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第四章 バーレスト兄弟
楽しい野宿
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「ウォック、何だよその溜め息」
準備が整い外に出るなり、マッドはウォックを睨む。
「別に。じゃあ行くか」
「あぁ! グルーさん、アリルさん、ありがとうございました!」
「うわっマッドが敬語使うなんて気持ち悪っ!」
「んだとぉ? ヴェノルてめぇ!」
「もぅ、ケンカしないの! ウォックさん、これから宜しくお願いします!」
「あぁ、呼び捨てで良いよ。敬語も使わなくて良いから」
「あ、うん!」
素直に頷くティミーにウォックは微笑み、グルーを見た。
「じゃあ兄さん、行ってきます」
「ん、行ってらっしゃい!」
「気を付けて。旅の検討を祈るよ」
グルーとアリルは村の外へと歩くマッド達を見送り、手を振った。
「……行っちゃったな。ウォック、ちゃんとやっていけるかな」
ポツンとグルーは呟いた。
「ま、大丈夫だろ。あいつら、悪い奴らじゃ無さそうだし」
「……そうだな」
「みんなに、精霊の加護がありますように」
グルーとアリルは微笑み、マッド達が旅立った方向を見つめた。
ルバナの町から数時間歩き、辺りはオレンジ色に染まり空気も冷え込み出した頃、夜の原野は危険だと言うウォックの意見でマッド達は野宿の準備をしていた。
「……はぁ、今日も野宿かぁ」
「仕方ないよ。お金無いから宿に入れないもの」
「そうだけどよ……」
野宿続きで不満が溜まっているのか、マッドはどこか不機嫌だった。
その様子を見ていたウォックは集めた木の枝の一本をマッドの頭に投げつけると、見事に直撃した。
「いってぇ! 何すんだよウォック!」
「喋ってる暇があるなら木の実と枝を拾って来い。全然食材が無いんだぞ。あの馬鹿のせいで」
「それなら食材を食べ尽くした馬鹿に言え馬鹿に!」
マッドとウォックは睨み合う。
休憩している時にヴェノルに食材をほぼ食べ尽くされてしまい、残っているのはバケットが半分有るのみだった。
勿論主食になる物も無く、ウォックとティミーは必死に食材を探しているのだ。
このままだと、夜ご飯がバケットのみになってしまう。
「……はぁ。分かったよ。キノコ探して来る」
そう言うと、マッドは立ち上がり森の中へと入っていく。
(良く旅を続けられるよな、こいつ等)
旅の知識や地理を把握していない状態で旅をしていたのかと思うと、ウォックは何とも言えない表情をする。
今後は自分がしっかり三人の面倒を見ないと、いつか野垂れ死になりかねないと思ったようだ。
「お~い! 見ろよウマイダケ大量に採って来たぞ!」
そう考えていると、マッドが沢山のキノコを抱えて戻って来た。
「随分取ってきたな。少しは役に立つじゃないか」
「何だと!? 言っておくが、俺は世界中のキノコを把握しているからな!」
「それだけは役に立ちそうだな」
「うるせぇなこの野郎!」
マッドはウォックに殴りかかろうとするが、ウォックはそれを軽々と受け止め、木の枝をマッドの頭へと投げつけた。
木の枝はマッドの頭に見事ヒットし、頭を押さえながらウォックを睨みつける。
「いってぇなてめぇ……!」
「……はぁ。先が思いやられるなこれは」
ウォックは溜め息を吐くと、木の枝を置き、ポケットの中からいくつか木の実を取り出した。先程見つけた木の実だろう。
「全く、今日位家に泊まっていけば良かったのに」
「うっ……そうだな。港町までこんなにかかるとは思わなかったんだよ」
「ほ、ほらマッド、近くに天然の温泉が有ったから入ってきなよ」
「……そうする」
落ち込むマッドを、ティミーはすかさず慰めた。
ウォックの家に泊まれば良かったと、少し後悔しているようだ。
「お~い! みんな~! お魚沢山釣れたよ~!」
するとヴェノルが川で魚を捕ってきたらしく、この日は焼き魚とキノコと木の実でお腹を満たした。
そして辺りは暗くなり、月明かりと薪の小さな光に照らされながら、マッド達は木の下で休息を取った。
