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第一章 穏やかな日常
ティータイムの時間
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鍵穴に鍵を入れようとした時、マッドは不意にその手を止める。
(……何だ?)
何時もと違う雰囲気を感じたのか、マッドはドアに耳を当てた。
──何かの物音が聞こえる。
マッドは眉を潜めながら自分の呼吸を小さくし、神経を耳へと集中させた。
(足音と……声が聞こえる。鍵掛けた筈なのに、どうして……まさか!)
再び耳を澄ませると、足音と人の話し声が聞こえた。
それも、一人ではなく数人は居るだろう。
マッドは息を飲み、剣に手を当てた。
森へ行く前にきちんと鍵を掛けた筈なのに、中に人がいるのは可笑しい。
玄関から入っていないとしたら、考えられるのは窓からの侵入だろう。
或いは、マッドが一度帰宅していた時点で中に既に人が居たかだ。
マッドは音を立てないよう静かに鍵を外し、勢い良くドアを蹴り破った。
同時にその場で剣先を真っ直ぐ向け、辺りを見回し大きく息を吸う。
「こら泥棒! 俺の家に何の用だ!」
勢い良く言葉を発すると、家の奥から一本の矢がマッド目掛けて放たれ、マッドはそれを剣で凪ぎ払った。
ズカズカと家の奥へ行こうとすると突如、ふわりと香ばしい香りが鼻奥に広がり、マッドは思わず足を止めた。
「な……何だ? この匂い」
マッドは不思議そうに辺りを見回すと、木で出来たテーブルに色々な形のクッキーが並べられていた。
「は……? 何だよ、コレ」
クッキーを呆然と見ていると、奥から小さな子供がひょっこりと出て来た。
「あー! マッドお兄ちゃん!」
「あれ? マッド兄ちゃんだ」
「なっ、アクスにルチア?」
奥から出て来たのは、昼間茸の仕分けをしに行った家の子供、アクスとルチアだった。
目を丸くしていると、ルチアがマッドの足にしがみつき、頬を膨らませながら見上げてくる。
「もう、ビックリしたあ! 泥棒かと思ったよ!」
「そりゃこっちの台詞だっ! 何でお前達が居るんだよっ!」
「んっとねえ、ティミーお姉ちゃんがクッキー焼いてくれてるの!」
「は……?」
ルチアの言葉に、マッドは呆然とした。
マッドの足にしがみつくルチアにアクスは不思議そうにマッドを見上げると、奥に人差し指を向けて口を開いた。
「だから、ティミー姉ちゃんがクッキーを」
「……」
アクスがルチアと同様の言葉を発するのを察したのか、自分の足にしがみつくルチアを引き剥がすと、ズカズカと奥へと歩いていった。
奥は台所になっていて、オーブンからクッキーを取り出そうとしているティミーの姿が目に飛び込んでくる。
マッドは思わず眉を引き吊らせ、敢えて分かってはいるが念の為に何をしているのかを聞こうと、口を開いた。
「ティミー……お前、何してんだ?」
「あ、マッド、お帰り」
悪気のないティミーの笑顔に、マッドの頭の中で何かが音を立てて切れたような気がした。
一気に体温が上昇し、頭が熱くなっていく。
体の奥から込み上げてくる物に耐えきれず、マッドは剣を床に投げつけ、ティミーに近付いた。
「お帰りじゃねえ! 何でここに居るんだよ!」
「何でって……おやつの時間だからクッキー作りに来たんだよ」
「自分の家でやれば良いだろ! それ以前に、どこから入ったんだよお前は!」
怒るマッドに問い詰められ、ティミーは冷や汗をかきながら引きつった笑みを浮かべた。
「え、えっと……窓が開いてたから、そこから入っちゃった……えへ」
「お前それ不法侵入だろうが! 泥棒かと思ったぞ! 挙げ句の果てに矢まで放ちやがって!」
マッドは溢れて来る苛立ちを抑えながら、呼吸を整えた。
玄関には鍵を掛けたが、窓の鍵が開けっ放しだった為、そこからティミーはマッドの家に入り込んだようで、マッドは自分の不注意さに小さく舌打ちをした。
それに気づいたのか、ティミーは申し訳無さそうにマッドの表情を伺う。
(……何だ?)
何時もと違う雰囲気を感じたのか、マッドはドアに耳を当てた。
──何かの物音が聞こえる。
マッドは眉を潜めながら自分の呼吸を小さくし、神経を耳へと集中させた。
(足音と……声が聞こえる。鍵掛けた筈なのに、どうして……まさか!)
再び耳を澄ませると、足音と人の話し声が聞こえた。
それも、一人ではなく数人は居るだろう。
マッドは息を飲み、剣に手を当てた。
森へ行く前にきちんと鍵を掛けた筈なのに、中に人がいるのは可笑しい。
玄関から入っていないとしたら、考えられるのは窓からの侵入だろう。
或いは、マッドが一度帰宅していた時点で中に既に人が居たかだ。
マッドは音を立てないよう静かに鍵を外し、勢い良くドアを蹴り破った。
同時にその場で剣先を真っ直ぐ向け、辺りを見回し大きく息を吸う。
「こら泥棒! 俺の家に何の用だ!」
勢い良く言葉を発すると、家の奥から一本の矢がマッド目掛けて放たれ、マッドはそれを剣で凪ぎ払った。
ズカズカと家の奥へ行こうとすると突如、ふわりと香ばしい香りが鼻奥に広がり、マッドは思わず足を止めた。
「な……何だ? この匂い」
マッドは不思議そうに辺りを見回すと、木で出来たテーブルに色々な形のクッキーが並べられていた。
「は……? 何だよ、コレ」
クッキーを呆然と見ていると、奥から小さな子供がひょっこりと出て来た。
「あー! マッドお兄ちゃん!」
「あれ? マッド兄ちゃんだ」
「なっ、アクスにルチア?」
奥から出て来たのは、昼間茸の仕分けをしに行った家の子供、アクスとルチアだった。
目を丸くしていると、ルチアがマッドの足にしがみつき、頬を膨らませながら見上げてくる。
「もう、ビックリしたあ! 泥棒かと思ったよ!」
「そりゃこっちの台詞だっ! 何でお前達が居るんだよっ!」
「んっとねえ、ティミーお姉ちゃんがクッキー焼いてくれてるの!」
「は……?」
ルチアの言葉に、マッドは呆然とした。
マッドの足にしがみつくルチアにアクスは不思議そうにマッドを見上げると、奥に人差し指を向けて口を開いた。
「だから、ティミー姉ちゃんがクッキーを」
「……」
アクスがルチアと同様の言葉を発するのを察したのか、自分の足にしがみつくルチアを引き剥がすと、ズカズカと奥へと歩いていった。
奥は台所になっていて、オーブンからクッキーを取り出そうとしているティミーの姿が目に飛び込んでくる。
マッドは思わず眉を引き吊らせ、敢えて分かってはいるが念の為に何をしているのかを聞こうと、口を開いた。
「ティミー……お前、何してんだ?」
「あ、マッド、お帰り」
悪気のないティミーの笑顔に、マッドの頭の中で何かが音を立てて切れたような気がした。
一気に体温が上昇し、頭が熱くなっていく。
体の奥から込み上げてくる物に耐えきれず、マッドは剣を床に投げつけ、ティミーに近付いた。
「お帰りじゃねえ! 何でここに居るんだよ!」
「何でって……おやつの時間だからクッキー作りに来たんだよ」
「自分の家でやれば良いだろ! それ以前に、どこから入ったんだよお前は!」
怒るマッドに問い詰められ、ティミーは冷や汗をかきながら引きつった笑みを浮かべた。
「え、えっと……窓が開いてたから、そこから入っちゃった……えへ」
「お前それ不法侵入だろうが! 泥棒かと思ったぞ! 挙げ句の果てに矢まで放ちやがって!」
マッドは溢れて来る苛立ちを抑えながら、呼吸を整えた。
玄関には鍵を掛けたが、窓の鍵が開けっ放しだった為、そこからティミーはマッドの家に入り込んだようで、マッドは自分の不注意さに小さく舌打ちをした。
それに気づいたのか、ティミーは申し訳無さそうにマッドの表情を伺う。
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