11 / 70
第一章 港町グラード
episode 09 魔者襲来
しおりを挟む
かつての凄惨な光景が蘇りそうな木々の間を海賊達はなに食わぬ顔で通り抜けるが、慣れないあたし達は恐る恐る遅れまいと通り抜けることがやっとだった。
「ふぅ。
なんでこんなど真ん中を通るのよ」
「そりゃ近いからに決まってるだろうよ」
ただの文句をカルディアではなくレディが応えてくれた。
「分からなくないけどさ、死者への冒涜とかは考えないのかしら」
「アテナ、ここにいるのは海賊だよ。
命あっての物種と考えてる連中に亡くなった者への拘りなんてないのさ。
特に知らない連中なら尚更さ」
「海賊って冷たいのね。
あたしは好きになれないわ」
もし、海賊達が死者の霊を見て死者の声を聞いたら少しは考えが変わるのだろうかと不意に思っていると、大きな口を開けた廃城が待っていた。
「この中に入るのね。
門もだいぶボロボロ、有って無いようなもんだけど大丈夫なの?」
「ああ、この中に宝はある。
孤島の城だ、必ずある」
「誰かが先に来て無いかも知れないじゃない」
あたしの言った可能性を否定も肯定もせず、カルディア達は無言で城へと足を踏み入れる。
海賊の勘だとでもいうのだろうと別段気にも留めず続いて城の中に入ると、崩れ落ちた壁やら傷つけられた絵画や階段が目の前に広がり、古くからの遺跡すら思い起こさせる雰囲気が漂っていた。
「すっごいわね。
これがきらびやかな城だったなんて想像し難いわ。
足の踏み場もないとはこのことね」
「ああ、中々のもんだよこれは。
相当な争いがあって更に年月が相当に経っているってことだね。
気をつけるんだよ、アテナ、ミーニャ」
崩れた天井の隙間から僅かに光が射し込み、なんとか見渡せる明かりの中、瓦礫を踏みしめ海賊の後を追う。
二階に上らず進む海賊達に少し違和感を覚えながらも、二つほど部屋を過ぎたところで立ち止まった。
「どうしたの?
城の中なら宝物庫とか探したら良くない?」
強い臭気に顔をしかめながらカルディアに問うと、彼女は数人ほど指を指して奥の壁へ行くよう仕向けると自信もそちらへ移動し振り返った。
「レディ!
これで貸し借りは無しだ。
この場をやり過ごして必ず来てくれると信じてるよ。
私と違ってあんたならね」
一瞬なんのことか分からずレディを見てやると、険しい顔つきで静かに剣を抜き放った。
「何かいるのね!?」
「そういうことだ」
至って冷静に返すレディの剣先はカルディア達に向けてはおらず、未だ見ぬ敵を探っているようだった。
僅かに聞こえる足音と唸り声にミーニャはあたしの背中にへばりつくと、それに気を取られ気づいた時にはカルディアの姿はなかった。
「ちょっ!?
ちょっと!
カルディア達は!?」
「隠し扉の向こうだよ」
「あの壁が隠し扉になってたの?」
「そうみたいだね。
それも簡単には開けられないとみた」
「この場をやり過ごすしかないってこと!?」
「そういうこと。
ーー来るよっ!」
レディの言葉に続いて開かれた左右と後ろの扉。
そこにいたのは数え切れないほどの魔者の姿だった。
「あいつらは何っ!?」
「やつらは喰妖魔!
人の肉を喰らう魔者だよ」
「この臭いもまさかっ」
「あぁ。
喰っていたんだろうさ。
しかもこの数相手に仲間も置いていくとは……変わったよ、カルディアは。
いくよ!
海賊ども!!」
この場を取り仕切るレディの号令に従い、海賊達も武器を手に魔者へと斬りかかっていった。
「ふぅ。
なんでこんなど真ん中を通るのよ」
「そりゃ近いからに決まってるだろうよ」
ただの文句をカルディアではなくレディが応えてくれた。
「分からなくないけどさ、死者への冒涜とかは考えないのかしら」
「アテナ、ここにいるのは海賊だよ。
命あっての物種と考えてる連中に亡くなった者への拘りなんてないのさ。
特に知らない連中なら尚更さ」
「海賊って冷たいのね。
あたしは好きになれないわ」
もし、海賊達が死者の霊を見て死者の声を聞いたら少しは考えが変わるのだろうかと不意に思っていると、大きな口を開けた廃城が待っていた。
「この中に入るのね。
門もだいぶボロボロ、有って無いようなもんだけど大丈夫なの?」
「ああ、この中に宝はある。
孤島の城だ、必ずある」
「誰かが先に来て無いかも知れないじゃない」
あたしの言った可能性を否定も肯定もせず、カルディア達は無言で城へと足を踏み入れる。
海賊の勘だとでもいうのだろうと別段気にも留めず続いて城の中に入ると、崩れ落ちた壁やら傷つけられた絵画や階段が目の前に広がり、古くからの遺跡すら思い起こさせる雰囲気が漂っていた。
「すっごいわね。
これがきらびやかな城だったなんて想像し難いわ。
足の踏み場もないとはこのことね」
「ああ、中々のもんだよこれは。
相当な争いがあって更に年月が相当に経っているってことだね。
気をつけるんだよ、アテナ、ミーニャ」
崩れた天井の隙間から僅かに光が射し込み、なんとか見渡せる明かりの中、瓦礫を踏みしめ海賊の後を追う。
二階に上らず進む海賊達に少し違和感を覚えながらも、二つほど部屋を過ぎたところで立ち止まった。
「どうしたの?
城の中なら宝物庫とか探したら良くない?」
強い臭気に顔をしかめながらカルディアに問うと、彼女は数人ほど指を指して奥の壁へ行くよう仕向けると自信もそちらへ移動し振り返った。
「レディ!
これで貸し借りは無しだ。
この場をやり過ごして必ず来てくれると信じてるよ。
私と違ってあんたならね」
一瞬なんのことか分からずレディを見てやると、険しい顔つきで静かに剣を抜き放った。
「何かいるのね!?」
「そういうことだ」
至って冷静に返すレディの剣先はカルディア達に向けてはおらず、未だ見ぬ敵を探っているようだった。
僅かに聞こえる足音と唸り声にミーニャはあたしの背中にへばりつくと、それに気を取られ気づいた時にはカルディアの姿はなかった。
「ちょっ!?
ちょっと!
カルディア達は!?」
「隠し扉の向こうだよ」
「あの壁が隠し扉になってたの?」
「そうみたいだね。
それも簡単には開けられないとみた」
「この場をやり過ごすしかないってこと!?」
「そういうこと。
ーー来るよっ!」
レディの言葉に続いて開かれた左右と後ろの扉。
そこにいたのは数え切れないほどの魔者の姿だった。
「あいつらは何っ!?」
「やつらは喰妖魔!
人の肉を喰らう魔者だよ」
「この臭いもまさかっ」
「あぁ。
喰っていたんだろうさ。
しかもこの数相手に仲間も置いていくとは……変わったよ、カルディアは。
いくよ!
海賊ども!!」
この場を取り仕切るレディの号令に従い、海賊達も武器を手に魔者へと斬りかかっていった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる