ルイとレオ~幼い夫が最強になるまでの歳月~

芽吹鹿

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76友との死闘

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 レオポルド側もルイと同じ状況だった。会場のど真ん中で立ち尽くし、次なる敵と相対している。これを勝ち切れば目指していた頂きまでわずかとなる。見えるところまで夢が近づいてきた。

「ここで来たか」

 敵はアラン・テューダー。レオポルドの旧知の仲であり、学園を共に過ごした親友である。

「へっ、対戦表を見たらわかるだろ。お前とはこうなる宿命だったのさ」

「『泣き虫アラン』がたいそうなものじゃないか」

「そういう安い挑発には乗らないことにしているんだ今日は。気分じゃねぇ」

 気持ちが猛っているのか、アランの調子はまるでいつもと違って見えた。覚悟の眼差しとも言えそうな、鋭い目つき。レオポルドが彼に持っていたイメージでは、どうしたって出てこない。

「これは学園同期の頂点を決める闘いだ、レオポルド」

「あぁもちろん。そうこなければ」

 勝ち抜き戦には彼ら以外、同い年の男はいなかった。最も若い二人のなかで、どちらかが上に昇り詰めることができる。なるほど、アランの頑張る姿勢も、このような名誉のために励んでいるらしい。

「加えて、俺とレオポルド。どちらの生き方が正しいかもここで決まるぜ」

「初耳だな。先に言っておけ」

 剣を手拭いで磨きながら、緊張感のないやり取りがなされていく。これは、冗談を言い合った二人だからこそのやり取りだった。
 あと数秒経ってしまえば、勝敗が決まっているかもしれないのに。ついつい友を前にして緊張が緩んでしまう。

「俺は多くの女をこよなく愛している。お前はただ一人の男を愛した」

「男ならばなんでも良いってものじゃない」

「そうさ。性別じゃない、お前はただ一人の相手を愛した」

 これだと言わんばかりに、アランが指をこちらに向けてくる。鎧を着ているのも恥ずかしいくらいに、ふざけた言動をしていることを彼は自覚しているのだろうか。

「騎士も、人も多様であるべきだろう?」

「お前の言い分はわかったから、アラン」

 話しの相手もここまでだと制止しようとする。腕の力を落としかけたところで、試合開始の鐘が鳴った。
 
 不覚だった。よりにもよって対面までの準備時間が短い。なにより審判からの合図すら聞こえなかった。
 いつもより早い鐘の音を聞いた後、レオポルドは腕の先から冷たいものを感じた。ばっと手を引いたことにより、かろうじてアランからの斬撃をもらわずに避けることができた。勘が働いてよかった。

 レオポルドは後手に回ることとなり、相手の次の手を読む必要に迫られる。さっきまでの相手の意図は汲み取ることができなかった、反省すべき点は多い。親友だからと油断もあった。

「ちっ」

 アランの不意打ちは、おおよそ対処することができた。腕の一本でも切られそうな一幕であったが、神に助けられたとでもいえようか。

 まだ諦めがつかないように、アランは太刀筋を四方八方に飛ばしまくっている。レオポルドはどれも目で追えている。

 焦るな、ここで体勢を落ち着かせて、足をしっかりと踏みしめる。眼をよく開いて、闘いの場をよく把握することだ。そうすれば腕におのずと力が入っていく。ほら、ルイの顔を思い出すほど余裕ができてくる。

「いくぞ?」

 心のなかでルイにも告げていった。剣の握り具合は、申し分ない。あとは親友への敵意と、打ち倒す覚悟を持つだけだった。
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