ひだまりを求めて

空野セピ

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第三章 深い森の中で

更なる悲劇

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 ヴェノルの言葉にハッとし、声が聞こえた方へと急いで走っていく。
 二人が着くと、ヴェノルが青年を抱き抱えていた。

「うっ……」

 青年は苦しそうに唸り、激痛が走ったのか左腕を押さえた。

「どうした! 大丈夫か!?」

「酷い怪我……しっかりして下さい!」

「う……」

 二人の声に、青年はうっすらと目を開いた。
 所々怪我をして、左腕からは大量の血が出て、服に赤い染みを作っている。
 その青年は水色の髪を腰まで伸ばし、うっすらと開いた瞳の色はルビーの如く美しい赤色だった。
 青年は目をしばしばさせ起き上がり、辺りを見回す。

「町はっ……!」

 起き上がった途端、青年の体がぐらつき、ティミーは慌てて青年の体を支えた。

「動いちゃ駄目ですよ! とりあえず、軽く手当てしますね」

 そう言うとティミーはハンカチで青年の体の血を拭き始めた。
 マッドとヴェノルが見守る中、ティミーはもう一枚ハンカチを取り出し、特に出血の酷い左腕にハンカチを巻きつけ他の傷の手当していく。
 暫くすると手当てが終わり、青年は浅く息を吐いた。

「助けてくれてありがとう。僕はアリル・カーペン。君達は、旅の者か? どうしてこの町に……?」

「いや、森を抜けたら煙りが見えたから町が有るのかと思って来てみたら、こんな風になってて……あ、俺マッド・クラーデン」

「私はティミー・マルデスと申します。あの、此処で何があったんですか?」

 ティミーの言葉に、アリルと名乗った青年は俯き、声を震わせた。

「昨晩、町に流れる川が氾濫し堤防が決壊して、町全体が呑まれてしまったんだ」

「決壊!?」

 三人は声を揃えた。
 アリルは頷き顔をしかめ、遠くを見つめる。

「決壊だ。堤防が破壊されたんだ。此処から大きな川が見えるだろう?」

「見えますけど……じゃあ、誰かが町を襲撃したとかでは無いんですね?」

「あぁ。川が決壊して大量の水が襲ってきて……多分天変地異だろう」

 マッドとティミーは戸惑いながらも、一つの不安が解消された。
 レンがまた町を襲ったのかと思ったからだ。
 だが、町が壊滅したのに変わりない。
 犠牲者も沢山出ている。
 マッドとティミーは俯き、祈りを込めて瞳を閉じた。

「でも、どうして川が氾濫を? 地震や大規模な雨なんて無かったですよ?」

 暫くして、ティミーが疑問を抱く。
 確かに町に来る途中で、地震など起きていなかった。雨も、そこまで降ってはいなかった。
 アリルも顔をしかめる。

「分からない。けれど最近、天変地異が多発しているんだ。もしかしたら〈アレ〉が関係しているかも知れないと思って調べていたんだけど……」

「〈アレ〉って、なに?」

 ヴェノルが興味身心に訪ねるが、アリルは難しい顔をした。

「すまないが、僕からは上手く言えないんだ。君達は……旅をしているんだっけ?」

「あ、はい。実は……」

 マッドとティミーはこれまでの経緯をアリルに話した。
 自分達の村がレンに襲われた事。
 先程の森で、レンと戦い生じた疑問。
 話を聞いているアリルの表情も、次第に険しくなっていく。

「そうか……君達の村も水害に……。それで村を襲った奴を倒そうと」

「はい……」

「……」

 アリルはしばらく黙り込んだ。

「アリルさん?」

「いや……君達、ルバナの町を知っているかい?」

 アリルの言葉に、マッドとティミーは首を横に振る。

「すみません。 私達、ルグート村からあまり出た事が無いので、外の事あまり知らないんです」

 ティミーが恥ずかしそうに答えると、アリルは苦笑した。

「はは、そうか。 だけど……会って欲しい人が居るんだ。ルバナの町まで一緒に着いて来てくれるかい?」

「え…?」

 アリルの言葉に三人は驚いた。
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