で繋がってくれているから。
「……次は、皇都アクシスかぁ」
列車が、大陸中央の巨大ターミナルへ向けて減速を始める。
かつてレヴィちゃんが「大断裂帯」に落っことした天蓋都市を礎とする、世界一の巨大都市。
そこには、私の大親友の血を引く、可愛い可愛い「弟分」が待っているはずだ。
◆◆◆
皇城の奥深く。
政治の中枢から離れた一角に、甘い香りが漂う不思議なエリアがある。
そこは、皇太子の専用厨房。
「アリス姉さん! お待ちしていました!」
厨房の扉を開けると、小麦粉で鼻の頭を白くした少年が、満面の笑みで駆け寄ってきた。
彼の名前は、レオン・ヴィータヴェン・ガルディア。
レヴィちゃんの娘、二代目女帝エレノア(ノア)ちゃんの息子であり、この国の皇太子だ。10代前半の彼は、祖母譲りの金髪と、祖父アレクセイ譲りの知的な瞳を持った美少年だ。
「やっほー、レオンくん! いい匂いだねぇ」
「はい! 今日は新作ができたんです。アリス姉さんに、一番に食べてほしくて」
レオンくんは、嬉しそうに私をテーブルへとエスコートしてくれた。
そこには、色とりどりのスイーツが並べられている。
「まずはこれ、『特製ずんだ大福』です。トヨノクニ産の最高級枝豆と、アリス乳業の生クリームを合わせました」
「こっちは『ずんだどら焼き』。バターを挟んで、コクを出しています」
「飲み物は『究極のずんだシェイク』。……それと、これが自信作です」
彼がうやうやしく差し出したのは、美しい緑色をしたデコレーションケーキだった。
「『森の恵みのケーキ』です。スポンジは米粉と植物油で、クリームは豆乳ホイップとずんだペーストで作りました。これなら、お肉や乳製品が苦手なエルフの方や、牛乳が飲めないある人でも食べられます」
「わぁ……! すごいよレオンくん! 全部、植物性なの?」
「はい! エルウィン様にも喜んでいただけるように、試行錯誤しました」
私は早速、ケーキを一口いただいた。
ふんわりとした生地と、豆乳クリームの優しい甘さ。そして濃厚な枝豆の風味が口いっぱいに広がる。
「ん~っ! 美味しい! 優しくて、でもしっかりコクがあって……レオンくんの性格が出てる味だね」
「ほ、本当ですか? よかった……」
レオンくんがほっとしたように胸を撫で下ろす。
彼は、本当に優しい子だ。
お母さんのノアちゃんは、レヴィちゃんの影響をモロに受けて「最強の悪役令嬢(物理)」を目指し、即位するなり反対派を鉄扇で薙ぎ払った武闘派女帝だけど、息子のレオンくんはちょっと毛色が違う。
身体能力は高い。ヴィータヴェンの血筋だもの、その気になれば岩だって砕けるし、この前も「邪魔だったから」って庭の巨木を素手で引っこ抜いてた。
でも、彼はその力を武力には使わない。
畑を耕し、土を捏ね、そして何より――料理を作ることに情熱を注いでいる。
私は、シェイクを飲みながら、彼の横顔を覗き込んだ。
美味しいお菓子を作ってくれたのに、その表情にはどこか陰りがある。
「……ねえ、レオンくん」
「はい?」
「自信作のスイーツはすっごく嬉しいけど……別に、話したいことがあるんじゃないの?」
私が水を向けると、レオンくんはビクリと肩を震わせ、困ったように眉を下げた。
そして、重い口を開いた。
「……お見通しですね、アリス姉さんには」
彼は、自分の手をじっと見つめた。小麦粉と、小さな切り傷がついた、料理人の手。
「僕……自信がないんです」
「自信?」
「はい。……今の世界は平和です。お祖母様や母上が作った『道』のおかげで、大きな争いもなく、物流も安定しています。アリス姉さんたちの緑化活動のおかげで、飢饉も減りました」
レオンくんは、窓の外に広がる皇都の繁栄を見つめた。
「偉大なる初代女帝レヴィーネ様。そして、その覇道を継ぐ最強の母上。……お二人は、乱世を力でねじ伏せるカリスマがありました。でも、僕は……」
彼は拳を握りしめた。
「僕は、ただ敷かれたレールの上を走っているだけのような気がするんです。自由にさせてくれてはいますが、こんな僕が……料理ばかりしている僕が、この国を継いでいいんでしょうか? 僕には、お二人のような『強さ』がない」
偉大すぎる祖母と、強すぎる母。
その巨大な影の下で、心優しい少年は、自分の在り方に悩んでいたのだ。
私は、飲み干したシェイクのタンブラーを置いて、ふふっと笑った。
「なぁんだ、そんなこと心配していたの?」
「そ、そんなことって……深刻ですよ! 僕は次期皇帝なんですから!」
「うんうん、そうだね。でもね、レオンくん」
私はタブレットを取り出し、一枚の写真を表示した。
それは数十年昔、建国当時に撮った一枚。
泥だらけで、ボロボロのドレスを着て、それでも不敵に笑うレヴィちゃんと、その横で死にそうな顔をして電卓を叩くミリアちゃん、そしてへたり込んでいる私の写真。
「レヴィちゃんだって、なんでも一人でできたわけじゃないよ? 自慢じゃないけど、私とミリアちゃん、それにアレクセイさんやヒデヨシさん……いろんな人が支えて、喧嘩して、ようやく道ができたんだよ」
「……お祖母様が?」
「そうだよ。あの人は『物理』と『破壊』の天才だったけど、政治とか計算とか、細かい根回しは全部周りに丸投げだったもん」
私は懐かしい日々を思い出しながら語った。
「それにね、レオンくん。……『整地された大地』を維持するのって、実は切り拓くのと同じくらい……ううん、もっと大変なことなんだよ?」
「維持する方が、大変……?」
「うん。道路だって放っておけば草が生えるし、ヒビが入る。平和だって、放っておけば錆びついちゃう。……毎日毎日、誰かが汗を流して手入れをしなきゃ、当たり前の日常なんてすぐに壊れちゃうの」
私はレオンくんの手を取った。
武術のタコではなく、包丁ダコのある、温かい手。
「レオンくんが畑を耕して、料理を作って、みんなに『美味しい』を届けること。……それって、立派な『平和のメンテナンス』だよ。レヴィちゃんが一番やりたかったけど、忙しすぎて十分にできなかったことなんだから」
「お祖母様が、やりたかったこと……」
「そう。あの人はね、世界中のみんながお腹いっぱい食べて笑える世界を作りたかったの。……今のレオンくんは、その夢の続きを、一番いい形で叶えていると思うよ?」
レオンくんの瞳が、少しだけ揺れた。
でも、まだ迷いがあるみたい。
よし、ここらで「境界の守り人」からの、とっておきのプレゼントを出しちゃおうかな。
「レオンくん。今日は特別なものを見せちゃおうかな……ちょっと待ってね」
私はタブレットを操作し、イリスちゃんにアクセスした。
『検索:未再現レシピ・アーカイブ。ロック解除』。
画面に表示されたのは、手描きイラスト付きの膨大なリスト。
私とレヴィちゃんが、夜な夜な語り合って書き溜めた、「前世」の記憶にある料理の数々だ。
「これ……なんですか? 見たこともない料理ばかりです」
レオンくんが画面を覗き込み、目を丸くする。
「ふふふ、内緒の国の料理だよ。……これは『野郎系ラーメン』。こっちは『でっかいビッグハンバーガー』。あと『タピオカミルクティー』に『ふわとろオムライス』……」
そこには、イリスちゃんとデメテルさんが総力を挙げて解析した「再現予測レシピ」と、必要な食材リストが添えられている。
「こ、これは……!? どこの国の料理ですかアリス姉さん! ラーメンに大量の野菜と肉を載せる? パンに何枚ものハンバーガーと野菜を挟む? 崩れないんですか!? ……発想が、自由すぎる!」
「世界は広いんだよ、レオンくん。……ここにあるのは、文化の中心になった皇都アクシスにすらない、まだ見ぬ『味』の可能性」
私は、彼の目を見て言った。
「贅沢な話だけどね、世界が平和になって豊かになると、人の数だけ『好きなもの』『嫌いなもの』が出てくるの。……レオンくんが作ったエルフ用のケーキみたいに、体質や思想で食べられないものがある人も増えてくる」
