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第五章 港町での休息
お買い物
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雑談を交わしながら食事が終わり、マッド達は一度部屋へ戻った。
これから骨董品を売ってニルに変える為、それぞれ集めた骨董品を一つの袋にまとめつつ、ウォックは手持ちの道具や食材をチェックしていく。
「薬草も残ってるし、特別壊れている道具も無いな。買い足すのは食材のみだな」
ヴェノルのせいで食材が殆ど無い以外は、大体の物が揃っていたようだ。
船のチケット代はウォックの兄であるグルーが多めにニルを持たせてくれていたようで、船が動くようになっても問題なく乗船出来そうだ。
骨董品がいくらで売れるかは分からないが、恐らく次の町にたどり着いても数日分の食材は買えるだろうと、ウォックは骨董品を詰めた袋を持ち、立ち上がった。
「じゃあ、俺とヴェノルは骨董品を売ってくるから。食材は任せたぞ」
「あぁ、任せとけ。っても選ぶのティミーだけどな」
「任せて! 厳選して新鮮な食材を選ぶから」
マッドとティミーは食材を、ウォックとヴェノルは骨董品を売る為に二手に分かれる事になった。
しかし、不満そうにヴェノルは頬を膨らまし、羨ましそうにマッドとティミーに視線を向ける。
「良いな良いな~。俺も食材買いに行きたい」
「絶対駄目だ。お前は店の物を勝手につまみ食いするだろう」
「そんな事しないもんー! ウォック、俺の事そんなに信用してないの?」
「している訳無いだろう。どの口がそう言えるんだ?」
「酷い!!」
文句を言うヴェノルの首襟をウォックは引っ張りつつ、溜息を吐いた。
「全く。じゃあ、これ食費代。3日分を2000ニル以内で買ってきてくれるか?」
「任せとけ。足りなかったら少し出しておくからよ」
「助かるが、あまり無駄遣いはするなよ。そっちは任せたぞ」
「あぁ。じゃあ、買い終わったら部屋に戻るから」
「こっちも、夕方までには戻る」
マッド達はそれぞれの分担通りに別れ、宿を出るとベルナスの町中を歩き始めた。
「しっかし、本当でけーなこの町は」
「本当だね~。ルグート村から出た事無かったから、凄く新鮮だよ」
マッドとティミーは食材を求めて、繁華街へと足を運んだ。
高級そうな素材で建てられた建物が並び、所々に花が咲いている。
その花は、ルグート村でも咲いていたものが殆どだ。
「わぁ、プチセラリーの花だ。懐かしい。」
「おっ、小さいウマイダケ生えてるじゃん。港町でも、土がしっかりしてるんだな」
町並みを楽しみつつ、マッドとティミーは食材が売っているお店へと目指す。
曲がり角の所に大きな八百屋が立っているのが見え、マッドは建物に向けて指を向けた。
「おっ、あそこにあるの八百屋じゃねぇか?」
「本当だ。あそこで野菜と果物買えるね! 行こう!」
マッドとティミーは八百屋の入り口へ向かい、建物の中に入った。
「いらっしゃい! 今日は新鮮な野菜が沢山入ってるよ!」
建物の中に入ると、若い女将が元気良く挨拶してくれた。
その笑顔と元気の良さに、自然とマッドとティミーも笑みを浮かべる。
「こんにちは。野菜と果物を買いに来ました。選ばせて頂いても宜しいですか?」
「勿論だよ! ゆっくり選びな!」
「へへっ、ここの食材どれも良さそうな物ばかりだな」
「本当だね。あっ、お肉も売ってるみたいだよ」
マッドとティミーは其々野菜と果物を一つずつ見詰め、品定めをしていく。
ティミーは食材の質にもかなり拘っていて、それをマッドも知っている為、マッドも真剣に食材を見比べていた。
ティミーが林檎を選んでいると、手に取っていた林檎に鼻を近付け、深く空気を吸い込んだ。
何処か、懐かしい匂いがする。
そう、この林檎は───。
「マッド、この林檎......」
「どうしたティミー? あれっ、この林檎って」
手に取った林檎を、懐かしそうに眺めるマッドとティミーに、女将はニッコリ笑い奥から更に林檎の入った籠を持って来た。
「おや、この林檎が気に入ったのかい? この林檎はルグート村の特産品さ」
ルグート村。
その言葉を聞いた瞬間、マッドとティミーは顔を見合わせる。
