明日の空は君のもの

海埼有音

文字の大きさ
11 / 11

もう話すことにするよ《ユウタside》

しおりを挟む


「僕は・・・ほんとにホモなんだ。・・・男にしか、惹かれない。」




「・・・っ?!」
一瞬、カイトの目が見開かれる。

「・・・ほら、引いたでしょ?」
「そんなことないです。続けてください。」

ギュッ



そう言って、カイトは僕の手を握った。

「ゆっくりでいいです。先輩の言いたいことだけでいいです。聞かせてください。」

「わかった・・・。僕とレオはね・・・・・・1年の夏から、付き合ってたんだ。」

「・・・!そうだったんですか・・・。」

「うん。レオが・・・僕がホモだって見抜いて、夏祭りで、僕から告白して、レオも僕のこと好きだって言ってくれて・・・。このままの関係が、ずっと続くと思ってたんだ。」



・・・あ、やばい。
視界が滲む。

「ほら、僕って早口だからさ、あんまり聞き取ってもらえないこととかあるじゃん?でも、レオは一字一句間違いなく聞き取ってくれるんだよね。で、記念日には僕のプレゼントを受け取ってくれて、デートも沢山して、キスも・・・その先も・・・。レオがなんでもリードしてくれて、いつも優しくて。ずっと、一緒に・・・いられると・・・隣に・・・ヒック・・・グス・・・」

ダメだ。
視界が揺れて、頬を涙が伝う。

「・・・っせんぱ」

「いられると・・・思ってて・・・グスっ、でも・・・僕が・・・なんかしちゃって・・・レオが・・・女の子好きになったから・・・別れ・・・よ・・・・・・って・・・・・・。僕が・・・きっと、なんか悪いことしたんだ・・・!グスっ、レオが・・・僕は悪くないって・・・言ってたけど・・・でも、あんなに優しいレオが・・・嘘、ついてて・・・だ・・・から、だから・・・っ!」

だんだんと喋れないほどに嗚咽が止まらなくなる。
こんなんじゃダメなのに・・・

「・・・っ!」

ギュッ

身体が浮いたと思った瞬間、視界が真っ暗になる。


次いで感じる、柔軟剤の香り。


「・・・もういいです・・・。すいません。辛いこと言わせちゃって。」


僕・・・カイトに抱きしめられてる・・・?


それに気づいたとき、カイトが更に僕を強く抱きしめてきた。


「泣いていいです。いくらでも、泣きたいだけ泣いてください。」


そう言って、腕の中の僕の頭を撫でる。


カイトって、こんなに大きかったんだ・・・

久しぶりに感じる、人の温もり。


「・・・っ、ふえええええええええ~!」


自然と涙が溢れ、みっともないくらいに泣いた。








しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...