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トラック4
Our society is run by insane people for insane objectives. 後奏
しおりを挟むおよそ一ヶ月後、その時はやってきた。
悠久ら六人とアトレカルを含むアフトラガ部隊は、リバーサー襲撃による迎撃命令を受け、本拠地の直上地点に出動した。
「ここって……ホロワールドじゃん」 呆けている佳乃。
「撃退したらご褒美に遊ばせてくれないかな?」
愛利が声を弾ませる。既に刀を抜き、気合十分な様子だ。
変わり果てた地上で、人知れずかつての姿を保っていた遊園地。黒雲に覆われた空の下では、その圧倒的な世界観は少々不気味に見える。
園内のシンボル的存在、サンディー城を背に悠久らは立っていた。アトレカルの言っていた聖域とはこの城を指していたのだろうか。初戦時と同じ洞窟を介して出動した為、城内の様子は不明だ。
「すごい数……」
そう呟いて弓を太ももで挟み、両手で肩上にあるアーネウのスイッチを押す蜜花。機械の翼が生える。
――集結する黒き大群、リバーサー。サンディー城前の広場から、後方に位置する入園口まで埋め尽くされている。千体ほどはいるだろうか。
「もう後がないって様子だな。捨て身か?」
大鎌を背負い直しながら雅仁が言う。チェスの駒を模した鎌とポップな色合いの戦闘服が相まって、遊園地の仮装スタッフのように見える。
「……くるぞ」
リバーサーらが一斉に杖を掲げるのを見て、アトレカルが身構える。
足元に幾重もの魔術陣が浮かび上がると同時に、散り散りになる七人。アフトラガ兵も雄叫びを上げ、リバーサーに向かって猛進する。
発光した魔術陣から、いくつもの黒い木の幹が噴出した。複雑に絡み合い、禍々しい針山を形成する。
何人かのアフトラガ兵が巻き込まれた。それが開戦の合図かのように、リバーサーらが発奮する。
悠久を取り囲むリバーサー。みな同じような状況だ。空を飛ぶ蜜花にも、黒い羽を生やしたリバーサーが向かっていく。
リバーサーを見据えたまま、アーネウのスイッチを入れる悠久。すかさず魔術を発動するリバーサー。悠久の足下に複数の魔術陣が出現する。
一瞬、消える悠久。周囲のリバーサーがなぎ倒される。
魔術陣のいくつかは消失したが、残りの魔術陣から鋼の鋭刃が突出する。
軽く跳ね上がり、回し蹴りでそれを木っ端微塵にする悠久。破片が放射状に飛び、銃弾のようにリバーサーを貫く。
「アパラキテツウアウ……」
怯んだリバーサーらの隙を突いて、追撃する悠久。悠久の蹴りを杖で防ごうとしたリバーサーだったが、杖ごと蹴り捨てられる。リバーサーの屍が地面を埋め尽くしていく。
――しかし、倒しても倒しても、悠久の周りからリバーサーが減ることはない。数が多過ぎる。
「っ……」
黒い残骸の中で束の間、立ち尽くす悠久。息が上がっている。アーネウとの完全適合後、初の実戦だ。思った以上に体力を消費するようだ。
「アパウィ……」
その時を待っていたかのようにリバーサーらの杖が光る。
広場を流れる人工の川から多量の水が吸い上げられ、悠久に向かって放出される。
「悠久ーーっ!!」
数十メートル離れた場所から叫ぶ愛利。リバーサーを斬り倒しながら悠久の救出へと向かう。
悠久はなす術なく、水柱にのみ込まれた。愕然とする愛利。
「アウンレアタオミクンス……」
リバーサーが杖を振るう。流線型のガラスが水柱に巻きつくように上昇し、悠久を閉じ込める。まるで水槽だ。
――!
