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64あるべきところ③ ※
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尻からこぼれ落ちる精液の感覚に、ルイは悶えていた。愛しい人のものだと思えば余計に、これの後始末をどうしたらよいものか。
外に雑然と吐き散らされたものと同一視するのは、なんだか違う気がして、ルイはほとんど手を付けられていない。
「これ……熱」
みなぎる若さのせいか、それともシオン家の遺伝によるものか。レオポルドの性器はいまだ大きさを保ったままだ。グツグツと煮え立つように、ルイの眼前を覆い尽くしている。
触ってあげたいが、扱いを間違えれば傷をつけてしまうかもしれない。大きさはともかく、見た目から受けつけられないところがあった。
「こっちに、ルイ」
手を握りしめながら、寝具へ跳ねるように横たわる。レオポルドの重量で、下の台座がぎっと大きなうめき声をあげた。
「壊したかな」
「自分の大きさは、ちゃんと考えて」
「そうだな、ルイより俺のがでかいから」
「おい」
一言多いだろうと、ルイはどすの効いた声を発し、レオポルドの頬をつねった。わざわざ言わなくてもいいことを、彼は意気揚々と告げてきた。先までの淫靡な空気感はかき消えている。
「ほんとのことだろう」
「もう、ふふっ。台無しです」
殺風景な空間のすみで、つかの間の幸福が味わえたことだった。互いに息を切らしながら、会話もなく肌を寄り添わせる。これ以上いらないと思えるぐらいの体温と、むせ返るほどの甘酸っぱい匂いにルイは辟易したくなる。
「マルクス王子に」
「ん……?」
「マルクス王子に、今の私の幸せな気持ちを正直に伝えたら。彼は私たちを認めてくださるでしょうか」
ルイは、わかり合うことができない兄弟王子のことを浮かべながら、くだらない冗談を抜かしていた。同性愛を真っ向から否定するマルクス王子に、何を言っても通じないのはわかっている。でも、すごすごと引き下がるのは自分の心に反している。
「諦めたくない」
近い将来。このまま、王宮から追い出されることも可能性の範疇にある。庶民に格落ちされて、故郷にも帰れず、途方に暮れて、孤独のなかで余生を過ごす。そんなこともルイは脳裏にちらついていたりした。
いや、そんなことよりもレオポルドと離ればなれになることの方が問題だ。彼が隣にいない未来は考えらない。ルイはそんな生き方をするくらいなら死ぬ方がましだと感じていた。
「何がなんでも、婚約した事実だけは認めてもらいたいです」
「あぁ。俺も、あれで終わりになんかさせてたまるかよ」
「レオ様もそう……思いますか?」
目を見開いていたレオポルドが首を上下に動かした。
「当たり前だ」
庭で見たものと変わらない。一点の曇りもない瞳の輝きに、ルイはつい手を伸ばしかけていた。とても魅力的にそれが映るのは、ルイが彼のことを心から信頼しているからだろう。
「きっと大丈夫。大きなきっかけさえあれば、兄上だって考えを改めてくれる。それこそ認めざるを得ない状況にしてしまえばこっちのものだ。ぜんぶ解決するさ」
「ふふっ、そんなに都合よく……叶うでしょうか」
現実感のない言葉に、ルイはやや調子を落としていた。血の気の多さは感じる。だが勢いがどれだけあっても、無謀ではいけない。先日の事件でも見たとおり、レオポルドは猛進する癖がある。彼はどこまでも、自分の信念のためなら突き進んでいってしまう。
「レオ様」
「ん?」
「次は私を置いていかないでくださいね」
それだけ口にして、ルイはレオポルドの懐でおとなしく身を丸めた。疲れからくるあくびを手で隠し、眠りにつこうとする。明日のこと、これからのことはできるだけ考えないように努めた。
外に雑然と吐き散らされたものと同一視するのは、なんだか違う気がして、ルイはほとんど手を付けられていない。
「これ……熱」
みなぎる若さのせいか、それともシオン家の遺伝によるものか。レオポルドの性器はいまだ大きさを保ったままだ。グツグツと煮え立つように、ルイの眼前を覆い尽くしている。
触ってあげたいが、扱いを間違えれば傷をつけてしまうかもしれない。大きさはともかく、見た目から受けつけられないところがあった。
「こっちに、ルイ」
手を握りしめながら、寝具へ跳ねるように横たわる。レオポルドの重量で、下の台座がぎっと大きなうめき声をあげた。
「壊したかな」
「自分の大きさは、ちゃんと考えて」
「そうだな、ルイより俺のがでかいから」
「おい」
一言多いだろうと、ルイはどすの効いた声を発し、レオポルドの頬をつねった。わざわざ言わなくてもいいことを、彼は意気揚々と告げてきた。先までの淫靡な空気感はかき消えている。
「ほんとのことだろう」
「もう、ふふっ。台無しです」
殺風景な空間のすみで、つかの間の幸福が味わえたことだった。互いに息を切らしながら、会話もなく肌を寄り添わせる。これ以上いらないと思えるぐらいの体温と、むせ返るほどの甘酸っぱい匂いにルイは辟易したくなる。
「マルクス王子に」
「ん……?」
「マルクス王子に、今の私の幸せな気持ちを正直に伝えたら。彼は私たちを認めてくださるでしょうか」
ルイは、わかり合うことができない兄弟王子のことを浮かべながら、くだらない冗談を抜かしていた。同性愛を真っ向から否定するマルクス王子に、何を言っても通じないのはわかっている。でも、すごすごと引き下がるのは自分の心に反している。
「諦めたくない」
近い将来。このまま、王宮から追い出されることも可能性の範疇にある。庶民に格落ちされて、故郷にも帰れず、途方に暮れて、孤独のなかで余生を過ごす。そんなこともルイは脳裏にちらついていたりした。
いや、そんなことよりもレオポルドと離ればなれになることの方が問題だ。彼が隣にいない未来は考えらない。ルイはそんな生き方をするくらいなら死ぬ方がましだと感じていた。
「何がなんでも、婚約した事実だけは認めてもらいたいです」
「あぁ。俺も、あれで終わりになんかさせてたまるかよ」
「レオ様もそう……思いますか?」
目を見開いていたレオポルドが首を上下に動かした。
「当たり前だ」
庭で見たものと変わらない。一点の曇りもない瞳の輝きに、ルイはつい手を伸ばしかけていた。とても魅力的にそれが映るのは、ルイが彼のことを心から信頼しているからだろう。
「きっと大丈夫。大きなきっかけさえあれば、兄上だって考えを改めてくれる。それこそ認めざるを得ない状況にしてしまえばこっちのものだ。ぜんぶ解決するさ」
「ふふっ、そんなに都合よく……叶うでしょうか」
現実感のない言葉に、ルイはやや調子を落としていた。血の気の多さは感じる。だが勢いがどれだけあっても、無謀ではいけない。先日の事件でも見たとおり、レオポルドは猛進する癖がある。彼はどこまでも、自分の信念のためなら突き進んでいってしまう。
「レオ様」
「ん?」
「次は私を置いていかないでくださいね」
それだけ口にして、ルイはレオポルドの懐でおとなしく身を丸めた。疲れからくるあくびを手で隠し、眠りにつこうとする。明日のこと、これからのことはできるだけ考えないように努めた。
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