追放された無能の俺、死に際に古代秘術に目覚め仲間と共に世界最強のパーティを目指す

仲山悠仁

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1章 追放

01 追放の日

俺は、この日“死ぬ”と思っていた。
成人儀式──魔力を測定し、人生が決まる日。
だが俺には、魔力が一度も発現したことがない。
村の誰もが知っている“落ちこぼれ”だ。

家の前では、父と母が冷たい目で俺を見下ろしていた。

「遅れるな。……これ以上、家の恥になるな」

冬の空気より冷たい声だった。

---

夜明け前の村は、風に揺れる木々の音だけが響き、凍りつくような静けさに包まれていた。
今日は成人儀式の日。
魔力を測定し、将来が決まる──逃れられない運命だ。

それなのに、胸の奥は重く沈んでいた。

母はため息をつき、俺の肩を押す。

「兄さんは五歳で火球を出したのよ。十歳で初級魔法を複数習得して、今は最年少で王都の騎士団将校。
……それなのに、あなたは十六歳になっても何もできないなんて」

胸がひどく痛んだ。
反論する気力なんて、もう残っていない。

俺は黙って俯き、広場へ向かった。

---

儀式場には、同年代の若者たちが緊張と期待を抱えながら並んでいた。
村人たちはその周囲を囲み、未来の英雄が生まれる瞬間を待ちわびている。

俺が列に加わった瞬間、視線が一斉に刺さった。

「……あいつ、火花すら出せないらしい」
「子どもでも魔法くらい使えるのに、一度も使えなかったんだろ」
「どうせ追放だよ。村の足手まといだしな」

ひそひそ声が、刃物のように耳に突き刺さる。

幼い頃から、俺だけが魔法を使えなかった。
皆が火花を散らして遊ぶ中、俺の掌にはただ冷たい風が吹き抜けるだけだった。

やがて村長が水晶を掲げ、声を張り上げる。

「では、魔力測定を始める!」

若者たちが次々と水晶に手をかざし、光が溢れるたびに歓声が上がる。
村は祝福の空気に包まれていった。

そして、俺の番が来た。

水晶に手を置く。
冷たい感触が掌に広がる。

……だが。

水晶は沈黙したままだ。

どれだけ待っても、何も起きない。

ざわめきが広がる。

「やっぱりな」
「無魔力だ」
「家の恥さらしめ」

父母は顔を覆い、村人たちは露骨に距離を取った。

村長は短く息を吐き、冷たい目で俺を見下ろす。

「アレックス。
お前は魔力を持たぬ者。
村の掟により、本日をもって追放とする」

広場が静まり返った。

追放──それは、この村では“死刑宣告”と同じ意味だ。
村の外は魔物だらけ。無力な者が生き残れる場所ではない。

父が吐き捨てるように言う。

「これで家の御荷物が消える。兄さんの足を引っ張ることもない」

母は冷たく笑った。

「……せめて、静かに消えてちょうだい」

唇を噛みしめる。
悔しさも、悲しさも、怒りも、全部飲み込むしかなかった。

村長が門を指さす。

「行け。戻ることは許さん。戻れば殺されると思え」

俺はゆっくりと歩き出した。
背後で門が閉まる音が響く。

振り返る者は誰もいない。
家族も、村人も、誰一人として。

冷たい風が頬を撫でた。

――俺は、ここで死ぬのか。

胸が締めつけられる。
それでも、足は止まらなかった。

生きたい。
生きて、証明したい。
自分がなんかじゃないと。

俺は深い森へと、一人歩き出した。

その先に死が待つのか。
それとも、運命を変える何かが待つのか。

まだ、誰も知らない。

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