落ちこぼれ子女の奮闘記

木島廉

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禁忌の解除3

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ヌビア王国の都市の遺跡。

その上空でリリスは暗黒魔法を発動させていた。
暗黒竜の加護によって繰り出されたその魔法は、不気味な気配と共にリリスの身体から魔力の塊となって目の前に出現した。

その魔力を活用して暗黒竜の加護の中では再度暗黒魔法が構築され、クイーングレイスの意思に従ってクレーターの直上に大きな闇の球体が現われた。
それは徐々にその大きさを増し加え、直径が50mほどにもなった。
闇の球体の表面には紫色の光の帯が流れる様に現われては消え、不気味な波動を周辺に撒き散らしている。
その闇の球体は徐々に高度を下げ、そのままクレーターの下に潜り込む様に沈んでいく。
まるでそこに土や岩石が無いような動きだ。
水に沈んでいくように闇の球体が消えていく。

(これって闇なの?)

(闇には違いないわ。でも暴食の闇と言う名があるけどね。)

暴食の闇!
如何にも禍々しい呼び名だわね。

(暴食の闇は基本的には魔素を持つ全ての物を喰らい尽くすのよ。)

うっ!
想像以上だわ。

(でもアンデッド化された竜にターゲットを絞ったから、土や岩は喰らい尽くすターゲットじゃないの。だから土や岩は素通りしているのよ。)

う~ん。
地下ではとんでもないことが起きているのね。

そう思って見ていると、ゴゴゴゴゴッと地面が振動し始めた。
それと共にクレーターの周辺から土砂や岩石が舞い上がり、激しい振動と共に何かが地下から飛び出そうとしているのが検知された。

「拙い! 離れるぞ!」

デルフィが叫びながらワイバーンを上空に飛び上がらせ、クレーターから離れた場所まで移動させた。
その動きと入れ替わる様に、地下から黒い塊が地上に飛び出してきた。

どうやらこれがアンデッド化した竜の本体の様だ。

黒い骨格標本のような身体はその半分が既に消え去ってしまっている。
暴食の闇に喰われてしまったのだろう。
地下から這いずり出してきたのは上半身だけである。
それでもアンデッド化した竜は上空を睨み、口を開けてブレスを吐こうとしていた。

(リンちゃん! 今よ!)

リリスからの念話を受け、リンは素早く4体の竜に指示を出した。
竜達は地上で這いつくばっているアンデッド化された竜に向かって、四方から一斉にブレスを放った。

ゴゴゴゴゴッという爆音と共にブレスが一点に向けて集中砲火された。

その炎熱と衝撃が収まると、地面が大きく抉られているのが見えた。
アンデッド化された竜の気配は既にない。
ブレスの集中砲火によって消滅してしまったのだろう。
だが抉られた地面の中央に、禍々しい気配だけが残っている。
それは時折紫色の光を放ち、まるでその存在を主張しているかのようだ。

「リリス! あれだ! あれに向かって降下するぞ!」

デルフィが興奮気味に叫び、ワイバーンを抉れた地面の縁辺部に降下させた。
そこから降り立ったリリスは抉れた地面の中央に駆け寄り、その禍々しい気配の源を見つけ出した。

それは直径1mほどの黒い球体であった。
時折その内部から紫色の光が周囲に放たれ、禍々しい妖気と瘴気を放っている。

(これを解呪すれば良いのね?)

(そうよ。やり方は先ほどと同じだから、出来るわよね?)

クイーングレイスからの念話に強く頷き、リリスは魔力の触手を数本出現させた。
その先端に解呪の呪詛を纏わらせ、その黒い球体に潜入させていく。
その動きに合わせて暗黒竜の加護からも禁呪の呪詛が湧き上がり、リリスの魔力の波動に乗って魔力の触手に流れ込んでいく。
それらが融合されて強力な解呪の呪詛となり、魔力の触手の先端から黒い球体に切り込んでいった。
魔力の触手が黒い球体から跳ね除けられる事も無い。
それは解呪が進んでいる証左だ。

リリスは意識を集中させ、解呪作業を進めた。

5分ほど魔力を流し続けると、魔力の触手の先端に球体の消滅の気配が感じられた。
黒い球体の表面に金色の細かなひび割れが生じ、パチンと言う音と共に粉々に砕け散った。
その瞬間、無数の金色の光の帯が一旦上空に向かい、そのまま四方に分かれて地面に撃ち込まれていく。


(うん? 呪詛返しの波動が何故地中に向かっているの?)

クイーングレイスに念話で問い掛けたリリスだが、クイーングレイスからの返答はない。
不思議に思っていると地面のあちらこちらから半透明の魔力の塊が吹き出し、地表を緩やかに漂い始めた。

それらは徐々に形を整え、人や建物の形になっていく。

程なく半透明のホログラムのような状態で、リリス達の目の前に都市の姿が現われた。
石造りの断ち物が並び、ダークエルフらしき人々が歩き回っている。

「どうしてこんなものが現われたの?」

リリスの問い掛けにデルフィも首を傾げた。

数分後、都市の姿は徐々に消え、元の荒野の姿に戻ってしまった。
それと同時にクイーングレイスからの念話がリリスに届いた。

(呪詛返しの波動が術者に返って行ったのよ。)

(それってどう言う事?)

(反魂の禁呪の術者が既にいないので、その禁呪の構築に捧げられた供物に向かったのね。)

う~ん。
よく意味が分からないわ。

リリスの疑問にクイーングレイスは淡々と答えた。

(つまり禁呪の構築の為に、この都市全体と住人が犠牲の供物になったのよ。)

うっ!
そんな事って許されるの?

リリスの困惑をも気にせず、クイーングレイスはリリスとの念話の交信内容をデルフィやリン達にも共有させた。

デルフィは言葉を失っているリリスの肩をポンと叩き、気持ちを切り替えさせた。

「リリス。もう既に数百年も前の事だ。今更あれこれと詮索しても意味が無い。災厄の要因となりかねないアンデッド化された竜は駆逐され、その纏っていた反魂の禁呪も消滅した。これもお前の協力のお陰だ。感謝するぞ。」

デルフィの言葉にリリスは、釈然としない表情でうんうんと頷いた。

(リリスお姉様。お疲れさまでした。私達はこれで帰途に就きます。)

(後日お礼に伺いますね。)

リンからの念話にリリスは気を持ち直した。

(良いのよ、気にしないで。)

(そうはいきませんよ。これだけの事をしてくださったのですから。)

リンは念話でそう答えると、4体の竜と共に一気に上空に舞い上がり、キーンと言う金切り音を上げて高速度で北東の方向に飛び去って行った。

「リリス。儂等も帰ろう。」

デルフィはそう言うと、ワイバーンを近くに呼び寄せた。

リリスはデルフィと共にそのワイバーンに乗り込み、デルフィの研究施設に戻って行った。





研究施設に戻ったリリスはミラ王国に帰るつもりでいたのだが、デルフィによって呼び止められた。

「リリス。今回の件はまだ終わっておらん様だ。」

「えっ? それってどう言う意味ですか?」

リリスの問い掛けにデルフィは衣服の袖をまくり、自分の肩をリリスに見せた。
デルフィの肩に金色の小さな釘のようなものが突き刺さっている。

「それって何ですか?」

不思議そうに見るリリスにデルフィは神妙な表情で答えた。

「お前が反魂の禁呪の解呪を行った際に、儂の肩に何かが突き刺さったのだ。ふと見るとこの金色の釘のようなものだ。これは金属では無く、魔力の塊が形状化したもので、儂にメッセージを送っているのだよ。」

「メッセージですか?」

「うむ。おそらくあの禁呪を創り上げた者からのメッセージなのだろう。ダークエルフの賢者だと名乗っておる。自分達の言い分も聞いてくれと言うのだ。」

う~ん。
自分達の言い分だなんて・・・。
禁呪の構築の為にあれだけの犠牲を払って、言い分なんてあるの?

