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第一章 港町グラード
episode 09 魔者襲来
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かつての凄惨な光景が蘇りそうな木々の間を海賊達はなに食わぬ顔で通り抜けるが、慣れないあたし達は恐る恐る遅れまいと通り抜けることがやっとだった。
「ふぅ。
なんでこんなど真ん中を通るのよ」
「そりゃ近いからに決まってるだろうよ」
ただの文句をカルディアではなくレディが応えてくれた。
「分からなくないけどさ、死者への冒涜とかは考えないのかしら」
「アテナ、ここにいるのは海賊だよ。
命あっての物種と考えてる連中に亡くなった者への拘りなんてないのさ。
特に知らない連中なら尚更さ」
「海賊って冷たいのね。
あたしは好きになれないわ」
もし、海賊達が死者の霊を見て死者の声を聞いたら少しは考えが変わるのだろうかと不意に思っていると、大きな口を開けた廃城が待っていた。
「この中に入るのね。
門もだいぶボロボロ、有って無いようなもんだけど大丈夫なの?」
「ああ、この中に宝はある。
孤島の城だ、必ずある」
「誰かが先に来て無いかも知れないじゃない」
あたしの言った可能性を否定も肯定もせず、カルディア達は無言で城へと足を踏み入れる。
海賊の勘だとでもいうのだろうと別段気にも留めず続いて城の中に入ると、崩れ落ちた壁やら傷つけられた絵画や階段が目の前に広がり、古くからの遺跡すら思い起こさせる雰囲気が漂っていた。
「すっごいわね。
これがきらびやかな城だったなんて想像し難いわ。
足の踏み場もないとはこのことね」
「ああ、中々のもんだよこれは。
相当な争いがあって更に年月が相当に経っているってことだね。
気をつけるんだよ、アテナ、ミーニャ」
崩れた天井の隙間から僅かに光が射し込み、なんとか見渡せる明かりの中、瓦礫を踏みしめ海賊の後を追う。
二階に上らず進む海賊達に少し違和感を覚えながらも、二つほど部屋を過ぎたところで立ち止まった。
「どうしたの?
城の中なら宝物庫とか探したら良くない?」
強い臭気に顔をしかめながらカルディアに問うと、彼女は数人ほど指を指して奥の壁へ行くよう仕向けると自信もそちらへ移動し振り返った。
「レディ!
これで貸し借りは無しだ。
この場をやり過ごして必ず来てくれると信じてるよ。
私と違ってあんたならね」
一瞬なんのことか分からずレディを見てやると、険しい顔つきで静かに剣を抜き放った。
「何かいるのね!?」
「そういうことだ」
至って冷静に返すレディの剣先はカルディア達に向けてはおらず、未だ見ぬ敵を探っているようだった。
僅かに聞こえる足音と唸り声にミーニャはあたしの背中にへばりつくと、それに気を取られ気づいた時にはカルディアの姿はなかった。
「ちょっ!?
ちょっと!
カルディア達は!?」
「隠し扉の向こうだよ」
「あの壁が隠し扉になってたの?」
「そうみたいだね。
それも簡単には開けられないとみた」
「この場をやり過ごすしかないってこと!?」
「そういうこと。
ーー来るよっ!」
レディの言葉に続いて開かれた左右と後ろの扉。
そこにいたのは数え切れないほどの魔者の姿だった。
「あいつらは何っ!?」
「やつらは喰妖魔!
人の肉を喰らう魔者だよ」
「この臭いもまさかっ」
「あぁ。
喰っていたんだろうさ。
しかもこの数相手に仲間も置いていくとは……変わったよ、カルディアは。
いくよ!
海賊ども!!」
この場を取り仕切るレディの号令に従い、海賊達も武器を手に魔者へと斬りかかっていった。
「ふぅ。
なんでこんなど真ん中を通るのよ」
「そりゃ近いからに決まってるだろうよ」
ただの文句をカルディアではなくレディが応えてくれた。
「分からなくないけどさ、死者への冒涜とかは考えないのかしら」
「アテナ、ここにいるのは海賊だよ。
命あっての物種と考えてる連中に亡くなった者への拘りなんてないのさ。
特に知らない連中なら尚更さ」
「海賊って冷たいのね。
あたしは好きになれないわ」
もし、海賊達が死者の霊を見て死者の声を聞いたら少しは考えが変わるのだろうかと不意に思っていると、大きな口を開けた廃城が待っていた。
「この中に入るのね。
門もだいぶボロボロ、有って無いようなもんだけど大丈夫なの?」
「ああ、この中に宝はある。
孤島の城だ、必ずある」
「誰かが先に来て無いかも知れないじゃない」
あたしの言った可能性を否定も肯定もせず、カルディア達は無言で城へと足を踏み入れる。
海賊の勘だとでもいうのだろうと別段気にも留めず続いて城の中に入ると、崩れ落ちた壁やら傷つけられた絵画や階段が目の前に広がり、古くからの遺跡すら思い起こさせる雰囲気が漂っていた。
「すっごいわね。
これがきらびやかな城だったなんて想像し難いわ。
足の踏み場もないとはこのことね」
「ああ、中々のもんだよこれは。
相当な争いがあって更に年月が相当に経っているってことだね。
気をつけるんだよ、アテナ、ミーニャ」
崩れた天井の隙間から僅かに光が射し込み、なんとか見渡せる明かりの中、瓦礫を踏みしめ海賊の後を追う。
二階に上らず進む海賊達に少し違和感を覚えながらも、二つほど部屋を過ぎたところで立ち止まった。
「どうしたの?
城の中なら宝物庫とか探したら良くない?」
強い臭気に顔をしかめながらカルディアに問うと、彼女は数人ほど指を指して奥の壁へ行くよう仕向けると自信もそちらへ移動し振り返った。
「レディ!
これで貸し借りは無しだ。
この場をやり過ごして必ず来てくれると信じてるよ。
私と違ってあんたならね」
一瞬なんのことか分からずレディを見てやると、険しい顔つきで静かに剣を抜き放った。
「何かいるのね!?」
「そういうことだ」
至って冷静に返すレディの剣先はカルディア達に向けてはおらず、未だ見ぬ敵を探っているようだった。
僅かに聞こえる足音と唸り声にミーニャはあたしの背中にへばりつくと、それに気を取られ気づいた時にはカルディアの姿はなかった。
「ちょっ!?
ちょっと!
カルディア達は!?」
「隠し扉の向こうだよ」
「あの壁が隠し扉になってたの?」
「そうみたいだね。
それも簡単には開けられないとみた」
「この場をやり過ごすしかないってこと!?」
「そういうこと。
ーー来るよっ!」
レディの言葉に続いて開かれた左右と後ろの扉。
そこにいたのは数え切れないほどの魔者の姿だった。
「あいつらは何っ!?」
「やつらは喰妖魔!
人の肉を喰らう魔者だよ」
「この臭いもまさかっ」
「あぁ。
喰っていたんだろうさ。
しかもこの数相手に仲間も置いていくとは……変わったよ、カルディアは。
いくよ!
海賊ども!!」
この場を取り仕切るレディの号令に従い、海賊達も武器を手に魔者へと斬りかかっていった。
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