34 / 369
仮装ダンスパーティー その後
しおりを挟む
リリスの絶叫が響き渡る地下神殿。
これ以上ネタにしないでと涙目で憤慨するリリスを宥めながら、タミアは時間軸を調節してリリスと王女を転送した。舞踏曲や生徒達の雑踏が耳に入ってくる。無事に戻れたようだ。さらに時間を確かめると、リリスと王女が転移されてしまった数秒前になっていた。二人は顔を見合わせてほっと溜息をついた。
だが王女は寂しそうな表情になってうつむいている。ふと呟いた王女の声がかろうじてリリスの耳に入ってきた。
「ロイヤルガードの気配は消えたままだわ。そこまでは遡及できないのね。」
失われた命までは戻らないと言う事なのだろう。リリスも少し悲し気になってしまったが、仮装ダンスパーティはまだ続いている。気を取り直してスタッフの作業に戻ろうとした。
「何はともあれ、マリアナ様がご無事であれば上々ですよ。マリアナ様にもしもの事があれば国家間の事にも反映しますからね。」
「そうよね。自分の立場を考えれば、気落ちしている場合じゃないわね。」
そう言うと王女はすくっと立ち上がりダンスフロアに戻っていった。心労を隠して気丈に振舞う様子は如何にも為政者の一族である。リリスも安堵の気持ちを胸に抱きながら、王女の後姿を眺めていた。
後日、リリスは放課後に、学生食堂の一角にあるガラス張りの別室に呼び出された。
呼び出したのはマリアナ王女だった。
席に座る王女の周囲にもやっとした気配を感じる。これは新しく任務に就いたロイヤルガードの気配なのだろう。
王女が単独で行動する筈がないからだ。
少し緊張したリリスの気持ちをほぐすように、王女はニコッと笑って声を掛けてきた。
「リリスさん。急に呼び出してごめんなさいね。」
いやいや。
王族に呼び出されたら、万難を排してでも駆け付けるでしょうよ。
一応同盟国の王女様だけどね。
リリスは王女の気配りに感謝して王女の近くの席に座った。
「実はリリスさんには謝らなければならない事があるの。」
そう言いながら王女はテーブルに置かれたポットの紅茶をリリスにすすめた。生徒会のスタッフに用意させたらしい。王女が人払いをしたようでこの場には誰も居ない。
「先日の地下神殿での事なんだけど、要点だけ私の兄上に話したのよ。兄上のフィリップは第3王子で諜報機関のトップでもあるの。ロイヤルガードが全滅してしまった事は誤魔化せなかったのよね。」
うっと言葉を詰まらせてしまったリリスだが、冷静に考えれば無理もない事だ。ロイヤルガードの全滅などと言う事があれば、事実を追求しようとするのが当然だろう。
「それで・・・どこまで話したんですか?」
リリスの問い掛けに王女は少しうつむいて呟いた。
「タミアの事は話していないわ。リリスさんと一緒に転移させられて、地下神殿で危機一髪のところで、リリスさんの顔見知りの大精霊が現れて、気紛れに助けてくれたと言う事に・・・・・」
「そんなので良く信じてくれましたね。」
「そこはねえ。兄上はシスコンだから、私の言う事は疑わないのよ。」
あらあら。
ドルキア王国って大丈夫?
「地下神殿に駆け付けた軍があの法服の男を連行して薬物で自白させたのだけど、記憶が断片的にしか残っていなくて、タミアの事も消えてしまっていたらしいわ。」
それなら良いか。リリスは一安心した。
「でもあの神経毒の解毒が難しくて、軍でも未知の毒じゃないかって騒がれていたわよ。」
「そこは不問に付してくださいね。また毒持ちなんて言われたくありませんから。」
真顔で答えたリリスに王女は分かっているわよと言いながら話を続けた。
「それでね。兄上がリリスさんに褒賞を授けたいって言うのよ。私の命の恩人だからって。」
「褒賞と言われても、私がマリアナ様を助けたわけじゃありませんよ。」
「でもリリスさんが私の転移に巻き込まれていなければ、タミアも付いて来ていなかった筈よ。間接的には私の命の恩人だと思うわ。それに・・・」
王女は少し間を置いた。
「兄上は褒賞を与えないと気が済まないのよ。」
う~ん。
そう言う人柄だと言う事なのね。シスコンだと言うし・・・。
リリスが自分自身を納得させた様子を見て、王女はさらに話を付け加えた。
「それでね。兄上がもうすぐここに来るのよ。」
ええっ!
