ひだまりを求めて

空野セピ

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第二章 旅立ちの決意

いつか、必ず

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 マッドの言葉に、村長夫妻は驚いた。そして、レミーはティミーの手を握り、思わず涙を浮かべる。

「ティミー、この村から離れてしまうのかい?」

「レミーおばあちゃん……」

 ティミーは泣きそうになるのを堪えながらレミーの手を握り返す。
 その手はとても暖かく、ティミーはそのままレミーを抱きしめた。

「ごめんなさい、レミーおばあちゃん……私、村を出ないと……ううん、このままだと、あの男がまたこの村を襲ってくるかもしれない。そうならない為にも、私達があの男を追わなきゃ……」

「襲ってこないかもしれないじゃろ? どうして、村を出ようと……」

 村長が口を開くと、フィルが村長とティミーの間に入り、村長に向けて小さく首を横に振った。

「村長。彼等なりに何か考えがあるのかもしれません。素直に見送ってあげましょうよ」

「フィル」

「そりゃ、ティミーのオムライスが食べられなくなるのは寂しくなるけどな」

 フィルは照れ臭そうに話し、苦笑した。
 その言葉に釣られる様に、村人達も賛同の意見が上がっていく。

「そうか、ティミーが旅に出たら暫くオムライス食べられなくなるのか」

「そりゃ寂しくなるな……帰りは早いんだろう?」

「いつでも帰って来いよ! 村の事なら任せろ! 俺達で頑張って再建するさ!」

 村人達が、次々とマッドとティミーに声をかける。
 その様子に、ティミーは泣きそうになり、マッドは微笑んでいた。

(ティミー、皆からこんなに愛されてるんだもんな)

 マッドは深く深呼吸をすると、フィルに視線を向ける。

「フィル。村長達と村の事、頼んだぜ」

「おう、任せておけ。キノコの仕分けは流石に出来ないから、早く帰って来いよ。気を付けて行ってこい」

「サンキュ」

 村が大変な状態の中、村人達は更に集まり、マッドとティミーの旅立ちを見送ろうと自然と道を作っていった。
 村人達に見送られ、時折薬草等を渡されながらマッドとティミーは村の外まで歩いて行く。
 村の入り口まで行くと、最後まで着いたきたフィルに呼び止められた。

「マッド、ティミー。これ、餞別」

 そう言ってフィルはマッドに向けて大きめの袋を渡す。
 ティミーと中身を確認すると、テントや毛布一式、その他旅に必要な備品と、少しのお金が入っていた。
 思わずマッドとティミーは、フィルに視線を向ける。

「おいフィル、これって」

「お前ら、何も準備無しに行こうとしていただろ。旅をするっていうのは過酷なんだ。準備を怠ったらそれこそ直ぐ死ぬぞ」

「フィル……ありがとう」

 確かに、何も準備せずに村の入り口まで来てしまっていた。
 頭がいっぱいいっぱいで、そこまで頭が回っていなかったのだろう。
 マッドとティミーはお互い苦笑し、改めてフィルに頭を下げた。

「フィル、本当にありがとうな」

「これで、ルグート村はこれ以上襲われないと思うんだ。もし、あの男が私達を探していたら旅に出たって話して」

「分かった。ま、来る事はないと思うけどな……」

 フィルは小さく笑うと、二人の肩を強く抱いた。

「いいか、この村はお前達の故郷だ。辛くなったりしたらいつでも帰って来いよ。待ってるからな、俺達みんな」

「あぁ。ありがとなフィル」

 マッドは微笑み、ティミーも再び泣きそうになるのを堪えながら微笑んだ。

「今生の別れじゃないんだ。ここは、『いってらっしゃい』で良いよな」

 フィルはニッと笑い、腕を高く振り上げる。
 マッドとティミーも、同じように腕を高く振り上げた。

「そうだな。俺達、絶対帰ってくるから」

「フィル、村長さん達の事、宜しくね」

 そろそろ、旅立ちの時だ。
 マッド、ティミー、フィルは、それぞれハイタッチをして、お互い笑顔で笑い、手を振る。

「いってきます!」

「いってらっしゃい!」

 それぞれの帰りを信じ、三人は挨拶を交わした。



 暫く歩いて行き、マッドとティミーは森の中を進みながら澄んだ空を見上げ、大きく息を吐く。
 ふと、ティミーが立ち止まり、マッドも足を止める。

「どうした? ティミー」

「マッド、ありがとう。私があの男に追われてるって村長さん達に話さないでいてくれて」

「ああ、お前、あの時自分を凄く責めそうだったから。それに、あのレンとか言う男がティミーを襲う事自体意味わからねーし。その理由を問い詰めるって言うのもあるんだぜ」

「うん……」 

 未だに不安そうな表情をするティミーに、マッドはある決意をし、ふと来た道を振り返った。

「なぁ、ティミー」

「何? マッド」

 マッドはティミーの手を握り、空を見上げる。

「必ず帰ろう。俺たちの故郷へ」

「マッド」

 マッドは静かに言葉を吐く。
 水に飲まれたとはいえ、帰る場所、待っていてくれる人達がいる。

「皆、俺達の帰りを待ってる。俺達の帰る場所は、ルグート村だから」

「うん……!」

「また村長の店で安心してオムライス作る為にも、早くレンを倒しにいこうぜ」

「うん。村長さん達の家は……ううん、ルグート村は、私の故郷だから。私は絶対この村に帰ってくるよ」

「俺もだ。長旅になるかもしれねぇが、宜しくなティミー」

「こちらこそ、宜しくねマッド」

 マッドとティミーは互いに微笑み、更に先へと進んでいった。
 果てしなく、広がる世界へ。
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