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第六章 国家軍組織ベルトア
大総統閣下との謁見
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大総統に会いに行く為に、マッド達はヴェイトとベルスに連れられて中央司令部へ向かった。
ヴェイトの私室から距離があり、軍服を着ていないせいか周りの軍人達からジロジロと見られ、少なからず不愉快感を感じていた。
しかし、好奇の目で見てくる軍人達をベルスが一睨みすると、軍人達は慌てて視線を逸らす。
その様子に、ヴェイトは小さく溜息を吐いた。
「おいベルス。いつも相手を睨み付けるなって言ってるだろ」
「勝手にジロジロ見てくる方が悪いんだろ。不愉快ったらありゃしねぇぜ」
ベルスは面倒臭そうに舌打ちすると、目を細めながらマッドとティミーに視線を向ける。
「大体こんな一般庶民が軍本部にいる事自体が可笑しいんだっつーの。場違い過ぎるだろ。しかもどうして俺まで呼ばれなくちゃいけねぇんだよ」
「大総統補佐官が出張中だからな。そうなると大総統を護衛するのは地位的にお前しかいないだろ」
「はー、面倒くせぇ。早く話し終わらせるように威圧かけるしかねーな」
「大総統にも容赦無いよなお前」
ヴェイトは何度も言えない表情でベルスを睨み付けるも、ベルスは知らん顔をして先へ進んだ。
その会話を後ろで聞いていたマッドとティミーは、互いに小声でコッソリと耳打ちをする。
「よく分からないけど、ヴェイトさんとベルスさんって偉い人なのかな?」
「ヴェイトはともかく、ベルスは絶対あり得ねぇだろ。あんな不良軍医、下っ端だぜ」
マッドとティミーはお互い耳をすませば聞こえる位の小さな声で話していたが、その間をメスが横切り、二人は固まり恐る恐る前を向く。
見上げるとベルスが恐ろしい表情で見下ろし、こちらに向けて銃を突き付けて来た。
「さっきから丸聞こえだぜ、ガキ共」
「はっ、地獄耳かよお前は」
吐き捨てるようにマッドが問いかけると、ベルスはニヤリと笑いながら銃をマッドの頭に押し当てる。
引き金を引けば、弾は発射されるだろう。
マッドは負けじとベルスを睨みつ付けた。
「これ以上侮辱するとテメェらの脳天に風穴が開くぜ? ヴェイトも俺も、この軍だとそれなりの地位と立場を持っている。下手な言葉は侮辱罪に当たる事を忘れるなよ」
嫌悪感を募らせながら吐き捨てるように言うと、マッドは舌打ちしながらベルスと距離を置き、剣に手を当てる。
このままだと喧嘩しかねないと判断したヴェイトは、ベルスとマッドの間に入り、銃口を二人に突き付けた。
「喧嘩はそこまでだ。大総統の前で無礼な事をしたら、それこそお前達の首が飛ぶぞ。私語は慎め。ベルスも立場を考えろ」
「へいへい、分かったようるせーな。さっさと話し済ませようぜ」
喧嘩になりながらもやり取りしている間に、大総統が待つ中央司令部に着いた。
大きな扉の前に立ち、ヴェイトはノックをする。
「失礼致します。ラーバ大総統閣下。海底都市の件で主要である人物を連れて参りました」
「あぁ。入れ」
中から返事があり、ヴェイトは静かに扉を開ける。
ヴェイトとベルスは敬礼し、ベルスはそのまま大総統の座る椅子の近くまで歩き、ヴェイトはマッド達を招き、大総統の前に立つ様に指示を出し、ヴェイト自身もマッドの横に立ち大総統に一礼した。
「ラーバ大総統閣下。この者達が先程お話させて頂いた、海底都市ユリスの調査をしたいと申し出た者達です」
「ほう、見た所一般人じゃないか。バーレスト夫妻の息子もいるのか」
「お久しぶりです、ラーバ大総統閣下」
ウォックは深くお辞儀をすると、マッドとティミーは不思議そうに首を傾げた。
「何だ、ウォックはこの人の事知ってるのか?」
「マッド! 駄目だよ私語は慎めってヴェイトさんに言われたばかりでしょ!」
「あっ......やべ」
慌てて口元を押さえるマッドだったが、ラーバは苦笑しつつ手をヒラヒラさせた。
「まぁ、そこまで硬くならなくて良い。申し遅れたが、私はラーバ・アレスタード。ベルトア軍の全てを統括する大総統だ。軍のトップだと思ってくれて構わんよ」
気さくに話しかけてくるラーバは、オレンジ色の髪をクルクルと触りながら蒼の瞳を細めて笑った。
四十歳前後の男性で、頭の左側に銀色の羽飾りが輝いていて、ヴェノルは興味深そうにラーバに近づこうとする。
「わぁ、綺麗な羽~!」
「こらヴェノル、大人しくしてろ」
ウォックに腕を引っ張られ、ヴェノルは無理矢理元の位置に戻されると、ベルスは舌打ちをしつつ銃口をマッド達に突き付けた。
「大人しくしてろって言っただろ。落ち着きのねぇ奴等だな」
「ぶー。俺堅苦しいの嫌いだもん」
「良いから、静かにしてろ!」
ウォックは頰を膨らませるヴェノルの頭を殴り無理矢理静かにさせると、場が悪そうに深く一礼した。
「失礼致しました。大総統閣下が仰る通り、俺も含めて全員一般人です。しかし、彼等はこれまでに幾つかの不可解な出来事を目撃して来た人物達でもあります」
ウォックが代表して話すと、ラーバは顎に手を当て険しい表情を取った。
「不可解な事。それは、これまでに発生している天変地異や異常気象の事か」
「それらに該当するかまでは分かりません。しかし、要因となっているものが分かるかもしれない。調べるのに、海底都市ユリスに行きたいのですが」
「海底都市、ね」
ラーバは小さく息を吐き、目を閉じる。
機嫌を悪させてしまったかとティミーは不安になったが、疑問に思う事が有り、恐る恐る手を挙げてラーバとベルスに視線を向けた。
「あの、質問なのですが......。天変地異と異常気象って、何ですか? これまで発生している、と仰っていましたが」
「あぁ。ここ半年間、世界中の何処かで何かしらの天変地異と異常気象が多発しているとの報告を受けているんだ。大きな地震が多発したり、大雨が降ったり。ここ最近だとベルトアは地震が多発していてな。原因が未だに掴めていないんだ」
ラーバが険しい表情で話すと、マッドとティミーは顔を合わせて目を見開いた。
「じゃあ、まさかルグート村の水害は天変地異から来ているのか?」
「ん? お前達はルグート村の出身か?」
「はい。変な男に村を襲われたのですが、てっきりその男が水害を引き起こしたのかと」
ティミーは不安そうに話し、そのまま俯いた。
レンが水を呼び寄せたと思っていたが、それでも村を襲って来た事実に変わりは無い。
その理由は、やはり自分にあるのだろうか。
俯いたティミーの肩をマッドが軽く叩き、顔を上げさせた。
見上げると、優しく微笑むマッドが視界に飛び込んでくる。
「大丈夫だって。絶対レンは倒す。だから、そんな不安そうな顔するなって」
マッドはニカッと笑顔を見せ、それに釣られてティミーも微笑みを見せた。
ヴェイトの私室から距離があり、軍服を着ていないせいか周りの軍人達からジロジロと見られ、少なからず不愉快感を感じていた。
しかし、好奇の目で見てくる軍人達をベルスが一睨みすると、軍人達は慌てて視線を逸らす。
その様子に、ヴェイトは小さく溜息を吐いた。
「おいベルス。いつも相手を睨み付けるなって言ってるだろ」
「勝手にジロジロ見てくる方が悪いんだろ。不愉快ったらありゃしねぇぜ」
ベルスは面倒臭そうに舌打ちすると、目を細めながらマッドとティミーに視線を向ける。
「大体こんな一般庶民が軍本部にいる事自体が可笑しいんだっつーの。場違い過ぎるだろ。しかもどうして俺まで呼ばれなくちゃいけねぇんだよ」
「大総統補佐官が出張中だからな。そうなると大総統を護衛するのは地位的にお前しかいないだろ」
「はー、面倒くせぇ。早く話し終わらせるように威圧かけるしかねーな」
「大総統にも容赦無いよなお前」
ヴェイトは何度も言えない表情でベルスを睨み付けるも、ベルスは知らん顔をして先へ進んだ。
その会話を後ろで聞いていたマッドとティミーは、互いに小声でコッソリと耳打ちをする。
「よく分からないけど、ヴェイトさんとベルスさんって偉い人なのかな?」
「ヴェイトはともかく、ベルスは絶対あり得ねぇだろ。あんな不良軍医、下っ端だぜ」
マッドとティミーはお互い耳をすませば聞こえる位の小さな声で話していたが、その間をメスが横切り、二人は固まり恐る恐る前を向く。
見上げるとベルスが恐ろしい表情で見下ろし、こちらに向けて銃を突き付けて来た。
「さっきから丸聞こえだぜ、ガキ共」
「はっ、地獄耳かよお前は」
吐き捨てるようにマッドが問いかけると、ベルスはニヤリと笑いながら銃をマッドの頭に押し当てる。
引き金を引けば、弾は発射されるだろう。
マッドは負けじとベルスを睨みつ付けた。
「これ以上侮辱するとテメェらの脳天に風穴が開くぜ? ヴェイトも俺も、この軍だとそれなりの地位と立場を持っている。下手な言葉は侮辱罪に当たる事を忘れるなよ」
嫌悪感を募らせながら吐き捨てるように言うと、マッドは舌打ちしながらベルスと距離を置き、剣に手を当てる。
このままだと喧嘩しかねないと判断したヴェイトは、ベルスとマッドの間に入り、銃口を二人に突き付けた。
「喧嘩はそこまでだ。大総統の前で無礼な事をしたら、それこそお前達の首が飛ぶぞ。私語は慎め。ベルスも立場を考えろ」
「へいへい、分かったようるせーな。さっさと話し済ませようぜ」
喧嘩になりながらもやり取りしている間に、大総統が待つ中央司令部に着いた。
大きな扉の前に立ち、ヴェイトはノックをする。
「失礼致します。ラーバ大総統閣下。海底都市の件で主要である人物を連れて参りました」
「あぁ。入れ」
中から返事があり、ヴェイトは静かに扉を開ける。
ヴェイトとベルスは敬礼し、ベルスはそのまま大総統の座る椅子の近くまで歩き、ヴェイトはマッド達を招き、大総統の前に立つ様に指示を出し、ヴェイト自身もマッドの横に立ち大総統に一礼した。
「ラーバ大総統閣下。この者達が先程お話させて頂いた、海底都市ユリスの調査をしたいと申し出た者達です」
「ほう、見た所一般人じゃないか。バーレスト夫妻の息子もいるのか」
「お久しぶりです、ラーバ大総統閣下」
ウォックは深くお辞儀をすると、マッドとティミーは不思議そうに首を傾げた。
「何だ、ウォックはこの人の事知ってるのか?」
「マッド! 駄目だよ私語は慎めってヴェイトさんに言われたばかりでしょ!」
「あっ......やべ」
慌てて口元を押さえるマッドだったが、ラーバは苦笑しつつ手をヒラヒラさせた。
「まぁ、そこまで硬くならなくて良い。申し遅れたが、私はラーバ・アレスタード。ベルトア軍の全てを統括する大総統だ。軍のトップだと思ってくれて構わんよ」
気さくに話しかけてくるラーバは、オレンジ色の髪をクルクルと触りながら蒼の瞳を細めて笑った。
四十歳前後の男性で、頭の左側に銀色の羽飾りが輝いていて、ヴェノルは興味深そうにラーバに近づこうとする。
「わぁ、綺麗な羽~!」
「こらヴェノル、大人しくしてろ」
ウォックに腕を引っ張られ、ヴェノルは無理矢理元の位置に戻されると、ベルスは舌打ちをしつつ銃口をマッド達に突き付けた。
「大人しくしてろって言っただろ。落ち着きのねぇ奴等だな」
「ぶー。俺堅苦しいの嫌いだもん」
「良いから、静かにしてろ!」
ウォックは頰を膨らませるヴェノルの頭を殴り無理矢理静かにさせると、場が悪そうに深く一礼した。
「失礼致しました。大総統閣下が仰る通り、俺も含めて全員一般人です。しかし、彼等はこれまでに幾つかの不可解な出来事を目撃して来た人物達でもあります」
ウォックが代表して話すと、ラーバは顎に手を当て険しい表情を取った。
「不可解な事。それは、これまでに発生している天変地異や異常気象の事か」
「それらに該当するかまでは分かりません。しかし、要因となっているものが分かるかもしれない。調べるのに、海底都市ユリスに行きたいのですが」
「海底都市、ね」
ラーバは小さく息を吐き、目を閉じる。
機嫌を悪させてしまったかとティミーは不安になったが、疑問に思う事が有り、恐る恐る手を挙げてラーバとベルスに視線を向けた。
「あの、質問なのですが......。天変地異と異常気象って、何ですか? これまで発生している、と仰っていましたが」
「あぁ。ここ半年間、世界中の何処かで何かしらの天変地異と異常気象が多発しているとの報告を受けているんだ。大きな地震が多発したり、大雨が降ったり。ここ最近だとベルトアは地震が多発していてな。原因が未だに掴めていないんだ」
ラーバが険しい表情で話すと、マッドとティミーは顔を合わせて目を見開いた。
「じゃあ、まさかルグート村の水害は天変地異から来ているのか?」
「ん? お前達はルグート村の出身か?」
「はい。変な男に村を襲われたのですが、てっきりその男が水害を引き起こしたのかと」
ティミーは不安そうに話し、そのまま俯いた。
レンが水を呼び寄せたと思っていたが、それでも村を襲って来た事実に変わりは無い。
その理由は、やはり自分にあるのだろうか。
俯いたティミーの肩をマッドが軽く叩き、顔を上げさせた。
見上げると、優しく微笑むマッドが視界に飛び込んでくる。
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