こんなところにどうやって来るのよ!
「そうしないと気が済まないんだって言うのよね。」
「そうですか。・・・お待ちしていれば良いのですね。」
リリスは少し呆れて椅子に深く座り込み、改めて来客用の紅茶を飲んだ。馥郁とした香りが鼻をくすぐる。上質な紅茶だがそれでも王族が飲用するものとしてはどうなのだろうか?
地方貴族の子女としてはこれで十分なのだが、王族の日常生活をあまり詳しく知らないので、王女の満足を得ているか否かは分からない。
そう思いながらリリスは紅茶を飲むマリアナ王女の表情を見た。肌が艶やかで本当にビスクドールのように美しい。自分もわりと可愛い顔をしていると思っていたリリスだが、王女の顔を見ていると雲泥の差だ。
何を食べたらこんなに艶やかな肌になるのかしら?
コラーゲンの塊でも食べているの?
この世界にツバメの巣やフカヒレは無さそうだし・・・。
リリスがあれこれと妄想していると、ガラス張りの扉の向こうに人影が見えた。
「ほら! 兄上が来たわよ。」
扉を開けて入ってきたのは細身で長身の男性だった。イケメンと言えばイケメンである。だが少し癖のありそうな顔つきだ。
それにチャラい雰囲気もする。
ジーク先生と同じ匂いがするわね。
怪訝そうに見つめるリリスの表情を読み取ったのか、フィリップ王子はわざとらしい笑顔でリリスに話し掛けた。
「初めまして、リリス君。僕の妹の命の恩人だと言うから武闘派の女性かと思ったら、こんなに可愛い女性だとは思わなかったよ。」
歯が浮くようなお世辞ってこれの事ね。
リリスはそう思いつつも、隣国の王族であることを忘れていなかった。両手でスカートの両端をつまみ腰をかがめて頭を下げた。
「リリス・ベル・クレメンスと申します。フィリップ殿下には初めてお目にかかります。よろしく・・・」
そこまで言った時にフィリップ王子はリリスの言葉を制した。
「そんな堅苦しい挨拶は要らないよ。もっとフレンドリーに話そうじゃないか。」
フィリップ王子が椅子に腰を掛けると、傍にいたマリアナ王女がカップを用意して紅茶を注いだ。足を組み深々と椅子に座りながら、紅茶の香りを楽しみ、一口飲み干す。その一連の所作は流石に王族だけあって洗練されている。
フィリップ王子は紅茶のカップを置き、リリスの顔をまじまじと見つめた。
それに反応してリリスは思わず目を逸らせてしまった。
「リリスと呼ばせて貰うよ。リリス、改めて礼を言うよ。妹を救ってくれてありがとう。」
「いえいえ。私は何もしていませんよ。」
リリスの言葉にフィリップ王子はうんうんとうなづいた。
「話はマリアナから聞いた。とても信じ難い話だが、君が妹と一緒に巻き込まれて転移してくれたお陰で、妹が助かった事だけは確かだ。」
「それに妹にもし万一の事があれば、ドルキア王国とミラ王国の同盟関係が破綻してしまう事は明白だ。君のお陰で助かったのは僕達だけじゃないんだよ。その事に関しては君も貴族の子女として自覚と誇りを持ちたまえ。」
そうよね。
隣国の王女が留学先から誘拐されて殺害されたりしたら、ミラ王国もただでは済まないわよね。
リリスの納得した様子を見てフィリップ王子は懐から書類を出してリリスに手渡した。
「リリス。今回の件での君の功績を讃えて褒賞を授ける。その書類に名目が書かれているので目を通してくれ。自国の臣下ではないので金品で送る事にしたのだが、送り先は君の実家で良いね。」
金品を送られて両親も驚くだろうなあ。
日本人的な発想からすると、ここで謙遜してそんなものは要らないと言いたくなるところだが、ここで遠慮すると王族に対して失礼になる。下賜される物に対しては恭しく頂戴するのが礼儀だ。
「はい。ありがたく拝受させていただきます。」
そう言ってリリスは深々と頭を下げた。
「それから、リリスに対しての個人的な褒賞もあるんだ。これは僕からのお礼だよ。」
フィリップはマジックボックスからリボンのついた長細い箱を取り出した。手渡されたリリスがそれを開けると、宝石をちりばめた上品なネックレスが入っていた。それをフィリップ王子は手に取ると、リリスの背後に回ってその首に優しくつけてくれた。フィリップ王子の吐息がリリスの首に当たる。リリスはぞくっとしてうつむいてしまった。
「リリス。君はあと5年もすれば美しい女性になるだろうね。その時には僕のハーレムに誘ってあげよう。」
ええっ!
