ひだまりを求めて

空野セピ

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第一章 穏やかな日常

夕食の時間

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「マッドー! 遅いよー!」

「悪い、寝てた」

 苦笑しながら玄関先に来たマッドに、ティミーは呆れ顔で溜め息を着いた。 
「あのねえ……」

「良いから良いから。とりあえず、お邪魔するぜ?」

「あ、うん。席に座って待っててね」

 村長の家に入るなり、ティミーに連れられ何時もの席に案内された。 
 水が入ったコップを置くと、ティミーは慌ただしく厨房へと戻って行く。 
 辺りを見ると村人達がそれなりにいて、料理を食べる人と料理を待つ人とで賑わっていた。 
 ティミーと村長の妻レミー・マルデス以外にも数人の女性が厨房を手伝ってはいるが、夕食時故か、全員慌ただしく動いていた。 
 忙しい時間帯に足を運び、申し訳無くその様子を暫く見ていると、ティミーが慌てた様子でキノコ入りシチューオムライスを持ってきた。 

「ごめん、遅くなっちゃった」

「別に良いって。そんなに慌てなくても良かったのに」

「お腹の虫が厨房まで聞こえて来たから早く作ったんだよ」

「はあ!?」

「あはは、冗談だって」

 可笑しく笑うティミーに、マッドは負けた気分になり肩の力を脱力させた。
 ティミーは笑いを堪えながらコトリとキノコ入りシチューオムライスが乗ったお皿を置いた。
 オムライスの他に、レタス、プチトマト、ポテトが乗っていて、マッドは早速プチトマトを口に含む。

「ん、甘いな。採れたてか」

「うん。沢山採りすぎちゃったからまだまだ有るよ?」

「いや、遠慮しとくわ」

 ヒラヒラと左手を振ると、ティミーはムッとした顔でマッドを睨んだ。

「まだ何も言ってないじゃない」

「どうせまたお裾分けだろ? 店の分に回せっての」

「もう、どうしていつも……」

「ティミー! 早く手伝っておくれ」

 文句を言おうと口を開いた瞬間、厨房から大きな声が聞こえた。 
 村長の妻レミーがおたまを持ったまま慌ただしく叫んでいるのに気付くと、ティミーは慌ててトレイに乗っていた水を置き、慌ただしく返事を返した。

「今行きます! じゃあマッド、ゆっくりしていってね」

「あ、ティミー……」

 ティミーは慌てて厨房の方へと走って行き、マッドは一人残されてしまった。

「水……こぼれたんだが」

 ティミーが慌ただしく水を置いた為か、コップから水がこぼれ、テーブルは若干濡れてしまっていた。 
 ティミーは厨房に戻ってしまい、仕方がないと諦め、出来立てのオムライスを口に含み、窓の外を見ながら静かに食べ始めた。

 オムライスを間食し、暫く店内の様子を見ていたが、客の出入りは治まらず、寧ろ客は増えていく一方だ。 
 この様に混む日も有れば、空いている日も有る。 
 今日はどうやら前者のようで、ティミーが一息つけるまで待っているつもりだったが、気を使わせまいとゆっくりと立ち上がり、厨房の方へと向かった。 

「おい、ティミー」

「え、何? マッド」

 マッドに呼ばれ、ティミーはおたまを持ちながら厨房から顔を出す。
 その顔は熱気により汗が滲み出ていて、マッドは苦笑すると手をヒラヒラさせた。

「悪いがもう眠いし帰るわ。オムライス美味かったぜ」

「え、帰っちゃうの?」

「もう眠いんだ。それに、明日は薬草摘みに行くからその準備もしないといけねえし」

「そっか……分かった。じゃあ、また明日ね」

「ああ。また明日な」

 マッドは小さく手を振りドアを開けると、ティミーは微笑みながらその様子を見ていた。 
「マッド、明日もご飯食べに来てよねー!」

「はいはい、気が向いたらな」

 手をヒラヒラさせながらドアを閉めると、ティミーはどこか寂しそうな表情を浮かべ、それを見ていた村長の妻レミーは、ティミーの肩に手を乗せ、小さく微笑みながら口を開いた。
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