「まあ、賢者同士で理解して欲しいと言う事なのだろうな。」

「そんなのってデルフィ様にしても迷惑ですよね。」

リリスの言葉にデルフィはうんうんと頷いた。

「だが、とりあえず言い分だけは聞いてやろうと思う。お前もあの禁呪を解呪した者として聞いてやってくれ。」

そうは言ってもねえ。

う~んと唸るリリスの様子を見ながら、デルフィは肩に撃ち込まれた金色の釘に魔力を流し込んだ。
金色の釘はその魔力に反応し、二人の目の前の壁にホログラムを映し出した。

それは激しい戦闘の映像である。

業火に燃え盛る都市が映し出され、その都市の片側からダークエルフの戦士たちが進軍する。
それを迎え撃つように大量に出現した黒い人影の群れ。

魔族だ!
しかも100体以上も集結している。

魔族達の放つ強烈な火力の前に、ダークエルフの戦士達も押され気味だ。
地上から空中から魔族が次々に襲い掛かる。
その勢いに押されてダークエルフの戦士達も後退せざる負えない。

だがその背後から援軍が到着したようだ。

ダークエルフの戦士達の背後の上空から、強烈なブレスが幾つも放たれ、空中に居た魔族を焼き払ってしまった。
ダークエルフの戦士達の援軍として登場したのは5体の黒い竜、あのアンデッド化した竜の姿だった。

ブレスを吐き続ける竜の勢いに圧され、魔族達は徐々に後退していった。

後に残ったのは残骸と化した都市の姿だけだ。

そこまで映し出してホログラムは消え去った。



う~ん。
アンデッド化した竜って、対魔族戦闘用の重要な兵器だったって事なのね。
これがダークエルフの賢者の言い分って事かあ。

言葉も無く黙り込むリリス。
見ればデルフィも黙り込み、何かを考え込んでいる様子だ。


「う~む。そう言う事なのか。」

デルフィはそう呟くとリリスに話し掛けた。

「儂は勘違いをしておった。あの反魂の禁呪の構築の為に、彼等は都市や住民を犠牲の供物にしたのだろうと思っていたのだが、どうやらそうでは無かったようだ。」

「えっ? 違うのですか?」

リリスの疑問にデルフィはうんうんと頷いた。

「うむ。ホログラムの終わりと共に、ダークエルフの賢者の思いが伝わってきたのだ。彼等は魔族との激しい戦闘で犠牲になった住民の残留思念を、禁呪の構築の為の供物として捧げたようだな。」

そうだったの。

「いずれにしても魔族との激しい戦闘があった事は事実だろう。その侵攻を食い止めるために、止むを得ず禁呪にまで手を広げたと言う事だな。」

デルフィの沈痛な思いがリリスにも伝わってくる。

数百年前の出来事とは言いながら、その状況に追い込まれたダークエルフ達につい同情してしまいそうになってしまう。
だがその時、デルフィの肩に撃ち込まれた金色の釘が突然空中に浮かび上がり、床に転がって魔法陣を出現させた。
その魔法陣の上に小柄な人物が浮かび上がってくる。

「何事だ!」

警戒するデルフィの目の前に現れたのは、小柄なダークエルフの老人だった。

「やあ、驚かせてしまってすまないね。長い眠りを起こされたものだから、出てくるのが遅れてしまったぞ。起こされた原因はその娘の放った暴食の闇だがな。」

老人はそう言うとリリスの顔を見てニヤッと笑った。
その表情が意外に可愛らしく見える。
好々爺と言うカテゴリーで言えば、ゴート族の賢者リクードに似た雰囲気の持ち主だ。