私って誘惑されているの?
驚いて顔を上げたリリスにフィリップ王子がニヤッと笑った。
「兄上! 戯言は止めて下さい! 品格を疑われますよ!」
マリアナ王女に窘められて、フィリップ王子はポリポリと頭を掻き始めた。
「ああそうだね。冗談が過ぎたようだ。」
悪い冗談だわ!
憤慨するリリスに謝りながら、フィリップ王子はもう一つ小さな箱を取り出した。
「これは指輪じゃないからね。」
そう言いながら、フィリップ王子はニヤッと笑い、リリスに小箱を手渡した。
それってどういう意味なのよ?
間違ってもあんたのハーレム要員にはならないわよ。
心の中でフィリップ王子に強く突っ込みを入れたリリスであった。
これ以上ネタにしないでと涙目で憤慨するリリスを宥めながら、タミアは時間軸を調節してリリスと王女を転送した。舞踏曲や生徒達の雑踏が耳に入ってくる。無事に戻れたようだ。さらに時間を確かめると、リリスと王女が転移されてしまった数秒前になっていた。二人は顔を見合わせてほっと溜息をついた。
だが王女は寂しそうな表情になってうつむいている。ふと呟いた王女の声がかろうじてリリスの耳に入ってきた。
「ロイヤルガードの気配は消えたままだわ。そこまでは遡及できないのね。」
失われた命までは戻らないと言う事なのだろう。リリスも少し悲し気になってしまったが、仮装ダンスパーティはまだ続いている。気を取り直してスタッフの作業に戻ろうとした。
「何はともあれ、マリアナ様がご無事であれば上々ですよ。マリアナ様にもしもの事があれば国家間の事にも反映しますからね。」
「そうよね。自分の立場を考えれば、気落ちしている場合じゃないわね。」
そう言うと王女はすくっと立ち上がりダンスフロアに戻っていった。心労を隠して気丈に振舞う様子は如何にも為政者の一族である。リリスも安堵の気持ちを胸に抱きながら、王女の後姿を眺めていた。
後日、リリスは放課後に、学生食堂の一角にあるガラス張りの別室に呼び出された。
呼び出したのはマリアナ王女だった。
席に座る王女の周囲にもやっとした気配を感じる。これは新しく任務に就いたロイヤルガードの気配なのだろう。
王女が単独で行動する筈がないからだ。
少し緊張したリリスの気持ちをほぐすように、王女はニコッと笑って声を掛けてきた。
「リリスさん。急に呼び出してごめんなさいね。」
いやいや。
王族に呼び出されたら、万難を排してでも駆け付けるでしょうよ。
一応同盟国の王女様だけどね。
リリスは王女の気配りに感謝して王女の近くの席に座った。
「実はリリスさんには謝らなければならない事があるの。」
そう言いながら王女はテーブルに置かれたポットの紅茶をリリスにすすめた。生徒会のスタッフに用意させたらしい。王女が人払いをしたようでこの場には誰も居ない。
「先日の地下神殿での事なんだけど、要点だけ私の兄上に話したのよ。兄上のフィリップは第3王子で諜報機関のトップでもあるの。ロイヤルガードが全滅してしまった事は誤魔化せなかったのよね。」
うっと言葉を詰まらせてしまったリリスだが、冷静に考えれば無理もない事だ。ロイヤルガードの全滅などと言う事があれば、事実を追求しようとするのが当然だろう。
「それで・・・どこまで話したんですか?」
リリスの問い掛けに王女は少しうつむいて呟いた。
「タミアの事は話していないわ。リリスさんと一緒に転移させられて、地下神殿で危機一髪のところで、リリスさんの顔見知りの大精霊が現れて、気紛れに助けてくれたと言う事に・・・・・」
「そんなので良く信じてくれましたね。」
「そこはねえ。兄上はシスコンだから、私の言う事は疑わないのよ。」
あらあら。
ドルキア王国って大丈夫?
