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遺恨3
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アコンニエミ聖国は<金眼>を持つトールをずっと目の敵にしていた。それにトールのことを「忌み子」だと表現するのもあの国だけだ。
そして冒険者に憧れていたティナを無理やり神殿に連れて行き、聖女として奉仕させ、あまつさえ魔力を搾り取り、一生その身を縛りつけようとした。
アコンニエミ聖国は、ティナと同じような数多の人々の犠牲で成り立っている国、と言っても過言ではないのだ。
いつかアコンニエミ聖国には今回のことと、ティナが受けた仕打ちに対する報復をしなければならないだろう。その時は容赦なく徹底的に潰すつもりでいる。
だけど今は、とにかくティナに会いたい──会いたくて会いたくて、その笑顔で自分の心を癒してほしい、とトールは切に願う。
──このままではきっと、心までも凍てついてしまうだろうから。
それからトールは休むことなく、ひたすらフラウエンロープへと突き進んだ。
アコンニエミ聖国から追手が来る可能性を危惧していたが、警告が効いたのか何事もなく進むことが出来た。
そうして王宮から飛び出して二週間ほど経った頃、トールはついにフラウエンロープに到着する。
トールはティナに会いたい一心で、街に寄ることなく通り過ぎ、<迷いの森>の入り口に降り立った。
森は噂に違わず広大で、鬱蒼と生い茂る木々はまるで砦のような威圧感がある。普通の人間なら言い知れぬ恐怖を感じ、その場から逃げてしまうかもしれない。
「ルシオラは何か感じる?」
トールは精霊であるルシオラがフラウエンロープへ近づくに連れ、元気になっていくのを感じていた。
それはまるで、本来の力を取り戻していくかのようだった。
ルシオラは嬉しそうにトールの周りを飛び回ると、森の入り口へとトールを誘う。
「……え? 案内してくれるって?」
ルシオラから伝えられたイメージは、森の奥深くに巨大な力を感じる、というものだった。その力がルシオラに影響を与えているという。
「じゃあ頼むよ。もしティナの気配を感じたら教えてほしい」
ルシオラから肯定の返事を伝えられたトールは、ルシオラの存在を頼もしく思う。ルシオラには今まで何度も助けてもらっているのだ。
「うん、行こう」
まるで得体の知れない化け物が口を開け、一度入ったら二度と逃げられない──そんな錯覚を起こしそうな恐ろしい森に、トールは全く躊躇うことなく足を踏み入れた。
ティナがいるのなら、そこが火山の噴火口でも海底でも構わず、トールは飛び込むだろう──ティナはずっと前から、トールの生きる全てなのだから。
そして冒険者に憧れていたティナを無理やり神殿に連れて行き、聖女として奉仕させ、あまつさえ魔力を搾り取り、一生その身を縛りつけようとした。
アコンニエミ聖国は、ティナと同じような数多の人々の犠牲で成り立っている国、と言っても過言ではないのだ。
いつかアコンニエミ聖国には今回のことと、ティナが受けた仕打ちに対する報復をしなければならないだろう。その時は容赦なく徹底的に潰すつもりでいる。
だけど今は、とにかくティナに会いたい──会いたくて会いたくて、その笑顔で自分の心を癒してほしい、とトールは切に願う。
──このままではきっと、心までも凍てついてしまうだろうから。
それからトールは休むことなく、ひたすらフラウエンロープへと突き進んだ。
アコンニエミ聖国から追手が来る可能性を危惧していたが、警告が効いたのか何事もなく進むことが出来た。
そうして王宮から飛び出して二週間ほど経った頃、トールはついにフラウエンロープに到着する。
トールはティナに会いたい一心で、街に寄ることなく通り過ぎ、<迷いの森>の入り口に降り立った。
森は噂に違わず広大で、鬱蒼と生い茂る木々はまるで砦のような威圧感がある。普通の人間なら言い知れぬ恐怖を感じ、その場から逃げてしまうかもしれない。
「ルシオラは何か感じる?」
トールは精霊であるルシオラがフラウエンロープへ近づくに連れ、元気になっていくのを感じていた。
それはまるで、本来の力を取り戻していくかのようだった。
ルシオラは嬉しそうにトールの周りを飛び回ると、森の入り口へとトールを誘う。
「……え? 案内してくれるって?」
ルシオラから伝えられたイメージは、森の奥深くに巨大な力を感じる、というものだった。その力がルシオラに影響を与えているという。
「じゃあ頼むよ。もしティナの気配を感じたら教えてほしい」
ルシオラから肯定の返事を伝えられたトールは、ルシオラの存在を頼もしく思う。ルシオラには今まで何度も助けてもらっているのだ。
「うん、行こう」
まるで得体の知れない化け物が口を開け、一度入ったら二度と逃げられない──そんな錯覚を起こしそうな恐ろしい森に、トールは全く躊躇うことなく足を踏み入れた。
ティナがいるのなら、そこが火山の噴火口でも海底でも構わず、トールは飛び込むだろう──ティナはずっと前から、トールの生きる全てなのだから。
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