29 / 108
第二章 旅立ちの決意
いつか、必ず
しおりを挟む
マッドの言葉に、村長夫妻は驚いた。そして、レミーはティミーの手を握り、思わず涙を浮かべる。
「ティミー、この村から離れてしまうのかい?」
「レミーおばあちゃん……」
ティミーは泣きそうになるのを堪えながらレミーの手を握り返す。
その手はとても暖かく、ティミーはそのままレミーを抱きしめた。
「ごめんなさい、レミーおばあちゃん……私、村を出ないと……ううん、このままだと、あの男がまたこの村を襲ってくるかもしれない。そうならない為にも、私達があの男を追わなきゃ……」
「襲ってこないかもしれないじゃろ? どうして、村を出ようと……」
村長が口を開くと、フィルが村長とティミーの間に入り、村長に向けて小さく首を横に振った。
「村長。彼等なりに何か考えがあるのかもしれません。素直に見送ってあげましょうよ」
「フィル」
「そりゃ、ティミーのオムライスが食べられなくなるのは寂しくなるけどな」
フィルは照れ臭そうに話し、苦笑した。
その言葉に釣られる様に、村人達も賛同の意見が上がっていく。
「そうか、ティミーが旅に出たら暫くオムライス食べられなくなるのか」
「そりゃ寂しくなるな……帰りは早いんだろう?」
「いつでも帰って来いよ! 村の事なら任せろ! 俺達で頑張って再建するさ!」
村人達が、次々とマッドとティミーに声をかける。
その様子に、ティミーは泣きそうになり、マッドは微笑んでいた。
(ティミー、皆からこんなに愛されてるんだもんな)
マッドは深く深呼吸をすると、フィルに視線を向ける。
「フィル。村長達と村の事、頼んだぜ」
「おう、任せておけ。キノコの仕分けは流石に出来ないから、早く帰って来いよ。気を付けて行ってこい」
「サンキュ」
村が大変な状態の中、村人達は更に集まり、マッドとティミーの旅立ちを見送ろうと自然と道を作っていった。
村人達に見送られ、時折薬草等を渡されながらマッドとティミーは村の外まで歩いて行く。
村の入り口まで行くと、最後まで着いたきたフィルに呼び止められた。
「マッド、ティミー。これ、餞別」
そう言ってフィルはマッドに向けて大きめの袋を渡す。
ティミーと中身を確認すると、テントや毛布一式、その他旅に必要な備品と、少しのお金が入っていた。
思わずマッドとティミーは、フィルに視線を向ける。
「おいフィル、これって」
「お前ら、何も準備無しに行こうとしていただろ。旅をするっていうのは過酷なんだ。準備を怠ったらそれこそ直ぐ死ぬぞ」
「フィル……ありがとう」
確かに、何も準備せずに村の入り口まで来てしまっていた。
頭がいっぱいいっぱいで、そこまで頭が回っていなかったのだろう。
マッドとティミーはお互い苦笑し、改めてフィルに頭を下げた。
「フィル、本当にありがとうな」
「これで、ルグート村はこれ以上襲われないと思うんだ。もし、あの男が私達を探していたら旅に出たって話して」
「分かった。ま、来る事はないと思うけどな……」
フィルは小さく笑うと、二人の肩を強く抱いた。
「いいか、この村はお前達の故郷だ。辛くなったりしたらいつでも帰って来いよ。待ってるからな、俺達みんな」
「あぁ。ありがとなフィル」
マッドは微笑み、ティミーも再び泣きそうになるのを堪えながら微笑んだ。
「今生の別れじゃないんだ。ここは、『いってらっしゃい』で良いよな」
フィルはニッと笑い、腕を高く振り上げる。
マッドとティミーも、同じように腕を高く振り上げた。
「そうだな。俺達、絶対帰ってくるから」
「フィル、村長さん達の事、宜しくね」
そろそろ、旅立ちの時だ。
マッド、ティミー、フィルは、それぞれハイタッチをして、お互い笑顔で笑い、手を振る。
「いってきます!」
「いってらっしゃい!」
それぞれの帰りを信じ、三人は挨拶を交わした。
暫く歩いて行き、マッドとティミーは森の中を進みながら澄んだ空を見上げ、大きく息を吐く。
ふと、ティミーが立ち止まり、マッドも足を止める。
「どうした? ティミー」
「マッド、ありがとう。私があの男に追われてるって村長さん達に話さないでいてくれて」
「ああ、お前、あの時自分を凄く責めそうだったから。それに、あのレンとか言う男がティミーを襲う事自体意味わからねーし。その理由を問い詰めるって言うのもあるんだぜ」
「うん……」
未だに不安そうな表情をするティミーに、マッドはある決意をし、ふと来た道を振り返った。
「なぁ、ティミー」
「何? マッド」
マッドはティミーの手を握り、空を見上げる。
「必ず帰ろう。俺たちの故郷へ」
「マッド」
マッドは静かに言葉を吐く。
水に飲まれたとはいえ、帰る場所、待っていてくれる人達がいる。
「皆、俺達の帰りを待ってる。俺達の帰る場所は、ルグート村だから」
「うん……!」
「また村長の店で安心してオムライス作る為にも、早くレンを倒しにいこうぜ」
「うん。村長さん達の家は……ううん、ルグート村は、私の故郷だから。私は絶対この村に帰ってくるよ」
「俺もだ。長旅になるかもしれねぇが、宜しくなティミー」
「こちらこそ、宜しくねマッド」
マッドとティミーは互いに微笑み、更に先へと進んでいった。
