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第零章 全ての始まり
禁術の代償
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「……っ」
「ルーゼ!」
「大丈夫だ……それより、ガーネは」
ルーゼの言葉に、マリアは恐る恐る顔を上げた。
目を見開くと小さく息を吐き、ルーゼの背中に手を回し、辺りを見回した。
重苦しい空気は無くなり、凄まじい熱気もいつの間にか消えている。
マリアは、ガーネがあった場所を確認すると、安堵の表情を浮かべた。
「ガーネが、割れている……やりました! 成功ですよルーゼ! ガーネを……封印出来ました!」
「そうか……やったんだな、俺達」
ルーゼはゆっくりと体を起こし、辺りを見回した。
ガーネは三つの赤い水晶に砕け、細かい破片が辺りに散らばり小さく輝いていて、何処か幻想的な雰囲気を表していた。
ルーゼは小さく息を吐きながら立ち上がろうとしたが体が傾き、マリアは慌ててルーゼの肩を支える。
「ルーゼ! 怪我は……」
「マリア、来るな! くっ……」
「ルーゼ!」
ルーゼは駆け寄ったマリアを右手で突飛ばし、直ぐに自分の左腕を押さえた。
強い力をかけながら押さえている筈なのに、左手は異常な程に痙攣していて、それを見たマリアは顔色を変えてルーゼに再度駆け寄ろうとする。
尋常じゃない様子に、マリアは焦りを隠せなかった。
「ルーゼ!」
「くそっ、守護刻印を刻んだのに……」
「精霊の鉱石を! 鉱石を早く握って下さい! 聖属性の精霊達を、早く集めて……!」
「くっ……ああああ!」
「ルーゼ!」
悲痛な声を上げながら、ルーゼは右手の爪を左腕に食い込ませた。
左腕からは白い煙が出て、息を切らす口からは赤い血が流れ落ち、床に赤い小さな血だまりが出来上がる。
マリアはルーゼの左腕に触れようとするが、異常な熱さに、思わず手を引いてしまった。
「まさか……禁術の代償? 精霊の鉱石があるのに、どうして!?」
「……精霊逹も暴走状態だ。精霊の鉱石が有るからとは言え、軽減するなんて無駄だったんだ」
ルーゼの言葉に、マリアは怒りと戸惑いを隠せなかった。
「貴方、まさか初めから代償が下ると分かっていたの!?」
「ああ、精霊の鉱石があっても代償が下ると知っていたさ。だが、良いんだ。精霊召喚士には……恨まれるかもしれないが」
「ルーゼ……」
「くっ……マリア、逃げ……あ……ああああっ!」
ルーゼは蹲ると同時に、左腕に巨大な閃光が落ちた。
一瞬だった。ルーゼは悲痛な叫び声を上げ、マリアはその衝撃で遠くに飛ばされ、その体は壁に強く叩きつけられてしまった。
「くそっ……マリア……俺達には……まだ……やる事が……」
ルーゼは、動かない体を無理矢理起こそうと試みたが、全身に重りがのしかかっている感覚が邪魔をして微動だに出来なかった。
ふと自分の左腕に視線を向けると、赤く焼き爛れていて指一本動かす事すら困難な状態だった。
(くそっ……ここまでか……)
ルーゼは小さく息を吐き、ゆらゆらと波に揺られている感覚に吐き気と苛立ちを感じつつ、ゆっくりと瞳を閉じた。
「……ルーゼ……無事……ですか……」
どれ位意識を失っていただろう。遠退いてゆく意識の中、遠くからか細い声が聞こえた。
ルーゼはゆっくりと眼を開き、声が聞こえた方へと視線を向ける。
首を動かしただけで体に激痛が走り、目の前が霞んでいく中、声の持ち主であるマリアの姿を何とか捉える事が出来た。
マリアはゆっくりと立ち上がり、ふらつきながらもルーゼとの距離を縮めていく。
「マリア、まだ、終わっていない……」
「分かっています。私達にはまだ……やるべき事があります。だから……」
マリアが優しくルーゼの左手を握る。
焼き爛れている筈なのに、ルーゼは何故か痛みを感じなかった。
泣きそうになるのを堪えながら優しく微笑みかけるマリアに、ルーゼは小さく苦笑する。
「はは……参ったな。こりゃ治癒陽術でも治せないだろ……」
「完全に治す事は不可能ですが……動かせる位は出来ます」
マリアは震える声で答え、ルーゼの左腕にそっと自分の手を添えた。