翌朝出発し、港町ベルナスを目指す為に──。
準備が整い外に出るなり、マッドはウォックを睨む。
「別に。じゃあ行くか」
「あぁ! グルーさん、アリルさん、ありがとうございました!」
「うわっマッドが敬語使うなんて気持ち悪っ!」
「んだとぉ? ヴェノルてめぇ!」
「もぅ、ケンカしないの! ウォックさん、これから宜しくお願いします!」
「あぁ、呼び捨てで良いよ。敬語も使わなくて良いから」
「あ、うん!」
素直に頷くティミーにウォックは微笑み、グルーを見た。
「じゃあ兄さん、行ってきます」
「ん、行ってらっしゃい!」
「気を付けて。旅の検討を祈るよ」
グルーとアリルは村の外へと歩くマッド達を見送り、手を振った。
「……行っちゃったな。ウォック、ちゃんとやっていけるかな」
ポツンとグルーは呟いた。
「ま、大丈夫だろ。あいつら、悪い奴らじゃ無さそうだし」
「……そうだな」
「みんなに、精霊の加護がありますように」
グルーとアリルは微笑み、マッド達が旅立った方向を見つめた。
ルバナの町から数時間歩き、辺りはオレンジ色に染まり空気も冷え込み出した頃、夜の原野は危険だと言うウォックの意見でマッド達は野宿の準備をしていた。
「……はぁ、今日も野宿かぁ」
「仕方ないよ。お金無いから宿に入れないもの」
「そうだけどよ……」
野宿続きで不満が溜まっているのか、マッドはどこか不機嫌だった。
その様子を見ていたウォックは集めた木の枝の一本をマッドの頭に投げつけると、見事に直撃した。
「いってぇ! 何すんだよウォック!」
「喋ってる暇があるなら木の実と枝を拾って来い。全然食材が無いんだぞ。あの馬鹿のせいで」
「それなら食材を食べ尽くした馬鹿に言え馬鹿に!」
マッドとウォックは睨み合う。
休憩している時にヴェノルに食材をほぼ食べ尽くされてしまい、残っているのはバケットが半分有るのみだった。
勿論主食になる物も無く、ウォックとティミーは必死に食材を探しているのだ。
このままだと、夜ご飯がバケットのみになってしまう。
「……はぁ。分かったよ。キノコ探して来る」
そう言うと、マッドは立ち上がり森の中へと入っていく。
(良く旅を続けられるよな、こいつ等)
旅の知識や地理を把握していない状態で旅をしていたのかと思うと、ウォックは何とも言えない表情をする。
今後は自分がしっかり三人の面倒を見ないと、いつか野垂れ死になりかねないと思ったようだ。
「お~い! 見ろよウマイダケ大量に採って来たぞ!」
そう考えていると、マッドが沢山のキノコを抱えて戻って来た。
「随分取ってきたな。少しは役に立つじゃないか」
「何だと!? 言っておくが、俺は世界中のキノコを把握しているからな!」
「それだけは役に立ちそうだな」
「うるせぇなこの野郎!」
マッドはウォックに殴りかかろうとするが、ウォックはそれを軽々と受け止め、木の枝をマッドの頭へと投げつけた。
木の枝はマッドの頭に見事ヒットし、頭を押さえながらウォックを睨みつける。
「いってぇなてめぇ……!」
「……はぁ。先が思いやられるなこれは」
ウォックは溜め息を吐くと、木の枝を置き、ポケットの中からいくつか木の実を取り出した。先程見つけた木の実だろう。
「全く、今日位家に泊まっていけば良かったのに」
「うっ……そうだな。港町までこんなにかかるとは思わなかったんだよ」
「ほ、ほらマッド、近くに天然の温泉が有ったから入ってきなよ」
「……そうする」
落ち込むマッドを、ティミーはすかさず慰めた。
ウォックの家に泊まれば良かったと、少し後悔しているようだ。
「お~い! みんな~! お魚沢山釣れたよ~!」
するとヴェノルが川で魚を捕ってきたらしく、この日は焼き魚とキノコと木の実でお腹を満たした。
そして辺りは暗くなり、月明かりと薪の小さな光に照らされながら、マッド達は木の下で休息を取った。
翌朝出発し、港町ベルナスを目指す為に──。
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