「やっぱり! マッド、この林檎ルグート産だよ!」
「あぁ! これ、フィルの所の林檎だ! 甘酸っぱいこの匂い、間違いねぇ」
一つの林檎に盛り上がるマッドとティミーを見て、女将は不思議そうに首を傾げた。
「あんた達、ルグート村の人かい?」
「はい! そうなんです。ちょっと、旅をしていて」
「なぁっ、女将さん! これってルグート産の林檎だろ?」
嬉しそうに笑うマッドとティミーに、女将は目の前に広がる野菜と果物に向けて手を広げた。
「そうさ、この野菜と果物はほぼルグート産の物だよ。最近沢山出荷されて来てねぇ。ルグートの特産品は品質が良いし、こっちも大儲けだよ」
「そう、なんですね......! 良かった......普通に、特産品出荷出来てるんだ......」
「村の半分が原因不明の濁流にやられたんだろう? あんた達位の兄ちゃんがこの前うちに来てね。復興の為に特産品を出荷して、沢山ニルを稼いでいるんだって聞いたよ。何でも、濁流を起こした者を捕まえる為に旅に出た村人もいるみたいでね。良い村だね、ルグート村は」
女将の言葉に、マッドとティミーは目を見開いた。
村の復興の為に、村のみんなが頑張ってくれている。
こうして、他の町にまで特産品を売りに来ている。
自分達が旅に出ても、村のみんなは頑張っている。
「私達も、頑張らなくっちゃね」
「そうだな、女将さん、沢山買うからよ! ルグート産の果物も野菜も美味いんだぜ!」
「あいよ! 肉も沢山有るからね! どんどん選びな!」
沢山の野菜と果物、肉や卵を選び、マッドとティミーはニルを支払い、出口へと向かった。
「ヒュ~! 大量大量!」
「女将さん、ありがとうございました。もしまたこの町に寄ったら、必ずこのお店に行きます!」
マッドが大量の荷物を持ち、ティミーはオマケで貰った数本のバケットを持ちながら女将に笑顔を向けた。
「あいよ! 気をつけて行くんだよ!」
マッドとティミーは手を振り、女将も笑顔で手を振り返した。
二人の姿が見えなくなり、女将は小さく笑みを浮かべる。
「きっと、あの二人が───」
女将の言葉は、町並みに消えた二人に聞こえる事は無かった。
これから骨董品を売ってニルに変える為、それぞれ集めた骨董品を一つの袋にまとめつつ、ウォックは手持ちの道具や食材をチェックしていく。
「薬草も残ってるし、特別壊れている道具も無いな。買い足すのは食材のみだな」
ヴェノルのせいで食材が殆ど無い以外は、大体の物が揃っていたようだ。
船のチケット代はウォックの兄であるグルーが多めにニルを持たせてくれていたようで、船が動くようになっても問題なく乗船出来そうだ。
骨董品がいくらで売れるかは分からないが、恐らく次の町にたどり着いても数日分の食材は買えるだろうと、ウォックは骨董品を詰めた袋を持ち、立ち上がった。
「じゃあ、俺とヴェノルは骨董品を売ってくるから。食材は任せたぞ」
「あぁ、任せとけ。っても選ぶのティミーだけどな」
「任せて! 厳選して新鮮な食材を選ぶから」
マッドとティミーは食材を、ウォックとヴェノルは骨董品を売る為に二手に分かれる事になった。
しかし、不満そうにヴェノルは頬を膨らまし、羨ましそうにマッドとティミーに視線を向ける。
「良いな良いな~。俺も食材買いに行きたい」
「絶対駄目だ。お前は店の物を勝手につまみ食いするだろう」
「そんな事しないもんー! ウォック、俺の事そんなに信用してないの?」
「している訳無いだろう。どの口がそう言えるんだ?」
「酷い!!」
文句を言うヴェノルの首襟をウォックは引っ張りつつ、溜息を吐いた。
「全く。じゃあ、これ食費代。3日分を2000ニル以内で買ってきてくれるか?」
「任せとけ。足りなかったら少し出しておくからよ」
「助かるが、あまり無駄遣いはするなよ。そっちは任せたぞ」
「あぁ。じゃあ、買い終わったら部屋に戻るから」
「こっちも、夕方までには戻る」
マッド達はそれぞれの分担通りに別れ、宿を出るとベルナスの町中を歩き始めた。
「しっかし、本当でけーなこの町は」
「本当だね~。ルグート村から出た事無かったから、凄く新鮮だよ」
マッドとティミーは食材を求めて、繁華街へと足を運んだ。
