ひだまりを求めて

空野セピ

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第五章 港町での休息

不安な気持ち

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 ティミーの言葉に、マッド達は沈黙した。
 ティミーは思わず大きな声を出してしまった事にハッとし、そのまま目線を逸らしながら俯いてしまう。
 
「ティミーは、ルグート村の住人ではないのか?」

 ウォックが問い掛けると、ティミーは涙を拭いながら口を開いた。

「うん......。私、捨て子だったの。5歳の頃にルグート村の直ぐ近くの森で捨てられて、村長夫妻が保護してくれたんだ。だから、私は本来はルグート村の出身じゃないの」

 俯いたまま、ティミーは声を震わせながら言葉を吐いた。
 ルグート村の出身ではない自分のせいで、村が襲われてしまった。
 その事実が重くのしかかり、ティミーは唇を噛む。
 罪悪感で、今にも押し潰されてしまいそうな気持ちだった。
 俯くティミーの肩にマッドは右手を置き、ティミーは思わず顔を上げる。

「ティミーが捨て子だとか、ルグート村の出身じゃねぇとか、そんな事関係あるのか?」

 マッドの言葉に、ティミーの拭った筈の涙が更に溢れ出した。

「だって! 言ったじゃない! 本来私がいなければ、村は襲われずに済んだって! レンは、私を狙っていたんだよ!? 私が......私がルグート村に居なければ、こんな事には......」

「......ティミーを狙ってきた、か」

 ウォックは顎に手を当て、眉間にシワを寄せる。

(どうも引っかかる。どうしてティミーを狙う必要がある? 〈あるモノ〉を狙っているとは言っていたみたいだが......)

 ティミーに視線を向けるも、特別特殊な物を持っている素振りも無い。
 何かを隠している様にも見えなかった。

「ティミー。何か特殊な物を身につけていたりはしないのか?」

 ウォックの言葉に、ティミーは首を横に振る。

「特殊では無いけれど、このロケットペンダント位しか......」

「ロケットペンダント?」

 そう言うと、ティミーは自分の首に下げてあったロケットペンダントを外し、テーブルの上に置いた。
 首から下げて服の中に隠れていたようで、ウォックは気付かなかったようだ。

「わぁ、綺麗~! これなぁに?」

「ロケットペンダントだよ。こう、ここを押すと写真が見れるようになってるの」

 ヴェノルが興味津々に身を乗り出してロケットペンダントをマジマジと見る。
 小さなボタンを押すと、小さな音を立てて蓋が開き、小さな赤子の写真が見れた。

「わぁ~! 可愛い!」

「あ、ありがとう。これ、多分私が赤ちゃんの頃の写真だと思うの。誕生日も刻まれているし...... 。私が捨てられていた時に一緒に置かれていた物なんだ」

「......そうか」

 ロケットペンダントを見た感じ、シルバー製で出来たごく普通の物だ。
 ウォックは更に首を傾げる。

(旅の道具以外に持ってる物もこれだけ。なら何故レンはティミーを......)


 ウォックが考える前でティミーは大事そうにペンダントを握る。
 その様子を見ていたマッドはティミーの頭に手を置き、そのままグシャグシャに撫でた。

「わわっ! ちょっとマッド! 何するの!」

「そんな暗い顔すんなって。大丈夫だ。レンはぜってー俺が倒すからよ」

 マッドはティミーの頭をグシャグシャに撫でた手を肩に置き、ニカッと笑顔を見せる。

「それに、村を出たのだってこれ以上村の皆んなを傷付けたくなかったからだろ? 皆んな笑顔で見送ってくれたじゃねーか。 ティミーを邪険に思ってる奴なんていなかっただろ。だから居なければ良かった、なんて言うんじゃねぇ」

「マッド......」

「それによ。旅してりゃ、お前の両親にも会えるかもしれないぜ?」

 マッドの言葉に、ティミーは顔を上げた。
 マッドは更に微笑み、ティミーの肩を軽く叩く。

「どれだけ時間のかかる旅になるかは分からねぇけど、きっと会えるさ。そしたら、本当の事、聞けるんじゃねぇのか?」

「うん、そうだよね......! 会えたら、良いなぁ」

 泣き止んだと思ったティミーの目から、再び涙が溢れた。
 ティミーは慌てて涙を拭い、笑顔を見せる。

「ごめん、暗い事話しちゃって。でも、本当にレンがこれ以上村を襲って来ないように村を出た事に後悔はしていないから。どうして私を狙うのか、知りたいから。だから私は、旅を続ける。例え、この先に何が待ち受けていても」

 ティミーの言葉に、マッドとウォックは満足そうに微笑んだ。

「勿論だ! ティミーは俺が護る。レンだってぶっ倒す! その為に村を出たんだからよ!」

「で、旅の知識も無知のまま飛び出して来た訳だな」

「何だとウォック! てめぇは一言余計なんだよ!」

「はいはい! ご飯だよ坊や達」

 マッドがウォックに掴みかかろうとした時、丁度おばちゃんがご飯を持ってきた。
 それぞれ頼んだ料理がテーブルの上に並べられ、それを見たヴェノルが大量の涎を垂らしつつソワソワし始める。

「やっとご飯だ~! 暗い話ばっかりだったからお腹ペコペコだよ~!」

「悪かったな、暗い話にして」

 ウォックは何処となく少し不機嫌になりつつもヴェノルを軽く小突く。
 料理が全て揃い、マッド達は食事の合図をすると其々のご飯を食べ始めた。
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