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1章 神様が間違えたから
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「あなたの娘の周りには、警告の意味を理解できない馬鹿が、これ程いるということですよ」
はっきりと毒づくと、モニャーク公爵は顔を顰めた。
「もう結婚まで、それ程多くの期間は残っていません。優しいだけでは俺の妻は務まらないと、いい加減、エレノアに気付かせてやって下さい」
これでやっと、モニャーク公爵も理解できただろう。俺は今回の件に関して、エレノアに対しても怒っているのだと。
「王宮は残酷な場所ですから。そこで生き抜くための力を、あなたの娘には持って欲しいのです。どうか理解して下さい」
もっともらしい事を言って立ち上がる。俺達は挨拶もなく、その日は別れた。
※
私に嫌がらせをしていた人々がいなくなった。みんな一斉に自主退学をしていったから。
でも、何だかきな臭い。彼女達の家の財務状況を酷く悪化させる様な出来事があるだなんて。
噂によると、彼女達の家門の不正が国王陛下の怒りを買ったそうだ。その結果、大部分の財産を没収されてしまい、彼女達は学園に通うことすらままならなくなったらしいのだけれど。もうすぐで卒業なのだから、何とか学費を工面できなかったのかしら?
それに、国王陛下はこれまで、少しの不正なら目を瞑ってこられた。それが急にこんな対応をするだなんて。
━━これはきっと、ニコラス殿下が何かをしたわね。
誰も彼も、口に出して言わないけれど、そう思っているのが分かる。かつて私を虐めていた人達はあからさまに怯えた表情で私を見てきた。その上、そうでない人も戦々恐々としながら私に接してくるのだ。
━━余計な事をしてくれた。これは、後で問いたださないと。
そんな事を思いながらお茶を飲んでいると、ミランダとケイン殿下が喧嘩する声が耳に障った。
「違うんです! ケイン様っ、私は」
ミランダの甲高い声が頭痛を悪化させる。私は思わず顔を顰めた。
「言い訳はもういい。・・・・・・しばらく話しかけないでくれ」
ケイン殿下は冷たく吐き捨てると、教室から出て行く。どうやら、今日はミランダと一緒に下校する気はないらしい。
「待って、お願い、ケイン様!!」
彼は無視を決め込んで、つかつかと歩き去っていく。ミランダはそれを悲しみ、泣いているふりをしていたけれど・・・・・・。ケイン殿下が見えなくなった途端、怒りで顔を歪めた。
━━今度は何をやらかしたんだか・・・・・・。
最近のミランダはケイン殿下を怒らせてばかりだった。彼女は「ケイン殿下のエンディング」を見るべく、イベントを起こそうと躍起になっていたから。
第一王妃様とのお茶会、ローズ王女殿下の主催するサロンへの出席、国王陛下との面会。そんな物を、ケイン殿下に要求していたけれど・・・・・・。
その全てが、起こり得るはずもない事だというのを彼女は理解できていない。
第一王妃様が、息子を誑かした卑しい女とお茶をするはずがない。仮にあったとしても、それはゲームのイベントの様な和やかな物ではないだろう。
ローズ王女殿下は、ミランダの事を噂に聞いていて、彼女をとても嫌っている。王女殿下にとって、彼女と関わり合うメリットは何一つないのだから、面会すらできないと思う。
そして、国王陛下はというと。彼はおそらく、ミランダの事を利用するだけ利用して、捨てるつもりでいる。彼にとってミランダは、第一王妃を排斥するための道具の一つに過ぎないのだから。
下級貴族の娘である彼女は知らないのだろう。国王陛下と第一王妃様の仲がどれ程悪いのか。そして、国王陛下がケイン殿下にどんな感情を抱いているのか。
知っていれば、ケイン殿下の恋人として国王陛下に会おうとは思わないはずだ。
不意にミランダと目が合った。
彼女は敵意丸出しの酷い顔で、私に向かって歩いてきた。
「今、笑ったでしょ?」
「はい?」
「私の事を笑ったわよね、愛人の分際で!!」
そう言って彼女は私の髪を引っ張ってきた。
「きゃっ!」
あまりの痛さに声を出すと、私と距離を置きたい人々も、流石に今回は止めに入ってきた。
「何してるんだ!」
「おやめになって!!」
周りの人に助けられて、私は何とかミランダから離れる事ができた。
「この悪役令嬢が! お前が何かやったんだろ!!」
口汚く罵る彼女に人々は眉を顰めた。
「何をわけの分からない事を・・・・・・」
「精神の病気かもしれないな」
そんな事を言われていると知ってか知らずか、ミランダは暴れ続け、遂には警備員に取り押さえられた。
そして、彼女はどこかに引きずられていき、私は職員室で事情を話す羽目になった。そのおかげで、下校の時間は、いつもより、1時間も遅くなってしまったのだ。
はっきりと毒づくと、モニャーク公爵は顔を顰めた。
「もう結婚まで、それ程多くの期間は残っていません。優しいだけでは俺の妻は務まらないと、いい加減、エレノアに気付かせてやって下さい」
これでやっと、モニャーク公爵も理解できただろう。俺は今回の件に関して、エレノアに対しても怒っているのだと。
「王宮は残酷な場所ですから。そこで生き抜くための力を、あなたの娘には持って欲しいのです。どうか理解して下さい」
もっともらしい事を言って立ち上がる。俺達は挨拶もなく、その日は別れた。
※
私に嫌がらせをしていた人々がいなくなった。みんな一斉に自主退学をしていったから。
でも、何だかきな臭い。彼女達の家の財務状況を酷く悪化させる様な出来事があるだなんて。
噂によると、彼女達の家門の不正が国王陛下の怒りを買ったそうだ。その結果、大部分の財産を没収されてしまい、彼女達は学園に通うことすらままならなくなったらしいのだけれど。もうすぐで卒業なのだから、何とか学費を工面できなかったのかしら?
