異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚

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アリスティア、目覚める

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「姫様、お加減はいかがでしょうか。ご夕食をお持ちしました。」

病人扱いなのか、ゆるい草粥が運ばれてきた。
異世界初料理が草粥ってなんだか予想外。

「ありがとう。ところで、あなた、お名前は?」

お姫様なんだから敬語はいらないだろう。そう思い敬語を入れず話しかける。

「姫様…?このマーサをお忘れというのですか?お戯れを…」

そうか。このおばさんはマーサというのね。

「ごめんなさい。みんな、姫様と呼んで敬ってくれているのはわかるんだけど、実は自分の名前も思い出せなくて…」

マーサが愕然とし震えだす。別に驚かせたいわけじゃなかったけど、でも驚くよね。

「姫様…!なんとおいたわしい…!」

ついには泣き出し、そして慌てて叫びながら部屋から走り出した。

「神殿に使いを!あとは、ビビ!ちょっと来なさい!」

え、神殿に使い?何をするんだろう。
あとビビって誰??お医者さん?
のんびり草粥を平らげていると、ちょうど食べ終わるころに30代前半ぐらいでメガネをかけた、こげ茶のおさげがかわいらしい立ち襟で濃い緑の足首まであるワンピースを着た女性を連れてきた。

「姫様、記憶喪失とお聞きしました」
「ええ、あなたは?」

後ろではマーサが「おいたわしい…」と言いながら目元をぬぐっている。

「私はビビと申します。姫様の家庭教師をしておりました。いつも座ってお話ししておりましたので、そちらの椅子をお借りしても良いでしょうか。」
「ええ。どうぞ。」

ビビはゆったりといすに腰掛ける。
マーサはドアのそばに控えていたので、マーサにも席を勧めたのだが、「侍女たるもの、いつ何時でも動けるよう立って控えているのが常識です」と断られてしまった。
ついでに、草粥の入っていた器を下げに行ったようだ。

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