ひだまりを求めて

空野セピ

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第三章 深い森の中で

不安な夢

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 ティミーが言葉を言い終える前に、ヴェノルはティミーの持っていた食料袋を奪い、パンとチーズを食べ散らかしていく。
 食べるスピードが尋常じゃない位早く、食料はあっという間に半分まで減ってしまい、慌ててティミーが食料袋を奪い返した。

「ちょっとヴェノル! 食べ過ぎなのと行儀が悪いよ!」
「てめぇ、何してんだよ!」
 食料を半分以上食べられてしまい、マッドはヴェノルの頭を思い切り拳骨で殴った。

「痛い! 何すんだよー!」

「そりゃこっちのセリフだろうが! 勝手に食料食い散らかしやがって!」

 ヴェノルに食い散らかされつつも、マッドとティミーは辛うじて残った食材を食べていく。
 尋常じゃないヴェノルの食欲に、マッドとティミーは唖然としながら焚火を囲み、食事をした。

 暫くすると日も落ちていき、ティミーは口に手を当てて、見えないように大きな欠伸をする。
 ヴェノルは食事をした後直ぐに眠ってしまい、マッドも眠そうに欠伸をした。

「あ~眠い。そろそろ寝るか」

「そうだね。私ももう眠いしクタクタ。明日は食材も探さないといけないから少し早めに起きようね。じゃあ、おやすみマッド」 

「おぅ、お休み」

 ティミーは疲れが溜まっていたのか、横になると直ぐに眠ってしまった。
 マッドも寝転がって目を閉じ、眠りに就こうとする。
 疲れていたのか、直ぐに眠気が訪れ、そのまま眠り込んだ。

 

 深い闇の中、マッドはただ独り立ち竦んでいた。
 遠い昔の、あの時と同じ深い闇の中に。

『マッド……あなたは生きなさい……』

(まただ。また、あの時と同じ……)

『マッド……お前しか救えない。俺達はもう……』

(いやだ……父さん……母さん!)

(いやだ……いやだ!)
 
 

「嫌だぁぁぁぁあ!!」

「マッド!?」

「……え?」

 目を開けると、薄暗い風景が広がった。
 湿気の匂いと雨に濡れた土の匂いが鼻を突く。

(今のは……夢……?)

 ぼやける視界に目をしかめていると、ティミーが覗き込んで来た。

「大丈夫? またうなされていたけど……」

 ティミーの言葉に、マッドは瞳を閉じる。

(そうだ……。村で大洪水に巻き込まれた日の朝も、この様な夢を見たな)

 とにかく気持ちを落ち着かせようと深く息を吸い込み、深呼吸をした。
その様子を、ティミーは心配そうに見ている。

「大丈夫? マッド」

「あぁ。何か此処最近変な夢見るんだ。正直しんどいよ」

「変な夢って、どんな夢なの?」

「それは……」

 その先の言葉が喉に詰まり、マッドは俯く。

(正直、言いたくない。父さんと母さんが度々出てくるなんて)

「悪夢……みたいなものを見たの?」

 ティミーが不安気に聞くと、マッドは俯いた。

「悪夢、なのかな。悪夢の様で悪夢じゃないんだ。どこか暖かさを感じて……」

「暖かさ?」

「いや……忘れてくれ」

 何とも言えない感情にマッドは再び俯くと、不意に隣から声が聞こえた。

「~ん……光、が……」

「何だ?」

 声が聞こえた方に首を向けると、ヴェノルが小さく唸っていた。

「駄目……その力……は……」

「ヴェノル?」

 ティミーが呼び掛けると、ヴェノルはうっすらと瞳を開いた。

「……ん~……あれ? 二人供、起きてたの?」

 眠そうな瞼を擦りながら、ヴェノルは二人を見る。

「あぁ……嫌な夢見て目覚めたんだ」

 そう言うとマッドは汗で額に張り付いた前髪をかきあげた。
 途端、ヴェノルは一瞬表情を暗くする。

「嫌な夢、かぁ。俺の夢も、そうなのかな」

「変な夢でも見たのか?」

 マッドの言葉に、ヴェノルは小さく首を横に振る。

「いや……何でも無いよ」

 何処か険しい表情になるヴェノルに、マッドは不信感を抱いた。
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