それに、国王陛下はこれまで、少しの不正なら目を瞑ってこられた。それが急にこんな対応をするだなんて。
━━これはきっと、ニコラス殿下が何かをしたわね。
誰も彼も、口に出して言わないけれど、そう思っているのが分かる。かつて私を虐めていた人達はあからさまに怯えた表情で私を見てきた。その上、そうでない人も戦々恐々としながら私に接してくるのだ。
━━余計な事をしてくれた。これは、後で問いたださないと。
そんな事を思いながらお茶を飲んでいると、ミランダとケイン殿下が喧嘩する声が耳に障った。
「違うんです! ケイン様っ、私は」
ミランダの甲高い声が頭痛を悪化させる。私は思わず顔を顰めた。
「言い訳はもういい。・・・・・・しばらく話しかけないでくれ」
ケイン殿下は冷たく吐き捨てると、教室から出て行く。どうやら、今日はミランダと一緒に下校する気はないらしい。
「待って、お願い、ケイン様!!」
彼は無視を決め込んで、つかつかと歩き去っていく。ミランダはそれを悲しみ、泣いているふりをしていたけれど・・・・・・。ケイン殿下が見えなくなった途端、怒りで顔を歪めた。
━━今度は何をやらかしたんだか・・・・・・。
最近のミランダはケイン殿下を怒らせてばかりだった。彼女は「ケイン殿下のエンディング」を見るべく、イベントを起こそうと躍起になっていたから。
第一王妃様とのお茶会、ローズ王女殿下の主催するサロンへの出席、国王陛下との面会。そんな物を、ケイン殿下に要求していたけれど・・・・・・。
その全てが、起こり得るはずもない事だというのを彼女は理解できていない。
第一王妃様が、息子を誑かした卑しい女とお茶をするはずがない。仮にあったとしても、それはゲームのイベントの様な和やかな物ではないだろう。
ローズ王女殿下は、ミランダの事を噂に聞いていて、彼女をとても嫌っている。王女殿下にとって、彼女と関わり合うメリットは何一つないのだから、面会すらできないと思う。
そして、国王陛下はというと。彼はおそらく、ミランダの事を利用するだけ利用して、捨てるつもりでいる。彼にとってミランダは、第一王妃を排斥するための道具の一つに過ぎないのだから。
下級貴族の娘である彼女は知らないのだろう。国王陛下と第一王妃様の仲がどれ程悪いのか。そして、国王陛下がケイン殿下にどんな感情を抱いているのか。
知っていれば、ケイン殿下の恋人として国王陛下に会おうとは思わないはずだ。
不意にミランダと目が合った。
彼女は敵意丸出しの酷い顔で、私に向かって歩いてきた。
「今、笑ったでしょ?」
「はい?」
「私の事を笑ったわよね、愛人の分際で!!」
そう言って彼女は私の髪を引っ張ってきた。
「きゃっ!」
あまりの痛さに声を出すと、私と距離を置きたい人々も、流石に今回は止めに入ってきた。
「何してるんだ!」
「おやめになって!!」
周りの人に助けられて、私は何とかミランダから離れる事ができた。
「この悪役令嬢が! お前が何かやったんだろ!!」
口汚く罵る彼女に人々は眉を顰めた。
「何をわけの分からない事を・・・・・・」
「精神の病気かもしれないな」
そんな事を言われていると知ってか知らずか、ミランダは暴れ続け、遂には警備員に取り押さえられた。
そして、彼女はどこかに引きずられていき、私は職員室で事情を話す羽目になった。そのおかげで、下校の時間は、いつもより、1時間も遅くなってしまったのだ。
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