「地下神殿に駆け付けた軍があの法服の男を連行して薬物で自白させたのだけど、記憶が断片的にしか残っていなくて、タミアの事も消えてしまっていたらしいわ。」
それなら良いか。リリスは一安心した。
「でもあの神経毒の解毒が難しくて、軍でも未知の毒じゃないかって騒がれていたわよ。」
「そこは不問に付してくださいね。また毒持ちなんて言われたくありませんから。」
真顔で答えたリリスに王女は分かっているわよと言いながら話を続けた。
「それでね。兄上がリリスさんに褒賞を授けたいって言うのよ。私の命の恩人だからって。」
「褒賞と言われても、私がマリアナ様を助けたわけじゃありませんよ。」
「でもリリスさんが私の転移に巻き込まれていなければ、タミアも付いて来ていなかった筈よ。間接的には私の命の恩人だと思うわ。それに・・・」
王女は少し間を置いた。
「兄上は褒賞を与えないと気が済まないのよ。」
う~ん。
そう言う人柄だと言う事なのね。シスコンだと言うし・・・。
リリスが自分自身を納得させた様子を見て、王女はさらに話を付け加えた。
「それでね。兄上がもうすぐここに来るのよ。」
ええっ!
こんなところにどうやって来るのよ!
「そうしないと気が済まないんだって言うのよね。」
「そうですか。・・・お待ちしていれば良いのですね。」
リリスは少し呆れて椅子に深く座り込み、改めて来客用の紅茶を飲んだ。馥郁とした香りが鼻をくすぐる。上質な紅茶だがそれでも王族が飲用するものとしてはどうなのだろうか?
地方貴族の子女としてはこれで十分なのだが、王族の日常生活をあまり詳しく知らないので、王女の満足を得ているか否かは分からない。
そう思いながらリリスは紅茶を飲むマリアナ王女の表情を見た。肌が艶やかで本当にビスクドールのように美しい。自分もわりと可愛い顔をしていると思っていたリリスだが、王女の顔を見ていると雲泥の差だ。
何を食べたらこんなに艶やかな肌になるのかしら?
コラーゲンの塊でも食べているの?
