ひだまりを求めて

空野セピ

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第三章 深い森の中で

崩れ落ちる洞窟

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「変な夢見たんだろ?」

「ち、違うもん! 違う……」

 マッドが訪ねるとヴェノルの肩は跳ね、微かに後退りをする。
 マッドはそれを見逃さなかった。

「いや、言いたく無いならいいけどさ」

「……ごめん」

 寝る前の明るい表情は消えてしまい、ヴェノルは表情を更に曇らせた。

「どうしたの? 大丈夫?」

 心配したティミーはヴェノルの顔を覗き込んだ。

「怖い夢でも見たの?」

「ううん、大丈夫。何か、懐かしい夢を見ていた気がするんだ」

「懐かしい夢?」

 ティミーが心配そうに問い掛けた。

「うん。誰かが……光の中で俺を呼んでいた夢だったけど誰だが分からない」

「もしかしたら、過去の出来事が夢となってるとか? そんな都合のいい事はねえか」

「でも、もしかしたらあり得るかもしれないよ? 過去の夢って見ること有るみたいだし」

「そうだよな。ヴェノルの過去に関係が……うわっ!?」

 マッドが更に考察しようとした瞬間、突然洞窟全体が激しく揺れ始めた。
 立っているのが困難な程、揺れは強くなっていく。

「きゃ!」

「何だこの揺れは!?」

 上を見上げると、砂や石の欠片がパラパラと降り注いで来た。
 このままだと土砂が崩壊し、確実に生き埋めになってしまう。

「マッド、ティミー! 早く此処から出よう! このままだと俺の家が崩れる!」

「だからお前の家じゃねぇだろうが!」

「こんな時に何喧嘩してるの! いいから早く逃げよう!」

 崩れ掛ける洞窟を、三人は急いで脱出した。
 外に出た途端、今まで自分達が居た鍾乳洞は完全に崩れてしまった。
 まだ雨は降っていて、マッド達の体を濡らし服に雫が滲んでいく。
 マッドは崩壊した洞窟を険しい表情で見た。
 あと少し逃げるのが遅かったら、確実に生き埋めになっていただろう。
 安心したのか、マッドとティミーは大きく息を吐いた。

「ふぅ。間一髪だったな」

「うん。良かった」

「……っ」

「ヴェノル、大丈夫か? 何処か怪我したのか?」

 ヴェノルは泣きそうな顔をしていた。
 だがヴェノルを見る限り、かすり傷は有ったが大した怪我はしていない様子だ。
しかし、ヴェノルは小さく肩を震わせる。

「俺の家……」

「……は?」

「俺の家がぁ~! 折角見つけたのに~!」

「って、そっちかよ!」

「う~……俺の家~」

「本当、さっきまでの暗い表情は何処にいったんだよお前は!」

 マッドとティミーは呆れ、そしてヴェノルの怒りは頂点に達しそうだった。

「俺の家が~! 家家家家ー! 誰だぁ俺の家ぶっ壊した奴はぁ~!」

「俺だ」

「なっ!?」

 途端、上から声が聞こえた。
 まさか返答が有るなんて思いもしなかった三人は、戸惑いを隠せなかった。

「……幽霊じゃ無いよな?」

 マッドは声を震わせながらティミーとヴェノルに問い掛ける。
 二人は首を傾げ、辺りを見回した。

「さぁ……でも、幽霊とか出そうな森だよね」

「幽霊なんているわけないよな……多分」

 自分で幽霊の存在を問い掛けながらも否定して、でも本当は居るんじゃないかと思い、恐る恐る上を見上げた。
 途端、マッドの表情が変わる。

「お前はっ……!」

 見上げた先に居たのは、マッドの知る人物だった。

「てめぇ!」

「あの人は……! マッド! 駄目!」

 マッドは剣を抜き、見上げた先に居た人物に斬り掛かった。

「無駄だ」

「うわぁぁ!?」

 斬り掛かった瞬間、マッドは吹っ飛ばされてしまった。
 ティミーとヴェノルが駆け寄り、マッドを支え、状態を立て直す。
 マッドは背中を強打した様で、痛みに顔をしかめた。
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