竜巻のような衝撃と共にガラスが粉々に割れ、水が溢れ出した。押し流されるリバーサー。アフトラガ兵にも被害が及ぶ。
びしょ濡れの状態で地に降り立つ悠久。どうやら跳び上がりながら、壁ごと蹴散らしたらしい。悠久は息を切らしながら、鬼のような形相でリバーサーを睨み付けた。
すると後方のリバーサーらが魔術で水の流れを変え、再び悠久に濁流が押し寄せる。
「アウンーンスウエガケト……」
跳んで避ける悠久だったが、振り切れなかった水が足首を捉える――氷に変化したのだ。
みるみるうちに氷にのみ込まれる悠久。蹴って壊そうと試みるが、僅かに亀裂が入るのみ。やがて圧倒的な氷の質量に、それもかき消されていく。
「っうぁ……」
喉まで凍りつき、喘ぐ悠久。息ができないようだ。
雅仁と佳乃は、時折悠久に視線を向けながらも目の前の敵と戦い続けている。流輝は無表情で跳ね回りながら、四方八方に水鉄砲を撃っている。
「悠久っ今助ける!」
悠久の元に辿り着いた愛利が、氷を破壊しようと刀を振りかぶる。
「待て!!」
アトレカルが愛利を制止する。困惑した表情で振り返る愛利。
「オオォォオォォォ!!!」
アトレカルは雄叫びを上げると、大剣を振り回して嵐を巻き起こす。対峙していたリバーサーらは上空に巻き上げられ、ぶつかり合いながら四散した。
「今やれば、こいつまで粉々になるぞ」
愛利のかたわらに降り立ったアトレカルが顎をしゃくり、悠久を示す。
今や完全に氷に取り込まれた悠久は、苦悶の表情で静止している。
「じゃあどうすれば?! 早くしないと死んじゃう……っ」
愛利がそう訴えたその時――何十本もの炎の矢が、悠久を丸く囲うように降り注いだ。
そして全ての炎が一体化し、巨大な火柱が立ち上った。白煙が霧のように辺りを包む。
「思い切ったな」
半笑いで蜜花を見上げるアトレカル。緊張した面持ちで滞空している蜜花。
少しずつ煙が薄れ、人影が浮かび上がる。
悠久が――倒れている。
「悠久っ?!」
駆け寄った愛利が悠久の手を握る。外傷はない。火傷もしていないようだ。しかし衣服が乾いており、アーネウは赤く色づいている。熱い。
微動だにせず、息がないように見える悠久。場に緊張が走る。
「悠久お願い……っ目を開けて」
澄んだ緑色の瞳を潤ませ、悠久の手を強く握り締める愛利――。
「う……かはっ、けほ……っ」
すると悠久が咳き込みながら、愛利の手を微かに握り返した。
「悠久っ悠久っよかったぁ……!!」
愛利が声を弾ませる。悠久は朦朧としながらも僅かに微笑んだ。額に汗が滲んでいる。悠久の上着を脱がせる愛利。
「ア、アーネウを熱暴走、させて……ぅ……溶、かそうと思ったん……だけど……余計だ、ったね…………」
「いいから! 喋らなくていーから!」
無理に言葉を発しようとする悠久を愛利が落ち着かせる。蜜花は安堵した様子で弓を抱えた。
「アウンレワリカ……アピソオチフノウ……」
悠久の生存を確認するなり、魔術を発動させるリバーサー。
空中に現れた魔術陣から黒い炎が噴き出した。やがてそれは爪の長い魔物の手を形作り、悠久に向かって猛進する。
「……っだめ!」
刀を手に取り、横たわる悠久の前に立ち塞がる愛利。黒き手が大きく開き、愛利の眼前に迫る。
「甘い」
アトレカルはそう呟き、重い大剣をブーメランのように投げ飛ばした。高速で回転しながら、燃え盛る手に直撃する大剣。魔物の手が散り散りにかき消える。
「! せんせっ」 破顔する愛利。
「全員固まれ! 狙いは悠久だ。分断して弱体化させようって腹らしい」
アトレカルのそう呼びかけると、みな戦闘を切り上げ、悠久の元へと急ぐ。
「……お前らには言ってない」
ぞろぞろと押し寄せるアフトラガ兵を見て、そう言い放つアトレカル。アフトラガ兵は肩をすくめ、持ち場へと戻っていった。
アトレカルは尚も魔術を発動しようとするリバーサーらに向かい、突進していく。
「焼け石に水」
流輝はそう口にすると、悠久のアーネウに繰り返し水鉄砲を放つ。
「ありがとう……でももう冷めてるから、大丈夫……」
起き上がろうと弱々しく体を捻る悠久。愛利が押しとどめる。
「蜜花の新技すごかったじゃん! なにあれ」
颯爽と駆けつけた佳乃が、上空の蜜花に話しかける。
「うん。アレディヴさんが矢尻を特別な素材に変えてくれて……魔術を吸収できるようになったの。さっき戦ってる時にリバーサーが炎を使ってきたから……」
そう言って矢筒から一本、矢を取り出す蜜花。百合の紋章のような形の矢尻が青緑色になっている。アーネウのネジと同じ色だ。
「矢尻を魔術に触れさせると、属性を与えられるみたい」
「はえ~~……ってかうちも新技あんだった! ちょ見てて!」
佳乃はそう言うなり、強く目を閉じた。全身の毛が逆立ち、周囲に複数の火花が散る。犬耳が断続的に振動する。
「こい! ケム様ロックサンダーソード! 略してケツクサ!!」
佳乃が右手をかざすと、手の平から雷がほとばしりーーやがてそれは剣のような形に変わる。
「略し方!!」
一足遅れて到着した雅仁がツッコミを入れる。激しい戦闘があったようで、汗で髪が濡れている。
「お師匠っ危ないからどいてな! ぅりゃーーっ!!」
佳乃がそう言って跳び上がり、リバーサーにジャンプ斬りをくらわす。感電したのか、リバーサーは大きく痙攣しながらその場に倒れ込んだ。
軽い身のこなしで、次々とリバーサーに斬りかかっていく佳乃。
「俺も負けてられねー」
「流輝くん! 悠久をお願いっ」
雅仁と愛利も応援に向かう。蜜花も上空から、今度は氷の矢を放つ。
チームプレーでリバーサーらを圧倒する五人。明らかに流れが変わり、アフトラガの勝利は確実かと思われたその時――
どこからともなく戦場に降り立つ、大柄の影。
「エクンヨヨリシウウウエガキイ……」
Mリバーサーだ。手にした杖を一振りし、周囲を威圧する。
そして悠久を見つけるなり、大股で近付いていく。
「っ来たか」
悠久がよろけながら立ち上がり、水鉄砲を構えた流輝を守るように歩み出る。
「アウオチアウアソアタミエヒク……オラプノス……」
Mリバーサーが助走をつけ、杖を振り下ろす。
ギィイィィン!!
左足を振り上げ、靴裏で杖を受け止める悠久。そのまま杖を払いのけ、すかさず右足でMリバーサーの横っ面を蹴りつける。
「アウアピクンサガスンキエカウンザラマキア……オインラエトタイクン……」
しかしMリバーサーは全く動じることなく、瞬時に悠久を膝で蹴り上げた。
「がは……っ」
腹部を押さえ、歯をくいしばる悠久。
「お前の相手は俺だ」
Mリバーサーの真後ろに雅仁が現れ、大鎌で斬りかかる。
「オレトタワパマイアグ……」
Mリバーサーの杖が光り、見えない障壁が雅仁の攻撃を跳ね返す。
「くそっ」
角度を変えて何度も追撃する雅仁だったが、ことごとく防がれる。
「オリソグエオモイラコル……」
その隙を見逃さなかった周囲のリバーサー。
雅仁の背後、空中に現れた魔術陣から多数の黒い長針が放たれ、銃弾のように雅仁の全身を撃ち抜く。
「があぁっ……」 倒れ込む雅仁。
「雅仁くん!!」
思わず助けに向かおうとする悠久。
「アウアプンンヨイ……」
しかし、Mリバーサーが今度は悠久の顎を蹴り上げる。
「ぐっ」
悠久の口端から血が垂れる。Mリバーサーが悠久に掴みかかった。
「悠久くん!」
蜜花が放った複数の氷の矢がMリバーサーに集中する。しかし、Mリバーサーが杖を一振りすると全て跳ね返され、蜜花に向かっていく。
「きゃっ」
身を翻す蜜花だったが避けきれず、翼に被弾した。浮力を失い、落下する蜜花。
「……ッ」
舌打ちをしながらも蜜花に向かって走り出すアトレカル。
しかし背を向けた瞬間、リバーサーらの猛撃がアトレカルを襲う。何度かまともに攻撃を受け、追い込まれるアトレカル。
「蜜花ちゃんっ」
悠久は回し蹴りでMリバーサーを振り払ったかと思うと、その場から消えた。
「悠久くん……ありがとう」
いつのまにか蜜花を受け止めて立っている悠久。瞬時に移動したらしい。体力が回復してきたようだ。
「大丈夫?」 心配そうな悠久。
「うん! アーネウにちょっと当たっただけ。飛べないけど、戦える」
そう言って戦場へ戻っていく蜜花。アトレカルもなんとか持ち直し、動きは鈍くなっているものの善戦している。
「仕方ねえな……お前にはガチ技使ってやるよ」
雅仁が嘲笑いながら立ち上がり、悠久を追うMリバーサーに斬りかかる。
大鎌が――炎を帯びている。蜜花と同様、アレディヴに武器を改造してもらったらしい。刃が青緑色だ。
