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ルシア12歳、今私にできる事
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「とりあえずはジョルジオ本人に話を聞いたほうが良い。きっと彼が一番、お母様について知っているからね。」
そう言ってダリオお兄様はニヒルに笑い、話を締めくくる。
私とお兄様は、簡単に言うと母親の愛には飢えている。
ただ、この年齢になるとどうしようもないことだとある程度悟っているので、態度や言葉に出すことは無い。
しかし、お兄様からはやりきれなさや寂しさ、そして一人だけ可愛がられているジョルジオへの妬ましさがほんの少しだけ感じられた。
「申し訳ありません、お忙しいのにこのようなことを相談して。」
「いや、いいよ。ルシアだけには重たい問題だろうし。」
そう言ってニヤリと笑う顔はいつものお兄様のままだ。
「最近、雰囲気が変わったよね、ルシアは。」
「え?」
「以前だったら、僕には相談せず、ジョルジオ本人かお母様に言って無理やりつれていったんじゃないかな。いや、そもそも、アレクス殿下からこのお話を受けた時点で断っていた。」
「…そうでしょうか。」
「少し…そうだね、気配りができるようになったように感じるよ。何か、きっかけでもあったのかい?」
「いえ、…そうですね、アレクス殿下の婚約者として、恥ずかしくないよう考えて動くようになりました。」
きっと、前世の知識に多少は影響されているのだろう。
頭の中にはふわっと「日本人らしさ」という言葉が浮かぶ。
前世は「日本」というところに住んでいたのだろうか。
前世というものだ、というのは理解しているのだが、流れ込んできた記憶たちはどこか朧気で未だに他人のもののように思える。
深く感情移入しすぎた物語が心の中にあるような、そんな気分だ。
「それは良いことだね。ルシアにはしっかりアレクス殿下の心をつかんで、未来のシルベストリー家の後ろ盾となってもらわないといけないからね。」
「精進します。」
「じゃあ、お母様のスケジュールを調べて、ジョルジオが単独になるタイミングがわかったら伝えるよ。」
「ありがとうございます、よろしくお願いします。それでは。」
そう言って少しだけ明るくなった気分と共にダリオお兄様の部屋を出た。
===
扉がしっかりとしまり、足音が遠くなったのを聞いてからダリオは一人口を開く。
「そうだね、国母になるぐらい精進してくれると嬉しいなぁ…」
目を眇めて片方だけ口の端を吊り上げた、悪役そのものの笑顔を見た者はいない。
そう言ってダリオお兄様はニヒルに笑い、話を締めくくる。
私とお兄様は、簡単に言うと母親の愛には飢えている。
ただ、この年齢になるとどうしようもないことだとある程度悟っているので、態度や言葉に出すことは無い。
しかし、お兄様からはやりきれなさや寂しさ、そして一人だけ可愛がられているジョルジオへの妬ましさがほんの少しだけ感じられた。
「申し訳ありません、お忙しいのにこのようなことを相談して。」
「いや、いいよ。ルシアだけには重たい問題だろうし。」
そう言ってニヤリと笑う顔はいつものお兄様のままだ。
「最近、雰囲気が変わったよね、ルシアは。」
「え?」
「以前だったら、僕には相談せず、ジョルジオ本人かお母様に言って無理やりつれていったんじゃないかな。いや、そもそも、アレクス殿下からこのお話を受けた時点で断っていた。」
「…そうでしょうか。」
「少し…そうだね、気配りができるようになったように感じるよ。何か、きっかけでもあったのかい?」
「いえ、…そうですね、アレクス殿下の婚約者として、恥ずかしくないよう考えて動くようになりました。」
きっと、前世の知識に多少は影響されているのだろう。
頭の中にはふわっと「日本人らしさ」という言葉が浮かぶ。
前世は「日本」というところに住んでいたのだろうか。
前世というものだ、というのは理解しているのだが、流れ込んできた記憶たちはどこか朧気で未だに他人のもののように思える。
深く感情移入しすぎた物語が心の中にあるような、そんな気分だ。
「それは良いことだね。ルシアにはしっかりアレクス殿下の心をつかんで、未来のシルベストリー家の後ろ盾となってもらわないといけないからね。」
「精進します。」
「じゃあ、お母様のスケジュールを調べて、ジョルジオが単独になるタイミングがわかったら伝えるよ。」
「ありがとうございます、よろしくお願いします。それでは。」
そう言って少しだけ明るくなった気分と共にダリオお兄様の部屋を出た。
===
扉がしっかりとしまり、足音が遠くなったのを聞いてからダリオは一人口を開く。
「そうだね、国母になるぐらい精進してくれると嬉しいなぁ…」
目を眇めて片方だけ口の端を吊り上げた、悪役そのものの笑顔を見た者はいない。
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