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2夢の中に

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「あの、本題に入っていいですか」
「えっ、あっはい」
いけない、ほかの事を考えていた。
「少し失礼しますね」
 ん・・?「失礼します」ってなに・・。次の瞬間、私は手を握られていた。頬が熱い、心臓の音がすごい。手を握られただけなのに。
「やっぱりあなたですね」
と、さっきとは別人のような真剣な顔で青葉君は私を真っ直ぐ見る。そして、私もとっさに質問をする。
「えっ、何が?」
ますます分からない。青葉君は何を言っているのだろうか。
「昨夜の夢、踊っていたのは僕です」
 またにっこり笑顔とやらで返された。意味は分からないが、一つ聞いてみることにした。
「なぜ、私だって分かるんですか。あれは私の夢ですよね」
「あなたの夢でもあり僕の夢でもあります。そして、手を握ったから分かります」
「あの、だからなぜ手を握ったら分かるのですか」
「それは、僕だからです」
こんな会話をずっとしていると、自分にあきれてきた。チャイムが鳴る。「あっ、チャイムが鳴りましたね」といわんばかりの仕草をし
て、青葉君はひらひらと手を振って教室へ戻ってしまった。私は今までの出来事で集中力がきれたのと、ずっと立っていたせいもあり、もともと貧血で倒れることの多かった私はその場で倒れてしまった。
私は目が覚めたらベットで寝ていた。傍に葵がいた。
「あっ目覚めた?大丈夫?なんかあった?」。
「うん、ちょっといろいろあって、集中力切れた・・」
「むりしないでね」
「ありがとう」
 今は、葵には話せない。青葉君と私の秘密にしておこう。それにしても、今日はまだいろいろなことがありそうだ。なぜ神様は、私が何かあると思った時間には何も起こさないで、気を休めると変なことを起こすのだろうか。ふと、そんなことを思った。
神様の仕業だとも分からないのに。
体調も回復し教室へトボトボ廊下を歩いていると、窓の方から日が差していた。空は紫がかったオレンジ色だった。向こうから葵の声が聞こえた。
「一緒に帰ろう」ってさっそてみよう。あれ?誰かとしゃべってる。
「姉ちゃん、だからいたじゃん。気を付けてねって」
 あんなに怒っている葵を私は初めて見た。相手は誰だろう。
「わかってったよ。十分に気を付けていました。ありがとう心配してくれて」
 え・・。待って、んで二人が言い合いしてるの。てゆうか『姉ちゃん』って何。あの二人ってどういう関係なの。もう今日は青葉君のことで疲れているのに、この二人まで・・ためいきと同時にへったっと座ってしまった。二
人が私に気随て駆け寄って来た。
「大丈夫?」
 今日、二回目だな。と思いながら、「大丈夫だよ」と返した。後で話を聞くと、二人は兄弟で紺野先生の弟が葵らしい。確かに少し目元はにているかもしれない。
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