物流が発達し、人が行き交えば、多様性は増していく。
かつては「食えればいい」だった時代から、「より美味しく、より自分に合ったものを」という時代へ。
「どうかな、レオンくん。……そうした時に、どんな人でも、どんな種族でも、最高のお料理でもてなせる国と、そうでない国。……どっちが『強い国』だと思う?」
レオンくんがハッとする。
「……どんな人でも、もてなせる国……」
「そう。剣で敵を倒すだけが強さじゃない。……『同じ釜の飯を食う』って言葉があるけど、美味しいものを共有できれば、喧嘩なんて起きないんだよ」
私はニッと笑った。
「未知の食材を探して、育てて、誰も見たことのない料理を作り出して、世界中の胃袋を幸せにする。……そういう『食の地平』を切り拓くことって、荒野を開拓したり魔獣を退治したりするより、劣ることだと思う?」
レオンくんが、顔を上げた。
その瞳にはもう、迷いなんてなかった。
あるのは、獲物を見つけた狩人のような……いや、新しいおもちゃを見つけた子供のような、強烈な好奇心と情熱。
間違いなく、ヴィータヴェンの血だ。
「……思いません! 劣るどころか……最高に、ワクワクします!」
彼はタブレットを食い入るように見つめ、指先でページをめくる。
「この『カレーうどん』という料理……出汁とスパイスの融合? 天才か!? ……こっちの『パイナップルピッツァ』は、甘いと塩っぱいでチーズの可能性を極限まで引き出している……! アリス姉さん、このデータ、詳しく見てもいいですか!?」
「もちろん! あげるよ。……その代わり、試食係は私に任せてね? 緑化の旅から戻って、皇都にいる間は、いくらでも付き合ってあげるから!」
「はいッ!!」
レオンくんは大きく頷き、私の手からデータを転送してもらったタブレットを大事そうに抱えた。
「ありがとうございます、アリス姉さん! 僕、決めました! 授業と武術の鍛錬の合間は、全部厨房に籠もります! ……いえ、素材集めから始めないと! この『豚骨スープ』のためには、もっと脂の乗ったオークが必要だ……!」
ブツブツと呟きながら、彼の背中から目に見えるような「料理への執念」が立ち上り始めた。
うん、やっぱりレヴィちゃんの孫だわ。スイッチが入ると周りが見えなくなる。
「よし! 行ってきます! まずは北の山脈で『極上のガラ』を持つ魔獣を捕獲してきます!」
「えっ、今から!? 護衛は!?」
「大丈夫です! 素手の方が肉を傷つけずに捕まえられますから! 行ってきます!」
ドドドドッ! と地響きを立てて、皇太子殿下が厨房を飛び出していく。
その速さ、もはや残像しか見えない。
「……あはは。やれやれ」
私は残されたずんだケーキをフォークでつつきながら、一人ごちた。
「レヴィちゃん、ノアちゃんとはちょっと毛色が違うけど……『思い立ったら一直線』なのは、やっぱり血筋だね」
窓の外、夕日に染まる皇都を見下ろす。
きっとこの国は、これからも大丈夫。
破壊の女帝が作り、鋼鉄の宰相が支え、そして優しき料理人が満たす。
そんな未来が見えるようだった。
「さてと。私も負けてられないな。……美味しい食材、もっともっと育てなくちゃ!」
私は最後のひとくちを頬張り、甘い余韻に浸った。
永遠の時間は長いけれど、退屈している暇なんて、これっぽっちもなさそうだ。
◆◆◆
――後に、ヴィータヴェン・アクシス連邦皇国第三代皇帝となったレオン・ヴィータヴェン・ガルディアは、後世の歴史書にこう記されることとなる。
『厨房帝』、あるいは『美食帝』。
彼はその生涯をかけて大陸全土の食材を収集・研究し、数多の革新的な料理を生み出した。
彼が確立した食文化は、種族や国境の壁を超え、真の意味での「平和な食卓」を世界にもたらした名君として称えられている。
また、歴史書の脚注には、こうも記されている。