「あなたは?」

「儂は名をヨギと言う。ダークエルフの一族の間では賢者として称えられておったが、本職はネクロマンサーだ。」

ヨギの言葉にデルフィはうんうんと頷いた。

「ヨギ殿があのアンデッド化された竜と反魂の禁呪を構築したのですね?」

「うむ。その通りだよ。それ故に解呪によって巻き起こる呪詛返しの波動でこの有り様だ。」

そう言ってヨギは纏っていたマントを左右に大きく広げた。
驚いたことにヨギの身体には無数の穴が貫通していた。

「うっ! それって大丈夫なのですか?」

リリスの心配する声にヨギはハハハと笑いながら、広げたマントを元に戻した。

「儂は既にリッチになっておるから心配要らんよ。1日もあれば元の状態に戻るさ。」

「それでデルフィ殿にも伝えた事なのだが、この大陸では過去に魔族が大攻勢を掛け、大陸全土の三分の二まで支配下に治めた時期があった。」

うんうん。
それはミラ王国で習った歴史でも聞いたわ。

「その魔族の大攻勢の最前線で戦っていたのが儂等ダークエルフだったのだよ。そして、ヌビア王国はその最前線の重要拠点でもあったのだ。」

「アンデッド化された竜は、魔族との戦闘を劣勢から一気に挽回する秘密兵器として開発したものだ。反魂の禁呪によって幾度でも蘇る。それは魔族達にとっても驚異だっただろう。禁呪の構築には魔族との闘いで犠牲になった多くの同胞の死霊を活用させてもらった。もちろん死してまで魔族との闘いに決着をつけたいと願う彼等の同意の上でだがね。」

う~ん。
術を極めたネクロマンサーならそんな事も出来るのかしらねえ。

「儂が永い眠りに就いていたのは、禁呪の構築と維持の為に魔力を全て費やしていたからだ。リリスによる禁呪の解呪と同時に目覚めた儂は、使役している死霊のネットワークを通じて魔族に関する情報を集めた。」

そう言ってヨギは嬉しそうな笑顔を見せた。

「儂等連合軍の攻勢によって、魔族は魔大陸に追いやられたようだね。儂等の死闘が報われたと言う事だな。」

なるほどねえ。
その死闘のお陰で現存する人族や獣人の国々も平穏に暮らしていると言う事ね。
そう考えると感慨深いわ。。

リリスはヨギの言葉を噛み締めた。
だがデルフィは別の観点からヨギに関心を持っていたようだ。

「ヨギ殿。先ほどの言葉ですが、使役している死霊によるネットワークなどと言うものがあるのですか?」

「うむ。それはネクロマンサーとしての儂の研究の成果なのだが・・・・・」

ヨギはそう言いながら顎を擦った。

「あらゆる空間に死霊は存在する。魔力によって認識出来るレベルは千差万別だが、その動きは時空の制限をほとんど受けない。それ故に意思伝達も瞬時に行なえる。」

「使役している死霊を大陸中に配備しておけば、理論的には様々な情報を集めるのも容易なのだ。」

そこまで話してヨギはふっとため息をついた。

「但し問題点もある。死霊の使役がそれほどに容易では無く、ネットワークとしては脆弱性があるのだよ。」

「でも、魔族の動向に関しては情報を得られたでは無いですか。」

デルフィの言葉にヨギはうんうんと頷いた。

「それは使役している死霊の関心の度合いに寄るのだと思う。気紛れな連中なので関心の薄い事案についてはあまり協力的でないのだ。」

それって使役って呼べないわね。
でもそう言う術を駆使出来るのがヨギ様の理想なのね。

そう思ってリリスは好意的に受け止めた。
そもそもネクロマンサー自体についてリリスは良く知らない。
自分の基準で判断しない方が良さそうだとリリスは感じていた。
いずれにしても、ヨギ達のお陰で魔族の大侵攻を食い止められたのだから。

「ヨギ殿はこれからどうされるのですか?」

デルフィの言葉にヨギはう~んと唸って考え込んだ。

「今更国も無いし、他国に行く当てもない。暴食の闇に破壊された施設の更に地下深くに小さな研究施設が残っている。しばらくはそこで施設の拡充を図りながら、先々の事を考えるつもりだよ。儂には時間は無限にあるからね。」

「そうですか。もし気が向いたらここに足を運んでくださって構いませんよ。儂の研究施設には時折リリスと関わる賢者達が訪れる事も在るので、彼等と交流するのも良いかも知れません。」

「ほうっ! この娘はそんな者達とも関わっておるのか? どこまでも不思議な人族だな。まあ、気が向いたら訪問させてもらうよ。」

そう言うとヨギは手を振りながらその場から消えていった。

うん?
魔力の操作を感じなかったわよ。
どうやって転移したの?

ダークエルフの不可解な魔法に首を傾げるリリスである。

今私が見ていたヨギ様って実体だったのかしら?

もやっとした思いを持ったまま、リリスはデルフィの転移魔法で魔法学院に戻って行ったのだった。












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