「治癒陽術をかけます。ゆっくり息を吐いて下さい」
マリアの言葉に、ルーゼは深く息を吐いた。
「ルーゼ!」
「大丈夫だ……それより、ガーネは」
ルーゼの言葉に、マリアは恐る恐る顔を上げた。
目を見開くと小さく息を吐き、ルーゼの背中に手を回し、辺りを見回した。
重苦しい空気は無くなり、凄まじい熱気もいつの間にか消えている。
マリアは、ガーネがあった場所を確認すると、安堵の表情を浮かべた。
「ガーネが、割れている……やりました! 成功ですよルーゼ! ガーネを……封印出来ました!」
「そうか……やったんだな、俺達」
ルーゼはゆっくりと体を起こし、辺りを見回した。
ガーネは三つの赤い水晶に砕け、細かい破片が辺りに散らばり小さく輝いていて、何処か幻想的な雰囲気を表していた。
ルーゼは小さく息を吐きながら立ち上がろうとしたが体が傾き、マリアは慌ててルーゼの肩を支える。
「ルーゼ! 怪我は……」
「マリア、来るな! くっ……」
「ルーゼ!」
ルーゼは駆け寄ったマリアを右手で突飛ばし、直ぐに自分の左腕を押さえた。
強い力をかけながら押さえている筈なのに、左手は異常な程に痙攣していて、それを見たマリアは顔色を変えてルーゼに再度駆け寄ろうとする。
尋常じゃない様子に、マリアは焦りを隠せなかった。
「ルーゼ!」
「くそっ、守護刻印を刻んだのに……」
「精霊の鉱石を! 鉱石を早く握って下さい! 聖属性の精霊達を、早く集めて……!」
「くっ……ああああ!」
「ルーゼ!」
悲痛な声を上げながら、ルーゼは右手の爪を左腕に食い込ませた。
左腕からは白い煙が出て、息を切らす口からは赤い血が流れ落ち、床に赤い小さな血だまりが出来上がる。
マリアはルーゼの左腕に触れようとするが、異常な熱さに、思わず手を引いてしまった。
「まさか……禁術の代償? 精霊の鉱石があるのに、どうして!?」
「……精霊逹も暴走状態だ。精霊の鉱石が有るからとは言え、軽減するなんて無駄だったんだ」
ルーゼの言葉に、マリアは怒りと戸惑いを隠せなかった。
「貴方、まさか初めから代償が下ると分かっていたの!?」
「ああ、精霊の鉱石があっても代償が下ると知っていたさ。だが、良いんだ。精霊召喚士には……恨まれるかもしれないが」
「ルーゼ……」
「くっ……マリア、逃げ……あ……ああああっ!」
ルーゼは蹲ると同時に、左腕に巨大な閃光が落ちた。
一瞬だった。ルーゼは悲痛な叫び声を上げ、マリアはその衝撃で遠くに飛ばされ、その体は壁に強く叩きつけられてしまった。
「くそっ……マリア……俺達には……まだ……やる事が……」
ルーゼは、動かない体を無理矢理起こそうと試みたが、全身に重りがのしかかっている感覚が邪魔をして微動だに出来なかった。
ふと自分の左腕に視線を向けると、赤く焼き爛れていて指一本動かす事すら困難な状態だった。
(くそっ……ここまでか……)
ルーゼは小さく息を吐き、ゆらゆらと波に揺られている感覚に吐き気と苛立ちを感じつつ、ゆっくりと瞳を閉じた。
「……ルーゼ……無事……ですか……」
どれ位意識を失っていただろう。遠退いてゆく意識の中、遠くからか細い声が聞こえた。
ルーゼはゆっくりと眼を開き、声が聞こえた方へと視線を向ける。
首を動かしただけで体に激痛が走り、目の前が霞んでいく中、声の持ち主であるマリアの姿を何とか捉える事が出来た。
マリアはゆっくりと立ち上がり、ふらつきながらもルーゼとの距離を縮めていく。
「マリア、まだ、終わっていない……」
「分かっています。私達にはまだ……やるべき事があります。だから……」
マリアが優しくルーゼの左手を握る。
焼き爛れている筈なのに、ルーゼは何故か痛みを感じなかった。
泣きそうになるのを堪えながら優しく微笑みかけるマリアに、ルーゼは小さく苦笑する。
「はは……参ったな。こりゃ治癒陽術でも治せないだろ……」
「完全に治す事は不可能ですが……動かせる位は出来ます」
マリアは震える声で答え、ルーゼの左腕にそっと自分の手を添えた。
「治癒陽術をかけます。ゆっくり息を吐いて下さい」
マリアの言葉に、ルーゼは深く息を吐いた。
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