『皇帝レオンは極めて温厚な人格者であったが、食材の捕獲に関しては鬼神の如き強さを発揮した。伝説級の魔獣「ベヒーモス」を素手で制圧し、その場で「肉質チェック」を行ったという逸話や、深海の主を釣り上げるために自ら海に潜ったという記録が残されている。その規格外の剛腕と、食に対する常軌を逸した執念は、やはり初代女帝レヴィーネ・ヴィータヴェンの血筋であったと言わざるを得ない』
そして、その傍らには常に、変わらぬ姿のまま微笑む「翠色の髪の少女」がいて、皇帝の作る料理を一番に味見していたという。
美味しい匂いと笑顔の絶えないその時代を、人々は「飽食の黄金時代」と呼び、長く語り継いだという。
心地よいリズムと振動が、私の体を揺らしている。
車窓の外を流れるのは、かつては死の砂漠と呼ばれ、今は一面の麦畑と牧草地へと変わりつつある大陸中央の広大な大地だ。
私は、大陸横断鉄道の特等席(といっても、私はいつも食堂車に入り浸っているけれど)で、冷たいミルクティーを飲みながら、ほうっと息をついた。
「ん~、やっぱり列車の旅はいいよねぇ。景色が変わっていくのを見てるだけで、生きてるって感じがするもん」
私はアリス。
かつては異世界から転生した「聖女」と呼ばれ、今は人間を辞めて「境界の存在」――この星の緑と命を見守る、ちょっとだけ長生きな庭師をやっている。
私の仕事は、相棒だったレヴィちゃん――初代女帝レヴィーネ・ヴィータヴェンが物理(暴力)で切り拓き、ミリアちゃんが経済で繋いだこの世界を、緑で満たして維持すること。
鉄道網が伸びるたびに、私も西へ東へ、南へ北へと旅をして、種を蒔き、土を癒やして回っている。
「……さてと。次の予定は……」
私は手元のタブレット端末(イリス製の超高性能機)を操作して、スケジュールを確認した。
『トヨノクニ・豊穣慈愛講 定例総会(ゲスト:アリス大明神)』
『ラノリア王国・聖騎士団との合同植樹祭』
『帝国・ヴィータヴェン領 農業視察』
『エルフの里・大世界樹のメンテナンス(※お土産に「ずんだ」必須)』
「うーん、大忙し。……引退したはずなのになぁ」
私は苦笑いした。
そう、私は数十年前に、自分が立ち上げた「アリス乳業」の社長の座を、愛弟子のスズちゃんたちの世代に譲ったのだ。
不老の私がいつまでもトップに居座っていたら、新しい芽が育たないし、社会の代謝にも良くないからね。
かつて「呪われ子」と泣いていたスズちゃんは、今やトヨノクニの農業を支える立派な「大巫女」となり、私よりも厳しく、そして優しく会社と組織を回してくれている。
「アリス様は象徴として座っていてください!」なんて言われて、たまに本社に行くと、社員みんなに拝まれてしまう。
「生き神様」扱いも、悪い気はしないけど、ちょっと背中が痒い。
でも、寂しくはないよ。
帝国に行けば、ヴィータヴェン本家の人たちが「おかえり」と迎えてくれる。
ラノリアに行けば、ミリアちゃんとギルベルト陛下の子孫たちが、国を挙げて歓迎してくれる。
トヨノクニでは、ノブナガさんの子孫たちが「飲もうぜ!」と宴会を開いてくれるし。
どこに行っても、レヴィちゃんたちが残した「縁」が、私を温かく迎えてくれる。
それに、私にはもう一つの家族もいる。
エルフの里に行けば、師匠であるエルウィン様や、共に緑化の旅をしてくれるエルフの仲間たちがいる。そして何より、私が眷属となった「大世界樹」のお母さんが、いつも魂の奥で繋がってくれているから。
「……次は、皇都アクシスかぁ」
列車が、大陸中央の巨大ターミナルへ向けて減速を始める。
かつてレヴィちゃんが「大断裂帯」に落っことした天蓋都市を礎とする、世界一の巨大都市。
そこには、私の大親友の血を引く、可愛い可愛い「弟分」が待っているはずだ。
◆◆◆
皇城の奥深く。
政治の中枢から離れた一角に、甘い香りが漂う不思議なエリアがある。
そこは、皇太子の専用厨房。
「アリス姉さん! お待ちしていました!」
厨房の扉を開けると、小麦粉で鼻の頭を白くした少年が、満面の笑みで駆け寄ってきた。
