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続・東京シンデレラ
1.再会は二丁目ソープ
はじめてのお客というのは、いろんな意味でスリリングだ。
人は見かけによらないというのは本当で、大人しそうに見える貧相な体格の男が実はオラオラだったり、強面で身体中にワケのわからない傷跡があるような男が意外にオネエだったりということはよくある。
だけど最悪なのは、お客が知り合いだった場合だ。
幸い、今までその経験はしたことはなかった。
高杉と再会したのもソープだったが、高杉は客として会ったわけじゃない。
その日、オレはその「最悪」を迎えた。
俯いて入って来た客を部屋に入れたときには気づかなかった。
「お客さん、はじめてですよね。服脱いで、そのカゴに入れて下さいねー」
と、決まり文句の説明をして、ジャバジャバとお湯を出している蛇口を閉めて、湯加減を確かめ、そろそろ脱いだ頃合いかと思って、振り返って、凍りついた。
前をタオルで隠しただけの全裸で立っていたのは、高校時代の恩師だった。
「せ、先生!」
「し、椎名!」
先生、名前を覚えていてくれたんだ。
卒業してもう5年も立つのに。
あれ、そういや先生の名前、なんだったかな。
サトウ?いや違う、サイトウ?
確か、サンなんとか。
呑気にそんなことを考えている場合ではなかったが、人間、パニックになると関係ないことを必死で考えてしまうものらしい。
関係ないってことはないけど。
「こ、こ、こんなところで何をしてるんだ?」
先生は教師の口調でそう言った。
だけど素っ裸で必死に股間を隠しながらだと、虚しい感じになる。
「何って…仕事、です」
仕方なくオレは言った。
「し、仕事って…」
先生はそれまでどこを見ていいかわからないというように、あっちこっちに彷徨わせていた視線を、覚悟を決めたというようにオレを見た。
オレのその日のユニホームは水泳用のキャップとその上にゴーグル、下はビキニタイプの競泳用水着だった。
なぜそんな格好なのかと言えば、世の中が世界水泳で盛り上がっていて、連日、テレビで競泳の映像が流され、世界レベルの競泳選手のセクシーな肉体美に欲情してたまらなくなってやってくるお客が増えたからだ。
先生は、上から下までオレを見て、その視線を股間で止めて、ごっくんと生唾を飲み込んだ。
こんなところに来るくらいなんだから、やっぱり先生もゲイなんだろう。
それも単なるゲイじゃなくて、一発抜きたい、相手は誰でもいい、そんな切羽詰まった欲情したゲイだ。
そう思うと、オレは先生が気の毒になり、覚悟が決まった。
「先生、どうします?相手変えることも出来ますけど、オレでよければ、接客させてもらいます」
先生は驚いた顔でオレを見て、ふるふると首を振った。
「駄目だ。教え子にそんなことしてもらえない」
そう言ったあと、悲しそうに続けた。
「椎名、なぜなんだ。どうしてこんな仕事をしているんだ。おまえは、違うだろ?真面目で、いい子だったじゃないか」
そう言われてやっとオレは思い出した。
三ノ宮、だ。三ノ宮先生。
人は見かけによらないというのは本当で、大人しそうに見える貧相な体格の男が実はオラオラだったり、強面で身体中にワケのわからない傷跡があるような男が意外にオネエだったりということはよくある。
だけど最悪なのは、お客が知り合いだった場合だ。
幸い、今までその経験はしたことはなかった。
高杉と再会したのもソープだったが、高杉は客として会ったわけじゃない。
その日、オレはその「最悪」を迎えた。
俯いて入って来た客を部屋に入れたときには気づかなかった。
「お客さん、はじめてですよね。服脱いで、そのカゴに入れて下さいねー」
と、決まり文句の説明をして、ジャバジャバとお湯を出している蛇口を閉めて、湯加減を確かめ、そろそろ脱いだ頃合いかと思って、振り返って、凍りついた。
前をタオルで隠しただけの全裸で立っていたのは、高校時代の恩師だった。
「せ、先生!」
「し、椎名!」
先生、名前を覚えていてくれたんだ。
卒業してもう5年も立つのに。
あれ、そういや先生の名前、なんだったかな。
サトウ?いや違う、サイトウ?
確か、サンなんとか。
呑気にそんなことを考えている場合ではなかったが、人間、パニックになると関係ないことを必死で考えてしまうものらしい。
関係ないってことはないけど。
「こ、こ、こんなところで何をしてるんだ?」
先生は教師の口調でそう言った。
だけど素っ裸で必死に股間を隠しながらだと、虚しい感じになる。
「何って…仕事、です」
仕方なくオレは言った。
「し、仕事って…」
先生はそれまでどこを見ていいかわからないというように、あっちこっちに彷徨わせていた視線を、覚悟を決めたというようにオレを見た。
オレのその日のユニホームは水泳用のキャップとその上にゴーグル、下はビキニタイプの競泳用水着だった。
なぜそんな格好なのかと言えば、世の中が世界水泳で盛り上がっていて、連日、テレビで競泳の映像が流され、世界レベルの競泳選手のセクシーな肉体美に欲情してたまらなくなってやってくるお客が増えたからだ。
先生は、上から下までオレを見て、その視線を股間で止めて、ごっくんと生唾を飲み込んだ。
こんなところに来るくらいなんだから、やっぱり先生もゲイなんだろう。
それも単なるゲイじゃなくて、一発抜きたい、相手は誰でもいい、そんな切羽詰まった欲情したゲイだ。
そう思うと、オレは先生が気の毒になり、覚悟が決まった。
「先生、どうします?相手変えることも出来ますけど、オレでよければ、接客させてもらいます」
先生は驚いた顔でオレを見て、ふるふると首を振った。
「駄目だ。教え子にそんなことしてもらえない」
そう言ったあと、悲しそうに続けた。
「椎名、なぜなんだ。どうしてこんな仕事をしているんだ。おまえは、違うだろ?真面目で、いい子だったじゃないか」
そう言われてやっとオレは思い出した。
三ノ宮、だ。三ノ宮先生。
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