この世界にツバメの巣やフカヒレは無さそうだし・・・。
リリスがあれこれと妄想していると、ガラス張りの扉の向こうに人影が見えた。
「ほら! 兄上が来たわよ。」
扉を開けて入ってきたのは細身で長身の男性だった。イケメンと言えばイケメンである。だが少し癖のありそうな顔つきだ。
それにチャラい雰囲気もする。
ジーク先生と同じ匂いがするわね。
怪訝そうに見つめるリリスの表情を読み取ったのか、フィリップ王子はわざとらしい笑顔でリリスに話し掛けた。
「初めまして、リリス君。僕の妹の命の恩人だと言うから武闘派の女性かと思ったら、こんなに可愛い女性だとは思わなかったよ。」
歯が浮くようなお世辞ってこれの事ね。
リリスはそう思いつつも、隣国の王族であることを忘れていなかった。両手でスカートの両端をつまみ腰をかがめて頭を下げた。
「リリス・ベル・クレメンスと申します。フィリップ殿下には初めてお目にかかります。よろしく・・・」
そこまで言った時にフィリップ王子はリリスの言葉を制した。
「そんな堅苦しい挨拶は要らないよ。もっとフレンドリーに話そうじゃないか。」
フィリップ王子が椅子に腰を掛けると、傍にいたマリアナ王女がカップを用意して紅茶を注いだ。足を組み深々と椅子に座りながら、紅茶の香りを楽しみ、一口飲み干す。その一連の所作は流石に王族だけあって洗練されている。
フィリップ王子は紅茶のカップを置き、リリスの顔をまじまじと見つめた。
それに反応してリリスは思わず目を逸らせてしまった。
「リリスと呼ばせて貰うよ。リリス、改めて礼を言うよ。妹を救ってくれてありがとう。」
「いえいえ。私は何もしていませんよ。」
リリスの言葉にフィリップ王子はうんうんとうなづいた。
「話はマリアナから聞いた。とても信じ難い話だが、君が妹と一緒に巻き込まれて転移してくれたお陰で、妹が助かった事だけは確かだ。」
「それに妹にもし万一の事があれば、ドルキア王国とミラ王国の同盟関係が破綻してしまう事は明白だ。君のお陰で助かったのは僕達だけじゃないんだよ。その事に関しては君も貴族の子女として自覚と誇りを持ちたまえ。」
そうよね。
隣国の王女が留学先から誘拐されて殺害されたりしたら、ミラ王国もただでは済まないわよね。
リリスの納得した様子を見てフィリップ王子は懐から書類を出してリリスに手渡した。
「リリス。今回の件での君の功績を讃えて褒賞を授ける。その書類に名目が書かれているので目を通してくれ。自国の臣下ではないので金品で送る事にしたのだが、送り先は君の実家で良いね。」
金品を送られて両親も驚くだろうなあ。
日本人的な発想からすると、ここで謙遜してそんなものは要らないと言いたくなるところだが、ここで遠慮すると王族に対して失礼になる。下賜される物に対しては恭しく頂戴するのが礼儀だ。
「はい。ありがたく拝受させていただきます。」
そう言ってリリスは深々と頭を下げた。
「それから、リリスに対しての個人的な褒賞もあるんだ。これは僕からのお礼だよ。」
フィリップはマジックボックスからリボンのついた長細い箱を取り出した。手渡されたリリスがそれを開けると、宝石をちりばめた上品なネックレスが入っていた。それをフィリップ王子は手に取ると、リリスの背後に回ってその首に優しくつけてくれた。フィリップ王子の吐息がリリスの首に当たる。リリスはぞくっとしてうつむいてしまった。
「リリス。君はあと5年もすれば美しい女性になるだろうね。その時には僕のハーレムに誘ってあげよう。」
ええっ!
私って誘惑されているの?
驚いて顔を上げたリリスにフィリップ王子がニヤッと笑った。
「兄上! 戯言は止めて下さい! 品格を疑われますよ!」
マリアナ王女に窘められて、フィリップ王子はポリポリと頭を掻き始めた。
「ああそうだね。冗談が過ぎたようだ。」
悪い冗談だわ!
憤慨するリリスに謝りながら、フィリップ王子はもう一つ小さな箱を取り出した。
「これは指輪じゃないからね。」
そう言いながら、フィリップ王子はニヤッと笑い、リリスに小箱を手渡した。
それってどういう意味なのよ?
間違ってもあんたのハーレム要員にはならないわよ。
心の中でフィリップ王子に強く突っ込みを入れたリリスであった。
40
あなたにおすすめの小説
異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが
初
ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~
けろ
ファンタジー
【完結済み】
仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!?
過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。
救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。
しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。
記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~
存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?!
はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?!
火・金・日、投稿予定
投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる