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第一章 穏やかな日常
お手伝いをしに行こう
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柵を跨ぎ村の中へ入ると、アクスはぐいぐいとマッドの服を引っ張った。
「マッド兄ちゃん! 早く早く!」
「ちょっ……待てよ、そんなに急がなくても良いだろ?」
慌てるマッドに、アクスは柔らかい頬を膨らませながらマッドを睨み付けた。
「駄目だよー! マッド兄ちゃんがキノコの仕分けしてくれないと、おれ達がお昼ご飯食べられないの! おれの家、お昼ご飯キノコライスなんだよ?」
「俺だって腹減ってるんだよ!」
「おれだって!」
マッドとアクスはお互い睨み合い、その様子にティミーは深く溜め息をついた。
「もうマッド、こっちもお昼作るのに時間かかるから行ってあげなよ」
「やだね。絶対にコイツ等の子守りまでさせられそうだし」
吐き捨てるように言葉を吐くとマッドは腰を屈め、アクスの頭をグシャグシャにした。
「うわっ、何するんだよ!」
「うるせー、チビの癖に」
「ワザとやっただろ! うう、髪の毛がグシャグシャ……」
無論、ワザとやっている。
アクスは顔をしかめ、グシャグシャにされた髪を直した。
「はは、悪かったよ」
マッドは苦笑すると、ポンとアクスの頭に軽く手を乗せ、ゆっくりと立ち上がった。
「それじゃ、行くか。ティミー、後でそっちに行くからな。村長に宜しく頼む」
「うん! じゃあ、村長さんの家でね。ルチアもお家に帰らないと、アミルおばさんが心配するよ?」
ティミーはスカートを掴むルチアに目線を向けると、ルチアは残念そうに口を開いた。
「ええ!? ティミーお姉ちゃんのクッキーは?」
「おやつの時間になったら作ってあげるから。だから先ずはお昼ご飯を食べて来る事。良いわね?」
「むう……」
ティミーの言葉に、ルチアは落ち込んだ。
余程クッキーが食べたかったのか、アクスが作ったクッキーが致命的に不味かったのか、ティミーは敢えて聞かずに苦笑する。
「ほら、もう直ぐお昼だよ? お腹が空きすぎる前にお家に帰らないと」
「はぁ~い。じゃあティミーお姉ちゃん! おやつの時間になったら村長さんのお家に行くからね!」
「うん、待ってるね」
ルチアはにっこりと笑い、マッドとアクスの元へと走って行く。そして二人の元へ辿り着くと、ティミーに向かって大きく手を振った。
「ティミーお姉ちゃん、待ったね~!」
「うん! マッド、アミルおばさんの家まで二人をお願いねー!」
「結局子守役かよ俺はっ! まあ良いけどよ。あ、コレ忘れんなよ」
「あ、ありがとう」
マッドは腕に抱えていた山菜と木の実をティミーに渡し、腕に山菜の匂いが付いたのか、苦笑しながらティミーに手を振った。
「これから店も混む時間帯だし、あんま無理はすんなよー」
「うん! マッドも気をつけてねー!」
マッドの言葉に、ティミーは笑顔で手を振った。
ティミーが背を向けて歩き出すのを確認すると、マッドはアクスとルチアの背中を押し、前へと歩かせた。
「うわっ、何すんだよマッド兄ちゃん!」
「さっきから腹の虫鳴らしまくってんじゃねえよ。さっさと家に戻るぞ」
「うん……ルチアお腹ペコペコ~」
ルチアはお腹を擦りながらチマチマと歩き出した。
アクスも村に着いてからお腹を何度も鳴らしていた。
育ち盛りと言うのもあるだろう。
マッドは足早に二人の家へと向かった。 十分位歩いただろうか。
お腹を空かせたアクスとルチアは、足早に目の前に建つ木で造られた家の前へと走って行った。
そう、ここがこの兄妹二人が暮らす家だ。
「やっとお家着いたぁ。ルチル疲れたよ~」
ルチアは玄関前で座り込み、アクスはドアを開けゆっくりと深呼吸をする。
「母さーん! マッド兄ちゃん連れて来たよー!」
「うわ、デカい声出すなよ」
アクスが母を呼び、その大きな声に驚いたのか、マッドは思わず片耳を塞いだ。
家の中からガチャっと扉が開く音が聞こえ、玄関から家の奥を覗き込むと、金色の髪を腰まで伸ばし、赤いリボンで軽く一つに結えている女性が水色の瞳を細めながらマッドに微笑みかけた。
そう、アクスとルチアの母親──アミル・ルービネットだ。
「マッド兄ちゃん! 早く早く!」
「ちょっ……待てよ、そんなに急がなくても良いだろ?」
慌てるマッドに、アクスは柔らかい頬を膨らませながらマッドを睨み付けた。
「駄目だよー! マッド兄ちゃんがキノコの仕分けしてくれないと、おれ達がお昼ご飯食べられないの! おれの家、お昼ご飯キノコライスなんだよ?」
「俺だって腹減ってるんだよ!」
「おれだって!」
マッドとアクスはお互い睨み合い、その様子にティミーは深く溜め息をついた。
「もうマッド、こっちもお昼作るのに時間かかるから行ってあげなよ」
「やだね。絶対にコイツ等の子守りまでさせられそうだし」
吐き捨てるように言葉を吐くとマッドは腰を屈め、アクスの頭をグシャグシャにした。
「うわっ、何するんだよ!」
「うるせー、チビの癖に」
「ワザとやっただろ! うう、髪の毛がグシャグシャ……」
無論、ワザとやっている。
アクスは顔をしかめ、グシャグシャにされた髪を直した。
「はは、悪かったよ」
マッドは苦笑すると、ポンとアクスの頭に軽く手を乗せ、ゆっくりと立ち上がった。
「それじゃ、行くか。ティミー、後でそっちに行くからな。村長に宜しく頼む」
「うん! じゃあ、村長さんの家でね。ルチアもお家に帰らないと、アミルおばさんが心配するよ?」
ティミーはスカートを掴むルチアに目線を向けると、ルチアは残念そうに口を開いた。
「ええ!? ティミーお姉ちゃんのクッキーは?」
「おやつの時間になったら作ってあげるから。だから先ずはお昼ご飯を食べて来る事。良いわね?」
「むう……」
ティミーの言葉に、ルチアは落ち込んだ。
余程クッキーが食べたかったのか、アクスが作ったクッキーが致命的に不味かったのか、ティミーは敢えて聞かずに苦笑する。
「ほら、もう直ぐお昼だよ? お腹が空きすぎる前にお家に帰らないと」
「はぁ~い。じゃあティミーお姉ちゃん! おやつの時間になったら村長さんのお家に行くからね!」
「うん、待ってるね」
ルチアはにっこりと笑い、マッドとアクスの元へと走って行く。そして二人の元へ辿り着くと、ティミーに向かって大きく手を振った。
「ティミーお姉ちゃん、待ったね~!」
「うん! マッド、アミルおばさんの家まで二人をお願いねー!」
「結局子守役かよ俺はっ! まあ良いけどよ。あ、コレ忘れんなよ」
「あ、ありがとう」
マッドは腕に抱えていた山菜と木の実をティミーに渡し、腕に山菜の匂いが付いたのか、苦笑しながらティミーに手を振った。
「これから店も混む時間帯だし、あんま無理はすんなよー」
「うん! マッドも気をつけてねー!」
マッドの言葉に、ティミーは笑顔で手を振った。
ティミーが背を向けて歩き出すのを確認すると、マッドはアクスとルチアの背中を押し、前へと歩かせた。
「うわっ、何すんだよマッド兄ちゃん!」
「さっきから腹の虫鳴らしまくってんじゃねえよ。さっさと家に戻るぞ」
「うん……ルチアお腹ペコペコ~」
ルチアはお腹を擦りながらチマチマと歩き出した。
アクスも村に着いてからお腹を何度も鳴らしていた。
育ち盛りと言うのもあるだろう。
マッドは足早に二人の家へと向かった。 十分位歩いただろうか。
お腹を空かせたアクスとルチアは、足早に目の前に建つ木で造られた家の前へと走って行った。
そう、ここがこの兄妹二人が暮らす家だ。
「やっとお家着いたぁ。ルチル疲れたよ~」
ルチアは玄関前で座り込み、アクスはドアを開けゆっくりと深呼吸をする。
「母さーん! マッド兄ちゃん連れて来たよー!」
「うわ、デカい声出すなよ」
アクスが母を呼び、その大きな声に驚いたのか、マッドは思わず片耳を塞いだ。
家の中からガチャっと扉が開く音が聞こえ、玄関から家の奥を覗き込むと、金色の髪を腰まで伸ばし、赤いリボンで軽く一つに結えている女性が水色の瞳を細めながらマッドに微笑みかけた。
そう、アクスとルチアの母親──アミル・ルービネットだ。
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