Mリバーサーは鬱陶しそうに杖で払おうとするが、やはり矢と比べると対処しにくいようで、足止めを食っている。
愛利は悠久が気になるようで、思うように戦えていない。佳乃と流輝は――相変わらずだ。
「俺を守ろうとして、みんなが……」
束の間、立ち尽くしていた悠久は両手を強く握りしめた。鋭い眼光で前方を見据える。
「雅仁くん! もう大丈夫だから、こいつは俺に任せて。みんなにも俺のことは気にしないでって伝えて」
悠久は雅仁にそう声をかけると、高く跳び上がり、サンディー城のコテージに着地した。
いくつもの尖塔が連なるサンディー城。暗がりの中、そびえ立つ城塞は得体の知れない魔物の住処のようだ。
地上から三十メートルほどだろうか。アフトラガ兵とリバーサーが入り乱れ、争い合う様子がよく見える。
「アウアイトトンカウオクンオス……アプンクノイスエクイス……」
Mリバーサーの背から黒い翼が生え、悠久に向かって飛び立つ。靄のかかった巨大な暗影、悪魔のようだ。
雅仁は不安げな表情で悠久を見やったが、思い直したように深く頷き、付近のリバーサー相手に戦闘を再開した。
「イアウエタキウイラキハミワイ……」
Mリバーサーが空中で杖を振る。悠久を囲んだ六つの魔術陣から無数の槍が現れ、悠久を襲撃する。
「飽きたな、そういうの」
アトレカルが大剣でやったように、全身をあらゆる方向に回転させ、全て蹴り返す悠久。
Mリバーサーは向かってきた黒い槍を回避し、次の魔術を発動する。
悠久の足元の魔術陣から三角錐に似た図太い黒い棘が飛び出る。瞬時に避けた悠久だったが、悠久を追って何度も魔術が発動される。
コテージから尖塔の青い屋根に移動する悠久。かなり足場が悪い。凹凸のある棒状の屋根飾りを掴み、バランスを取る悠久。
「エクンヤウアテイワガクケク……」
Mリバーサーが飛んで追いつき、屋根に着地した。翼が消失する。そして間髪入れず、杖で悠久に殴りかかる。
「く……っ」
杖を肩で受け止め、両手で握り持つ悠久。杖を取り返そうと前のめりになるMリバーサー。お互い大きく足を開き、なんとか平衡を保っている。
「そんなにこの杖が大事?」
悠久は鼻で笑うと、Mリバーサーの胸部を全力で蹴りつけた。
「残念。もう魔術は使えない」
吹っ飛ばされるMリバーサー。そのまま屋根から転落する。悠久も足を踏み外しかけたが、大きく宙返りをして元いたコテージに戻った。
そしてMリバーサーの杖を放り投げたかと思うと、回し蹴りで粉砕する悠久。破片が風に乗って散っていく。
――その光景を目の当たりにしながら、落ちていくMリバーサー。その先には尖塔が待ち受けている。
「アグラトウスウオウンコイリアトウオク……」
為す術なく、槍のような尖塔の装飾に串刺しになるMリバーサー。
Mリバーサーは弱々しく震えながら、地上へと手を伸ばした。死に場所を求めるかのように。
「はぁ……っ! やった」
悠久は脱力し、思わずその場に倒れ込んだ。大きく上下する胸。アーネウが再び熱を帯びている。
?!
不穏な物音と鋭い殺気に、飛び起きる悠久。
目の前には――サンディー城前に設置されている、六本の旗竿が浮かんでいた。鋭利な竿先を悠久に向けて。帯のように長い、カラフルな旗がはためいている。
「なんで……っ」
悠久が認識した瞬間、一本の竿が飛んでくる。
咄嗟に跳んで避けながら、悠久はMリバーサーを確認する。旗竿は派手な音を立て、コテージに突き刺さった。
――Mリバーサーが串刺しになったまま、旗竿に手をかざしている。操っているようだ。
「しぶと! てか杖なくてもいけんのかよっ」
すかさず二本目が飛んでくる。下方の尖塔に飛び移り、すんでのところでかわす悠久。
「エアウィテラモコリサウウウオク……」
次々と向かってくる旗竿を避けながら、地上へと近付く悠久。
冷静に対処できているかに見えたが、五本目を避けたところで屋根に足を滑らせる。
「うぁっ」
真っ逆さまに落ちていく悠久。地上から十メートルほど、悠久のアーネウなら問題なく着地できる距離だ。
しかし、六本目が真上から放たれる。このままでは悠久が着地するよりも早く、旗竿が悠久を貫くだろう。
みなは戦闘に集中していて悠久の窮地に気付きそうにない。
悠久は一か八か、竿をアーネウで受け止めようと空中で体勢を変える。
「っ諦めない、絶対……!!」
ゴッ!!
地面に深く突き刺さった旗竿――悠久の額から数センチ離れた場所にある。赤と黄色の旗が悠久の鼻先をかすめた。
微動だにしないMリバーサー。すれすれのところで力尽き、軌道がずれたようだ。
「っあ……背中、いっ……た……」
芝生の上で大の字になっている悠久。背中から着地したため衝撃が大きく、息苦しさに喘いでいる。
辺りは木々が生い茂っている。洗練された印象のサンディー城付近にも、意外と緑がある。
「だめだ、早くみんなを……っ」
放心しかけた悠久だったが頭を振り、立ち上がる。弱々しい足取り。満身創痍の状態だ。
「もう、終わりにするんだ。今日で、全部」
振り絞るように声を出す悠久。騒々しい金属音や怒号が、途切れることなく聞こえてくる。
……!!
何らかの気配を察知し、走り出す悠久。緊迫した表情。
「くそっまたあいつが!」
戦場を確認するなり、悪態をつく悠久。
――リバーサーが、復活している。まだ倒れているリバーサーも多数いるが、明らかに数が減っている。
サンディー城前の広場の中心に立ち尽くす、Aリバーサー。
双剣を手に、アトレカルら五人と対峙している。膠着状態、といった様子だ。
「え……?」
異変を感じ、走り寄る悠久。
「悠久! よかった、無事だったか」
雅仁が声をかけるが、悠久の耳には届かない。
「な、んで」
悠久の視線の先――正座した蜜花の膝に頭を乗せ、愛利が気絶している。多量の血を流しながら。
「悠久くん、ごめん……守れなかった……! Aリバーサーが、急に……っ」
涙を流しながら謝る蜜花。その脇で狼狽えている佳乃。
アトレカルはAリバーサーを見据えながら、唇を噛んだ。大剣の切っ先を真っ直ぐにAリバーサーに向けている。
悠久は何度も躓きながら、愛利の元に辿り着く。
そして跪き、震える手で愛利の首筋に触れた。
――脈が、ない。
「ぁ……っあ、あぁ…………」
息を詰まらせる悠久。愕然とし、力なくうなだれる。
「エクンヨウナギトナギト……」
冷たく澄んだ声が響き渡る。荒く呼吸していた悠久の動きが、止まった。
「お前……お前が、やったのか……」
悠久はAリバーサーに背を向けたまま、怒りに身を震わせる。
「どうして、こんな……っ許さない…………お前だけは、絶対に」
顔を上げた悠久。目が――赤く染まっている。激しい憎悪に満ちた、禍々しい瞳。
「悠久、お前……」
雅仁が思わず後ずさりをする。アトレカルも大剣を悠久に向け、身構える。
「イアゲウオエクンイ……エチズイス……エチサワソメウ……」
Aリバーサーが悠久に一歩、歩み寄る。
「黙れ!!! うるさい、うるさいうるさい……っう、ぅあぁぁああぁあぁぁぁ!!!!!」
両手で頭を抱え、苦悶する悠久。周囲で異変が起き始める。
悠久から放射状に亀裂が走る石畳。辺りは闇に包まれ、地響きが大きくなっていく。
「動くな!」
半狂乱になった佳乃に向かって、アトレカルが叫ぶ。
涙を拭い、不安げに辺りを見回す蜜花。流輝は傍観している。
リバーサーらが杖を振るが、なぜか魔術が発動しない。
Aリバーサーがもう一歩、悠久に近付いた。
「来るなぁぁああぁぁあああ!!!!!!!!!!」
Aリバーサーを睨みつけ、絶叫する悠久。その目が一際赤く光る。
瞬間、割れた石畳が浮き上がったかと思うと――大爆発が起きた。
スローモーションのように、全てがコマ送りで展開する。
何もかもが吹き飛んだ。
いくつもの肉身が巻き上げられ、地面に叩きつけられる。
木々は根こそぎ、なぎ倒される。
瓦礫が舞い、爆弾のように至るところに落ちては被害を広げる。
辺りは灰色の爆煙に包まれ、何も見えなくなった。
やがて――不気味なほどの静寂が訪れ、惨状が明らかになる。
「っ無事か……」
嘆息するアトレカル。悠久を中心として、半径ニメートルほどは被害を免れた。アトレカル、雅仁、蜜花、佳乃、流輝、そして悠久も無傷だ。
しかし、それ以外は全滅。アフトラガ兵も、全員だ。周辺は死屍累々、おぞましい状況だ。
地面に横たえられた愛利に、悠久がにじり寄る。青白い肌。出血は止まっている。
息を切らしながら、俯く悠久。目元から水滴が零れ落ち、愛利の瞼を濡らした。
やがてそれは涙のように、愛利の目尻から流れ落ちる。
「悠、久……」
――愛利が目を開けた。
「ぁ……愛利ちゃん……?」
信じられないとばかりに目を見開く悠久。瞳が元の黒色に戻っている。
愛利は僅かに微笑んだかと思うと、苦しそうに顔を歪め、再び目を閉じた。意識が混濁しているようだ。アトレカルが駆けつける。
「至急、治療が必要だ」
そう言って愛利を抱え上げ、サンディー城へと向かうアトレカル。
「まっ待って! 俺も……っ」 ハッとして立ち上がる悠久。
「お前らはまず応急処置だ。救援が来るまで大人しくしてろ」
アトレカルは有無を言わさず、去っていった。悠久は初めて周囲を見回す。
広場は――めちゃくちゃだ。大小の瓦礫が積み重なり、そこら中に死体が転がっている。濃密な血の匂い。
サンディー城には目立った損傷はない。広場から入園口にかけて、リバーサーがいた場所のみが破壊されている。
「俺が……やったのか? これを、全部……」
狼狽する悠久。ふらふらと歩き出す。
死体が多く集まっている場所があった。ふと立ち止まる悠久。
悠久がいた方向から何かを守るように、一箇所に折り重なったリバーサーの亡骸。
!
Aリバーサーだ。Aリバーサーがその後ろで倒れている。
息が――あるようだ。肩が僅かに上下している。
「エクンイ……」
Aリバーサーが悠久に気付き、体を起こしかける。
「お前のせいで……お前が……っ」
とどめを刺そうとアーネウの状態を確認する悠久。問題なさそうだ。
Aリバーサーが悠久に顔を向け、声を発する。
「お願い、思い出して……ユーク」
耳を疑う悠久。驚いて顔を上げると、そこにリバーサーの姿はなく――愛利がいた。
先ほどまでAリバーサーがいた場所に同じように倒れ込んでいる。愛利はアトレカルが連れて行ったはずなのに。
いや、愛利じゃない。よく見ると耳が尖っているし、ツインテールの毛先も白く変色している。服装も見たことのない、制服のような白いコート姿だ。
それでも、よく似ている。緑色の瞳、ピンク色の頭髪、レースのリボン。
「お前……っ誰だ?」
悠久は声を荒げた。愛利に似た女は何か言いたげに口を開きかける。
しかしすぐに脱力し、地面に体を打ち付けた。息を引き取ったようだ。
「悠久! そっち行ったぞ!!」
雅仁の叫び声に振り向く悠久。見ると、上空からMリバーサーが落ちてくるところだった。悠久を踏み潰さんとする勢いだ。
「不死身かよ……!」
間一髪、地面を蹴り、回避する悠久。
ガガッ!!
Mリバーサーが石畳を踏み割りながら、着地する。臨戦態勢になる悠久。
「アイリ……アクンクノイジアプ……」
しかし、Mリバーサーに戦意はないようだ。悠久を一瞥するとしゃがみ込み、Aリバーサーを抱えて立ち上がった。
?!
動揺する悠久。愛利に似た女は消え失せ、再びAリバーサーが姿を見せている。黒く塗りつぶされたような、影の者。
「エワウンカ……イアウアスンーンイ……」
混乱する悠久を残し、Mリバーサーは翼を生やして飛び立つ。やはり、杖がなくても魔術を使えるようだ。
「なにが、どうなって……」
立ち尽くす悠久の前に、一本のレースのリボンが落ちてくる。それは悠久の出した手に、吸い寄せられるように収まった。
悠久は薄暗い空を見上げ、不安げにリボンを握りしめた――。
その夜は祝勝会だった。
アフトラガにも甚大な被害が出て、そういう気分にはなれないと一度は断った悠久。しかし、アフトラガ兵は全員無事だと雅仁が言い張り、悠久は無理やり連行された。
「おっ主役が来たぞ!」「悠久くん、お疲れ~!!!」「ナイスファイトォ!」
食堂に入るなり、悠久は盛大な歓迎を受けた。大勢のアフトラガ兵が悠久に向かって声援を送っている。
「な? 元気だろ」
ニヤリと笑う雅仁。悠久は戸惑いながらも頷き、アトレカルらの待つテーブルに向かった。
「悠久くん、本当にお疲れ様でした。まさか完全適合の恩恵がここまでとは……しばらくはリバーサーも現れないでしょう。全てあなたのおかげです」
アレディヴが悠久の肩に優しく手を置く。アトレカルは黙って頷いた。心なしか表情が柔らかい。
「あの、愛利ちゃんは……?!」
面々を確認し、愛利の不在に気付く悠久。珍しく流輝がいる。
「大丈夫ですよ。容態は安定しています。すぐに良くなります」
「そ、そうですか。よかった……」
悠久は胸をなでおろした。蜜花も嬉しそうに笑みを浮かべる。
「おいっそれよりみんな待ってたんだぞ! 乾杯にしようぜ! なんか一言、かましたれ!」
赤ワインが注がれたグラスを、悠久に差し出す雅仁。アフトラガ兵が盛り上がり、悠久に視線が集中する。
「えっちょっとこれお酒? 俺たちまだ未成年……」
「だーいじょうぶだって! 芳醇なぶどうジュース!」
「えぇ~~……」
雅仁に押し切られ、グラスを受け取る悠久。みなもグラスを持ち、悠久の言葉を待つ。
「あ、えと……この度は荒天の中、ご健闘いただきまして誠にありがt」
「ジジイ出てるぞっ」
佳乃に遮られ、照れ笑いする悠久。アフトラガ兵がどっと沸く。
「と、とにかく! これからも共に助け合って参りましょう! 乾杯っ!!」
「「「乾杯~~!!!」」」
賑やかな宴が始まった。テーブルの上には色とりどりのオードブル。変わり種でピザとホットドッグ、チーズの盛り合わせやチキンパスタもある。
「そうだ。皆さん、先日撮影した写真が出来上がりましたので、一枚ずつどうぞ」
アレディヴが分厚いガラス板をみなに手渡す。
そこには以前、プールサイドで撮った写真が印刷されていた。まるでそこに存在しているかのよう、普通の写真よりも立体的に見える。
「やっば! 悠久の水着、ムダに鮮明じゃん!!」
「もっとちゃんとした写真がよかった……」
爆笑する佳乃、涙をのむ悠久。
「あれ……? 流輝くん、いたんだね。この時」
蜜花が流輝の姿に気付く。写真の端から上半身だけ写り込ませ、両手でピースサインをしている。
「最初からいたって言った」 興味なさげに呟く流輝。
「このまま立てて飾れますので、お部屋にぜひ。超強化ガラスで耐候性も抜群なので、半永久的に楽しめますよ」
「死ぬまでには壊れますように……」
誇らしげに性能を披露するアレディヴに、悠久はため息をついた。
「悠久くん、その後の夢見はどうですか?」
悠久がオードブルの野菜をつまんでいると、アレディヴが話しかけてくる。
「良いです。元々、よく変な夢を見てたんですけど、最近は爆睡で。覚えてないです」
「それは良かった。ちなみに、その変な夢とは……? 夢って意外と健康のバロメーターになるんですよ」
アレディヴに言われ、思い返す悠久。口元に料理のソースが付いている。
「おいっ肉食えユーク!! 肉食え!」
顔を真っ赤にした雅仁が、ユークに向かって叫ぶ。大分酒が回っているようだ。ユークは曖昧に笑って受け流した。
「うさぎの夢?は繰り返し見ます。赤い扉と青い扉があって、俺は赤い方を選ぶんですけど、その先にでっかいうさぎがいて……なぜか床がなくて、落ちていくんです。そこで終わるんですけど」
「へぇ、メルヘンですね」 目を細めるアレディヴ。
「メルヘン?ですかね。雰囲気的には嫌な感じで、怖いんですけど……なんか叫び声とか聞こえるし」
悠久は顔を曇らせた。その時、佳乃が大声を上げる。どうやらワインを服にこぼしたらしい。白い生地に赤い染みができている。
「気にすんな! 目立たねえよ、色的に」
雅仁が豪快に笑い飛ばす。蜜花がすかさずハンカチを取り出し、軽く叩いて拭い取る。感謝する佳乃。