高級そうな素材で建てられた建物が並び、所々に花が咲いている。
その花は、ルグート村でも咲いていたものが殆どだ。
「わぁ、プチセラリーの花だ。懐かしい。」
「おっ、小さいウマイダケ生えてるじゃん。港町でも、土がしっかりしてるんだな」
町並みを楽しみつつ、マッドとティミーは食材が売っているお店へと目指す。
曲がり角の所に大きな八百屋が立っているのが見え、マッドは建物に向けて指を向けた。
「おっ、あそこにあるの八百屋じゃねぇか?」
「本当だ。あそこで野菜と果物買えるね! 行こう!」
マッドとティミーは八百屋の入り口へ向かい、建物の中に入った。
「いらっしゃい! 今日は新鮮な野菜が沢山入ってるよ!」
建物の中に入ると、若い女将が元気良く挨拶してくれた。
その笑顔と元気の良さに、自然とマッドとティミーも笑みを浮かべる。
「こんにちは。野菜と果物を買いに来ました。選ばせて頂いても宜しいですか?」
「勿論だよ! ゆっくり選びな!」
「へへっ、ここの食材どれも良さそうな物ばかりだな」
「本当だね。あっ、お肉も売ってるみたいだよ」
マッドとティミーは其々野菜と果物を一つずつ見詰め、品定めをしていく。
ティミーは食材の質にもかなり拘っていて、それをマッドも知っている為、マッドも真剣に食材を見比べていた。
ティミーが林檎を選んでいると、手に取っていた林檎に鼻を近付け、深く空気を吸い込んだ。
何処か、懐かしい匂いがする。
そう、この林檎は───。
「マッド、この林檎......」
「どうしたティミー? あれっ、この林檎って」
手に取った林檎を、懐かしそうに眺めるマッドとティミーに、女将はニッコリ笑い奥から更に林檎の入った籠を持って来た。
「おや、この林檎が気に入ったのかい? この林檎はルグート村の特産品さ」
ルグート村。
その言葉を聞いた瞬間、マッドとティミーは顔を見合わせる。
「やっぱり! マッド、この林檎ルグート産だよ!」
「あぁ! これ、フィルの所の林檎だ! 甘酸っぱいこの匂い、間違いねぇ」
一つの林檎に盛り上がるマッドとティミーを見て、女将は不思議そうに首を傾げた。
「あんた達、ルグート村の人かい?」
「はい! そうなんです。ちょっと、旅をしていて」
「なぁっ、女将さん! これってルグート産の林檎だろ?」
嬉しそうに笑うマッドとティミーに、女将は目の前に広がる野菜と果物に向けて手を広げた。
「そうさ、この野菜と果物はほぼルグート産の物だよ。最近沢山出荷されて来てねぇ。ルグートの特産品は品質が良いし、こっちも大儲けだよ」
「そう、なんですね......! 良かった......普通に、特産品出荷出来てるんだ......」
「村の半分が原因不明の濁流にやられたんだろう? あんた達位の兄ちゃんがこの前うちに来てね。復興の為に特産品を出荷して、沢山ニルを稼いでいるんだって聞いたよ。何でも、濁流を起こした者を捕まえる為に旅に出た村人もいるみたいでね。良い村だね、ルグート村は」
女将の言葉に、マッドとティミーは目を見開いた。
村の復興の為に、村のみんなが頑張ってくれている。
こうして、他の町にまで特産品を売りに来ている。
自分達が旅に出ても、村のみんなは頑張っている。
「私達も、頑張らなくっちゃね」
「そうだな、女将さん、沢山買うからよ! ルグート産の果物も野菜も美味いんだぜ!」
「あいよ! 肉も沢山有るからね! どんどん選びな!」
沢山の野菜と果物、肉や卵を選び、マッドとティミーはニルを支払い、出口へと向かった。
「ヒュ~! 大量大量!」
「女将さん、ありがとうございました。もしまたこの町に寄ったら、必ずこのお店に行きます!」
マッドが大量の荷物を持ち、ティミーはオマケで貰った数本のバケットを持ちながら女将に笑顔を向けた。
「あいよ! 気をつけて行くんだよ!」
マッドとティミーは手を振り、女将も笑顔で手を振り返した。
二人の姿が見えなくなり、女将は小さく笑みを浮かべる。
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女将の言葉は、町並みに消えた二人に聞こえる事は無かった。
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