彼の名前は、レオン・ヴィータヴェン・ガルディア。
レヴィちゃんの娘、二代目女帝エレノア(ノア)ちゃんの息子であり、この国の皇太子だ。10代前半の彼は、祖母譲りの金髪と、祖父アレクセイ譲りの知的な瞳を持った美少年だ。
「やっほー、レオンくん! いい匂いだねぇ」
「はい! 今日は新作ができたんです。アリス姉さんに、一番に食べてほしくて」
レオンくんは、嬉しそうに私をテーブルへとエスコートしてくれた。
そこには、色とりどりのスイーツが並べられている。
「まずはこれ、『特製ずんだ大福』です。トヨノクニ産の最高級枝豆と、アリス乳業の生クリームを合わせました」
「こっちは『ずんだどら焼き』。バターを挟んで、コクを出しています」
「飲み物は『究極のずんだシェイク』。……それと、これが自信作です」
彼がうやうやしく差し出したのは、美しい緑色をしたデコレーションケーキだった。
「『森の恵みのケーキ』です。スポンジは米粉と植物油で、クリームは豆乳ホイップとずんだペーストで作りました。これなら、お肉や乳製品が苦手なエルフの方や、牛乳が飲めないある人でも食べられます」
「わぁ……! すごいよレオンくん! 全部、植物性なの?」
「はい! エルウィン様にも喜んでいただけるように、試行錯誤しました」
私は早速、ケーキを一口いただいた。
ふんわりとした生地と、豆乳クリームの優しい甘さ。そして濃厚な枝豆の風味が口いっぱいに広がる。
「ん~っ! 美味しい! 優しくて、でもしっかりコクがあって……レオンくんの性格が出てる味だね」
「ほ、本当ですか? よかった……」
レオンくんがほっとしたように胸を撫で下ろす。
彼は、本当に優しい子だ。
お母さんのノアちゃんは、レヴィちゃんの影響をモロに受けて「最強の悪役令嬢(物理)」を目指し、即位するなり反対派を鉄扇で薙ぎ払った武闘派女帝だけど、息子のレオンくんはちょっと毛色が違う。
身体能力は高い。ヴィータヴェンの血筋だもの、その気になれば岩だって砕けるし、この前も「邪魔だったから」って庭の巨木を素手で引っこ抜いてた。
でも、彼はその力を武力には使わない。
畑を耕し、土を捏ね、そして何より――料理を作ることに情熱を注いでいる。
私は、シェイクを飲みながら、彼の横顔を覗き込んだ。
美味しいお菓子を作ってくれたのに、その表情にはどこか陰りがある。
「……ねえ、レオンくん」
「はい?」
「自信作のスイーツはすっごく嬉しいけど……別に、話したいことがあるんじゃないの?」
私が水を向けると、レオンくんはビクリと肩を震わせ、困ったように眉を下げた。
そして、重い口を開いた。
「……お見通しですね、アリス姉さんには」
彼は、自分の手をじっと見つめた。小麦粉と、小さな切り傷がついた、料理人の手。
「僕……自信がないんです」
「自信?」
「はい。……今の世界は平和です。お祖母様や母上が作った『道』のおかげで、大きな争いもなく、物流も安定しています。アリス姉さんたちの緑化活動のおかげで、飢饉も減りました」
レオンくんは、窓の外に広がる皇都の繁栄を見つめた。
「偉大なる初代女帝レヴィーネ様。そして、その覇道を継ぐ最強の母上。……お二人は、乱世を力でねじ伏せるカリスマがありました。でも、僕は……」
彼は拳を握りしめた。
「僕は、ただ敷かれたレールの上を走っているだけのような気がするんです。自由にさせてくれてはいますが、こんな僕が……料理ばかりしている僕が、この国を継いでいいんでしょうか? 僕には、お二人のような『強さ』がない」
偉大すぎる祖母と、強すぎる母。
その巨大な影の下で、心優しい少年は、自分の在り方に悩んでいたのだ。
私は、飲み干したシェイクのタンブラーを置いて、ふふっと笑った。
「なぁんだ、そんなこと心配していたの?」
「そ、そんなことって……深刻ですよ! 僕は次期皇帝なんですから!」
「うんうん、そうだね。でもね、レオンくん」
私はタブレットを取り出し、一枚の写真を表示した。
それは数十年昔、建国当時に撮った一枚。
泥だらけで、ボロボロのドレスを着て、それでも不敵に笑うレヴィちゃんと、その横で死にそうな顔をして電卓を叩くミリアちゃん、そしてへたり込んでいる私の写真。
「レヴィちゃんだって、なんでも一人でできたわけじゃないよ? 自慢じゃないけど、私とミリアちゃん、それにアレクセイさんやヒデヨシさん……いろんな人が支えて、喧嘩して、ようやく道ができたんだよ」
「……お祖母様が?」
「そうだよ。あの人は『物理』と『破壊』の天才だったけど、政治とか計算とか、細かい根回しは全部周りに丸投げだったもん」
私は懐かしい日々を思い出しながら語った。
「それにね、レオンくん。……『整地された大地』を維持するのって、実は切り拓くのと同じくらい……ううん、もっと大変なことなんだよ?」
「維持する方が、大変……?」
「うん。道路だって放っておけば草が生えるし、ヒビが入る。平和だって、放っておけば錆びついちゃう。……毎日毎日、誰かが汗を流して手入れをしなきゃ、当たり前の日常なんてすぐに壊れちゃうの」
私はレオンくんの手を取った。
武術のタコではなく、包丁ダコのある、温かい手。
「レオンくんが畑を耕して、料理を作って、みんなに『美味しい』を届けること。……それって、立派な『平和のメンテナンス』だよ。レヴィちゃんが一番やりたかったけど、忙しすぎて十分にできなかったことなんだから」
「お祖母様が、やりたかったこと……」
「そう。あの人はね、世界中のみんながお腹いっぱい食べて笑える世界を作りたかったの。……今のレオンくんは、その夢の続きを、一番いい形で叶えていると思うよ?」
レオンくんの瞳が、少しだけ揺れた。
でも、まだ迷いがあるみたい。
よし、ここらで「境界の守り人」からの、とっておきのプレゼントを出しちゃおうかな。
「レオンくん。今日は特別なものを見せちゃおうかな……ちょっと待ってね」
私はタブレットを操作し、イリスちゃんにアクセスした。
『検索:未再現レシピ・アーカイブ。ロック解除』。
画面に表示されたのは、手描きイラスト付きの膨大なリスト。
私とレヴィちゃんが、夜な夜な語り合って書き溜めた、「前世」の記憶にある料理の数々だ。
「これ……なんですか? 見たこともない料理ばかりです」
レオンくんが画面を覗き込み、目を丸くする。
「ふふふ、内緒の国の料理だよ。……これは『野郎系ラーメン』。こっちは『でっかいビッグハンバーガー』。あと『タピオカミルクティー』に『ふわとろオムライス』……」
そこには、イリスちゃんとデメテルさんが総力を挙げて解析した「再現予測レシピ」と、必要な食材リストが添えられている。
「こ、これは……!? どこの国の料理ですかアリス姉さん! ラーメンに大量の野菜と肉を載せる? パンに何枚ものハンバーガーと野菜を挟む? 崩れないんですか!? ……発想が、自由すぎる!」
「世界は広いんだよ、レオンくん。……ここにあるのは、文化の中心になった皇都アクシスにすらない、まだ見ぬ『味』の可能性」
私は、彼の目を見て言った。
「贅沢な話だけどね、世界が平和になって豊かになると、人の数だけ『好きなもの』『嫌いなもの』が出てくるの。……レオンくんが作ったエルフ用のケーキみたいに、体質や思想で食べられないものがある人も増えてくる」
物流が発達し、人が行き交えば、多様性は増していく。
かつては「食えればいい」だった時代から、「より美味しく、より自分に合ったものを」という時代へ。
「どうかな、レオンくん。……そうした時に、どんな人でも、どんな種族でも、最高のお料理でもてなせる国と、そうでない国。……どっちが『強い国』だと思う?」
レオンくんがハッとする。
「……どんな人でも、もてなせる国……」
「そう。剣で敵を倒すだけが強さじゃない。……『同じ釜の飯を食う』って言葉があるけど、美味しいものを共有できれば、喧嘩なんて起きないんだよ」
私はニッと笑った。
「未知の食材を探して、育てて、誰も見たことのない料理を作り出して、世界中の胃袋を幸せにする。……そういう『食の地平』を切り拓くことって、荒野を開拓したり魔獣を退治したりするより、劣ることだと思う?」
レオンくんが、顔を上げた。
その瞳にはもう、迷いなんてなかった。
あるのは、獲物を見つけた狩人のような……いや、新しいおもちゃを見つけた子供のような、強烈な好奇心と情熱。
間違いなく、ヴィータヴェンの血だ。
「……思いません! 劣るどころか……最高に、ワクワクします!」
彼はタブレットを食い入るように見つめ、指先でページをめくる。
「この『カレーうどん』という料理……出汁とスパイスの融合? 天才か!? ……こっちの『パイナップルピッツァ』は、甘いと塩っぱいでチーズの可能性を極限まで引き出している……! アリス姉さん、このデータ、詳しく見てもいいですか!?」
「もちろん! あげるよ。……その代わり、試食係は私に任せてね? 緑化の旅から戻って、皇都にいる間は、いくらでも付き合ってあげるから!」
「はいッ!!」
レオンくんは大きく頷き、私の手からデータを転送してもらったタブレットを大事そうに抱えた。
「ありがとうございます、アリス姉さん! 僕、決めました! 授業と武術の鍛錬の合間は、全部厨房に籠もります! ……いえ、素材集めから始めないと! この『豚骨スープ』のためには、もっと脂の乗ったオークが必要だ……!」
ブツブツと呟きながら、彼の背中から目に見えるような「料理への執念」が立ち上り始めた。
うん、やっぱりレヴィちゃんの孫だわ。スイッチが入ると周りが見えなくなる。
「よし! 行ってきます! まずは北の山脈で『極上のガラ』を持つ魔獣を捕獲してきます!」
「えっ、今から!? 護衛は!?」
「大丈夫です! 素手の方が肉を傷つけずに捕まえられますから! 行ってきます!」
ドドドドッ! と地響きを立てて、皇太子殿下が厨房を飛び出していく。
その速さ、もはや残像しか見えない。
「……あはは。やれやれ」
私は残されたずんだケーキをフォークでつつきながら、一人ごちた。
「レヴィちゃん、ノアちゃんとはちょっと毛色が違うけど……『思い立ったら一直線』なのは、やっぱり血筋だね」
窓の外、夕日に染まる皇都を見下ろす。
きっとこの国は、これからも大丈夫。
破壊の女帝が作り、鋼鉄の宰相が支え、そして優しき料理人が満たす。
そんな未来が見えるようだった。
「さてと。私も負けてられないな。……美味しい食材、もっともっと育てなくちゃ!」
私は最後のひとくちを頬張り、甘い余韻に浸った。
永遠の時間は長いけれど、退屈している暇なんて、これっぽっちもなさそうだ。
◆◆◆
――後に、ヴィータヴェン・アクシス連邦皇国第三代皇帝となったレオン・ヴィータヴェン・ガルディアは、後世の歴史書にこう記されることとなる。
『厨房帝』、あるいは『美食帝』。
彼はその生涯をかけて大陸全土の食材を収集・研究し、数多の革新的な料理を生み出した。
彼が確立した食文化は、種族や国境の壁を超え、真の意味での「平和な食卓」を世界にもたらした名君として称えられている。
また、歴史書の脚注には、こうも記されている。
『皇帝レオンは極めて温厚な人格者であったが、食材の捕獲に関しては鬼神の如き強さを発揮した。伝説級の魔獣「ベヒーモス」を素手で制圧し、その場で「肉質チェック」を行ったという逸話や、深海の主を釣り上げるために自ら海に潜ったという記録が残されている。その規格外の剛腕と、食に対する常軌を逸した執念は、やはり初代女帝レヴィーネ・ヴィータヴェンの血筋であったと言わざるを得ない』
そして、その傍らには常に、変わらぬ姿のまま微笑む「翠色の髪の少女」がいて、皇帝の作る料理を一番に味見していたという。
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