その様子を、悠久はぼんやりと眺める。
「……なるほど。夢というものは印象第一ですからね。印象が悪いのであれば、あまり良くない兆候といえます」
「そう、なんですか」
アレディヴに視線を戻す悠久。どこか上の空だ。
「明晰夢であれば、青い扉を選んでみてはいかがですか? 良い夢に変えられるかもしれません」
「ははっおもしろいですね。今度見たらやってみます」
悠久が同意すると、アレディヴは満足そうに微笑んだ。
祝勝会から一人抜け出し、居住エリアのホールにやってきた悠久。天井には天の川銀河を含む、満点の星空が映し出されている。
悠久はポケットに入れたままになっていた、あのレースのリボンを取り出した。
よく見ると悠久が愛利にあげた物とは違い、編み目が不安定だ。作りが甘く、既製品には見えない。
フラッシュバックする情景。『思い出して』と懇願する少女。悠久の名を知っていた。次の瞬間にはAリバーサーがそこにいた。シルエットは同じだ。それが意味するものとは――、
「俺は、知らない……っ」
胸の痛みに身を屈める悠久。悲しくて、怖かった。何か、大事なことを忘れている気がした。
そして、もう取り返しがつかないだろうという、漠然とした絶望感に追い詰められる。
「ゆ~うく!! なにしてんのっ」
後ろから思いっきり抱きつかれ、たじろぐ悠久。振り返ると――愛利が立っていた。
「愛利ちゃん?! もう大丈夫なの?!」
「えっへへ~治っちゃった! 大元気!!」
首や腕、足に包帯が巻かれているものの、いつもと変わらない笑顔を見せる愛利。
「ん? なにそれ……ゴミ?」
悠久が手にしているリボンを観察する愛利。悠久は慌ててリボンをポケットに突っ込んだ。
「はは、うん。ゴミ、かな……多分」
歯切れの悪い悠久を、不思議そうな顔で見つめる愛利。
悠久はさりげなく愛利の髪飾りを見やった。やはり、違う。
「……ねぇ、愛利ちゃん」
「んー?」
「愛利ちゃんってさ、実は姉妹がいたりとか……ないよね。まさかの双子だったり? なんて。はは」
自嘲気味に笑う悠久。愛利は何かを確かめるように、じっと悠久を凝視した。緊張が走る。
「おっ愛利じゃーん!!」
その時、慌ただしい足音がして佳乃が駆けてきた。後ろに雅仁と蜜花もいる。
「主役のくせに抜け出すとか良い度胸だな! オイ!」
雅仁が語気強めに悠久に絡む。呂律が回っていない。
「愛ちゃん、もういいんだね。修理うまくいったんだ?」
笑顔で愛利に話しかける蜜花。酔っているのは雅仁だけのようだ。
「そうなの~! 皮膚はあんまり在庫なくて、ところどころ内部見えちゃってるんだけど、包帯でごまかしてみた!」
自慢げにそう言い放つ愛利。聞き流していた悠久だったが、強烈な違和感に、体を硬直させる。
「派手にやったもんな~そこまで傷付ける必要なかったんじゃね? 適当にやっても悠久には良い感じに見えるんだからさ、どうせ」
あっけらかんと話す佳乃。悠久は急激なめまいを覚えた。
何を話している――? 現実感がない。夢の中にいるようだ。
「いやでも、すっげーよな! まさかの大爆発! あれ絶対アーネウ関係ないだろ?! こいつマジやべーよ。ボケジジイ極まってて助かったけど。いや~~さすがの俺もビビり倒した」
悠久の肩に手を回す雅仁。酔ってはいるが正気のようだ。他の三人とは会話が成り立っている。
「ね、ねぇ……それどういうこと……?」
雅仁から距離を取り、おずおずと切り出す悠久。
雅仁と佳乃は眉間にしわを寄せ、悠久を見つめた。愛利は冷たいほどの無表情、蜜花は物憂げに目を伏せる。並々ならぬ緊迫感。
「おい、こいつ……」 雅仁が口を開きかける。
「おっ俺さ! さっき野菜しか食べなかったから、今みんながなんの感想言い合ってるのかわからなくて……今度食べてみたいから、そのおいしかった料理の名前、教えてほしいな」
でたらめに言葉を紡ぐ悠久。雅仁は訝しげに悠久を注視していたが、すぐにいつもの表情に戻った。
「ん、勘違いか。大丈夫そうだな」
雅仁がそう言うと、佳乃と蜜花も安堵したように相好を崩す。悠久の質問に答えるつもりはないようだ。
「……ぁ、ありがとう。じゃあ俺、疲れたから先に休ませてもらうね。おやすみなさい」
悠久はなんとか笑顔を作り、そう言った。心臓が痛いほど波打つ。床がぐにゃりと歪む感覚。立っているのがやっとだ。
「おう、おやすみー」
雅仁がおざなりに手を振る。悠久は努めて落ち着いた足取りで、しかし時折よろめきながら、自室へと向かう。
途方もない喪失感と、愛利の鋭い視線を感じながら――。
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