果てしなく、広がる世界へ。
「ティミー、この村から離れてしまうのかい?」
「レミーおばあちゃん……」
ティミーは泣きそうになるのを堪えながらレミーの手を握り返す。
その手はとても暖かく、ティミーはそのままレミーを抱きしめた。
「ごめんなさい、レミーおばあちゃん……私、村を出ないと……ううん、このままだと、あの男がまたこの村を襲ってくるかもしれない。そうならない為にも、私達があの男を追わなきゃ……」
「襲ってこないかもしれないじゃろ? どうして、村を出ようと……」
村長が口を開くと、フィルが村長とティミーの間に入り、村長に向けて小さく首を横に振った。
「村長。彼等なりに何か考えがあるのかもしれません。素直に見送ってあげましょうよ」
「フィル」
「そりゃ、ティミーのオムライスが食べられなくなるのは寂しくなるけどな」
フィルは照れ臭そうに話し、苦笑した。
その言葉に釣られる様に、村人達も賛同の意見が上がっていく。
「そうか、ティミーが旅に出たら暫くオムライス食べられなくなるのか」
「そりゃ寂しくなるな……帰りは早いんだろう?」
「いつでも帰って来いよ! 村の事なら任せろ! 俺達で頑張って再建するさ!」
村人達が、次々とマッドとティミーに声をかける。
その様子に、ティミーは泣きそうになり、マッドは微笑んでいた。
(ティミー、皆からこんなに愛されてるんだもんな)
マッドは深く深呼吸をすると、フィルに視線を向ける。
「フィル。村長達と村の事、頼んだぜ」
「おう、任せておけ。キノコの仕分けは流石に出来ないから、早く帰って来いよ。気を付けて行ってこい」
「サンキュ」
村が大変な状態の中、村人達は更に集まり、マッドとティミーの旅立ちを見送ろうと自然と道を作っていった。
村人達に見送られ、時折薬草等を渡されながらマッドとティミーは村の外まで歩いて行く。
村の入り口まで行くと、最後まで着いたきたフィルに呼び止められた。
「マッド、ティミー。これ、餞別」
そう言ってフィルはマッドに向けて大きめの袋を渡す。
ティミーと中身を確認すると、テントや毛布一式、その他旅に必要な備品と、少しのお金が入っていた。
思わずマッドとティミーは、フィルに視線を向ける。
「おいフィル、これって」
「お前ら、何も準備無しに行こうとしていただろ。旅をするっていうのは過酷なんだ。準備を怠ったらそれこそ直ぐ死ぬぞ」
「フィル……ありがとう」
確かに、何も準備せずに村の入り口まで来てしまっていた。
頭がいっぱいいっぱいで、そこまで頭が回っていなかったのだろう。
マッドとティミーはお互い苦笑し、改めてフィルに頭を下げた。
「フィル、本当にありがとうな」
「これで、ルグート村はこれ以上襲われないと思うんだ。もし、あの男が私達を探していたら旅に出たって話して」
「分かった。ま、来る事はないと思うけどな……」
フィルは小さく笑うと、二人の肩を強く抱いた。
「いいか、この村はお前達の故郷だ。辛くなったりしたらいつでも帰って来いよ。待ってるからな、俺達みんな」
「あぁ。ありがとなフィル」
マッドは微笑み、ティミーも再び泣きそうになるのを堪えながら微笑んだ。
「今生の別れじゃないんだ。ここは、『いってらっしゃい』で良いよな」
フィルはニッと笑い、腕を高く振り上げる。
マッドとティミーも、同じように腕を高く振り上げた。
「そうだな。俺達、絶対帰ってくるから」
「フィル、村長さん達の事、宜しくね」
そろそろ、旅立ちの時だ。
マッド、ティミー、フィルは、それぞれハイタッチをして、お互い笑顔で笑い、手を振る。
「いってきます!」
「いってらっしゃい!」
それぞれの帰りを信じ、三人は挨拶を交わした。
暫く歩いて行き、マッドとティミーは森の中を進みながら澄んだ空を見上げ、大きく息を吐く。
ふと、ティミーが立ち止まり、マッドも足を止める。
「どうした? ティミー」
「マッド、ありがとう。私があの男に追われてるって村長さん達に話さないでいてくれて」
「ああ、お前、あの時自分を凄く責めそうだったから。それに、あのレンとか言う男がティミーを襲う事自体意味わからねーし。その理由を問い詰めるって言うのもあるんだぜ」
「うん……」
未だに不安そうな表情をするティミーに、マッドはある決意をし、ふと来た道を振り返った。
「なぁ、ティミー」
「何? マッド」
マッドはティミーの手を握り、空を見上げる。
「必ず帰ろう。俺たちの故郷へ」
「マッド」
マッドは静かに言葉を吐く。
水に飲まれたとはいえ、帰る場所、待っていてくれる人達がいる。
「皆、俺達の帰りを待ってる。俺達の帰る場所は、ルグート村だから」
「うん……!」
「また村長の店で安心してオムライス作る為にも、早くレンを倒しにいこうぜ」
「うん。村長さん達の家は……ううん、ルグート村は、私の故郷だから。私は絶対この村に帰ってくるよ」
「俺もだ。長旅になるかもしれねぇが、宜しくなティミー」
「こちらこそ、宜しくねマッド」
マッドとティミーは互いに微笑み、更に先へと進んでいった。
果てしなく、広がる世界へ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる